特集 2016年12月20日

種子島でのロケット打ち上げがシビれるぐらい最高だった

2016年11月中旬、東京(X-556時間)

ここでちょっと時間を戻す。
そもそもなんでデイリーポータルでロケット打ち上げを見に行くことになったのか。

いまニフティは『宇宙ビジネスコート』というサイトのお手伝いをしており、その流れで「デイリーでもロケット行っとくか」となったらしい。ザックリした話だ。
で、誰か行きたい人いませんか、という編集部からの呼びかけに僕が「行きます行きます」と大騒ぎした結果、こうして取材としてロケット打ち上げが見られることになったというわけだ。

ついでに「事前に宇宙ビジネスコートの人に話を聞けるよ」ということなので、こちらもホイホイ行ってみたのだ。が、その話を聞ける相手というのがとんでもなかった。
実はとんでもなく偉い人だった高山さん。
実はとんでもなく偉い人だった高山さん。
お話を伺うのは、宇宙ビジネスコートを運営している一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の、高山久信さん。
なんと、今回打ち上げる補給機『こうのとり』のプロジェクトをスタートさせた、そもそもの張本人なのだ。
「あの時は大変だったんだよ、いろいろ反対されてさ~」と高山さん。しれっと言うけどその反対した相手ってあのNASAだ。
「あの時は大変だったんだよ、いろいろ反対されてさ~」と高山さん。しれっと言うけどその反対した相手ってあのNASAだ。
『こうのとり』は6tもの補給物資を積んで高度400kmまで打ち上げられ、自動操縦で宇宙ステーション(ISS)まで近付いて、これまた自動でISSにドッキングするという高度なもの。人工衛星でもロケットでもない、いわばロボット宇宙船である。
だから開発当初は「日本がそんなすごい補給機を作れるワケがない、ISSにぶつかったらどうすんだ。やめろやめろ」とNASAが難色を示していたのだ。
それまで日本は大した宇宙開発の実績が無かったので、まぁそれはごもっともな話である。

それに対して「いけるって。マジで。絶対いけるから」と何度も交渉を重ねてNASAからGOサインをもぎとるのに関わっていたのが、誰あろうこの高山さんだと言うのだ。
あくまでも僕の推測だが、たぶん高山さん、NASAの体育用具置き場裏かどこかで、あちらの偉い人と何度か殴り合いのタイマンをしてると思う。
昔からの宇宙好きをアピールしようと持参した、NASDA(現JAXA:宇宙航空研究開発機構の前身)時代のH-ⅡAロケットボールペン。高山さんには「あー、そういうのもあったね」で流された。
昔からの宇宙好きをアピールしようと持参した、NASDA(現JAXA:宇宙航空研究開発機構の前身)時代のH-ⅡAロケットボールペン。高山さんには「あー、そういうのもあったね」で流された。
で、『宇宙ビジネスコート』には、こういう高山さんみたいな宇宙に超絶詳しい宇宙おじさんが何人もいて、宇宙技術とか人工衛星からのデータとかをビジネスに使いたいと考えてる企業や起業希望者の相談にのってくれるのだという。

しかし今のところ、僕は宇宙技術や衛星からのデータでビジネスを始める気は無い。
興味あるのは、ただただ、来月に控えたロケット打ち上げをばっちり楽しむためのノウハウだけである。
宇宙おじさん、そんなカジュアルな相談にも乗ってもらえるだろうか。

ロケット打ち上げ、どこで見るか問題

まず何より事前に抑えておきたいのは、ロケット打ち上げを見られるベストな場所だ。
打ち上げ当日はロケット射場から半径3km以内は立ち入り禁止になる。逆に言うと、3km以上離れていて、山などに視線をふさがれずロケットが見えるのがビューポイント、ということになる。

何カ所かポイントはあるけど、メジャーなのはこの辺りかな、とまず高山さんが挙げてくれたのが『宇宙ヶ丘公園』。
名前からして宇宙ヶ丘っていうのが最高だな。
打ち上げ当日に宇宙ヶ丘公園を下見。天皇陛下(当時は皇太子)がロケット打ち上げを見学された折りに詠まれた歌碑もある。
打ち上げ当日に宇宙ヶ丘公園を下見。天皇陛下(当時は皇太子)がロケット打ち上げを見学された折りに詠まれた歌碑もある。
[宇宙ヶ丘公園]
住所:鹿児島県熊毛郡南種子町中之下1937-3
宇宙ヶ丘公園はロケット射場から直線距離で約7km。山という程じゃないけど、でも車が無いと登ってくるのしんどいなーというレベルの高台(海抜179m)にある公園だ。
これだけの高さがあれば、打ち上げ準備中のロケットまできれいに視線が通る。
打ち上げ当日の光景。ロケット見えてる!ただし根本は山に隠れているので、メインエンジンが点火する様子は見られない。
打ち上げ当日の光景。ロケット見えてる!ただし根本は山に隠れているので、メインエンジンが点火する様子は見られない。
打ち上げ後のロケットをレーダーで追跡する施設も宇宙ヶ丘にある。パラボラかっこいい。
打ち上げ後のロケットをレーダーで追跡する施設も宇宙ヶ丘にある。パラボラかっこいい。
この宇宙ヶ丘公園はキャンプ場も併設してあり、12月だというのにここにテントを張って打ち上げを待つ人もわりといた。
キャンプ場にはバイクツーリングの人や家族連れ、外国人の方などいろいろな人が野営中。
キャンプ場にはバイクツーリングの人や家族連れ、外国人の方などいろいろな人が野営中。
宇宙ヶ丘公園は遊具まで宇宙テイスト。UFOみたいでかっこいい。
宇宙ヶ丘公園は遊具まで宇宙テイスト。UFOみたいでかっこいい。
少し距離は離れているけど、ロケットがほぼ真正面に見えることから、種子島を代表するビューポイントとなっているそうだ。
[長谷展望公園]
住所:鹿児島県熊毛郡 南種子町新長谷
もう一ヶ所、メジャーなビューポイントが長谷展望公園。
ロケット射場からの距離が6.5kmぐらいということで、宇宙ヶ丘よりちょっと近い。

この公園はなだらかな下り坂の芝生がずっと続く、気持ちのいい広場だ。で、下り坂の先からロケット射場が見えるというロケーションとなっている。
下り坂ゆえにどこでもロケットの打ち上げが見えるという、専用劇場みたいな作りの広場である。
長谷展望公園にも来ました。打ち上げ12時間前からすでに待機中の人たちが。
長谷展望公園にも来ました。打ち上げ12時間前からすでに待機中の人たちが。
スキッと視線が抜けて、爽快感がすごい。フェス会場か。
スキッと視線が抜けて、爽快感がすごい。フェス会場か。
劇場というのも大げさな話ではなく、場合によっては2千人ぐらいがここに集まって打ち上げを見物するとのこと。そんなの、ちょっとしたフェスだろう。
広場内ではカウントダウンの中継も行われており、打ち上げ時の盛り上がりは相当なものらしい。
ここでも待機中のロケットが見える。フェス会場からヘッドライナーの楽屋がペロッと全部見えてんぞ、みたいな話だ。
ここでも待機中のロケットが見える。フェス会場からヘッドライナーの楽屋がペロッと全部見えてんぞ、みたいな話だ。
宇宙ヶ丘に比べるとちょっとロケットに対してはすになっているので、場所によってはVAB(左の四角い建物。ロケットの組立棟)とロケットが重なって隠れてしまうこともあるのが難点といえる。

ただ、ロケットの根本まで視線が通っているので、場所さえ選べば、宇宙ヶ丘では見られないメインエンジン点火の瞬間も見えるという。これは得点高いぞ。
屋台も出る。やっぱりフェスだ。
屋台も出る。やっぱりフェスだ。
公園内の遊具はロケットと人工衛星とすべり台。フェスかどうか判断しかねるが、でもたぶんフェス。
公園内の遊具はロケットと人工衛星とすべり台。フェスかどうか判断しかねるが、でもたぶんフェス。
収容人数なりに駐車場も広く、打ち上げを見るための条件はかなり良い。
個人的には長谷展望公園を見物会場の第一候補としておきたい。
[前之峯陸上競技場]
住所:鹿児島県熊毛郡南種子町中之上
もう一点、南種子町営のグランドもビューポイントとなっている。
ここは主に南種子の町民が集まって打ち上げを見るという、地元特化型の会場らしい。
長谷公園と比べると、だいぶのどかな陸上競技場。ここはフェスじゃない。
長谷公園と比べると、だいぶのどかな陸上競技場。ここはフェスじゃない。
それもそのはずで、このグランドは南種子町役場からも歩いて行けるほどの、町の中心地にあたるビューポイントなのだ。
おかげで交通の便などは前の2つに比べるとかなり良い。
グランドの向こう側で、木々が開けた辺りがポイントらしい。
グランドの向こう側で、木々が開けた辺りがポイントらしい。
ロケット、方角的には赤い丸の方向にあるはずなんだけど。たぶん。
ロケット、方角的には赤い丸の方向にあるはずなんだけど。たぶん。
しかし残念ながら、待機中のロケットは山に隠れてしまっている。
おかげでリフトオフの瞬間どころか、打ち上がったロケットが山からヒューッと飛び出してくるのがようやく見えるぐらい…とのこと。
何度も見て打ち上げに慣れた町民ならそれでもいいかもしれないが、我々のような観光客には、かなり物足りない。

ただ、市街地ということで、買い物がしやすいという利点がある。
これは意外と重要だ。
「天空のパラダイス」という名の地元コンビニ(兼、宇宙資料館)
「天空のパラダイス」という名の地元コンビニ(兼、宇宙資料館)
宇宙グッズもいっぱい売ってるので、お土産もここで揃う。
宇宙グッズもいっぱい売ってるので、お土産もここで揃う。
近所には、島内に2つあるファミリーマートのうち1店があり、さらには地元コンビニ(アイマート)と宇宙資料館が一体化した『天空のパラダイス』というお店もある。
ここらでビールやつまみを大量に買い込んで、グランドでピクニックシート広げて“ロケット見の宴会”というのはかなり楽しそうだ。
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