渋谷にあるうどん屋「やしま」に行ってみた
うどん屋「やしま」は、渋谷駅からドン・キホーテやBunkamuraの方に向かって進んで行った円山町の路地にある。
渋谷のセンター街の喧騒とは打って変わって、松濤付近ということもあり、住宅街も多く静かな場所だ。
その中でも路地を一本進んだ場所にあるうどん屋「やしま」は、渋谷にいることを忘れさせるようなレトロな佇まいをしており、思わず立ち止まりたくなる。
フィギュアがたくさん並んでいたり、SNS運用をガッチリやっていたりするお店だとは、外観からは想像できないと思う。
店前には10円ゲーム機が置かれており、それもまたお店の雰囲気作りに一役買っている。
しかし、お店の暖簾をくぐっただけですぐに驚くと思う。昭和初期を感じさせる看板がずらっと並んでいるのである。「青星ソース」、「メヤム自転車」など見慣れない看板が並ぶ。
忘れてはいけないのは、ここは「うどん屋」であるということ。歴史資料館とかではない。入り口でだけでこれである。店内はもっとすごい。
左端にある公衆電話の看板も初めて見た。いつ頃使われていたものだろうか。
店内に入るともっとビックリすると思う。まちがいなく左右に目を奪われる。アニメや漫画のフィギュアが並び、映画のポスターが壁一面に貼られているのである。
もう一回確認しておくけど、ここは「うどん屋」であるということを忘れてないでほしい。海洋堂とかではない。
アニメのフィギュアが多数置いてあるが、お店の雰囲気からは「オタク感」のようなものは、なぜかあまり感じなかった。
棚には数え切れない程の量が並んでいる。思わずじっくり見てしまう。
何体あるのか数えたくなる量。
棚の反対側のカウンター席にもフィギュアがキレイに整列している。
かなり年代が古いものから、最新のものまで幅ひろく揃っている。例えば月光仮面のポスターがあると思ったら、その横には艦これのフィギュアが置いてあったりする。
この大量のフィギアを見ると、集めるのは結構大変そうに思える。これは一体誰が何のために集めているのだろうか。やはり趣味で集めているものなのだろうか。
かなり年代が古いものから、最新のものまで幅ひろく揃っている。例えば月光仮面のポスターがあると思ったら、その横には艦これのフィギュアが置いてあったりする。 この大量のフィギアを見ると、集めるのは結構大変そうに思える。これは一体誰が何のために集めているのだろうか。やはり趣味で集めているものなのだろうか。
アラレちゃん、進撃の巨人、涼宮ハルヒ。ぶら下がっているのはキティちゃんのご当地キーホルダー。
現在公開中のシン・ゴジラのポスターまである。ジャンルの幅が広すぎる。
そして冒頭でも言ったように、やしまはtwitterやfacebookを使用して、ネットをものすごくきちんと活用している。
たいていこういった昔から続いているお店は、年配の方が店主をやっていることが多いので、SNSなどのネットにはうといはず。やっぱりこれらを誰が管理しているのかも非常に気になる。
ハッシュタグをつけてつぶやくと揚げ物が一品無料になるキャンペーン。しっかりネットを活用している。
Facebookページの更新も非常に活発
まずはうどんを食べてみる
フィギュアのことも気になるが、先にお客さんとして、うどんを食べることにした。
うどんの種類も豊富で、一般的なよくある「生じょうゆ」のものから、「カレーうどん」、はたまた「ミートソースうどん」というものまで存在する。
揚げ物も10種類以上あって迷う。
うどんは裏のページにも書いてあるので、20種類以上あることになる。
「味付け玉子天」という変わったものもある。
今回その中から、「野沢菜うどん」と、「生じょうゆうどん」を頼むことにした。揚げ物は「とり天」、「えび天」を注文した。
待っている時間は、ついお店をキョロキョロと見回してしまう。見ていると「あんな場所にあのキャラがいる!」と次々と新しい発見がある。
店内を見るのが楽しく、料理の待ち時間がまったく苦にならない。
天上を見上げてもポスターが貼ってある。
なんとエアコン上にもフィギュアを発見。どうやって置いたのだろう。
店内を見ているだけであっという間に時間がきてしまう。今回一緒に行ったカメラマンと「自分の世代ではあのアニメが流行っていた。懐かしい!」などと世代間での違いを話しているのも楽しかった。
そうこうしているうちに注文が運ばれてきた。平手打ちの麺と、透明感のある出汁の見た目がキレイ。早く食べたい。
野沢菜うどん
生じょうゆうどん
やしまでは、うどんは全て手打ちで作っており、麺にこだわりがあるらしい。
さっそく食べてみると、麺はもちもちで柔らかくて喉越しも良くて美味しい。平手打ちの麺だから食べ応えもある。
うまくて箸が止まらない。小松菜のシャキシャキ感が良いアクセントになっていて歯ごたえがすごく良い。
次は揚げ物を食べてみる。注文してから揚げてくれるので熱々の状態で登場する。
とり天
エビ天
エビ天はかなり大きいし、やっぱりまちがいなく美味しい。エビ自体が大きいので、プリプリとしていてエビの甘みもしっかりと感じられる。
鶏天はかなりの肉厚で噛むと肉汁が溢れてくる。なにこの幸せを呼ぶ揚げ物軍団。これで両方とも200~300円前後なのだから安い。
鶏天の肉汁がたまらなく幸せ。目をつむって噛み締めてしまう。
お腹もいっぱいになったし、今日は帰るか。
と思ったが、「フィギュア」の疑問を解決にしに来ていることを思い出した。あやうくただご飯を食べに来るだけになるところだった。
いよいよ真相を確かめよう。
フィギュアがなぜ置いてあるのか?
うどんを食べ終えたので、いよいよ本題に入る。いったいなぜフィギュアが置いてあるのかを確かめる。
やしまの四代目店主と、その従兄弟に今回は取材を協力してもらった。
昔からあるうどん屋なので、おじいちゃんみたいな年配の人が店主かと思ったら、四代目は30代くらいで想像よりすごく若い人だった。
四代目はテレビやネットには顔だしをしないらしい。「恥ずかしい」とのこと。
店主の従兄弟。今回の取材の確認や日程調整などすべてやってくれた。
さきほどから記事を見てもらっているとおり、やしまにはアニメや漫画のフィギュアがたくさん置いてある。そのうえ、ネットもかなり活用している。
昔ながらの伝統あるお店で、この2つの要素を進んで取り入れていることはなかなかないだろう。というかここのお店だけだと思う。
話をまとめるとこんな感じだ。
(余談ですが、昔から渋谷にお店があったから、ものすごく常連のファンが多い。ここには書けないのだけど、某有名人とか、某お笑い芸人などが来ることもあるという話をいくつも聞いて驚いた。その話を聞いているだけでもかなり面白かった。)
お店のデザインコンセプトで、フィギュアが置いてあるというのはわかった。しかしなぜフィギュアなのだろうか。そこはやはり趣味なのだろうか。
正直、ここに来る前は、「うどん屋の店主がオタクだったら面白いな」くらいに思っていた。しかし、予想とは全く違い「お客さんのため」という明確な理由があった。
取材先を想像して、変な期待を抱いていた自分が恥ずかしい。フィギュアには四代目のお客さんへの気遣いが詰まっていた。
集めているものに統一感がない理由も納得できる。どの年代が見ても楽しめる工夫だ。
あと、こういった飲食店に置いてあるものは、汚かったりポスターとかはすすけていたりするのだが、やしまは全くそういったことがなかった。
お客さんへの気遣いの上に、ものを大切にしている気持ちが伝わってくる。
フィギュアが大量に置いてあるのに「オタク感」をあまり思わせないのも、お客さんのために集めているからだろう。
お宝が眠っていそう。「アッコちゃん」とか「魔法使いサリー」のレコードとかお宝なのでは?と考えてしまう。
Tiwtterやfacebookは誰がやっているのか?
冒頭で言ったように、やしまはtwitterやfacebookといったものをすごくしっかり活用している。
話を聞いていると、本業をやりながらも従兄弟が陰ながら四代目を支えているのだと気づいた。
それにしても、ほぼ無償のような形で色々とやっているというのだからすごい。お店を愛していないとなかなか出来ないと思う。僕は職業がプログラマなので、SNS運用の大変さは良くわかる。すごい労力だと思う。
やしまの「うどん」へのこだわりはもっとすごい
均一に麺を切っていく作業は、ずっと見ていられるくらい美しいものがある。
後日カレーうどん食べに行ったけど、めちゃくちゃ美味かった、、、そして来週も行く予定である。
まだ決まっていないが、お酒の提供をもしかしたらするかもしれないということだった。
やしま 円山町店
【住所】
東京都渋谷区円山町10-13 サンライズ渋谷 1F
【TEL】
03-6455-1533
【営業日】
月・水~日曜:11:00~22:00
火曜:11:00~18:30
ぐるなびリンク
昔からやっているお店で、店内にフィギュアが置いてある理由は四代目の工夫と、お客さんへの気遣いだった。
そして、twitterやfacebookなどのネットの活用は、従兄弟という四代目を影から支える人物がいてこそのものだった。
今の時代、チェーン店が多い中で生き残っていくためには、過去のしがらみに捕らわれない発想や、新しいことに取り組んでいく姿勢が大切なのだなと思った。
40年も渋谷で続いているやしまが、渋谷で生き残っている理由は、昔から続いてきたうどんの味と、四代目の新しいものを取り入れる柔軟さの、今と昔のやり方が上手く共存できているからなのかもしれない。
ちなみに僕が働いている会社から、やしまは2分で着く。2年間も今の会社で働いていて、このお店の存在に気づいたのは取材にいく2週間前である。もっと早く知っていればよかった。
これからの昼飯のローテーションメンバーには確実に入った。毎週行く予定。
帰り際にトイレに行ったら、小さいテレビのミニチュアがあって和んだ。最後まで楽しめた。