とくべつ企画「できたて原稿大会」 2016年11月4日

恐怖、殺人マシーン制作記

殺人マシーン、襲来!
殺人マシーン、襲来!
昨今のパブリックなロボットイメージというと、ロボホンやPepperくんのような、どこか牧歌的というか、ふんわりとした平和なイメージが強いように思う。

しかし、そんなことでいいのか。20世紀のロボはもっとこう、ちょっとしたことで簡単に人間に反旗を翻したり、恐ろしい武器を振り回して子供を襲ったりと、なにやら剣呑な匂いをはらんでいたものだ。そして、その危機感こそが技術の進歩を促していたのではないか。

もう人間との生ぬるい馴れ合いなんか御免だ。地獄からよみがえれ、危険な殺人マシーンよ!

※この記事はとくべつ企画「できたて原稿大会」の1本です。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

ロボを危なくする試み

タミヤの組み立てロボットキットで、『ボクシングファイター』というのがあった。
リモコン操作で拳をぶんぶん振り回しつつ移動する、市販品にしてはわりと危険なヤツだ。
ボクシングファイター。かわいい顔して危険な匂いをちょっとはらむ。
ボクシングファイター。かわいい顔して危険な匂いをちょっとはらむ。
簡単な構造ながら思った以上に激しい動きをするので、怖いロボ好きとしては以前から「こいつ、やるな」的に憎からず思っていたのである。
パンチをマシンガンのように繰り出すぞ!
パンチをマシンガンのように繰り出すぞ!
ただ、これではまだ生ぬるい。なんせ肝心のパンチがウレタンスポンジで、柔らかい。

こんなソフトな拳など誰も恐れはしない。そこで、この部分をとにかく危険にバージョンアップさせていきたいと思う。

切り刻め、殺人マシーン

危険と言えば、武器。武器と言えば、刃物。
単にロボの拳に刃物を持たせて振り回すのでもいいが、それだとちょっと芸がない気がする。どうせならもっと格好良く人間を襲ったほうがいいんじゃないか。
それなら、ハサミはどうだ。巨大ハサミをザクザク言わせながら襲いかかるロボ。かっこいいだろう。
携帯型のハサミがサイズ的に最適だった。
携帯型のハサミがサイズ的に最適だった。
スプリング内蔵で自動的に開く携帯型のペン型ハサミがちょうど良い感じだったので、ロボの手からスポンジの拳をはずして、こちらを接着。

ロボの本体と比べると大きめのハサミなので、スケール比でなかなかに迫力がある。
ホットボンドのとろっとした接着で組み立てられた殺人マシーンって、あんまり怖くないな。
ホットボンドのとろっとした接着で組み立てられた殺人マシーンって、あんまり怖くないな。
で、さらにあれこれと改造を加えれば、殺人マシーンのできあがりだ。
完成した殺人マシーンと、死神博士こと俺。
完成した殺人マシーンと、死神博士こと俺。
記事中でいちいち改造の行程も見せようかと思ったが、そんなの、どうでもいい。
俺のかっこよくて怖いロボを見てくれ。

完成、地獄からの使者

まず、完成した殺人マシーン本体はこのような感じ。
この時点では、怖い2割にかわいい8割ぐらい。
この時点では、怖い2割にかわいい8割ぐらい。
分かる。まだそんなに怖くないし、格好良くない。それは分かる。

しかし、それも動いているところを見るまでだ。この殺人マシーンの殺人マシーンたる所以を、恐怖におののきながら見て欲しい。
ハサミをザクザク振り回し、ドリルも回るぞ。
殺人マシーンのハサミに、人類はもはやひれ伏すしかない。
殺人マシーンのハサミに、人類はもはやひれ伏すしかない。
狂気としか言いようがない地獄のステップ。
狂気としか言いようがない地獄のステップ。
ここまで大げさに「怖い怖い」と前振りしておいて、実際に動かしたらおもしろロボでしたー!みたいなのを期待していた人もいるのではないか。

この殺人マシーン、腕の動きに合わせてハサミザクザク開閉しつつ襲ってくる、本当に怖いヤツなのだ。
ハサミ、この状態だと内蔵のバネで開いてる。
ハサミ、この状態だと内蔵のバネで開いてる。
腕をパンチするように突き出すと、つないだチェーンに引っ張られてハサミが閉じる。近寄ると本当に切れるぞ。
腕をパンチするように突き出すと、つないだチェーンに引っ張られてハサミが閉じる。近寄ると本当に切れるぞ。
もともとロボ自体が、2chのリモコン操作で腕を左右それぞれ前後に突き出すようになっている。で、その動きを利用して、ハサミが開閉するように改造したのだ。

パンチだと軽快なステップを踏んでいたロボが、重いハサミを振り回すことで妙に狂気じみた動作になっている。これも怖くていい感じだ。
ドリルは発泡スチロールにアルミホイルを巻いたもの。残念ながら殺傷能力はない。
ドリルは発泡スチロールにアルミホイルを巻いたもの。残念ながら殺傷能力はない。
あと、胴体下部にはドリルを装着。このドリルもリモコンで操作できるようにした。
ハサミを避けてしゃがみ込んだ相手にズバッと風穴を開けてやるのだ。

残念ながらロボがやたらと跳ね回ってしまうため、ドリルが地面に当たってぶれぶれになってしまった。ここは殺人マシーン・ネオを製作する時の改善点として記録しておこう。

本当であれば、トゲ鉄球を振り回したり、火炎を放射したりと凄惨な機能を持たせたかった殺人マシーン。今回は製作時間の都合でここ止まりとなってしまったが、いずれはもっと本格的に危険なマシンとして完成させたい。
胸に輝く地獄マーク。
胸に輝く地獄マーク。
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