特集 2016年12月20日

種子島でのロケット打ち上げがシビれるぐらい最高だった

さらにロケット見学の穴場

とは言え、ここまでは「種子島 打ち上げ」で検索したら探せるレベルの情報である。
何度も打ち上げを体験している宇宙おじさんならではの穴場情報って、教えてもらえないものか。

「長谷展望公園のわりと近くに病院があってね」

…病院?
高台にある病院なので、確かに屋上からは視線が通ってそう。
高台にある病院なので、確かに屋上からは視線が通ってそう。
展望公園から車で数分のところにある、公立種子島病院。ここの屋上がいい感じで見晴らしも良く、しかも混まない。悠々と絶景の打ち上げが見られるというのだ。

「もちろん病院の中だから勝手には入れないけど。打ち上げが見たかったら入院するしかないね」

さすがに打ち上げのためだけに骨折とかするわけにもいかない。ここは諦めよう。
「屋久島の、この辺からがいいんだよ」「屋久島!見えますか!」
「屋久島の、この辺からがいいんだよ」「屋久島!見えますか!」
もうちょい敷居が低い絶景の穴場って無いもんですか。

「個人的には、屋久島がオススメなんだよ」

屋久島と言えば、もちろん世界遺産にもなっているあの屋久島である。
で、この屋久島が実は海峡をはさんで種子島のすぐ隣。島の東端からロケットの射場まで約27kmとかなり近い。(同じ島内の西之表は屋久島の倍ほど遠い)

屋久島から打ち上げを見るメリットはいくつかある。
まず、ロケットというのは基本的に、地球の自転速度まで有効に利用するため、直上ではなく東向きの斜め上へ打ち上げる。
高山さんオススメのビュースポット。さて、どこで見よう。(病院除く)
高山さんオススメのビュースポット。さて、どこで見よう。(病院除く)
島内のスポットからでは射場に近すぎて真上に見上げるしかないのだが、少し離れた屋久島だと、斜め上に向かってどんどん飛んでいくロケットがずっと視界に入る。つまり、島内より長時間の打ち上げが楽しめるのだ。(3分ぐらいは見えてるらしい)
小さくはなってしまうが、ちゃんと音も聞こえるらしい。

もう一つ、屋久島の東の浜辺にはいくつも高級めなホテルが建っている。
そのホテルの部屋のベランダで、バスローブ着てブランデーグラスをカランと言わせながら的な、ラグジュアリー打ち上げ見物ができるというのだ。

うーん、その優雅な感じも捨てがたい。どうする。

ビューポイント、決定

…と迷っていたのだが、実はこの直後から色々な調整とか色々な申請とかが行われた結果、僕はここでロケット打ち上げを見られることになっていたのだ。
種子島宇宙センター!
種子島宇宙センター!
今回は高山さんと宇宙ビジネスコートチームも打ち上げ取材をされるとのことで、そこに混ぜてもらえるように、JAXA側に申請をしていただいたのだ。

その結果、テレビや新聞などの報道が使う専用の、射場に最も近い(約3.7km。規制範囲ギリギリ)宇宙センター内の竹崎観望台に入れてもらえることになったのだ。
宇宙センター内、N-Iロケット前で会心のガッツポーズ。
宇宙センター内、N-Iロケット前で会心のガッツポーズ。
「みんなもロケット打ち上げ見に行こうよ」みたいなノリで記事を進めてきたのに、ここに至って大きく裏切ってしまった。
前ページまでしれっと「ビューポイントどこにしようかな」みたいに島内を回っていたのだが、あの時点ではもう竹崎観望台で見ることが決まっていたのだ。
こんな満面の笑顔で言うのもアレだが、申し訳無い。でも見たかったんだからしょうがない。

ともかく、この年末に来て今年最大最高のラッキー到来である。あとは帳尻合わせで大晦日まで毎日犬のうんこ踏んだとしても、さして問題は無い。
センター内の植栽絵は、立体的に刈り込まれたロケット。植栽好きのライター伊藤さんに見せたい。
センター内の植栽絵は、立体的に刈り込まれたロケット。植栽好きのライター伊藤さんに見せたい。
ともあれ、この種子島宇宙センターはロケット打ち上げの約10時間前から入構制限を行う。そのため、事前に入構証やら腕章やらを受け取っておかないと、完全にシャットアウトされてしまうのだ。
ここが竹崎観望台!建物内にプレスセンターと、屋上にひな壇みたいな観望席がある。
ここが竹崎観望台!建物内にプレスセンターと、屋上にひな壇みたいな観望席がある。
報道の腕章と入構証ゲット。我ながら恐ろしいほどのドヤ顔だ。
報道の腕章と入構証ゲット。我ながら恐ろしいほどのドヤ顔だ。
ということで、あとは明日を待つばかりである。
今夜は眠れるだろうか。

射点移動開始(X-17時間)

竹崎から西之表の宿にとって帰して早々に布団に潜り込んだのだが、ちょっとウトウトしたかなー、ぐらいでアラームが鳴った。
なんせ今日は朝3時30分には西之表の宿を出て、まだ暗い中を宇宙センターまで移動せねばならなかったのだ。元から、寝てる時間がそんなに無かった。
左の四角いVABから今回打ち上がるH-IIBが出てきます。もうすぐです。
左の四角いVABから今回打ち上がるH-IIBが出てきます。もうすぐです。
だって、報道向けに、ロケットを格納してあるVABから射点(打ち上げるところ)まで移動させる「射点移動」も見せてくれるっていうから。
本来ならロケットから3km半径まで移動制限がかかってるところを、この射点移動の時だけ、1kmぐらいのところまで近寄って見ていいことになっているのだ。

竹崎観望台に朝5時集合した報道陣は、マイクロバス3台に分乗ののち20分ほどかけて展望台へ移動する。
今日の日の出は7時2分の予定。まだまだ暗い。

カメラを三脚にセットしてじりじり待っていると、不意に動きがあった。
うおおおお、出たー!出たぞー!!
うおおおお、出たー!出たぞー!!
ポーン…ポーン…という警戒音と共に、VABの中から細長いのがじわーっとゆっくり出てきた。あれが、今夜打ち上げられるH-IIBロケット6号機(H-IIBはこうのとり打ち上げ専用なので、こうのとり6号機を積んでる=H-IIBも6号機)である。
そもそもVABが巨大建造物なので、対比させてもロケットの大きさがピンとこない。
そもそもVABが巨大建造物なので、対比させてもロケットの大きさがピンとこない。
足元を撮ると、大きさがわかった。左下の青い小さいのが人間で、併走してるのがかなり大型のトラック。
足元を撮ると、大きさがわかった。左下の青い小さいのが人間で、併走してるのがかなり大型のトラック。
ちなみにロケットを乗せて動いているのが、ドーリーというロケット運搬車。56輪タイヤの巨大トレーラーで、それを横に2台併走させた上に移動発射台を乗せ、さらにその上にロケットを乗せて運搬している。
射点まで移動する間、徐々に朝焼けを迎えるロケット。
射点まで移動する間、徐々に朝焼けを迎えるロケット。
ちなみにH-IIBロケット自体の大きさは全長56.6mで、直径が一番太いところで5.6m。超ヒョロ長いのだ。
このヒョロいのを立てたままで揺らさないように運ぶため、移動は超じんわり。
VABから射点までの約500mを時速2km以下でじわじわ20分ほどかけて運ぶのだ。
射点移動時のベストショット。かっこよすぎるぜH-IIB。
射点移動時のベストショット。かっこよすぎるぜH-IIB。
じわじわ移動して、避雷針に囲まれた射点まで辿り着いたH-IIBは、このままここで固定されて打ち上げを待つことになる。
天候は夜まで安定しそうとのこと。あとは、カウントダウン開始までに何度か行われるGo/NoGo判断(責任者による執行決定)でNoGoが出ない限り、問題無く打ち上げは行われるということだ。
出るな、NoGo!
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