特集 2017年12月8日

かつやの期間限定メニューがすごく変わっている

かつやのスタンダードなカツ丼。まずはこれを覚えておいてほしい
かつやのスタンダードなカツ丼。まずはこれを覚えておいてほしい
「かつや」という店がある。カツ丼を主体にした安価な飲食チェーンだ。なぜか僕の行動範囲内にはかつやがいつも存在していて、ちょくちょく食べることになる。

そんな中で気づいたのだが「期間限定メニュー」がずいぶん変わっている。ちょっとづつ写真を撮りためて、分類してみた。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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さっぱり系メニュー
カツ丼というとどうしてもこってりしたイメージが強い。そこでさっぱりしたメニューが必要とされるのだろう。塩だれや野菜などを使った「さっぱり系カツ丼」がかつやの期間限定メニューには存在する。

塩カツ丼

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こちらを見て欲しい。2013年の7月に撮影した期間限定メニュー「塩カツ丼」だ。トンカツ。水菜。刻み海苔。添えられたレモン。そこにニンニクっぽい塩だれがかかっている。

とてもさっぱりした見た目だ。ただ、食べて見るとカツなのでそんなにさっぱりと食べられるわけではない。やっぱりカツだし。そこを気にしないで食べれば普通においしい料理だ。

ガツもり野菜のチキンカツ定食

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鶏のささみのチキンカツに、大根や水菜などの生野菜がふんわりと盛り付けられている。その上にかかっているのは塩ダレ。

カツが冷めそうだし別にサラダを食べた方がいいんでないの、なんて思ってはいけない。これはガツもり野菜のチキンカツという一つの料理なんだから。

料理の構造上、どうしても大根を優先的に食べることになる。これはけっこうさっぱりしていたような記憶がある。

ねぎねぎマヨぽんチキンカツ丼

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チキンカツ丼をさっぱりさせるために使われているのは「ポン酢」と「青ネギ」。この2つの調味料はこれ以降にもいろいろな期間限定メニューに使われているので、一度ここで覚えて置いてもらいたい。

チキンカツ丼、食べて見るとそんなにさっぱりしていないんだけど、これはこれでうまい。

本来は刻んだ生のタマネギが乗っているはずなのだが、僕が苦手なために抜いてもらっている。店頭のポスターも撮影しておいたので確認されたい。
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さっぱりゆず七味唐揚げ定食

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全ての期間限定メニューがカツしばりなのか、と思いきやそんなことはない。唐揚という路線もある。これには思わず膝を打った。パチン、とかつやのカウンターに音が小さく鳴り響く。

さてお気づきだろうか。この唐揚げはでかい。ものすごくでかい。1枚肉をまるまる揚げているような感じである。ボリューム満点なのだ。カツ丼よりも食いでがある。ものすごくお腹いっぱいになった。

しかしそこはあえて推さずに、「さっぱりゆず七味」と飽くまでも「さっぱりとした風味」で推してくる。なんだか不器用な感じがしませんか。

君の魅力はそこじゃないよ。そんなことを言っても仕方ないかもしれないけど。
こってり系
さっぱり系ばかりではない。逆にスタンダードなカツ丼よりもこってりさせてみようか、という一点突破型のメニューたちだ。うまいことはうまいが、注文には多少の覚悟が必要だ。

テリマヨビーフカツ丼

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一見ただのソースカツ丼にしか見えないだろう。しかし油断してはいけない。「テリマヨビーフカツ丼」である。甘いテリヤキタレと、まろやかなマヨネーズが手をつなぎ、優しく僕の胃をもたれさせる。

ちなみにこの時のメニューには「ビーフ×ポーク テリマヨ合盛りカツ丼」というのもあった。こってり一点で突破するというのはこういうことか……。

チキンカツの牛すき丼

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牛丼の中にチキンカツが入っているという、カロリーの暴力みたいなメニュー。思わず栄養が心配になって「千切りキャベツ」も注文してしまう。

ところがこの牛丼部分が想像以上においしくてびっくりした。牛丼チェーンよりも、ずっと肉がしっかりしている。紅ショウガが欲しいなァ……なんて思いながらガツガツ食べてしまった。

かつやの期間限定メニューはローテーションしているように思える。再びこれが期間限定メニューとして出てくる可能性は高い。正直メチャクチャオススメなので、このメニューに巡り会ったらどうか一度、かつやに入ってみて欲しい。

チャーシューエッグチキンカツ丼

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かつやが繰り出してきた期間限定メニューの中でもトップクラスのインパクトではないだろうか。
チャーシュー4枚。チキンカツ。目玉焼き。これらが丼の中で、発展途上国の満員電車のごとくひしめきあい、はみ出している。

実はこのメニュー、僕は食べていない。店頭ののぼりを見ただけでビビっていたら、いつの間にか期間が終わってしまった。

この写真はライターの大坪ケムタさんからお借りした物だ。

大坪さんは「もはや肉キメラ」「ビールのつまみセットとしていいんじゃないのかこれ。カツとチャーシューで酒のつまみにして、最後卵とご飯で〆る」とのコメントと共にインスタグラムにアップしている。

きっと食べている間にいろんなことを考えさせる丼なんだろうなあ、と思う。

こってり系で紹介できるのは以上3つだが、その他にも「デミタマチーズメンチカツ丼」「肉盛りカツ丼」「すき焼き風牛カツ丼」などが提供されていたことも確認できた。文字列だけでけっこうすごいと思う。
スパイス系メニュー
カツにスパイスなんて聞いたことがないだろう。だからこそやる意味がある。普通のカツ店ではそうそう味わうことのできないメニュー、刮目せよ。

やみつきスパイスのチキンカツ定食

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チキンカツの上にネギが載せられていて……。そこにかかっているのは大量の「粉」!これがやみつきスパイスである。
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この粉の材料を見ると「フライドガーリック」「唐辛子」「魚粉」「フライドエシャロット」「クミン」「コリアンダー」などのスパイスが投じられている。しかし全体としてはスナック菓子の匂いがする。

食べて見ると味もスナック菓子っぽい。しかし「とんかつにスナック菓子の粉をかけたらこんな味がするんだ!」という喜びがあった。かなりおもしろい食べ物なので、またやってほしい。

シビれ山椒のぶっかけ青ネギカツ丼

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大量の青ネギ。そこにかけられた塩だれ。塩だれの中には大量の山椒が入っている。

「スパイス」+「ネギ」の組み合わせに見覚えはないだろうか。さきほど見た「やみつきスパイスのチキンカツ」と同じ思想で作られているとみて間違いない。

ネギラーメンという料理がある。あれは麺にネギが自然と絡んでくるだろう。しかし、トンカツにネギは自然と絡んでこない。食べ手の努力で、カツとネギを一緒に口の中に入れてゆく必要がある。

挑戦的なメニューにはこちらからの歩み寄りも必要なのだ。これもかなりおもしろい味がした。カツにスパイスをきかせると、おもしろくなってしまうのかもしれない。

スパイス系は以上2つだが、その他に「麻婆チキンカツ丼」「カレーカツ丼」なども提供されていた。名前だけでご飯が進みそうなメニューである。
その他
上記の物に分類しにくい物。ここでは新潟タレカツ丼の一種だけを紹介するにとどめるが(それしか写真を撮っていなかった)。「野菜炒めトンカツ丼」などとても個性的なメニューを見たことがある。

新潟タレカツ丼

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チキンカツにタレがかかっている。タレの味は甘い「天丼のタレ」の味だ。すると……まるでチキンカツが天ぷらのように感じられるから不思議である。

大きめのチキンカツが3枚載っており、ボリュームも充分。僕は2枚でご飯を全部食べ終えてしまった。白米を食べ終わった後に、おかずが残っていると贅沢な気分になるのは僕だけだろうか。

ところで、かつやに限らず、世の中のチキンカツは総じてボリューム重視に偏っている気がする。なんでだろう。

かつやの期間限定メニューは名脇役

そもそもカツ丼という料理の完成度の高さったらない。限定メニューではあえてそこを外して、さらに人の耳目を引きつける必要がある。その結果出てくるのが、こんな創意工夫の塊そのもの、みたいなメニューである。

きっと今後も僕はおもしろメニューに引き寄せられて、かつやに入ってしまうんだろう。

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