死神と呼ばれる唐辛子がある
辛子の世界では、2012年まで「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」という品種が世界一の辛さを誇っていたという。スコヴィル値は146万3700。
その唐辛子から世界一の座を奪ったのが、「キャロライナ・リーバー」である。キャロライナ・リーパーを翻訳すると「キャロライナの死神」。冒頭でも触れたが、そのスコヴィル値は220万。今のところ世界で一番辛い唐辛子である。
その唐辛子を使ったチリソースがあるという。世界一辛い唐辛子を使っているのだから、そのチリソースの辛さも相当なのだろう。ワールドワイドな食材の品揃えで有名な「日進ワールドデリカテッセン」に、そのチリソースは売っていた。
日進ワールドデリカテッセン
ワールドデリカテッセンのチリソースコーナーに、異様な雰囲気を醸し出している商品が3つ並んでいた。
辛いチリソースが3種類
この3つのチリソースは、どれもコブラチリ社というところから出ていて、
「創始者ヴィーン・ヘンリーが2011年に趣味ではじめた唐辛子栽培で大量に収穫された唐辛子がきっかけで、チリソースを作ることを思いつきました。」
という説明がネット上にあった。
趣味は唐辛子栽培です、という人に今まであったことがないが、コブラチリ社の創始者は趣味が高じてチリソース作りを始めたらしい。
いずれにしても、スコーピオンとかコブラとか唐辛子業界は名前からして物騒である。
3種類のチリソース、その違いを見てみると、一番左のスコーピオン・テイルは2012年まで世界一辛かったスコーピオン・ブッチ・テイラーを使用していて、真ん中と右の2つは今の世界一「キャロライナの死神」を使っている。真ん中と右の違いは「死神」の含有量で、右の「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」が一番辛い。
「スコーピオン・テイル・チリソース」
「リーパーズ・ハーベスト・チリソース」
「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」
一番左のスコーピオンは残り1つで、死神を使った方は両方ともあまり売れていないように見える。もしかしたら補充したばかりなのかもしれないが、誰も手を出していないように思えて不安だ。
しかし、ここで怯むわけにはいかない。一番右の「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」を購入した。税込みで2,376円。結構高い。
「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」を購入
チリソースの警告文が怖い
購入した「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」には、怖い「警告」が印刷されていた。
チリソースの警告文
辛みによる刺激が大変強い、辛みが苦手な方は絶対に召し上がらないでください、お子様の手の触れるところには絶対に置かないでください。
これは食べて大丈夫なものなのだろうか?
未体験の凶暴な辛さをお試しください。と書いてある
未体験の凶暴な辛さ。
単館系の映画のタイトルのようでもあり、益々食べ物を買った気がしない。
この未体験の辛さを、どのように体験したらいいものだろう。
IoT三兄弟で試食
IoT三兄弟の長男、林雄司さんと三男のよしだともふみさんが渋谷で打ち合わせをしているという情報をゲットした。次男である僕も参加するべきだし、ちょうどいいタイミングである。
IoT三兄弟で、この未体験の辛さを体験したい。
「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」を持って、二人が打ち合わせをする渋谷のロフトワークさんにお邪魔した。
三男にチリソースを見せる次男
万全の体制で試食するために、いくつかのグッズを用意しておいた。
チリソースが手につかないようにゴム手袋
チリソースを付けて食べる用に野菜スティック
辛さを中和するためにイチゴ大福
辛さを中和するために用意したイチゴ大福は、熱湯風呂の脇に用意してある氷のようなイメージである。
ゴム手袋をはめて、言い出しっぺの僕から「リーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバー」に挑む。
僕からいきます。
長男と三男にいいところを見せたいという気持ちから、野菜スティックは使わずに、スプーンで直接味わうことにした。
手強さを感じさせる色味
スプーンで直接
ぺろり
あれ? 全然大丈夫…?
じゃない!膝から崩れ堕ちた
体の力が抜けて
ペットボトルの蓋が開けられない
とんでもないものに手を出してしまった。
口に入れてから数秒は辛さもなにも感じない。しかし、数秒後、口の中に爆弾が堕ちたような衝撃が走る。辛いのではない。痛いのだ。痛くて熱くて、舌が二倍くらいに腫れているような感覚に陥る。
なにも喋れない中、ようやく口をついた言葉は、
「バカなことをした」
であった。
この一部始終は動画でも記録していた。
世界一辛い唐辛子を使ったチリソースを食べてみた
これを読んでくれている皆様にお伝えしたい。決して真似をしないでください、と。
のたうちまわる僕を尻目に、次男のよしださんがパッケージに書いてある注意書きを声に出して読んでいた。
見逃していた注意書き
「最初は鍋やフライパンに対し、耳かき一杯程度の量からお試し頂くことをお勧めします」
それ、はやく言ってよ~。
まぁ、注意書きを見逃していたのは僕なのだが。
ロフトワークで一番辛さに強い男登場
僕の口の中はまだバチバチいっている。ペットボトル1本分の乳酸菌飲料を飲んでもまだおさまらない。
すると、ロフトワークで一番辛さに強い男、金岡さんが登場した。
ロフトワークの金岡さん
金岡さんは「蒙古タンメン中本」という辛いラーメン屋さんが好きで、その中でも一番辛い「北極ラーメン」をペロッと平らげてしまうほど辛さに強い人らしい。
ちょうど唐揚げ弁当を食べようとしていたので、唐揚げに「死神」をちょい乗せして食べてもらうことにした。
死神を
唐揚げにちょい乗せ
ロフトワークの辛い物番長の反応はいかに?
しかし、すぐに顔が歪み
頬が紅潮していった!
金岡さんをしても、死神は無理だったようだ。
「これは辛さを超えてます。こんなの食べたことがない!」
頬を赤く染めた金岡さんの感想だ。
金岡さんは、この後もしばらく咳き込んでいて、本当に申し訳ないことをしたと反省した。
長男と三男も実食
僕と金岡さんの撃沈ぶりを見た後である。長男と三男は、野菜スティックを使って食べる「バーニャカウダー方式」で死神を試すことにした。
まずは長男が人参スティックを手に取った。
金岡さんが長男を導く
死神の量はほんのちょっとで
長男の実食シーンも動画で記録したので、ご覧いただきたい。
世界一辛い唐辛子を使ったチリソースを食べてみた(林編)
死神がほんのちょっとだったので、なんとかクリアした。しかし、人参を食べた後に大根を食べて中和が必要な状態だった。あんなちょっとの量なのに、である。
また、長男の動画の冒頭に咳の音が聞こえるが、あの咳は金岡さんの咳だ。
続く三男は、きゅうりを手に取る。
死神の量は長男よりも多め。攻める三男。
長男よりも死神を多くつけた三男。
その反応は?
世界一辛い唐辛子を使ったチリソースを食べてみた(よしだ編)
バーニャカウダー方式が功を奏したのだろう。三男ものたうちまわるようなことにはならなかった。
僕は何故、スプーンで直接いってしまったのだろう。
本当にバカなことをした。
スコヴィル値が一番低いのはピーマン、シシトウガラシで、その値は0。一番高いのは、160億の「純粋なレシニフェラトキシン」で、化学やけどを引き起こす毒素らしい。なんだかもうスコヴィル値の基準が分からないが、今回のリーパーズ・ハーベスト・チリソース・フィーバーは本当に「未体験の凶暴な辛さ」だった。
くれぐれも、スプーンで直接舐めるようなことはしないでください!