表情を知らせるデバイスを作ろうと思った
しかし、実際にそんな風に笑っているのだろうか。かくいう私も、チャットなどをする場合、相手が面白いことを言ったら「ウケるwwww」やら「おなか痛いwwwww」やら多用するタイプ。思い返してみると、それはお世辞だったり、クスッと笑えたぐらいで使うことが多かった。
でも、相手は大爆笑しているものだと思っているかもしれない。かわいそう。誰も幸せにならない。
ということで、「wwwと打ったときの表情を相手に知らせるデバイス」を作ろうと思った。
「wwwと打ったときの表情を相手に知らせるデバイス」完成
先ほど、「デバイスを作ります」とかっこつけてしまったけれど、電子工作やプログラミングの知識は、ほぼゼロ。しかし、私には「チャットする相手に、wwwと打ったときの真実の顔を教えてあげたい」という誰にも負けないアツい気持ちだけはあった! 「やってやるぞ!」と叫びながら、「電子工作 やりかた 簡単」と調べて、いろいろと頑張って出来上がりました。
キーボードの「w」部分にスイッチをつけた。物理的につけた。そうする他なかった。剥き出しなので、押すとまあまあ痛い。このスイッチを3回押すと、
このモーターが動く。モーターの上にある青と黒の長方形は、MESHというもの。電子回路やプログラミングの知識がなくても、簡単にいろいろとできちゃうすごいやつだ。自分でもよく分かっていないので、機材の説明はざっくりいきますよ。
モーターが動いた振動をMESHが感知する。
すると、iPhoneを無理やり付けた別のモーターが動く。iPhoneが自分の前にきて、前方カメラで写真を撮影される仕組みだ。「スイッチを押してモーターが回り」「その振動を感知して別のモーターが動く」。信号を伝える回路が作れなかったので、いったん物理を介している。もはや、ピタゴラスイッチ。
先ほど説明したMESHは、アプリで電子回路を簡単に作ることができる。上の画像がそのアプリの画面。視覚的にできるので、私のような「電子工作 やりかた 簡単」で調べるような人にもってこいだ。みんな100個買おう。
顔を撮影するまではできた。撮影した画像をチャット相手に送るという仕組みを作っていく。
使ったのは、IFTTTというネット上の様々なサービスを連携できるアプリ。なんて読むかは分からない。誰か教えてください。これで、「iPhoneに新しい写真が保存されたら、Skypeにメッセージを送る」という設定をした。
仕組みがごちゃごちゃしているので、一連の流れを図にしてみた。分かりやすくなると思ったが、分かりにくさが浮き彫りになってしまった。
実際に試してみる
仕組みが複雑すぎて前置きが長くなってしまったが、実際にやってみる。
Skypeでときたまチャットをする知人を呼びかけることにした。
顔写真を投稿したいトークグループに、IFTTTbotというのを追加しなければならない。IFTTTbotというのは……なんだろ……いったいなんなんだろ……わかんない……。
正体がわからないけれど、とりあえず追加をして、知人とチャットを始めた。
早く「クソワロタwww」と打ちたいのだが、当たり障りのない会話が続いてしまった。なので、自分が一番言われたくない「面白いエピソードある?」という質問をする。
1分間いろいろ考えたのだろう。「つらいwww」と自分で笑って誘い笑いを企んでいるが、きっと彼も笑っていないと思う。でも、大人だから笑っているふりをしなければならない。意を決してタイピングをする。
IFTTTbotが、割り込んできた! このURLをクリックすると……。
これが「www」とタイピングしているときの顔だ! 自分で見ても、いやな表情をしているなと思う。居酒屋の前で騒いでいるテニスサークルを見た時と同じ表情だ。
「www」とタイピングするのが楽しくなってきたので、ぬけぬけとお願いをする。私だったら、ここでチャットグループから退場して、ブロックするところだ。
ジワジワくるwwwの真実
よくネット上で「ジワジワくるwwww」というのを見かける。ジワジワくる面白さ、それは日常生活でも体感する。今回のデバイスでは、それがちゃんと相手に伝えられる。
いったん、「www」と打ったものの、「きゅうりを生で食べている同僚」が突拍子もなさすぎて、笑っていない。
「きゅうりを生で食べている同僚」を改めて想像してみたら、ちょっと面白かった。カメラ目線にもなってる。これがジワジワくるというやつだ。ちゃんと伝わったかな。
真実を伝えるということ
顔が見えないインターネット。こういったツールを使って、コミュニケーションを深めるのも大切かもしれない。「ビデオチャットすればいいじゃん」って、お思いの皆さん。私もそう思う。
プログラミングができなくても簡単に作れる工作なので、ぜひ皆さんも作ってネット友達を失ってみてはいかがでしょうか。
「めんどくさがらずにちゃんと作りなよ」「そもそも、いらない」「もっと有意義なことに時間を使ったほうがいい」。そんなインターネットユーザーたちの声をスルーして頭の悪いものを作りつづけるひとたちのイベントに出演します。実は2回目です。今まで作った作品の発表や、頭が悪い人たちが工作をする上での創意工夫などを話す予定です。
偏差値が高すぎてお困りのかた、お待ちしております!
『頭の悪いメカ発表会2』
日時:3/25(土) 会場11:00 開演12:00
場所:東京カルチャーカルチャー
前売りチャージ券:2,200円(全席自由) ※当日チャージは500円増
http://tcc.nifty.com/event/general/20021
出演者:石川大樹 爲房新太朗 てらおか現象 藤原麻里菜 マンスーン
ゲスト:八谷和彦(メディアアーティスト)
司会:越智岳人