本来は混ぜるけど、今日は混ぜない食べ物
混ぜて作る食べものとして、以下の4種類を今日は用意した。いずれも混ぜるのが当たり前という食べ物だ。
今回は「混ぜて普通に食べる」、「混ぜないで食べる」という2パターンをやってどう違うのかを確かめてみる。混ぜ混ぜ書いていて混乱してきた。
・ ねるねるねるね
・ 納豆
・ 焼きそば
・ フルーチェ
「ねるねるねるね」を混ぜないで食べる
久しぶりに買ったらパッケージが可愛くなっていた。CMの魔女のおばあちゃんが懐かしい。
一番初めは混ぜるのが当たり前というか、そうすべき商品の「ねるねるねるね」から。「ねるねるねるね」とすでに名前が混ぜて欲しがっているが、今日は混ぜない。混ぜてやらないんだ。
ねるねるねるねを一応説明しておくと、混ぜて作って遊べる上に食べることができる子供には夢のようなお菓子である。
小さい袋に粉が入っている。
袋の中身の粉と、少量の水を入れて少し混ぜるとねるねるねるねの完成
久しぶりに作って食べると予想以上に甘かった。こんなに甘いものを喜んで食べていたのか。
小さい頃は「身体に悪いからべつのお菓子にしなさい」と親に言われ、なかなか買ってもらえなかったことをふと思いだした。懐かしい。
大人になっても混ぜているときは楽しい。そして食べると懐かしさで笑みが溢れる。
そんな懐かしさあふれる「ねるねるねるね」を混ぜないで食べてみる。大人になった僕は一味ちがうということを、「ねるねるねるね」にもわかって欲しい。
混ぜない「ねるねるねるね」はこんな感じだ。ソーダ味で色が青ということもあって食欲が進まない。化学物質で変質した川のようにも見える。
まったく食欲が沸かない。
混ぜないのだから当たり前だが、「粉に水がかかっている」だけである。食欲はまったく沸かないが、とりあえず一口食べてみる。
とりあえず一口。
うーん、、、
あれ!?意外に美味しいかもしれない!!
大発見なのだが、ねるねるねるねは混ぜなくても美味しい。むしろ「混ぜないほうが美味しいんじゃないか?」ということまで思い始めた。
味が濃くなるし、粉を噛んだときのザクザクとした食感がおもしろい。混ぜてないから、食べるときによって味がランダムに変わるもの良い。
「日本では混ぜるのかもしれないけど、現地じゃ混ぜて食べないんだぜ?」と、どっかの国の人に言われたら信じてしまう気さえする。
デイリーポータルZ編集長の林さんにも食べてもらったが、「混ぜないほうが美味しいかもしれない」と同意見だった。
ねるねるねるねを混ぜない
・ 混ぜない方が美味しいかもしれない。
・ 食感がおもしろい。
・ 自然な味がする。混ぜると科学っぽい味がする。
・ 当たり前だが、混ぜると完成された味になる。
・ 作る楽しさは失われた。
納豆を混ぜないで食べる
「
納豆を1万回混ぜる」という実験をデイリーポータルZでも過去に行っている。「納豆は混ぜるものである」というのが当然のごとく一般常識である。
混ぜる=納豆と言っても過言ではない。
納豆を混ぜない人も世の中にはいるかもしれないが、僕の身近にはいない。未知の世界だ。納豆は「混ぜるもの」だと教えられてきたので、混ぜずに食べたことがない。
世の中で当然だと思っていることは、疑問にもならないのだと知った。(こんな企画で哲学的な閃きを得る)
混ぜない納豆を準備していると、身体が混ぜたくなったのか右手で自然と箸を持っていて驚いた。習慣ってすごいな。
納豆と一緒にホカホカのご飯も用意した。
混ぜない納豆をご飯にのせてみたけど違和感しかなかった。納豆ご飯という感じがしない。
混ぜていないのでパックに入っていた形がそのまま保たれており、形が立体的だ。3D納豆だ。
雷おこしをご飯にのせている気分になる。
固まったままの納豆を食べたことがなかったので、どう食べるかかなり戸惑った。
食べてみると、大豆の味がほとんどをしめており、納豆のタレの味はほのかにするくらいだった。豆本来の味がものすごくする。
あと混ぜないと、納豆特有の臭いがかなり少なくなる。くさみがほとんどないのである。
納豆が嫌いであるライターのきだてさんにも食べてもらったところ、「混ぜてあるやつより臭いが少ないから、いつもよりは食べられる」という意見ももらえた。
もし納豆が苦手な人で、「納豆を食べないと会社をクビになる」ような状況になったら、ぜひ混ぜないで食べて欲しい。(そんな状況があったら知りたい)
ただ完全に食べられるわけではないので、すぐに水を飲んでいた。
そもそも納豆を混ぜる理由は、アミノ酸を増やすためである。人間はアミノ酸が増えると旨味を感じるので、単純に美味しくするために混ぜているのである。
混ぜても栄養は変わらないので、この食べ方もありかもしれない。むしろ、高級な納豆とかだったら、ほとんど混ぜないで食べた方が、大豆の味を感じられて良いのかもしれない。
納豆を混ぜない
・ 素材本来の味がする。
・ 形がパックの形そのままなので、ご飯にのせると違和感。
・ 臭みが少ない。(消えるわけではない)
・ 苦手な人は混ぜないで食べた方が良い。
・ ただやっぱり混ぜた方が美味しい。
ペヤングを混ぜないで食べる
みんな大好きペヤング。
ペヤングは混ぜた方が美味いと決まっている。なぜならば味が均一にならないからだ。ソースがかかってない部分ができるに決まっている。そんなのは食べる前からわかる。
100%予想通りの見た目。
当たり前だが、混ぜていないので味の濃い薄いがかなり変わる。予想外だったのは、味が濃いところは、想像の何十倍も濃いのである。ソースを直接飲んでいるような濃さがある。
そして、混ぜないペヤングを食べていると、「濃い味」のリアクションと「薄い味」のリアクションで忙しい。
味が濃い!!!
薄い、、、
「ちょうど良い濃さの場所を探してもらう」という謎の食べ方。
ペヤングのソースってこんなに濃かったのかと驚く。濃すぎて身体に悪いものを食べているという気持ちでいっぱいになる。
編集長の林さんは食べたら濃すぎてむせていた。
「科学の味がする!科学の味がする!!」と乙女のようなポーズで力説する編集部の古賀さん。
混ぜないペヤングを食べたあとに、普通に混ぜたペヤングを食べたら美味すぎた。
混ぜることによって、ソースが麺に絡まって味がマイルドになる。当たり前だけどペヤングは混ぜて食べるものだ。
うめぇ、、、
ペヤングを混ぜない
・ 味が均一にならない。
・ 濃い部分はソースをそのまま飲んでいるくらい濃い。
・ 絶対に混ぜるべき。
・ 混ぜると味がマイルドになる。
フルーチェを混ぜないで食べる
最後はフルーチェ。
フルーチェとは牛乳と混ぜるとヨーグルトのようになるデザートのような食べ物である。牛乳だけで手軽に作れるが、これも当たり前だが混ぜないと完成しない食べ物である。
混ぜて作ったフルーチェ。
フルーチェに入っているペクチンと牛乳のカルシウムが反応して固まるのだが、混ぜないとただの液体である。そしてこれも、ねるねるねるねと同様に見た目が良くない。というかなんか不安になる。
禍々しさを感じる。
並べると光と闇って感じがする。
味も見た目通りさほどよくなかった。牛乳とフルーチェの味が分離していいて、味がバラバラである。
イマイチな気がする
何度かすくって食べてみたがやはりイマイチだった。他の人にも食べてもらおうと思って、編集長の林さんと、ライターのべつやくさんにも食べてもらった。
しかし、予想外の反応でふたりとも「混ぜるより美味しい」という意見だった。
「美味しい」という予想外の反応。
ライターの西村さんにも食べてもらったが「美味しい」と返ってきた。自分の舌がおかしいのか。
もう一度食べてみると、たしかに美味しくなっている。確かに混ぜるより美味しいかもしれない。
牛乳の味と、いちごの味がちょうど良い甘さ。自然な味がする。混ぜて作ったものが「科学的な味」がするように感じるのは、ねるねるねるねと同じ現象である。
味が変わった原因は、時間がたったりスプーンですくったりして、フルーチェが少しだけ混ざったからのようだ。ということは「 2~3回だけ混ぜたフルーチェ」は最高に美味しいということだ。
高級なレストランで出されたらわからないレベルに、おしゃれな感じの味なのである。「ジェ・エンドロビ・フルーチェ」とか適当な名前で出したい。
牛乳を少し入れた状態だと、見た目もイタリアンのデザートみたいでオシャレ。渋谷のカフェでだしたら売れそう。
フルーチェを混ぜない
・ はじめは味が分離しているが、少し混ざるとめちゃくちゃ美味い。
・ 混ぜないと自然な味がする。混ぜると科学的な味を感じる。
・ 混ぜない方が美味しいかもしれない。
・ フルーチェは混ぜないとオシャレ。
「混ぜて食べた方が美味しいに決まっている」と思っていたが、混ぜない方が美味しかったり、よかったりするものが多かった。特にフルーチェは予想外だった。
「混ぜる」べきものを「混ぜない」とするだけでこんなにおもしろいと思わなかった。次は「材料だけ集めて、混ぜないで焼いてみる」とかやりたい。クッキーとか混ぜないで焼けるのかな。
ただ、混ぜるべきものは混ぜると美味しい。混ぜると完成された味になるのである。(当たり前だけどそういう商品だから)