手作りがならぶ公園
土・日・祝に手作り市が開かれていると吉祥寺にきた。ずらっと店が並んでいる。
店だけじゃなくこういうパフォーマンスの方も大勢いる。すごい場所 だ(このあと「つらい」と言って足を組み替えた)
手作り駄玩具の店「GOSSAN」
何やらお子様に大人気の店がある。話をきいてみよー
「すいません、ここは何を売っているお店ですか」
「針金で作った駄玩具を売っています。全て手作りです」
針金で作った銃だ。輪ゴムを5本セットし、クランク的な部品を回すと5発連発で打てる。
割り箸鉄砲を想像していたが、それよりはるかに緻密に作られている(と素直に伝えたら笑われた)。引き金を引いて、離すと1発ずつ、とてもまっすぐ打てるのだ。
製作者のGOSSANこと後藤信郎さん。
ーーどうして針金で銃を作っているのですか。
「大学時代に、友達が針金の連発銃を見せてくれたんですよ。見せびらかされただけで僕はもらえなかったんですけど、それが悔しくて、ずっと恋い焦がれていて。じゃあ自分で作ってみようと思いました。公務員しながら10年越しにいろいろ考えて、ようやく発明できました」
こういう針金を
ぐにゃっと曲げたりして制作する。(機構開発に10年)
“針金銃に恋い焦がれて10年越しの発明”。いきなりドラマのようだ。
空気銃ではダメらしい。スケルトンで、どういう作りか見てわかる針金銃だからこそ魅力なんです、と教えてくれた。
針金で作った三輪車もある(もちろん進む、動く)
針金銃はむかし、東急ハンズのコンテストでも入選したこともあるらしい。
「そのとき、この銃が展示されたんですけど見に来た小学生のお子さんがすごい気に入ってくれて。僕も作りたいとお母さんを通じて連絡してきたんです。それで1日、一緒に遊びながら教えました」
「そしたら、数年後そのお母さんからお手紙がきて。『あの時の息子が、ロボコンに出場しています』と。あれからモノづくりに目覚めたのかな、と思ってすごく嬉しかったです」
「これ透けてるから、いつか君にも作れるよ」と声をかけながらレクチャーする後藤さん。この世の素敵がいまここに集中しています。
後藤さんのきっかけ
大学時代から針金銃に恋い焦がれ、10年かけて発明した後、公務員を定年退職したことを気に出店。
羊毛の鳥「にじのことりや」さん
カラフルな鳥が飛んでいます。すいませーん、何を作っているのですかー。
「羊毛で作った小鳥や、小鳥を作れるキットを売っています」
パタパタ
パタパタ(かわいい)
作っているのは原さん。娘が小さいころに一緒に遊んでいた羊毛フェルト。もう子どもも大きくなったので「いまの子にも作る楽しさを知ってほしい」と趣味で出店をはじめた。
女子からの圧倒的な指示。
ーー子どもたちが鳥を触っていきますね。
「ほんとかわいいんですよ。1つ1つ色が違うんですけど、気に入った鳥を見つけたら名前をつけてくれたり、買って一緒に寝てるよと報告してくれたり」
ーーかわいすぎてどうにかなりそうです。
「そう!!みんなかわいくて!!今まで見たお人形の中で一番かわいいとか言ってくれる子もいて。君その感性を大事にしたまえよ……と思わず声をかけたり(笑)本当に嬉しいんです」
「大人のお客さんは『うちの死んだインコ(写メ)なんですけど、作れますか』と言われて作ったり、あと寝たきりの方にプレゼントしたいので、鳥を下向きにしてくださいとか。いろんな依頼があります」
羊毛の小鳥をきっかけに、いろんな人生が垣間見れてやみつきだそうだ。
原さんのきっかけ
小さい頃作ってあげていた娘が大きくなり、いまの子どもたちにも手作りの良さを知ってほしいという願いで出店。
オリジナルバングル「A LLEN'S Craft HIRO Workshop」
家に暖炉がありそうなおじさまに声をかけみることにした。
オーダーメイドで真鍮のバングルを作っている。文字も入れられる!
ーーどうしてお店を出すことになったのですか。
「前は建築関係のサラリーマンで、プロジェクトマネージャーをしていました。出世するつもりで働いてたんだけど、ある時『あっこれ以上出世しないな』と気がついて(笑)じゃあ好きなことをしようと、元々好きだったモノづくりをはじめました。家のローンも完済したし!」
作業場横にはピオーネがぶら下がっている。つまんで食べるそうです。
水筒にもネームプレートが。これがダンディズム…!
服から持ち物まで、すべて自分で作っているそうだ。サラリーマン時代は、土日にオーバーオールを着て車の修理をしていたという。
暗くなると頭にライトをつける。小物まですべてかっこいい!
「憧れのモノづくりの仕事につけるとは思ってなかったので、はじめて作品をかっこいいと褒められた時は身震いするほど嬉しかったです。今では工房もあります」
HIROさんのきっかけ
家のローンも完済し、息子も大きくなったので憧れのモノづくりの道に進もうと考え出店。
憧れだけがまた募った
聞いた方みなさん、想像していたよりはるかに「クゥゥウ素敵」と唸るエピソードを教えてくれた。本人たちも予想してなかったことが、露店ではたくさん起こるらしい。
あんまりほっこりしたので、帰り道、いい感じにぼやけた公園の写真を撮りつつ帰りました。