細長い国「チリ」
チリという国を思い浮かべて欲しい。細長いと思ったのではないだろうか。それは正しい。チリはとんでもなく細長い国なのだ。パンで言えば「ナイススティック」、土の中の生き物で言えば「ミミズ」、人間で言えば「身長185cm、体重53kg」のような細長さなのだ。
これがチリです! 細長い!!!
このチリを縦断しろと言われたら絶対に嫌だ。南北に4300kmもあるのだ(ちなみに日本は約2700km)。車で横断しても何日かかるかわからない。もちろん達成すれば達成感があるだろうけれど、4300kmはキツい。
長いんですよ!
そこで横断なのだ。チリの東西は平均すると170キロ。4300kmを聞いたあとの170kmはもはや誤差にすら感じる。横断でも達成感はあるのではないだろうか。だって、チリの端から端まで行くことに代わりはないのだから。
ということで、
チリの端(横断目線で言えば)の
バルパライソに来ました!
横断は楽チンに!
チリの太平洋に面した町「バルパライソ」にやってきた。ここから首都サンティアゴを通り、アルゼンチンとの国境を目指す。日本でも首都「東京」を通るルートで横断すると300kmほどあるので、チリの方が断然楽に横断して達成感を得ることができるのだ。
朝9時に、
横断を
開始しました!
バルパライソの海には、いくつかの大きな船が浮かんでいる。この私の視線の数万キロ先に日本がある。そして、振り返り街並みを見れば、その先約200キロほどでアルゼンチンとの国境がある。横断、楽だ。
高速バスの
チケットを買いました!
横断の方法は「バス」である。徒歩や自転車など横断という選択肢もあるけれど、バスという文明の利器があるのでそれを使う。より楽に横断することができるのだ。まずは「バルパライソ」から「サンティアゴ」に向かうバスに乗り込む。
バスに、
乗り込みます!
サンティアゴを目指します!
チリはバス文化のようで、高速バスもかなり綺麗だ。サンティアゴまでは1時間半ほど。こんなに楽に横断できるとは思っていなかった。海からバス乗り場までも徒歩10分ほどだ。あとはこのバスに乗っていればいいのだ。少し寝ていたらサンティアゴだった。
サンティアゴからは、
アルゼンチンとの国境を目指して、
またバスに乗り込みます!
サンティアゴから国境までもバスだ。乗っていれば横断できてしまうのだ。チケット売り場ではスペイン語しか通じないけれど、紙に書いて見せれば問題なく買えた。ちなみに値段は全部で7000円ほど。7000円で横断できるのだ。安い。
サンティアゴから、
やがてのどかな景色に!
サンティアゴはやはり都会で、大きなビルが建設中だった。10年後またここに来れば違った景色になっているだろう。やがて街並みは自然へと変わっていく。遠くには上部が白くなった山々が見え始める。アンデス山脈だ。視線をもっと手前に合わせると、ぶどう畑が広がっている。季節外れで全部枯れ木みたいだったけど。
ジュースとお菓子をもらった
日本の高速バスよりもゆったりとした座席で、6割くらいの座席が埋まっている。観光客はいないようだ。車内には運転席からラテン系のノリのよい音楽が耳障りではない程度に聴こえてくる。乗務員さんがお菓子をくれたりなど、日本のバスにはないフレンドリーさがあった。
アンデス山脈をバスは走る
サンティアゴから国境までは3時間ほど。そして、アンデス山脈越えにバスは挑む。都心の数階建ての駐車場の坂道のような道を登って行く。大きなトラックが何台も走っている。外の景色には薄く雪が見え始め、サボテンが寒そうに立っている姿が見える。
たぶんアコンカグアだと思う
たぶんアコンカグアも現れた。アジア以外の大陸で最高峰の山だ。私はアコンカグアを見て興奮していたけれど、他の乗客はそうでもないようだ。3時間が経った頃、長いトンネルを抜けて、アルゼンチンとの国境にたどり着いた。いよいよ横断達成のその時である。
長いトンネルを抜けると、
国境です!!!!
横断は5時間くらい!
朝9時にチリの海辺にいて、8時間半後には山の中。そして、横断達成だ。たった8時間半で得られる達成感。バスに乗っているだけだったけれど、達成感はある。だって端から端まで移動したのだ。しかも、バスの待ち時間を除けば実は5時間弱で横断したことになる。
バスに乗っていただけですが、
横断しました!!!
ログを見ると途中で無駄にまっすぐ走っている箇所があるけれど、5時間である。余裕を持って移動していたので、バスの待ち時間がたくさん発生して、8時間半かかっているけれど、5時間弱で横断できちゃうのだ。
バスに乗っているだけで達成感!
国境は殺風景な景色だ。入国審査をする大きなプレハブ小屋とちょっとした食事ができるこれまたプレハブ小屋のようなレストランがある程度。横断おめでとう、という横断幕があるわけでもない。だってたった5時間なのだ。睡眠時間が5時間だったら短いと感じる。その程度で横断できるのだ。
国境は、
殺風景!
ここからの地獄
これでチリ横断は達成した。日本でも首都東京を通るルートで横断しようとすれば300kmほどあり、チリでは首都サンティアゴを通るルートでも200kmなので距離的には短いのだけれど、問題はここからで、私の乗っているバスはアルゼンチンのメンドーサまで行くのだ。
国境のチェックがめちゃくちゃ長い!
国境で降ろされても周りに何もないので、メンドーサまで行くことは認めるけれど、アルゼンチンの入国審査になんと6時間もかかり、全部で12時間もバスに乗っていた。バルパライソの1時間半を入れれば、13時間半のバスの旅。アルゼンチン着いたら深夜0時を過ぎていて、日本で横断した方が断然早かった。
すっかり真っ暗になって、
メンドーサに到着!
深夜ですよ(現地時間は時差があるので24:20)
達成感はあった
チリが細長いので、横断するのに適しているな、とずっと思っていた。それを行うためにチリに行ったのだけれど、よく考えるとチリまで30時間くらいかかって、さらにアルゼンチンまで行かなきゃいけないので、日本で横断した方は早かったかもしれない。ただバスに乗っていただけとは思えない達成感はある。
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