観客のシルエットを作ろう
今回の目標は「観客席からステージを撮った写真」を撮影することだ。カメラの前に観客のシルエットを置き、それ越しに自分が写ればいい。
というわけでいろんな形の観客を印刷する。
フリー素材屋さんよりお借りしております。
当初は影も自分で作ろうとこういう撮影もしたのですが、何か超えられない壁があり断念しました。
カッターで指先まで切り抜いていきます。すぐにテストできるように切る工程はカラオケで行いました。
観客ができたー!
突然現れるファン
曲線まで切り取る細かい作業。カラオケができる部屋。集中力を維持するには通常の7倍精神力がいる。途中「嵐っていい曲多いな」と脱線しながらも、3体ほど影絵を切り抜いた。紙に固定し連結してみる。
だいぶ観客っぽい…?
横でカラオケを堪能する妹でテストしてみよう。
あれ…?妹にファンがいる…?
「また何かやってる」と姉を空気として認識していた妹の顔色が変わった。「これすごい」「私のファンがいる」。
そしてシルエットに向かい、ほぼ歌手ばりに顔をキメてきた。「手をあげろー!」と影に向かって叫んでいる。何が起きているんだ。
「今日は来てくれてありがとー」が自然に出る
満足げな表情で写真を見返す妹。「楽しすぎる」としか言わなくなってしまった。とりあえず自分もやってみる。
壁に向かってスマホスタンドと観客を固定した。
内カメラで撮影するので、自分が応援されてる様子を見ながら歌えます。うわ!本当に観客がいるように見える!
ARを初めて体験したとき、いるはずのないものが現実世界にいることに震えた記憶がある。シルエット観客はその時の体験とそっくりだ。映像内で動く自分。その前で手をあげる観客。どんどん気分が良くなっていく。
間奏で自然に「今日は来てくれてありがとー」が出た。冷静を取り戻した妹が引いている。それでもシルエット観客は「ウォー」と言う。
最後の方はもう大御所アーティストみたいな写真ばかり撮れた。こんなに悦に入れることがあるだろうか。
少し部屋を暗くして、スマホの照明を当てるとさらにライブ感が増すことがわかった。アンコール後の最後の一曲のような気分である。
ただ照明担当者の楽しみが0になる。
二人でうつると「姉妹で活動中のボーカルデュオ」になった。小さめのライブハウスを周る下積み中アーティストという感じがする。
街にも観客を出現させる
せっかくシルエットで観客を召喚できたので、街の風景もこれで撮影してみる。
まず見えたのがファミリーマート。すぐフェス会場になった。ファミマ自身が光り、逆光でシルエットにも深みがでる。
当然すき家にも歓声が浴びせられた。すき家「とろ~り3種の~?」観客「チーズ牛丼ー!!!」とか掛け合うのだろうか。
観客を召喚するだけで、その写真が撮られた時の「歓声」まで想像してしまえるのが不思議だ。「ファミー?」「チキー!」「サンクスをー?」「買収ー!」とかいうコールアンドレスポンスが脳内で再生されるのだ。普段の生活でも観客っぽい気持ちで歩けば、どんな場所でも応援できるような気がしてくる。
居酒屋のメニューでもやってみた。メンバーが多いバンドに見えてきてしまう。観客もそれぞれ「えびのアヒージョ!」「梅水晶ーー!」「カマンベールチーズ!」と推している人を叫ぶのだろう。
お酒を飲む先輩も応援してみたりした。ただこれは距離感がおかしくて先輩が巨人みたいになってしまった。
その帰り道に自販機も応援した。もうなんでもありである。
いろいろ遊んだが、シルエット観客には欠点が一つだけある。それは「動画だといろいろバレて終わり」ということだ。
ずっと隠していた動画版。観客が全く動かず、すぐ偽物だとバレる。静止画だけにとどめるのがおすすめです。
カラオケが楽しくなるシルエット観客
大声で歌えるだけで楽しいカラオケだが、シルエット観客を置くことで楽しさが膨れ上がった。もうタンバリンを叩いてる暇などない。どう観客を煽り、自分をアーティストっぽくみせるか。本当に時間があっとういうまにすぎた。
あと「黒い服の人」にあてても観客の効果はなくなります。ご注意ください。