ドアは横須賀線上りホームの真ん中よりちょっと後ろにあった!
10番線は横須賀線上りホーム。一番西口寄りにある。
早速そのドアを探しに行ってみた。
中央南改札口を入り、エスカレータのない側、右の階段を上がった
出たのは横須賀線ホームの真ん中あたり。ホームが広がり線路もビル側に移動したので、建物の裏がよく見えるようになった感じだ。見回すと…線路をはさんで目の前に不思議なドアをすぐに発見!
なるほど壁に突然あるドア。成田エクスプレスの車両よりさらに高い位置
電車がいなくなって、違う角度から撮るとこんな感じ。
足元はかなりごちゃごちゃ
ドアを開け、手前のグレーの何かの上に着地…できそう?
ホームの端に立ち、すっかり“撮り鉄”風情な筆者吉岡。よく見ると、隣の窓にはベニヤが張られ廃墟ムードいっぱいだ。そしてこの緑のタイル、どこかで見たことが…。
手前の「須三場」も同じくらいキニナル!?
階段上から約7m小田原方面に自販機があり、ドアはその正面
横浜駅西口にくっついている建物といえば、相鉄ジョイナスか、もう閉店してしまった商業施設CIALだ。でも鉄道系の事務所などが入り組んでいるかも?その辺は筆者には見当もつかない。
このドアがどこかの事務所のものなら、そこに行けば何のためのドアか教えてもらえるはず。ドアの裏側がどこにあたるのか歩いてみればみつかりそうだと思い、手がかりのないまま早速、調査開始!
ドアのある場所をイメージして、カンで探す
調査を始める前に「ドアの位置は階段を登って7m左」と、呪文のようにドアの位置を頭の中によ~くインプット。そして今来た階段を下りて改札口を出た。
「この写真の真ん中。上った正面が謎のドア」と、頭の中に常に位置をイメージ
中央南改札口を出て、左方向にUターンしたあたりが、ドアのある壁面のはず…
壁沿いに青と黄色のエレベーターが。左手は相鉄方面
う~ん、あの青いエレベーターの上あたりが怪しい。でももうちょっと左か?
それにしてもここは何ビルのどこにあたるのか? 地下ではまったくわからない。これは予想外。
とりあえず、エレベーターに乗って1階に上がってみた。出てきた場所は、西口のキオスクの奥だった。
中央通路に降りる階段の横を入ったところに出た
1年前まで構内の中二階にあった喫茶店へ上がる階段(下の写真で右隅にシャッターが映っている)よりさらに奥。かつて相鉄線への連絡通路だった場所だ。
予想では青いエレベーターに並ぶ壁面に謎のドアがあるはずだった――。
ところが!エレベーターの横に壁はなく、ステンレスの壁で見事に行き止まり
ドアがある外壁はどこなのだろう。だいたいここは何ビルなのか?とりあえず外に出てみた。
そして見上げると――さっきホームからチラッと見えた緑色のタイル!
キニナル投稿にあったドアは確かにそのタイルの斜め下にあった。ということは、謎のドアはCIALの入っていた駅ビルの裏側なのは確実だ。
でもCIALは昨年閉店。中には入れない!
入口を探してうろうろしていると、構内の地図を発見した。ここで頭を整理してみる筆者。
●印が横須賀線ホーム上の自販機の場所だ。紛らわしいが“南北連絡通路”は地下の話
「●印」を付けた自販機のその正面というと…やはりにらんだ通りエレベーターの横でビンゴ!「○」で囲んだのがさっき乗った青と黄色のエレベーターだ。
う~ん、ドアの位置を突き止めるのは思ったよりも難しい。この日はあきらめて横須賀線で帰ろうとした筆者は、ホームから今一度マジマジと謎のドアを見ていた。すると!
ん!? 謎のドアの足元に、ステンレスの壁にあった扉が見えていた?
右上数メートルの所に謎のドアがあったのだ
あのステンレスの扉がちょっと高い位置にあったのは、この線路面に合わせていたわけだ。ということは、この建屋はさっきの青と黄色のエレベーターがある場所で、屋根は西口駅ビル1階の天井高。つまり、問題のドアはCIALの2階だ。
この1つ上の階にドアがあったはず。そして…
ドアがあるCIALの外壁はエレベーター側ではなく、向かいのこの白い壁だったのだ!
急浮上の東横線ホーム説!
帰宅し、CIAL閉店の貼り紙にあった「株式会社横浜ステーションビル」に早速電話。窓口は総務部の大野さん。CIALに入れないか頼んでみたが「中にはスタッフでももう入ることはできない」とのこと。
2階の裏にドアがあると力説しても始めピンときていない様子だったが、調べてみますと約束してくださった。
返事を待っている間、はまれぽ編集部に迷走の経緯を話すと、筆者吉岡の記憶から全く抜け落ちていたことを、編集部の三橋さんが言い出す。「昔、CIALの2階から東横線の渋谷行きホームに出れましたよね。横須賀線のホームから東横線の電車を見上げてましたよ~」。
CIALの2階の売り場から、東横線の渋谷方面ホームにひょっこり出れた (写真提供/
カルロスさん)
その名もシァル口。小さいが便利な改札が懐かしい(写真提供/
カルロスさん)
横須賀線のホーム(写真左)からは東横線のホーム(写真右)を見上げていた (写真提供/軽部さん)
東横線のホームやシァル口はどこにあったのだろう? ネットで写真を探しまくった。
東横線の高架が廃止になる寸前。左が上りホーム(写真提供/カルロスさん)
当時の写真を撮り溜めている方々はいるもので、カルロスさん、軽部さん、そして横須賀線ホーム拡張工事を追ってきたブログなどに遭遇。
そのブログ主で鉄道に詳しいTakuya870625さんが、東急のホームはCIALの端からエクセルホテル東急の端までだったこと、高さはちょうどドアの所だったこと等を検証してくださった。問題のドアはホームの最後尾位置のようだ。
そしてそこへ横浜ステーションビル総務部の大野さんから連絡が。
「ドアは、東横線上りホームとCIALの2階が一体だった頃の業務用出入口でした。当時CIALは窓側にテナントが張りついていて、外と通じていなかったんです。だからバックヤード(売場の裏側の倉庫等)にドアを設けたようです」とのことだった!
ところが、CIALは東横線が地下化してからバックヤードを拡げていることがわかった。廃線後のホームにフタをする形で外壁を新設し、旧ホームの奥行を使って壁の内側をバックヤードに変身させたそうだ。シァル口も、その時に覆われてしまい今はわからない。
(Takuya870625さんから教わった「駅ビルポータルサイト・駅パラ」2006年の情報より)
当時の上りホームの奥行(写真上/カルロスさん)と、 現在の軒下(写真下)は明らかに奥行が違う
キニナル投稿にあったドアのあたりはどうだったか。東横線の渋谷方面の最後尾あたりは、ホームから人がこぼれそうなほど狭かったのを筆者も憶えている。そして涙ものの決定的な写真を発見!
なんと!写真右端にドアが映っているでは!!(写真提供/
カーリアさん)
緑色のタイルも黒い通気窓の位置もピッタリ合う
東横線が走っていた頃からCIALのドアはあったのだ! ホームの奥行からしても、後方1~2両分のホーム裏にはバックヤードもあったのだろう。 当時のことを東急電鉄株式会社に聞いたところ「ドアはCIALの所有なので、こちらからコメントすることはできない」とのことだったが、東横線の高架とホームが撤去され残ってしまった1枚のドアが、懐かしい光景を思い出させてくれた。
取材を終えて
今回、原稿には出てこなかったがキオスクやジョイナスのショップの方や警備員さん、鉄道会社各社、市の都市整備局、SNSの方々…、探偵か!と思うほど聞いて回った。懐かしい写真にも色々出会い、たくさんの方々のご協力を頂き、答えにたどり着くことができた。ありがとうございました。
― 終わり ―