特集 2016年11月26日

そば屋なのに9割の客がラーメンを注文する店へ行った

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「そば屋なのに誰もそばを頼まず、皆がラーメンを注文するという不思議なそば屋があります。注文方法もかなり特殊。お店の名前は大黒庵。ラスカにも支店はありますが、是非本店の突撃を」という投稿が、るいびるさんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

店頭からラーメン押し! 先祖代々受け継がれてきた麺とスープの旨味を求め、ラーメン店感覚で通う人が多い。なぜラーメンの提供を始めたかは不明なのだ。

はまれぽ.com :酒井 明子
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前の記事:駅のホームから見える壁に突然あるドア


今回の依頼を受けたとき、今まで行ったそば店について思い出してみた。果たしてラーメンがあったそば店はあっただろうか。思い出せる範囲ではなかった……というかそばが食べたくて行ったので、そもそもラーメンメニューを探してないからかもしれない。

ラーメンが食べたくなるそば店は、果たしてどんなお店なのだろうか。 俄然興味が出てきた。

入り口からしてラーメン店!?

今回、取材したのはJR平塚駅から3分のところにある大黒庵本店。 ショッピングセンター「ラスカ」にあった支店は2015(平成27)年10月いっぱいでお店を閉めたそうだ。
大黒庵本店。老舗らしい佇まいのお店を発見
大黒庵本店。老舗らしい佇まいのお店を発見
駅近で商店街の中のため、知らずに来た人でも立ち寄りやすいという印象だ。
普通のそば店さんかなと思い、メニューディスプレーに近づいてみると……
あれ? となにかに気づくライター・酒井
あれ? となにかに気づくライター・酒井
そば店にも関わらず、メニューの上段にあるのは、なんとラーメン!
上2段をラーメンが占拠! 「デカラン」って何?
上2段をラーメンが占拠! 「デカラン」って何?
なんとそば店なのにそばのメニューが下段に! 上段はドデカラーメンをはじめ、種類豊富なラーメンメニューで埋め尽くされていた。「え!? ここそば店ですよね?」と、逆に不安な気持ちになる。
さっそく店内へ
さっそく店内へ
店内はテーブルを中心とした、20席ちょっとのそば店。壁のメニューにもそばメニューが大きく貼られている。
やはりそばも食べられる
やはりそばも食べられる
が、席についてみるとラーメンメニューがやはりあった! ちなみにこのとき店内にいた地元の高校生3人組も、みんなラーメンを食べていた。
見よ! この充実のメニュー!
見よ! この充実のメニュー!
なんと片面はすべてラーメン! ラーメンの味だけでもしょうゆ、みそ、塩、カレーと一般的なラーメン店ばりにそろっている。しかも値段もお手頃……通常のラーメンの6杯分ある「チョーデカラン」が1300円って……安すぎないか……。

ちなみにもう片面はこんな感じ。
そばメニューを発見!
そばメニューを発見!
こちらは一般的なそば店のメニュー。そばのほかにうどん、丼もの、カレーなどが用意されている。果たしてどちらがメインなのか……店員の方に聞いてみた。
店を仕切る高橋光信(たかはし・みつのぶ)さん
店を仕切る高橋光信(たかはし・みつのぶ)さん
店舗が創業したのは昭和20年代前半。60年を超える老舗で40~50年ほど前に現在の場所に移転。高橋さんの祖父が創業し、お父さんが継いだ。高橋さんによると、ここは間違いなくそば店とのこと。

しかし祖父の代からラーメンはメニューにあり、そのころから人気があったという。塩やみそを加えたのは10年ほど前らしいが、高橋さんもラーメン自体がなぜあるのかは分からないとのこと。パリッとした特徴的な麺の固さと、飽きのこないさっぱりしたスープが人気の理由なのではと言っていた。
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さっそく注文&実食!

とりあえずその人気のラーメンを食べたい……と思い壁を見ると、こんなものを発見。
全席にオーダーの仕方が貼ってある
全席にオーダーの仕方が貼ってある
通常のラーメン店のように硬さや辛さを選べるのだが、注文の際に言うオーダー用語が特殊だ。これも昔から特に変わってはいないとのことだが、オーダー時にどうしてもこの用語を言わなければいけないということでもないらしい。要は伝わればいいのだ。ちなみに高橋さんによるとゆで時間20秒の「チョードンパリ」は固すぎておすすめしない……とのこと。
だって20秒ってほぼ生麺だからね
だって20秒ってほぼ生麺だからね
なのでおすすめと言われた「パリ」で辛さなしで注文をしてみた。
やっとラーメンとご対面
やっとラーメンとご対面
ゆで時間50秒の「パリ」で頼んだので、あっという間にでてきた。麺もスープも自家製で、祖父の代から受け継いできたものを変えていないとのこと。

もともとパリッとした麺……ということだったが、ゆで時間の短い麺は果たして……。
なんとなく硬さが伝わる
なんとなく硬さが伝わる
いただきます!
いただきます!
麺は確かに固めだが、モチモチしているので食べ応えがある。なにより普通のしょうゆラーメンよりも濃いスープが麺に染みこんでいるので、味がとてもしっかりとしている。

口コミなどでは富山県のご当地ラーメンである富山ブラックに近い……などというコメントを見つけたが、スープはシジミをベースにした和風のものだった。食べているうちに麺がいい感じになってきたが、最後の最後までコシがあり、食べ応えを感じられた。

こんなメニューも!

ちなみに冒頭で少し話にでた「チョーデカラン」はこちら!
麺がはみ出ている!?
麺がはみ出ている!?
挑戦者はたまにいるが、完食できるのは10人に1人いるかいないか……ということだった。

高橋さんによると現在のオーダー比率はラーメン9割、そば1割とのこと。北海道の粉を使ったそばも代々受け継がれてきたもので自信のメニュー。こっちもみんなにもっと食べてほしいな……とのことだった。
ラーメンはお持ち帰りも可能
ラーメンはお持ち帰りも可能
ちなみに、オーダー比率1割の中でも人気のメニューは冷たいそばだと「ざるそば」、温かいそばだと「たぬきそば」だそう。今回は「たぬきそば」をいただいたが、熱々で甘めの濃いつゆがおいしかった。
そば、おすすめですよ
そば、おすすめですよ

取材を終えて

ラーメンは確かにほかの店舗ではなかなか出会えない味だ! そのためそば店ながらも「ここのラーメンの味が好き」と、ラーメン店感覚で来るリピーターが多いのではと感じた。そしてなによりあの店頭のディスプレーを見たら、そば気分で来ても「やっぱラーメンにしようかな……」という気持ちにさせられるなと思った。

―終わり―


大黒庵本店
住所/平塚市紅谷町4-21
電話/0463-21-1335
営業時間/11:00~20:00
定休日/年中無休
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