特集 2017年9月1日

スーパーのイートインでできるだけ豪華な食事をする

シンプルな飲食コーナーで異彩を放つひと皿
シンプルな飲食コーナーで異彩を放つひと皿
スーパーマーケットで、レジを済ませて袋詰めをする台を過ぎた先に、小さな飲食スペースを備えている店がある。
買い物を終えてひと休みしながら、買ったばかりの飲み物を飲んだりパンを食べたりできるのだ。
パンだけでなく、店内で買ったものなら何を食べても良いだろう。それなら、あの飲食スペースでできるだけ豪華な食事をしてみたい、と思った。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:フルーツドレスがあるならダムドレスもあっていいだろう

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ハローマイライフ、いなげや

まずは店舗探しである。無断で撮影して怒られるのはなるべく避けたいので、きちんと広報を通していくつかのスーパーマーケットにお願いしてみたところ、東京多摩地区を中心に関東で100店舗以上を展開する「いなげや」で撮影させてもらえることになった。

自宅のいちばん近所でいつも買い物していたスーパーもいなげやだったので、ドラフトで地元球団から指名されたくらい嬉しい。
正直言って許可出るとは思ってなかった
正直言って許可出るとは思ってなかった

メニューを考える

ほかのお客さんのご迷惑にならないよう、撮影は開店前の時間となった。いいです店内で撮影させてもらえるなら何時でも!というわけで店員さんが開店準備に忙しいなか、店内をまわりながらメニューを考えた。

テーマは、スーパーのイートインスペースで誰も食べたことがないような「できるだけ豪華な食事」である。果たしてレストランのフルコースのようなメニューを作ることができるだろうか。
ひとりでは寂しいのでライター井口さんに参加してもらった。撮影は編集部橋田さん
ひとりでは寂しいのでライター井口さんに参加してもらった。撮影は編集部橋田さん
ちなみに二人とも結婚式帰りっぽいのは「高級レストランで食事」というような雰囲気を出したかったからである。でも正直いらない演出だったかも…。堅苦しくて頭が回らないのだ。

それにしても店内を見てまわると、当たり前だけど改めて品物の多さに目眩がする。スーパー内部の密度すごい。まずは前菜やサラダ的なものを、と思っても膨大な選択肢が目の前に現れるのだ。この写真はほんの一部である。単なるマーケットではない、「スーパー」なそれだという事実を再認識。
前日に近所のいなげやでイメトレしてきたのだが頭から吹き飛んだ
前日に近所のいなげやでイメトレしてきたのだが頭から吹き飛んだ
圧倒されるほどたくさんのサラダの中から気になったのはこれ。
「フタを開けて逆さまにお皿に乗せるだけで盛りつけ完了」ということらしい
「フタを開けて逆さまにお皿に乗せるだけで盛りつけ完了」ということらしい
色合いも派手だし美味しそう。サラダはこれに決めた!
こういう、実は手が込んでて家では作りづらいのも食べたいなー
こういう、実は手が込んでて家では作りづらいのも食べたいなー
今回、調理器具として使えるのは電子レンジとポットの熱湯だけなので、基本的にお惣菜が中心になると思うけれど、全体の量がいまいち掴めないのでひとつひとつ見るたびに迷う。全部おいしそうだし、前菜とかメインとか考えるとなると料理人的センスも必要、だけどそんなもの持っていない。

しまった、意外と難しいぞこれ。
「中身はこんな感じですよ」と展示する方法、初めて見た
「中身はこんな感じですよ」と展示する方法、初めて見た
生ハム食べたかったのでさっきのサラダに添えることにする
生ハム食べたかったのでさっきのサラダに添えることにする
お惣菜多すぎてもう何をどうしたらいいのか分からない
お惣菜多すぎてもう何をどうしたらいいのか分からない
ドレッシングは思い切ってふだん選べない価格のものを選択
ドレッシングは思い切ってふだん選べない価格のものを選択
ピザ食べたい!でもオーブンがないので諦める
ピザ食べたい!でもオーブンがないので諦める
どれもこれも魅力的で目移りばかりして店内を3周くらいしてしまった。開店時間(=取材終了時間)も迫り、たまらず橋田さんの「前菜とメイン、あとデザートにしましょう」という提案で、はっと我に返った。正直、テーマが大きすぎて抱えきれなくてちょっと逃げ出したくなっていた。
と言いつつ「チーズもほしいよね…」などと選びはじめる。絶対そんなに食べられない
と言いつつ「チーズもほしいよね…」などと選びはじめる。絶対そんなに食べられない
種類の多さと半額シールにやられてこれをチョイスしてしまった
種類の多さと半額シールにやられてこれをチョイスしてしまった
チーズも…とか言っているが、今回アルコールはNGなのでワインも飲めない。その代わりと言っては何だけど、雰囲気を出すためにグレープジュースを選んだ。

意外なメイン料理が!

メインは、やっぱり肉がいいなと思いつつ、事前に調べた限りではローストビーフで決定ではないかと思っていた。オーブンもフライパンも使えないのでステーキを焼いたりは無理だし、冷凍食品にもそれほど肉々しい商品はない(よね?)。というわけで、お惣菜コーナーでローストビーフをカゴに入れたのだが。
ローストビーフだけで何種類もある。あと下のサラダチキンもいいな
ローストビーフだけで何種類もある。あと下のサラダチキンもいいな
わーい朝からローストビーフだー
わーい朝からローストビーフだー
その直後、井口さんが「あ、こんなのありますよ!」とすごいものを見つけた。
レンジでスチーム調理できるシリーズだ
レンジでスチーム調理できるシリーズだ
これは知らなかった。豚肉のサムギョプサルとタンドリーチキン。どっちも美味しそうだし豪華っぽい。これをあのイートインスペースで食べる人はそうそういないだろう。何となく、ここではタンドリーチキンを選んでみた。

食器も必要だ

ほかにも、お寿司もいい、パスタも食べたい、揚げ物も…などと言っていたのだけど、キリがないので最後にデザートのカットフルーツを選んで、とりあえず一旦終了。あとは盛りつける皿とカトラリーが必要だ。何しろ豪華なレストラン設定だからな。

ちゃんとお皿も調理器具もカトラリーも売られている
ちゃんとお皿も調理器具もカトラリーも売られている
いま思えば完全に選択ミスなのだが、「このお皿いいね!」と選んでいた
いま思えば完全に選択ミスなのだが、「このお皿いいね!」と選んでいた
お皿を拭こうと選んだウェットティッシュがこの後大活躍
お皿を拭こうと選んだウェットティッシュがこの後大活躍
そのほか、フォークとナイフ、コップなどを揃えてレジに向かった。
開店前だけどレジを打ってもらった
開店前だけどレジを打ってもらった
もし同じようなことをやってみようという人がいたらアドバイスしたい。食器やカトラリーは何でも良いけれど、ウェットティッシュは必須だ。ぜひ一緒に買おう。

さて、いよいよ楽しい食事タイムの始まりだ。
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盛りつけに苦戦

とりあえず、買ったものをテーブルに並べてみた。
最初に想像していたより品数は少ないが、どうだろう
最初に想像していたより品数は少ないが、どうだろう
しかしイートインスペースにこれだけ並べる人もいないだろう
しかしイートインスペースにこれだけ並べる人もいないだろう
まずはいちばん時間のかかるタンドリーチキンの調理からスタート。何しろレンジで6分だ。実際にお客さんの多い時間にやったらちょっと迷惑かも知れない。そしてその間にお皿をウェットティッシュで拭く。
6分もレンジで加熱ってちょっとドキドキする
6分もレンジで加熱ってちょっとドキドキする
これから食べる人というよりレストランのマネージャーのようだ
これから食べる人というよりレストランのマネージャーのようだ
続いて盛りつけだ。これこそがこの企画のメインであり成功と失敗の分かれ目なのだが、買い物疲れや焦りもあって勢いでやってしまった。
あのサラダはこの皿にはでかすぎることが判明
あのサラダはこの皿にはでかすぎることが判明
急いで量を減らし見た目を整えたのだが完全にパニック
急いで量を減らし見た目を整えたのだが完全にパニック
とても高級レストランぽくないこのわたわた感
とても高級レストランぽくないこのわたわた感
いろいろあって、なんとか盛りつけ完成!...と思ったのだが
いろいろあって、なんとか盛りつけ完成!...と思ったのだが
盛りつけ終わった皿を冷静に見てみたが、うーむなんだかイマイチである。ひとつひとつは美味しそうだけど、メインの場所にサラダがきてしまっているし、いつぞやのスカスカおせちを思い出す仕上がり。

しかしそのとき、背後で電子レンジがピーピー鳴った。忘れてた!
6分加熱されたこいつの存在を!
6分加熱されたこいつの存在を!
急いで盛りつけを変更、申し訳ないがローストビーフは前菜に降格だ
急いで盛りつけを変更、申し訳ないがローストビーフは前菜に降格だ
すごく美味しそう!!
すごく美味しそう!!
というわけでタンドリーチキンがメインのひと皿に
というわけでタンドリーチキンがメインのひと皿に
高級レストラン…ではないけどオシャレカフェのランチにはなったのでは
高級レストラン…ではないけどオシャレカフェのランチにはなったのでは

いよいよ実食!

ようやく、いなげや店内をまわって作り上げた「できるだけ豪華メニュー」の実食だ。
いま思えばなぜか分からないけれど、お皿とフォークとナイフを1組ずつしか買っていなかったので紙皿に取り分けた
いま思えばなぜか分からないけれど、お皿とフォークとナイフを1組ずつしか買っていなかったので紙皿に取り分けた
この慌しくチープな感じもイートインスペースなら受け止めてくれる。というわけで、いただきます。
まずは何かに祝して乾杯から
まずは何かに祝して乾杯から
この先、味について細かい解説はむしろこの記事の趣旨から外れるのでやめておこう。とりあえずこの写真を見て想像してほしい。スーパーマーケット内の食事とは思えないほど満足した。
スーパーのイートインでこれが食べられるのだ
スーパーのイートインでこれが食べられるのだ
こういうシチュエーションです(この写真が撮りたかったのだ)
こういうシチュエーションです(この写真が撮りたかったのだ)

2回目はバイキング形式に

というわけで、やろうと思えばスーパーマーケット内のイートインスペースで豪華な食事はできるということが分かった。いなげやの場合、基本的にイートインスペースでの飲酒と喫煙はNGだけど、それ以外は特に制限なく常識の範囲内で自由に使ってください、とのことだった。

1皿食べてお腹と時間にまだ少し余裕があったので、次は豪華とか考えずに各々が食べたいものを持ってくる形式にした。つまりスーパーマケット内バイキング。

その結果、こんなひと皿になった。
見事にバイキングで持ってきたお皿っぽい!
見事にバイキングで持ってきたお皿っぽい!
そしてカットフルーツのアイスクリーム添え
そしてカットフルーツのアイスクリーム添え
これはこれで楽しい。だってお惣菜、冷凍食品、お菓子、何をどれだけ食べても良いのだ。もう本当にバイキングである(金額的に食べ放題ではないけど)。

スーパーマーケットのイートインスペースは無限の可能性を秘めていると思った。ほかのお店は分からないけれど、すべて店内で調達するのと、あまり長時間占拠しなければやってみても良いのではないでしょうか。

ちなみに金額は、食器などすべて入れても2人でバイキングに行ったらこのくらいにはなるな、という程度でした。
ただし後片付けがけっこう大変だけどな!(汚れ物とゴミは全部持ち帰りました)
ただし後片付けがけっこう大変だけどな!(汚れ物とゴミは全部持ち帰りました)

だいぶ前からあたためていた企画だったのだけど、まさか取材許可が下りるとはという驚き、開店までの限られた時間という焦り、朝早くて回転しない脳とのせめぎ合いなどが重なって、「可能な限り豪華」かと言えばやや反省の残る結果となったけれど、こんなことしても良いんだ、という発見はスーパーのイートインがこれまで以上に楽しくなる気がする。
空いている時間にどうぞ!
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