特集 2017年12月6日

mixi日記も英字新聞風ペーパーにすればかっこよくなる

飲食店4店舗の英字新聞風ペーパーの解読を試みたのち、自分もペーパーをつくりたくなったのでつくりました。むかしのmixi日記で
飲食店4店舗の英字新聞風ペーパーの解読を試みたのち、自分もペーパーをつくりたくなったのでつくりました。むかしのmixi日記で
飲食店で、英字新聞風ペーパーに出くわすことがある。たとえば和民のフライドポテトの下に敷かれている紙がそれだ。あれ、一体なにが書かれているのだろう。なんて書いてあるのか、知りたい。

6月ごろ、思い立ってペーパーを家に持ち帰った。英語は苦手だが(英検4級) 、時間をかけて読めばどうにかなるんじゃないかと思ったのだ。そして、そのまま何もせずに半年の月日が経ってしまった。

気がつけばもう2018年が迫ってきている。ここらで、自力の読解は潔くあきらめて、文明に手伝ってもらいながら解読してみよう。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:具がクルクルまわる回転火鍋に行ってきた

> 個人サイト たぶん日記

飲食店の気になる英字ペーパーたちに集結してもらおう

文字の集合体は、読めない言語で構成された途端、母国語のそれとはまったく異なったものになってしまう。とくにアルファベットだと、反射的に「おしゃれ!」という思いがあふれてくる。
しかし、そこに何が書かれているかをわたしは知らない(読めないから)
しかし、そこに何が書かれているかをわたしは知らない(読めないから)
どうして「おしゃれ!」って思っちゃうのだろう。いつのまにか脳にプログラミングされていたこの気持ちの正体が、未だによくわかっていない。

そして、この気持ちはわたし個人に限ったことではなく、日本国土のわりと広範囲に及んでいるものなのだと感じている。英字ペーパーを下敷きに、フライドポテトや揚げた肉や魚介類を提供するお店が多数あるからだ。
今回出場するのはこの4つ。気軽に飲みに行けるところが類似点
今回出場するのはこの4つ。気軽に飲みに行けるところが類似点
なお和民が使っているペーパーが、和民オリジナルのものとは限らないのかもしれないが、今回ここでは

和民で見たペーパー →「和民のペーパー」
ケンタッキーで見たペーパー →「ケンタッキーのペーパー」


と、明記していくことをご了承いただきたい。

解読できたあともなお、このペーパーをはたしておしゃれと言い続けることはできるのだろうか。

スマホアプリが英字を識別してテキスト化してくれる時代

ふと思った。たとえばこの英字ペーパーを写真に撮ったとたん、英字をテキスト化してくれる自分に都合のよいアプリはないだろうか。

グーグル翻訳もけっこうがんばってくれそうだけど、さらにもっとスピード感のあるアプリがあったらうれしい。検索してみたら、5分かからずに見つけることができてしまった。「読みたい。でもめんどくさい。」ってくすぶっていた半年の空白、なんかごめん。
こちらのアプリを使ってみたのだが
こちらのアプリを使ってみたのだが
英字ペーパーの写真を撮り
英字ペーパーの写真を撮り
テキスト化したい部分だけをトリミングして
テキスト化したい部分だけをトリミングして
ボタンを押すと
ボタンを押すと
さくっとテキスト化してくれる!
さくっとテキスト化してくれる!
このまま翻訳もしてくれるし、翻訳データを共有することもできる。
なんだか手の中にある現在が未来みたいだ。くらくらしてしまう。

念のためパソコンのグーグル翻訳ページからもテキストを翻訳して、二重チェックを行なってみた。
ふんわりとした翻訳が出現しました
ふんわりとした翻訳が出現しました
でてきた日本語は、完全体の日本語ではないものの、なんとなくのニュアンスをさらうことができそうだ。さて、その結果をひとつずつ紹介していきたい。

お酒の飲めるケンタッキーのデート指南

まずはお酒の飲めるケンタッキーのお店
まずはお酒の飲めるケンタッキーのお店
肉の下敷きになっているこちらを読みたいのだが
肉の下敷きになっているこちらを読みたいのだが
ファーストデート……?
ファーストデート……?
最初に「First Date」の文字を見た時、それがそのまま「初デート(恋心ありきで人と人がどこかへ出かけるやつの初回)」をさすものだとは想像してなかった。まさか、と思ったのだ。

「たしかdateって『日付』って意味もあったし……」とか考えていた。でも、ひととおり読んでみて確信した。これはデートについて書かれている文言だ。しかも、海外の人が日本人をデートに誘うことに焦点をあてている気がする。
!
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意外と日本人が日本人をデートに誘う場合にも参考になりそうだ。
ただ、提供される時は鏡文字(写真の状態)になっているので、英語が母国語の人でも読みづらそうなんだが
ただ、提供される時は鏡文字(写真の状態)になっているので、英語が母国語の人でも読みづらそうなんだが
ちなみに別の日に行ったら、違う文言の書かれたペーパーがチキンの下に敷かれていた。どうやらペーパーが数種類あるみたいだ。
こちら、見た目そんなに変わらなさそうなんだが、開いたらぜんぜん違った
こちら、見た目そんなに変わらなさそうなんだが、開いたらぜんぜん違った
「異国の祝日を祝う祝日」というタイトルの記事の中に、「日本人はクリスマスにケーキを食べたりフライドチキンを食べたりする」というようなことが書いてあった。フライドチキンのお店自らが言っているところ、かなり感慨深い。

HUBはサッカー一辺倒気味だ

デイリーの企画会議で英字ペーパーについて話していた時、HUBによく行っている編集部・藤原さんが「HUBは、HUBオリジナルの英字ペーパーがある」と教えてくれた。
さっそくお店へ行き、サーモン&チップスを頼んでみた。下に敷かれているのがオリジナルの英字ペーパーなのか
さっそくお店へ行き、サーモン&チップスを頼んでみた。下に敷かれているのがオリジナルの英字ペーパーなのか
ほんとだ。まごうことなきオリジナル
ほんとだ。まごうことなきオリジナル
サッカー選手らしき人の写真もどかんと載っている
サッカー選手らしき人の写真もどかんと載っている
読み込んでみたところ、ペーパーには、おおよそこんな話が書いてあった。
・ かつて、ユーゴスラビアのサッカー代表チームが、国内紛争の影響で欧州選手権に出場することを禁じられた時の話

・ サッカー・元イングランド代表監督のホドルがいずれ偉大な監督になるだろうと、アーセン・ベンゲル監督が予測していた話
ちなみにわたしは、ワールドカップがいつ始まっていつ終わっているのかがよくわかっていないくらいサッカーにうとい。だけど、なんでだろう。

「翻訳する」という動作を介すると、読みたくなってしまう。ユーゴスラビア、国の情勢で大会に出られなくなるなんて悲しすぎる。どんな気持ちだったんだろう……と、あんまりわかっていないくせに感情移入してしまっていた。
ガーリックトーストも英字ペーパーにくるまれてやってくる妙
ガーリックトーストも英字ペーパーにくるまれてやってくる妙
広げてみたら、けっこう大きかった!
広げてみたら、けっこう大きかった!
サッカー一辺倒なペーパーであるが、HUBは英国のパブ風の飲み屋であり、イギリスはフットボール(サッカー)大国というのを考えると、一貫した姿勢に感服してしまう。

和民もプロントもスポーツが中心軸

和民とプロントのペーパーは、英字新聞をパッチワークしたみたいなことになっていたため、若干読み取りづらかった。
文字量は多いけど途切れ途切れなので、スマホでテキストを読み取るのにはあんまり向いていない
文字量は多いけど途切れ途切れなので、スマホでテキストを読み取るのにはあんまり向いていない
とりあえず、なんとなくのニュアンスだけでも……と思いながら、翻訳した結果の一部がこちらだ。テキストをうまく読み込めなかったので、翻訳後の日本語が妙なことになっているのだが、そのまま載せる。
「非常に解雇されたRaとのプレーto man to 1uf2tNRだから残りはサッカーのインストーンです」
「彼は木曜日に2度打たれたバードを突っ込んだたびに自分自身を傷つける。(和民)」
「ナショナルリーグの2つのトップの守備陣のうち2人は、暑くて涼しい午後にトラブルを抱えていた。(和民)」
「誰が二度目の休みを取ったのか(和民)」
「私たちはバスケットボールを持っています。(和民)」
サッカー、ナショナルリーグ、バスケットボール。HUBに限らず、英字ペーパー界全体でスポーツが大きな流派なのだろうか。

いずれにしても、書いてあることは支局真っ当なことが多い印象だ。訳したあとも、それ相応にかっこいい。想像していたより隙がない印象である。

自分でもつくってみたい

正直なところ、もっとかっこわるい日本語訳を期待してしまっていたので、もっとかっこわるいやつを見てみたさがある。

ならば自分でつくればいいのだろうか……? 急展開だが、自前でかっこわるいテキストを用意して英訳してみることに決めた。

かっこわるいテキストってなんだろう。日記とかどうだろうか。古いmixi日記なら手元にある。ざざっと読み返してみたところ、
・くさやはどぶの味がすると思う。どぶを食べたことはないが、そう感じる

・ 家の壁が薄い。隣人が自作ソングを歌っているのが聞こえてくる

・突然、ズボンのファスナーをおろしながら道路で眠り始めたギャルがいた
等々が記されており、基本的にどうでもいいことばかりが書いてあった。
ちょっと透ける紙がよかったので、トレーシングペーパーに印刷してみる
ちょっと透ける紙がよかったので、トレーシングペーパーに印刷してみる
できあがった。なんかおしゃれだ
できあがった。なんかおしゃれだ
ちなみに日本語バージョンをつくってみました。比較してみたくて
ちなみに日本語バージョンをつくってみました。比較してみたくて
やはり英字のほうがおしゃれ。でも日本語、縦書きじゃないせいなのかな、意外と健闘している気もする
やはり英字のほうがおしゃれ。でも日本語、縦書きじゃないせいなのかな、意外と健闘している気もする
もはやもう日記とは別のものに変身を遂げている。大丈夫だ。英語が堪能な人以外になら、きっと元情報がバレることはないだろう。

不思議と自分の中にあった恥ずかしさのようなものを、昇華できたような気分にすらなってきてしまっている。これは新しいセラピーなのだろうか。

たぶんちがう気がするけど、いい気分だ。
満足したところで終わりにします。

ヴィドフランスのペーパーはフランス語らしい

数日前、編集担当の橋田さんから1枚の写真が送られてきた。
ヴィドフランスのペーパーはフランス語なのだという
ヴィドフランスのペーパーはフランス語なのだという
いいなぁ実物みたいなぁと思って、最寄りのヴィドフランスに出かけてみたところ、「うちでは取り扱ってませんねえ」と言われてしまったため、まだ手に入れられていないのだが。

どこのお店なら巡り会えるんだろう。巡り会えたら、何が書いてあるのか確かめてみたい。
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