特集 2017年12月22日

電車の台車をオブジェとして作ってみたい

台車をじっくり見たことありますか
台車をじっくり見たことありますか
新幹線の台車に亀裂が入って大騒ぎになっているけれど、ニュースなどで映像を見て、車のものとはまったく違う、鉄道の台車がかっこいいと思った。

台車そのものをもっとじっくり見たり、車輪やサスペンションを動かしてみたい。

そこで、オブジェとして台車を作ってみることにした。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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台車の再確認

そういえば台車というものをあまりちゃんと見たことがなかった。と思って自分の写真ライブラリを見てみたら、何枚か台車のアップを見つけた。無意識のうちにかっこいいという想いはあったのか。
スイングアームにコイルばねがついている(?)
スイングアームにコイルばねがついている(?)
メーカーがメーカーだけにバイクの技術の応用とかあるのだろうか
メーカーがメーカーだけにバイクの技術の応用とかあるのだろうか
同じ鉄道会社なのに手前と奥で台車の形が違う
同じ鉄道会社なのに手前と奥で台車の形が違う
どうやって車輪を支えるのか、サスペンションがどう動くのか、見てしまう
どうやって車輪を支えるのか、サスペンションがどう動くのか、見てしまう
上の3枚目、4枚目は以前に整備工場を見学させてもらった時に目の前にあった、電車から外されていた台車。近くでよく見ると複雑な構造でおもしろい。もっとじっくり納得のいくまで眺めたり触ったりしたい。そして部屋に飾りたい。
こういう感じのオブジェないだろうか。ないですよね。

というわけで作ってみることにした。

台車の役割

台車は車体と線路の間にある唯一のものだ。その役割を素人目に考えると、車体や乗客の重さを支え、加速と減速を伝え、線路の直線やカーブに追随し、揺れや衝撃を吸収する。こんなところだろうか。

構造的に考えると、車輪は脱線しないように内側にフランジ(でっぱり)がある。左右の車輪は軸で繋がり、回転するのでどこかに軸受(ベアリング)があって、フレームに固定されているはずだ。ただし固定とは言っても、揺れや衝撃を吸収するサスペンションがあって、上下に動く仕組みになっているのではないか。

こういった予備知識を頭に入れてから改めて台車を見ると、何となくどこがどういう仕組みなのか分かる気がする。
とは言え正確なところは分からないので、あくまでも想像なのだけど。
黄色い印の奥が軸受でFS520と書いてある部分がフレーム、その間にバネが入っていてサスペンションになっているのではないか
黄色い印の奥が軸受でFS520と書いてある部分がフレーム、その間にバネが入っていてサスペンションになっているのではないか
こうした知識を踏まえ、台車のオブジェを作ってみたいと思う。いろいろな型式があると思うけれど、特に思い入れのある台車もないので、写真を参考にしつつオリジナルなものをデザインすることにした。素材はダンボールである。

まずは車輪作り

最初に車輪を作ってみる。段ボールを丸く切り、さらに細長く切ったものを外側に巻きつけてグルーガンで接着し、ひと回り大きな直径で丸く切った段ボールを接着。これで片側の車輪の出来上がりである。
文章で説明しても分からないと思うので写真を見ていただきたい。
コンパスで円を描き、カッターで切り抜く
コンパスで円を描き、カッターで切り抜く
2種類の直径で切り抜き、計8枚作った
2種類の直径で切り抜き、計8枚作った
小さい方の円の外側に細長く切った段ボールを巻き、グルーガンで接着
小さい方の円の外側に細長く切った段ボールを巻き、グルーガンで接着
反対側にひと回り大きな円を貼りつけて片側の車輪ができた
反対側にひと回り大きな円を貼りつけて片側の車輪ができた
頭の中ではもう少し精度の高い工作だったんだけど
頭の中ではもう少し精度の高い工作だったんだけど
車輪ができた、などと言っているけど、残念ながら言わないと分かってもらえないレベルの仕上がりだった。しかし台車に組み込んで完成すればそれなりに形になるはず!(頭の中では)

車輪はもう1つ作って、その間を軸で結ぶ。軸の素材は決めていた。
円筒形で固いもの、ということでラップの芯を使用
円筒形で固いもの、ということでラップの芯を使用
真ん中で切って2本に
真ん中で切って2本に
本当は車輪の真ん中に穴を開けて通そうと思ったけど難度高いのでやめた
本当は車輪の真ん中に穴を開けて通そうと思ったけど難度高いのでやめた
というわけで、車輪のフランジ側の中心を合わせて軸を接着。これで軸で結ばれた車輪の完成だ。これをもうひとつ作る。
車輪ができたらテンション上がるんじゃないかと思っていたけど頭の中のクオリティとの落差にむしろ下がった
車輪ができたらテンション上がるんじゃないかと思っていたけど頭の中のクオリティとの落差にむしろ下がった
そして、この時点で僕はもうひとつミスをしていたことに気づいた。

軸が受けられない

いくつかの台車の写真を見る限り、軸受は車輪の外側についているようだった。つまり軸が外側に出ていなければ受けられないのだ。仕方がないのでキッチンのアルミホイルを丁寧に出して畳み、芯を持ってきた。ラップは開けたてだったので諦めた。オブジェなので強度は二の次である。
強度がラップの芯より弱いので心配
強度がラップの芯より弱いので心配
4等分して...
4等分して...
車輪の外側に接着した
車輪の外側に接着した
というわけでこれでホントに車輪の完成
というわけでこれでホントに車輪の完成

メインフレームの設計

続いてメインフレームの作成である。このフレームのデザインによって台車の印象が決まるのだ。いろいろな台車の写真を見比べて、大まかな形を設計した。
そう言えばここまでサイズとか設計方法とか書いていなかったけれど、いちおう自分なりにいろいろ計算した上で車輪の直径を12cmとして、そのほかの部分を設計している。
何となく当ててみて軸の位置などを決める
何となく当ててみて軸の位置などを決める
フレームのデザインを描いた段ボールを2組準備する
フレームのデザインを描いた段ボールを2組準備する
切り出し中に勢い余ってフレームに亀裂が入ってこちらでも大騒ぎ
切り出し中に勢い余ってフレームに亀裂が入ってこちらでも大騒ぎ
何とか切り出し終わり!
何とか切り出し終わり!
待ちきれずに思わず乗せて喜ぶ
待ちきれずに思わず乗せて喜ぶ
フレームの形が見えたことで一気にゴールが近づいた気がした。
続いては左右のフレームを合体させ、あと軸受、サスペンションを作る。

車輪の幅より広めにフレームを固定するパーツを作り、グルーガンで接着。これでフレームもほぼ完成だ。
本物はこのパーツの真ん中に車体に接続する部分があるはず
本物はこのパーツの真ん中に車体に接続する部分があるはず
軸受はこの四角いパーツで代用
軸受はこの四角いパーツで代用
さらにこういうお皿のようなパーツを作り...
さらにこういうお皿のようなパーツを作り...
軸を入れる凹みのいちばん上に接着
軸を入れる凹みのいちばん上に接着
サスペンションはコイルの代わりにスポンジを
サスペンションはコイルの代わりにスポンジを
このオブジェのキモは軸受とフレームの間に入れるサスペンションだ。ここが可動すると本格的になると確信している。見た目的には本物っぽくコイルを入れたかったけれど、段ボールで作るのが難しかったので、ポリエチレンの緩衝材を切ってスポンジのように使用することにした。
さっき接着したお皿に固定
さっき接着したお皿に固定
軸受のパーツに羽をつける
軸受のパーツに羽をつける
軸受を軸に差し込んで
軸受を軸に差し込んで
軸受ごとフレームのくぼみに入れる
軸受ごとフレームのくぼみに入れる
ピッタリ!これでいちおう完成!
ピッタリ!これでいちおう完成!
ではどんな形の台車になったか。次のページでお披露目します。

マイファースト台車

写真で振り返るとあっという間だけど、ほとんどぶっ続けで作業して8時間くらいかかった。段ボールの切りすぎで早くも腕が筋肉痛である。
それでは完成した台車を見てみよう。
これが僕が初めて作った台車だ
これが僕が初めて作った台車だ
揺れで軸が上下すると軸受も上下し白いサスペンションが吸収
揺れで軸が上下すると軸受も上下し白いサスペンションが吸収
軸受とフレームの間の隙間からサスペンションがちらりと覗いている感じがたまらなく良い。また、軸受につけた羽はフレームを挟み込んで、軸のブレを抑えつつサスペンションの動きを妨げないような仕組みになっている(ちゃんと動く)。
台車を作りたい、というか、もしかしたら僕はこの部分が作りたかったのかも知れない。そのくらい満足感がある。
軸の長さ調節は今後の課題にしよう
軸の長さ調節は今後の課題にしよう
せめて塗装したらもう少し見栄えがマシになるだろうか
せめて塗装したらもう少し見栄えがマシになるだろうか
段ボール工作スキルの低さによる見栄えの雑さはともかく、大まかな形と機構の再現ができて僕はものすごく満足である。大きさも50cm×30cmくらいあってかなり迫力があるし、しばらく部屋に飾っておいてときどきじっくり眺めたり触ったりしたいと思う。

今後は台車の型式や種類などを勉強して、ほかの形の製作にもトライしたい。あと工作スキルを上げてブレーキやモーターも装着したいところだ。
いろいろな種類の台車がオブジェとして部屋に並んでいるところを想像して、いまからわくわくしている。

マイ台車製作、おすすめですよ。

デアゴスティーニさんあとは任せた

台車の構造や機構を調べたり想像したりして再現するのは本当に楽しかった。
多少雑ではあるけれど、完成した台車への愛着もひとしおだ。

でももっと細かいディテールも再現したいし、何しろ根本的な知識がないのでこれで正しいのかどうかも分からない。
というわけでデアゴスティーニさん、「週刊台車をつくる」もしくは「週刊台車コレクション」の刊行、待ってます。
作ったはいいけど置き場がないので当面はここに
作ったはいいけど置き場がないので当面はここに
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