野毛たべもの横丁にある存在感を放つお店
珍獣屋は横浜の桜木町駅を降りた野毛通りにある。野毛通りはたくさんの飲み屋があり、酒好きにはたまらない場所だ。
たべもの横丁の名に恥じず、飲食店や飲み屋がひしめき合っていた
そしてその一角に誰もが目を引く看板がある。この看板こそが今日の目的地である「珍獣屋」である。
とにかく目を引く看板。「珍獣屋」の3文字は力強い。
いざ珍獣のすみかへ
中に入ってみると店名とは違いおしゃれなバー風であった。とても珍獣がでてくるとは思えない。むしろデートで使えそうな内装。
おしゃれ~
店員もさわやかな二人組だった
おしゃれな店内に忘れそうになるが、ここはあくまで「珍獣屋」なのである。置いてあるメニューをよく見ると、思わず二度見してしまうものばかりである。
昆虫は当たり前。
うさぎ1匹まるごと姿焼き!?
他にもヘビ、マンボウ、ピラニア、トド、、、食べたことある食材を探す方が難しい
お店でメニューを一通り見て少し目眩がした。
珍獣しか食べるものがない。味がまったく想像できなくて怖い。もちろん僕は虫や珍獣を食べるのは人生で初めて。
篠原かをりさんと珍獣を食べよう
今回はただ食べるだけでは面白くないので、「食べる生き物のことをきちんと知ろう」ということで、生き物のスペシャリストとして篠原かをりさんに同行してもらった。
着ているシャツもよく見ると昆虫という大の虫好き。
篠原かをり
慶應義塾大学に所属する大学生。
2年連続高校生クイズ全国大会に出場した経験もあり、クイズ女王としてもバラエティ番組などに出演。
出版甲子園という大会で優勝し、虫の生態を人間の恋愛に例えた「恋する昆虫図鑑 ムシとヒトの恋愛戦略」という本を発売。
大の虫好きで、ゴキブリやタランチュラなどの様々な生き物を飼っている。成人男性のヒモを飼っていることでも一部で有名。
テレビやラジオ、雑誌などで活躍中。
恋する昆虫図鑑
ムシとヒトの恋愛戦略
出会って数秒でヤバイ人とヤバイ店に来てしまったと後悔が押し寄せてきた。
だけど来たからには食べるしかない。 昆虫に詳しい篠原かをりさんもいるということで、まずは虫を食べてみることにした。
さっそく昆虫を食べよう
初めは食べやすいということで「バッタ」と、僕が小学生の頃に授業で飼育したことのある「カイコ」の唐揚げを注文した。
まさか小学校で育てていた昆虫を食べる日がくるとは思わなかった。小学生のカイコ飼育している自分に「大人になったら、それ食べるんだぜ?」って伝えたい。
上がバッタで下がカイコ。
そういうと篠原かをりさんは、一切の躊躇なくバッタを口に入れた。ためらいとかまったくなかった。バッタを食べる生活が日常だと言わんばかりだった。
柿ピー食べるみたいに気軽に食べていた
女性が躊躇なく食べているのだから、僕も食べないわけにはいかない。
正直ものすごく食べるのを躊躇するフォルム。足なんかそのまま形が残っている。
野をかけずりまわって、必死に捕まえようとしていたあの緑の虫。唐揚げとして再会するとは夢にも思わなかった。
誰がどうみてもバッタです。本当にありがとうございました。
顔が青ざめるくらい口に入れるのを躊躇した
バッタは僕の予想をはるかに越えて美味しかった。
こんなに美味しいなら子供のときにバッタ捕まえて、逃がさないで食べてればよかった。駄菓子屋でお金つかわないで近所のバッタを食べつくせばよかった。
カイコの方も食べてみたけど、こちらもかなり美味しい。バッタより少しクセがあるけど、これもお酒にすごく合う。虫って普通に食事として食べられるんだなー。
バッタが美味しかったことにより珍獣屋への信頼感が出てきたが、次の試練はすぐにやってきた。
次はなんとみんな大好き「ゴキブリ」。そして「タガメ」だ。
左がタガメ、右上がゴキブリ
実はセミやアメンボもカメムシの仲間らしい。知らなかった。
セミがカメムシの仲間なのは驚いた
タガメは食べるのに本当に躊躇した。なにせ見た目が本当にそのまま。しかしタガメに関しても篠原かをりさんは何の躊躇もなく口に入れて食べ始めた。
タガメを食べる時も躊躇がない。というかこの写真けっこう衝撃的だな、、、
僕も食べてみたが、匂いのとおりにタガメは青りんごのような甘みのある不思議な味だった。
クセがものすごく強いので好き嫌いが分かれそうだが、他の店ではなかなか食べられないので、珍獣屋に行ったら挑戦してほしい。というかタガメの匂いをぜひ嗅いでほしい。
そしていよいよ次はゴキブリを食べることに。
ゴキブリも躊躇したけど勇気を振り絞って口に入れる
「ゴキブリを食べる」というイメージから、あまり良い印象を持つ人も多くはないと思うが、パリパリとしていて本当に美味しい。ビールがあったら永遠に食べられ続けられそう。
さらにゴキブリは栄養価が非常に高く、タンパク質が非常に豊富。そのうえ抗癌作用もあるらしい。食料として有能すぎるだろ。
昆虫だけじゃない!珍しい珍獣が盛りだくさん
もちろん珍獣屋は昆虫だけではない。このお店だけでしか食べられない珍しい食材がたくさんある。
ただ食べたことないものばかりでメニューを見ても何を選んで良いのかわからなかったので、店長さんにオススメを聞いてみることにした。
高校のサッカー部にいそうな爽やかさ。笑顔が眩しい。
「鹿のアキレス腱の煮込み」と「ウーパールーパー」を注文した。
ウーパールーパーの揚げ物の見た目は衝撃的だった。あの可愛い生き物がこんなにカラッと揚げられてしまうなんて。
味は白身魚のような感じで美味しい。
ウーパールーパーは少し前にペットとして大流行した。そのときの印象で「飼う生き物」としての認識が強い。しかし篠原かをりさんが言うには、ウーパールーパーはもともと食用で流通したものなので、食べる事自体は普通のことらしい。
「鹿のアキレス腱の煮込み」は絶品だった。希少な部位なので食べられるのはラッキーらしい。
牛肉や豚肉と違い多少クセはあるものの、コクがあって深い味わい。味付けもビーフシチューのようで美味しい。白いご飯食べたくなってきた。
アキレス腱なので1頭から少量しかとれない。
他にもこの日はピラニアのお刺身やトド刺し、イノシシの顔面焼きなどを食べた。自分でこの文章書いていて「すごいもの食べていたんだな」と今更ながら実感した。
イノシシの顔面焼き
トド刺しとピラニア
珍獣屋のすごいところは「珍しい食材がある」というだけでなく、料理がどれも美味しいところ。
そして本当に希少な食べ物が多いので、時期によって食べられる食材が変わるのも面白い。
もの珍しさで一回行ってみるとクセになる食材が多くて、また来たくなる。実際にリピーターの人も多いらしい。
近い将来に虫が主食の時代がやってくる?
将来の食糧不足が心配な中で、FAO(国際連合食糧農業機関)などの機関では、昆虫食の研究が進められているらしいという噂を聞いた。
今日食べていた昆虫が家庭の食卓に並ぶ日がくるのだろうか。
人間1人にたいしてアリは1000万匹で同じくらい。人間と総体重が同じになるってことだけど、アリが世界で何匹いるのか想像もつかない
篠原かをりさん自身もマウスを使用して昆虫食の実験などを行っているらしい。こういう人が世の中を変えていくんだろうな。
最後にデザートの「異物混入プリン」を食べる
最後に珍獣屋の名物デザートの「異物混入プリン」というのを食べることにした。
異物混入って名前だから、プリンの中に虫が入っている感じかと思ったら、異物丸出しの見た目だった。
衝撃的なこのプリンはぜひ店頭に行ってみて確かめてみてください、、、
この衝撃はぜひお店で!!
他では味わえない異質の空間ですごく楽しかった。珍獣屋に来なければ、人生で口に入れることはないであろう料理ばかりだった。
楽しさと美味しさ、さらに驚きも備わっている飲食店は唯一無二なんじゃないだろうか。
誰と来ても絶対に盛り上がるから今度はプライベートで来よう。
珍獣屋では現在アルバイトを募集しているとのこと。珍獣好きはぜひ応募しよう。
大学生の彼は「珍獣屋に面接に行った話をネタにしようと思って応募してみたら受かっていた」と言っていた。
昆虫や珍獣に興味ないけど働いている人もいるらしいので「変わったバイトがしたい!」って人にも良いかもしれない。
珍獣屋
住所:神奈川県横浜市中区野毛町1-45 港興産ビル3号館2階1号室
TEL:045-260-6805
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(珍獣屋twitter)