特集 2016年9月14日

ローカルアイスまんじゅうが美味くて面白い

同じ「アイスまんじゅう」という名前でも全く違うものが売られているぞ。
同じ「アイスまんじゅう」という名前でも全く違うものが売られているぞ。
三重県の桑名市に行った際にアイスまんじゅうが売られていたので食べてみるとめちゃくちゃ硬かった。

これ、俺が知ってるアイスまんじゅうと違う!と思ったら、この桑名市がアイスまんじゅう発祥だとか、他にも作っている所があるとの情報が。

どんなものかと食べに行ってみたらば、美味いし面白かった。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

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> 個人サイト owariyoshiaki.com

アイスまんじゅうにも色々あるぞ!?

私は三重県出身なのだが、知っているアイスまんじゅうは丸永製菓という福岡県の会社のものだった。周りは柔らかいバニラアイスで中にはねっとりとした餡がたっぷりと入っている。
俺の知ってるアイスまんじゅうはコレ。
俺の知ってるアイスまんじゅうはコレ。
柔らかくて美味い。
柔らかくて美味い。
まんじゅうがアイスになったらこうだろうなというイメージを実現した感じで、“I love you”を “月が綺麗ですね”って訳しそうなアイスである。
形はどことなく似ているか…?
形はどことなく似ているか…?
あずきバー並に硬い
あずきバー並に硬い
それに対して桑名で食べたアイスまんじゅうはガッチガチに固く、まんじゅうをアイスにしたら?って考えてまんじゅうをそのまま凍らせた感じ。“I love you”は“めっちゃ好きやで”って訳しそう。

コレが結構嫌いじゃない(訳すと結構好き)。

アイスまんじゅうでもこれだけ違うものが福岡県と三重県で息づいているのが面白い。全国流通していないアイスまんじゅうを何軒か巡ってみたら、それぞれに特徴があり、オモシロ美味かったのでお伝えしたい。

好き嫌いから生まれたソウルフード

桑名アイスまんじゅう御三家の一つマルマン
桑名アイスまんじゅう御三家の一つマルマン
まずやってきたのはマルマンというお店。店構え的に駄菓子屋さんのような感じかと思っていたが入ってビックリ。
アイスの金型とか初めて見たぞ。
アイスの金型とか初めて見たぞ。
生産しており、貯蔵している冷蔵庫。
生産しており、貯蔵している冷蔵庫。
意外にも中は生産工場であった。昔っからココで作っているようで1日1000本とか作るそうだ。予想以上に規模が大きい。
工業的…。って思ったが、アイスの持ち手は割り箸で、家…?って思った。
工業的…。って思ったが、アイスの持ち手は割り箸で、家…?って思った。
こちらのアイスまんじゅうは比較的柔らか目なのでいきなり噛んでも歯は折れない。が、硬いは硬い。あんこ部分と練乳部分の甘さのバランスが良い。

元祖って書いてあったので「こちらが発祥なんですか?」って聞いてみると「おじいちゃんの代からで、かなり昔やからそうなんじゃないの?」って言っていた。ふわっとしてる。
イラストが良い。
イラストが良い。
アイスまんじゅうの他にアイスキャンディの「フルーツ」と「コーヒー」があったのでフルーツも購入。
フルーツ。持ち手の棒が割り箸で斜め。
フルーツ。持ち手の棒が割り箸で斜め。
バナナがポックリとしていて、バナナ感満点。
バナナがポックリとしていて、バナナ感満点。
ホームランバーっぽいサッパリとしたバニラにみかん、パイナップル、バナナが入っていて素材感がしっかりとしていて美味い。

前述のアイスまんじゅうを全国発売している丸永製菓の白くまアイスバーにどことなく似ている。アイスまんじゅうといい、アイスバーといい、福岡と三重はつながっているのか。
フルーツ嫌いだった店主。
フルーツ嫌いだった店主。
と、思いきや「フルーツのアイスバーって実はこの人が果物嫌いだったからお母さんが作ったんですよ」と奥さんが言い、照れくさそうにする店主。

全国規模で発売してる商品と似てるなーと思ったら起源はまさかの子供時代の好き嫌い。

そこからこのクオリティの商品が生まれて、“思い出の味”とか“夏といえばコレ!”と言われるソウルフード的な存在になっているなんて、料理漫画かよ。
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発祥はよくわかりません!

老舗感の強い寿恵広さん。
老舗感の強い寿恵広さん。
続いて来たのは寿恵広。今回食べた中で最高の硬度を誇るお店だ。
抹茶味を買ってみた。抹茶の香りがすごくうまい。
抹茶味を買ってみた。抹茶の香りがすごくうまい。
だが、断面は岩石の様相を呈する。
だが、断面は岩石の様相を呈する。
こちらの寿恵広は昭和25年とかなり古くからアイスまんじゅうを発売しており、発祥という事を書いている人もいたりするので話を聞いてみると

「アイスまんじゅうの発祥ってよくわかんないんですよねぇ…」という回答

えっ、そうなの!?
確かに、自分では発祥を名乗っていない。
確かに、自分では発祥を名乗っていない。
「ウチが作り始めたのは名古屋のお菓子業者に『アイスまんじゅうっていうのが流行るぞ!』って言われて始めたらしいんです」

そんなノリ!?歴史の初めってそんな、流行りに乗らなきゃ!みたいな動機で始まるのか。

「でも名古屋でアイスまんじゅうを作っている所はもう無いのでわかんなくなっちゃって。記録に残っている一番古いのは静岡らしいんですけどよくわからないんですよね」

発祥がわからない場合、元祖を巡って争いがあったりするのに始める動機から発祥まですべて正直!歴史があるところってそれっぽいこと言うのにこの正直さ、良い人感が凄い。
ドリアンにはドリアンは入っていません。
ドリアンにはドリアンは入っていません。
更に気になるものがもう一つ。アイスキャンディーの名前が「ドリアン」なのだ。秋田県にもアイスドリアンというものがあるらしく、そこと関わりがあるのだろうか。

「ドリアンはアイスまんじゅうよりも古くて全然わかんないんですよね。ずっと昔からドリアンで。フルーツが入ってるからフルーツの王様の名前つけたのかなと」

わからないまま広がっていく謎のアイスネットワークだが、三重県民は全然気にしてないぞ…。

アイスまんじゅうは夏しかやっていないところもあるぞ気をつけろ

ちょうど親子がアイスまんじゅうを買いに来ていたが、売り切れだぞ。
ちょうど親子がアイスまんじゅうを買いに来ていたが、売り切れだぞ。
続いて寿恵広からもほど近い新栄堂にやってきた。が、残念ながらアイスまんじゅうは夏季に作った分だけで売り切れ次第終了らしく。もう売り切れてしまっていた。
パッケージデザインが昭和の小学生女子が使ってる文房具っぽくてかわいい。
パッケージデザインが昭和の小学生女子が使ってる文房具っぽくてかわいい。
アイスフルーツは三件の中で一番さっぱりしていて、フルーツがジューシーだった。超うまい。

桑名でアイスまんじゅうを作っている所はそれぞれミルク味のアイスキャンディーも作っている。その一致はなぜ…?と思って聞いてみたら「そういうもんやから」みたいな答え。

気にしないのは県民性かと思って「三重県 県民性」で検索しようとしたら「三重県 県民性 最悪」が検索候補に出るんだけど、誰だ検索したやつ。怒るぞ(筆者は三重県出身です)。
店の外からは「ノニ・ジュース」という情報しか得られない。
店の外からは「ノニ・ジュース」という情報しか得られない。
続いては、桑名市を出てお隣の川越町にある「八百正商店」にやってきた。川の堤防沿いにあり、探すのに難儀した。
平成2年のピークには大変活況であったと教えてくれた。
平成2年のピークには大変活況であったと教えてくれた。
が、しかしこちらもアイスまんじゅうは夏の間だけの販売でもうすべて売り切れてしまったとのこと。

年中作れそうだけれども食べられる旬は店によっては意外と短い。下調べが重要な食べ物である、アイスまんじゅう。
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繋がる名古屋、三重、福岡

かなり離れて鈴鹿市まで来ました。
かなり離れて鈴鹿市まで来ました。
アイスまんじゅう屋さんは桑名市が中心なのだけれども、鈴鹿にもあったのでやってきた。
ここに来て、元祖だ!
ここに来て、元祖だ!
やってきてまず目についたのが「元祖 アイスまんじゅう」というのぼり。ここに来て元祖に出会った!

元祖が!ここに!と思って発祥を聞いてみたら「発祥って分かってないんですよね」という答え。またか!

「先代が名古屋のお菓子業者から『アイスまんじゅうの時代が来るぞ!』って言われて始めたそうなんですが」

やはり現れたぞ、名古屋の業者。ここの流れは確実っぽい。
地元のラジオとか出まくっているらしい喋り達者な店主さん。
地元のラジオとか出まくっているらしい喋り達者な店主さん。
「そうやって作っていると、福岡の業者から『これからはソフトクリームが来る!』と言われまして、ソフトクリームがまだ出回り始めた時代です」

福岡!全国でメジャーなアイスまんじゅうを発売している丸永製菓がある福岡とつながった!寿恵広がアイスまんじゅうを発売したのが昭和25年、ソフトクリームの伝来が昭和26年と言われているのでタイミングもバッチリ。

「そこでソフトクリームミックスを凍らせて、中にあんこを入れたのがウチのアイスまんじゅうなんです」
これは!
これは!
そのアイスまんじゅうを買ったら桑名のアイスまんじゅうとは全くの別物。周りにまとっているのはアイスクリームで中の餡はトロットロに柔らかい(ずっと店主の話聞いてて溶けたのもある)。
ほら、中の餡子がネットリしてるのが分かるでしょう。餡子が単純に超うまい。(白あんイチゴ)
ほら、中の餡子がネットリしてるのが分かるでしょう。餡子が単純に超うまい。(白あんイチゴ)
福岡(丸永製菓)と同じ形式、味わいのアイスまんじゅうが三重県でも生まれていた。似て非なるものと思っていたものもどこかでつながっているものみたいで面白い。
中野製餅店のアイスまんじゅうは当たり付きで、当たったんだけど既にアイスを7本も食べていたので交換せずに記念に持ち帰った。
中野製餅店のアイスまんじゅうは当たり付きで、当たったんだけど既にアイスを7本も食べていたので交換せずに記念に持ち帰った。
今回は三重県内のアイスまんじゅうを食べて回ったが、他にも群馬や福島にもあるようで、また何かつながりが…?と思うので機会があれば食べてみたい。

桑名のアイスまんじゅう、超硬いな!と面白がって食べ歩いてみたらアイスまんじゅうの歴史に触れられて面白かった。

「アイスまんじゅうは名古屋より三重に伝えられた」という客観的な感じではなく「名古屋の業者が『アイスまんじゅう流行る』って言うからやってみた」っていう主観を交えた感じだと同じ事実、歴史でも全然違う。

興味があることは人に聞くのが一番だな!って思ったけれど、一日でアイス10本食べるのはもうやめようと思いました。

最後に行った中野製餅店は三重県で初めてアイスキャンディを売りだした所だそうだ。人気はメロン味の中にミカンが入った「ミカン」。毎日アイスキャンディを作る中で安かった果物を入れていたらメロン味の中にミカンを入れたものが人気になったとか。
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