特集 2017年5月4日

豆腐に絵を描いて震えさせたい

ガクブル豆腐(「偽・豆腐百珍」より)
ガクブル豆腐(「偽・豆腐百珍」より)
去年の一時期、家で湯豆腐ブームが起こった。40数年生きてきて湯豆腐のうまさにいきなり目覚めたわけだが、それはさておき。

お湯の中でかすかに震えながら煮られていく豆腐を見ながら、いつかやりたいと思っていたことがある。震えそうなものを豆腐に描いて湯豆腐をし、それがまんまと震える、そんなところを見てみたいのだ。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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焼くよりお手軽な方法がありました

とにかく豆腐を買って来た。手軽なタイプでいいだろう。コンビニの豆腐を2種類だ。
描きやすいのは木綿、震えやすいのは絹ごし?
描きやすいのは木綿、震えやすいのは絹ごし?
ここに、焼きごてで絵を刻印できればいいのだが、時間も費用もかかるだろう。手軽な手段として、「はんだごて」を使ってみることにした。以前それでアイスの当たり棒を自作したことがある。

さて震えさせる絵とは、「チワワ」だ。震え手として適任だろう。チワワを豆腐に描いて、震えさせようという企画だ。
一発勝負になるので、適当に下描きをしておいた。これを見て描こう。
一発勝負になるので、適当に下描きをしておいた。これを見て描こう。
はんだごての先っちょにアルミホイルを巻いて、汚れ除けに。
はんだごての先っちょにアルミホイルを巻いて、汚れ除けに。
豆腐の表面の水分をさっと拭いて、さあ焼きごてでズンズン絵を描くぞー、と意気込んで始めたらば!
もー全然ダメ(薄っすら跡がついているところ)。
もー全然ダメ(薄っすら跡がついているところ)。
水分のせいですね。まあそうですよね。

こてを当てるとジューッと音はするのだが、長く押し付けても一向に焼き色ができない。当てても当てても水分が温度を奪っていくのだろう。バーナーなどの強い熱源がないとダメだな。

今回は絵が描ければいいので、はんだごてをつまようじに変えて再度挑戦だ。ずいぶん道具が小っちゃくなってしまったよ。
点描の要領で。
点描の要領で。
そこに醤油で色を入れる。刺青の要領で。
そこに醤油で色を入れる。刺青の要領で。
はかなさに欠けるが、こんな感じでいいか。左が絹ごし、右が木綿である。
はかなさに欠けるが、こんな感じでいいか。左が絹ごし、右が木綿である。
このチワワちゃんたちを、煮てしまうのである。なんだこのちょっとした罪悪感は。

撮影しやすいよう、浅いフライパンで湯豆腐開始だ。
プルプルプルプル。
プルプルプルプル。
震える様子を、動画でもご覧ください。
ハタから見れば私は「チワワの絵を豆腐に描いて煮て震えさせて喜んでいる人」だ。相当なものである。

相当ついでに、あの絵文字も震えさせよう!
それっぽく描けた。絵文字が豆腐に書いてあるだけでも妙な気分である。
それっぽく描けた。絵文字が豆腐に書いてあるだけでも妙な気分である。
サア、ニヨウ!ニマショウ。
ガクブル豆腐だ。豆腐のあらゆる料理法を記した江戸時代の書籍「豆腐百珍」というのがあるが、21世紀の料理法としてこれも加えていただきたいくらいだ。

かくして、なんとかチワワとガクブル絵文字を震えさすことに成功した。次は西野さんでも描くカナ。
食べるときも「すまんね」という気分であった。
食べるときも「すまんね」という気分であった。

まとめ

実は鍋の中で震えさせるのもコツがあったのだ。豆腐を水に入れてから煮た段階ではあまり震えなかったのだが、差し水をしてからだとよく震えた。単に水位の高いほうが震えが大きい、ということかもしれないが、詳しくはまたいつかどこかで。

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