大好物全てが詰まった企画に誘われた
編集部より「すしとのりもので記事を書きませんか」とお誘いがあった。すし、なんという魅力的な響きだろうか。昨日食べても、今日食べたい。今、こうやって原稿を書いている間も食べたい。食べたい欲が強すぎて、ちょっとコンビニに行って買って来るのでしばらくお待ちください。
納豆巻きを急に食べたくなることが2ヶ月に1度ある。おいしい。
そして、のりものだ。深夜バスが好きで旅行をするときは必ず乗る。あれほど旅行をしている気分にさせる乗り物はない。発車前の高鳴る胸の鼓動、途中に寄る深夜のサービスエリア。到着したときの開放感など魅力が満載だ。
今回、どうしても乗りたいバスがあった。中国バスが運行している「ドリームスリーパー」という横浜~広島間を走るバスである。全14席で単独2列、そしてパーテーションとカーテンで区切られており、個室に近いのだ。
しかも、12席中4席しかないゼログラビティーシートという、より快適なシートがあるらしい。それは乗りたい。まぁ、すしは現地で聞けば色々とあるだろう。まずはバスだ。この考えが後ほど悲劇を生む。
苦痛に顔をゆがめているこの男の身になにがあったのか…。わさびが辛いのか?
胃腸の調子が良くないがバスで旅に出る
余談だが、ここ3か月かなり忙しかった。ピークがずっと続いている。「これを乗り越えれば落ち着くな」と4回ぐらい思ったがピークが全然終わらない。そんな日々が続いていたある日、朝、腹痛で起きた。かなり痛いというわけではないが、違和感のある感じだ。とりあえず仕事に行き、昼休みに病院へ行ったところ言われたのが「ストレス性の胃腸炎ですね」。症状としてはかなり軽いので、薬をもらいその日は終わった。薬を飲んだら治った気がしたので、胃腸炎のことを忘れていた。そして、バスの乗車日になった。
今回は、時間の関係上、町田バスターミナルから乗る事にした。21時半出発、8時20分到着の約11時間の旅である。
町田からバスに乗ることが無いので、少しうろうろしてみることにした。
東京都町田。神奈川県ではない。
待合室。バスタ新宿にはないよさがある。
ただ、待つだけの場所というのもいい。
もし、今日休みだったら企画がもう終わる。
このお知らせを見たとき焦った。働いていると今日が何日で何曜日なのかわからなくなる。でも考えたらこの日は12/9である。やばい、行けない!と思った3分前を返してほしい。そわそわをしていると、今回の主役がやってきた。
豪華個室の深夜バスで広島へ
町田にスターがやってきたぞ!
遠くから段々と近くにやってくるバス。まるでジョニー・デップが歩いてくるのと同じくらい気持ちがたかぶっている。「バスー!こっち向いて!」「バス、写メ撮らせて!」と心の中のバスファンが歓声をあげていた。
これが今回乗る、ドリームスリーパー。
全体がかなりおしゃれな外装だ。まるでリムジンのような高級な雰囲気もある。
ぐっすり。
もしかしたら、普通の人はただバスに見えるかもしれないが、ここからちょっとびっくりすると思う。バスは寝れない、きついというイメージがあるがその価値観が変わってしまうとだろう。
まず、車体に「ぐっすり」と書いてある通り、このバスのキーワードとして「快眠」がある。長時間をリラックスして寝るための工夫がなされているのだ。そのことを頭に入れながら、乗ってみよう。まず普通の深夜バスと違うのは、土足厳禁なことだ。最初にビニール袋を渡され、そこに入れてから座席へと向かうのだ。身なりを整えて、高級なところへ行く感覚が料亭に入る感じに近いと思った。料亭なんて行ったことないけどきっと同じ気持ちだろう。
バスの乗車するときのステップが光っている!未来の料亭だ!
土足禁止にも驚いたが、中に入ってまた驚いた。まるで宇宙船のような近未来的空間がそこにあった。
何も言わないとネットカフェに見えるかもしれないがバスだ。
床がカーペットでふわふわした歩き心地。そして、しっかりと作られたプライベート空間。席に座る前から100点満点のバスだ。
見るからに寝れそうなその姿。
そして、席に着くと「さぁ、お眠りなさい」と言わんばかりの肌ざわりが良さそうなイス。また、白いのがブラケットなのだが安いバスだと薄くて寒さをしのげない、かけても意味がないブランケットが多い中、肌ざわりと厚さが最高である。
これだけでも満足なのに、席について腰をぬかした。備品がすごいのだ。この備品がすごい2016だ。
当然のように置いてあるスリッパ。
そして、アイマスク、耳栓だけでなく、くつべら、くしなどもついている。豪華だ!
アイマスク、耳栓ぐらいならついているバスはあるがくつべらっ! くつべらっ!と書くとアニメっぽい。席に座るとくつを脱ぐので、休憩のときに履こうとすると少しもたつくことがあるがくつべらがあることで解消されている。
トイレはもちろん、女性にうれしいパウダールームも完備。芸能人が化粧するときにつかうやつだ!
まだまだ仕掛けが止まらない、席ではヒーリングミュージックを聞ける。イヤホン付属なので川のせせらぎを東名高速を走りながら聞くことだって可能だ。
また、ナノイー発生器がついている。気になる臭いや菌をブロックしてくれるのだ。ヒーリングミュージックを聞きながら、ナノイーを起動する。富豪の家にいるのと同じ体験ができる。これでひざにネコをのせてなでられたらばっちり。(動物は乗車できない。)
ナノイー発生器。自宅にもない機械がバスについている…。
コンセントとUSBもついているのでスマホの充電も可能だ。設備としてはかなり充実しているのがわかるだろう。
そして、1番の見どころが無重力状態を体験できるように倒せるシートだ。
完全に倒した状態。
普通のバスだったらこんなに倒して寝ていたら後ろから怒られてイスをドンってされるがその心配がない。
まさに快眠をしてもらうための大きな仕組みや小さい気づかいが盛りだくさんである。深夜バスのファーストクラスと言っても過言ではない。遊園地の100倍楽しい。キャッキャッとしていたら、休憩の足柄サービスエリアに着いた。
半そでについては触れないでください。
どこに行っても名物に練り物がある気がする。
15分くらい休んでここからは休みがなく、広島県まで進む。普通のバスならきついがドリームスリーパーなら全然問題ない。少しくらい問題が起こってほしいとも思ったが、何も起こらず朝になった。
起床。ここで降ろされたら怖いほどの山の中だった。
広島で怒られる
渋滞もなくスムーズに到着した為、20~30分ぐらい早く到着した。時刻は8時過ぎくらい。
到着した。思っていた以上に寒い。
南に行くのだから東京よりもあったかいと思い、カーディガンのみ着てきたのだが全然しのげない寒さだった。
周りには観光バスが止まっており、降りて来る人たちを見ると、ダウンジャケットを着ていた。それはもう着ていた。だって12月だから。
他の人たちはダウンジャケット着てる。寒いもんなー。
寒いのは我慢すればいい。目的であるすしを探そう。こういうとき、大体タクシーで聞けばいいのだ。話は聞けるし、そこの場所まで連れて行ってくれるし、東京よりも乗車料金が安いしでいいことづくめだ。
乗ってから聞いてみる。「珍しい魚や地元の人たちが良く食べる地魚が出て来るすし屋ってないですか?」
観光客として、普通の質問だろう。何もおかしなところはないと思う。しかし、答えは
「そんなもの知らないです。何を言っているのだあなたは」とこれを5倍怒っている感じだった。広島弁特有の強い言葉は怖さを5倍にする。着いて20分後のできごとだったが、もうすでに家に帰りたくなった。
とりあえず降ろしてもらった場所にあったいい形の駐車場。
特に行きたくないところで降ろしてもらい、駅へ戻る。先ほどは開店していなかった駅中のお店が開いてるので、そこのカフェで休みことにした。体を休めるというよりも気持ちを休めたい。許されるのであれば、このまま帰ってもいいと思う。すし食べてないけど。
インドの紅茶的な飲み物チャイとイカ天を頼んだ。チャイのスパイシーさとイカ天のすっぱさが意外と合う。
飲みながら外を見る。傷ついた心を風景を見ていやしていた。
お前、もしかして涙目になっているのか?
今、写真を見て自分が涙目になっているのではと思った。見知らぬ土地のカフェで1時間ぐらい座っていたのは、ショックだったからなのかもしれない。動くための気持ちを作っていた。胃も痛い気がする。ストレスを感じているのだろう。歩こう。歩けばきっといいことがあるから。
カフェを出て、観光案内所を探すことにした。そこで何かないかを聞いてみるが有益な情報が得られず、自分の足で探すことした。まずは普通の回転すし屋に行ってみる。もしかしたら、そこになにかあるかもしれない。
ただ単にすしを食べる
松屋が歓迎しているが、行くのは「のん太」という回転すし。
開店と同時に入ったのですしが全然まわっていない珍しい風景を見た。
おいしかった。すしはいつだっておいしい。バファリンの半分は優しさでできていると言うが、すしの半分もやさしさでできていると思う。
のどくろをあぶっちゃったすし。
金目鯛もあぶっちゃった。あぶっちゃいましたか。
広島菜はあった。シャキシャキがおいしい。
広島菜は長野県の野沢菜、九州の高菜と並び、日本3大漬け菜の1つに数えられている。かむとシャキッとした食感とさっぱりとした風味が箸休みになる。
すしがおいしいといい日。
許そう。このおいしさにめんじて全てを許そう。ただ、地魚がいっさいなかった。さぁ、どうしよう。
この時、怒られたこと、そして「地魚ないのかー。ただ、すしを食べただけだな」という不安が少しずつストレスになっていることを、食後のデザートにもみじまんじゅうのチーズ味を食べているこのときには思いもよらなかった。
駅前にあるんだもの、買ってしまうのは自然の摂理だ。
今までどんな困難なとき、「これ、記事になるのかな」となったときに助けてくれるのは、地元のスーパーだ。だいたい変わったものが置いてある。「地方のスーパーに行けばなんとかなる」の教訓を胸に、少し不安になりながらもスーパーに行ってみた。
スーパーで見つけた広島カープにちなんだすし
広島と言えば、広島カープである。2016年の今年、広島カープはリーグ優勝を果たし、緒方監督の「神ってる」が流行語にも選ばれた。どこに行っても「カープ優勝おめでとう」が目に入る。そして、それはスーパーでもそうだ。広島カープにちなんだすしが置いてあった。
食べ物に「地獄」が入ってくる。
広島カープ応援記念商品「地獄巻き」である。注意書きに「小さなお子様にはキビしいかも…」と書かれていることに不安を感じる。今、胃腸が悪いもんでね。辛いの胃に良くないって聞くし。しかし、不安よりも興味が勝った。
駅前のベンチで開けてみた。具の周りが赤い。
見た目はそんなに辛そうには見えない。普通の海鮮巻きに見える。あと、どこでもたんぽぽって乗っているんだな。
さて、食べてみようかな。
全然、辛そうに見えないけど、
いや、普通においしいのり巻き…
いや、ちょっと待てよ
いや、辛いな!
辛いです。
激辛ではないが、そこそこ辛い。辛くないと思っていたので油断した。辛いのり巻きというのはめずらしいが、辛いのって胃に良くないらしいなと思いながらもおいしかった。
お腹にはまだ、余裕がある。他に何かないかを探すことにした。歩いて15分ぐらいたったときだと思う。やつがやって来たのは。
お腹が痛いときに気をつけたいライフハック
胃が痛い。食べたあとすぐに動いたからなのか、例のあれかはわからないが痛い。
この写真を撮ったときには余裕があった。この後、猫背がより加速するほどの腹痛が襲っのだ。
腹痛のときに三脚を出して、その様子を撮影するのは思っている以上に大変なので気をつけてほしい。
今後、もし旅先でお腹が痛いけど、すぐに三脚を出して自分を撮ることがあるかもしれない人に言っておく。痛いゆえに「果たしてこの画像を使うのだろうか」という気持ちがめばえるが、そこを乗り越えてほしい。きっと使うから。
ウェブ記事であまり薬を飲む様子を掲載するところを見たことがないので、前衛的な挑戦として載せた。ハイレモンやラムネ菓子を食べているのではない。
すしとセットでお好み焼きが出てきたから食べる
しばらく休んだらおさまったのでまたブラブラしてみた。すると、お好み焼きとすしがセットになった夢のようなセットの看板が出てきた。
広島に来たのにお好み焼きを食べられずに帰るのかと思っていたところだったのでうれしい。
「おゝ井」というお好み焼き屋に夢のセットがある。
広島の駅ビルの飲食街にはお好み焼き屋が複数立ち並んでいる。その中で、すしとお好み焼きを同時に食べられるのは「おゝ井」というお店だけ。
お好み焼きを焼いているエリアとすしをにぎるエリアに分割されている。
元々、すし屋だったのだが、駅ビルがリニューアルしたのをきっかけに本格的なお好み焼きを作るようになったという。それぞれを食べることができる「お好み焼きセット」を注文し待つ。
1年中カキを食べられる貼り紙があったのでこれはどうしても食べなければならない。
広島を満喫してごめんなさい。
カキを食べつつ、お好み焼きが焼けるのを遠くに見ながら待っていると、ついに目の前にあらわれた。
なにかに優勝したのかと思うぐらい豪華なセット。
セットだからすしのクオリティに期待をしていなかったが、マグロがぶ厚い。
全てがおいしい。何を食べても幸せな気持ちにさせる。野球ファンではないが、広島カープ優勝おめでとうという気持ちになった。
はしがとまらない。胃腸炎、治ったかもしれない。
お、どうした?
うまいっす。
お、やっぱり食べ過ぎたか?
かなりうまいっす。
完食だった。もしかしたら残してしまうかもしれないと思っていたが、全然大丈夫だった。この後、健康のため15分くらい歩いたらお腹が痛くなったが、これは食べてすぐに運動したからだ。
お腹が痛いし、とても眠い。
結果、カプセルホテルで寝た。
余談だが、カプセルホテルの仮眠室で寝ているときに寝返りを打ったら、思いのほか勢いよく壁をけってしまい、隣に寝ていたおじさんに怒られたのはもう、しょうがないと思う。ふて寝をしまくった。
ウマヅラハギを見てみたい
暗くなってきた。せっかくならもう少しなにかないかを探そう。
今ならタクシーにも乗れる気がする。
タクシーに乗る。こんな簡単なことにおじけづいてしまうことだって生きていればあるだろう。ただ、その機会が早すぎやしないか。しかし、乗り越えなければならない。乗ろう。乗ってみせよう、東京無線。(リズムだけで書いた。)
何も恐れることない、優しい運転手の方だった。地元でよく食べる魚はないかを聞いてみた。
今回乗ったタクシーの運転手さんはとても優しく、丁寧に色々教えてくれた。中でも気になったのは「ウマヅラハギ」という魚があるらしい。顔が面白いとのこと。普通にスーパーでも売っているらしいので、ありそうなスーパーに連れていってもらった。
これがウマヅラハギ。
ウマヅラハギ。カワハギという魚は聞いたことがあるが、それと同じ仲間らしい。もっと言えば、フグ目カワガギ科なのでフグと同じ部類だ。
口が半開きである。
何も考えていないような顔が可愛く、見ただけで笑ってしまう。店員に聞くと、刺身などよりも鍋や煮つけにして食べるのがおいしいらしい。食べてみたかったがお店で出しているところがなかったので、今度食べにこよう。
いいバスに乗れたので満足
今回、どうしても乗りたいバスに乗ることができたので本当にうれしかった。深夜バスはキツイという人も多いが、最近は個室のバスも登場しているので機会があれば乗ってほしい。あと、すしはどこで食べてもおいしい。
帰りも同じバスで帰ってきた。降りてすぐ撮影した写真だが、なで肩が過ぎるだろ。