特集 2016年7月30日

プロジェクションマッピングを使った案内板が駅のホームにあった

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「横浜駅の横須賀線ホームでプロジェクションマッピングを使った案内板を作ったのはなぜ?従来のLEDとの違いは?/横浜駅のホーム頭上に設置されているコレはなに?」というお願いが、粗茶さん/スさんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

調査したところ「グリーン車の停車位置を知らせるもの。分かりにくさを改善するため通常版より目立つように導入し、現在は試運転期間中。」ということがわかった。

はまれぽ.com 松田 麗
はまれぽ.comは横浜のキニナル情報が見つかるwebマガジンです。毎日更新の新着記事ではユーザーさんから投稿されたキニナル疑問を解決。はまれぽが体を張って徹底調査します。

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JRや私鉄など多くの路線が乗り入れている、神奈川県を代表するターミナル駅のひとつ、横浜駅。投稿によると、横須賀線ホームにプロジェクションマッピングを使った案内板があるという。そして、ホーム頭上に設置された謎の白看板。関係があるのか、ないのか・・・
投稿にあった画像。これか・・・?
投稿にあった画像。これか・・・?
正体を確認すべく、まずは現場へと向かった!

駅にプロジェクションマッピングが設置される時代

横須賀線へと向かう
横須賀線へと向かう
どこだ? どこだ? キョロキョロしながらホームを歩いていると投稿にあった画像を発見!
これだ。2016(平成28)年6月下旬、日曜の午後2時ごろの様子
これだ。2016(平成28)年6月下旬、日曜の午後2時ごろの様子
え、映像が映った! これがプロジェクションマッピングだ
え、映像が映った! これがプロジェクションマッピングだ
暗くなったらよく分かる。これぞプロジェクションマッピング(夜バージョン)
暗くなったらよく分かる。これぞプロジェクションマッピング(夜バージョン)
動画はこちら
日中と夜を比べると、やはり夜のほうが目立っている。発色がいいので、目を引きやすい。投稿にあった白看板の正体はグリーン車の案内表示をするプロジェクションマッピングだった。

ちなみに、この案内板は横須賀線10番線ホームにしか設置されていなかった。

この存在に気付いている人はいるのか

横須賀線ホームのプロジェクションマッピングの存在を知っている人がいるのかキニナったので、20名ほどに取材をしてみた(ご協力いただき、ありがとうございます!)。

すると“見たことない”“知らない”という反応が大半。

しかし! 女子高校生に横浜駅のプロジェクションマッピングを使った案内板を知っているか、声をかけると「知ってるー! キレイだよねー!」とのこと(写真は恥ずかしいとのことでした。残念・・・)。

まだ一部の人しか知らないが、やっぱりプロジェクションマッピングと聞くと興味をそそられるというもの。

では、なぜプロジェクションマッピングを案内板に使ったのか。そしてなぜ横須賀線のホームにしかないのか。その理由をJR東日本横浜支社に聞いてみよう!
いったん広告です

お客様のため・・・思いが詰まっている

駅長室がある建物で取材をさせていただけることに・・・
駅長室がある建物で取材をさせていただけることに・・・
写真は4名だけど、広報担当者を合わせ6名で取材対応してくださった!
写真は4名だけど、広報担当者を合わせ6名で取材対応してくださった!
名前は左から菊池豊(きくち・ゆたか)さん、工藤淳一(くどう・じゅんいち)さん、和田
直樹(わだ・なおき)さん、濱井燃太(はまい・もえた)さん。ほか写真はNGとのことだ
ったが、中澤壮康(なかざわ・たけやす)さんにもご対応いただいた。

まずは、プロジェクションマッピングがいつごろ設置されたのかを聞いてみた。

「2016(平成28)年4月9日に設置したんですが、少し不具合があって5月28日に再開しました」と工藤さん。

4月5日に設置工事が終了し、投稿があったのは4月26日と5月1日。投稿者さんは設置後すぐに見つけたということですね!
確かにいったんコレに気づいたらかなりキニナル!
確かにいったんコレに気づいたらかなりキニナル!
続いて、なぜ案内板にプロジェクションマッピングを使用したのか伺う。

「横浜駅を利用されるお客さまから、グリーン車の停車位置が分かりづらいというお声をいただき、改善しようということになりました」と菊池さん。確かに乗車する電車によって、グリーン車の位置が変わったら、どこに行けばいいか迷うかも・・・。
以前より設置されている10番線ホームの看板
以前より設置されている10番線ホームの看板
「駅職社員が発車時の安全確認中、乗客に“グリーン車の乗車位置はどこですか”と声をかけられることもあって『通常のものよりも目立つプロジェクションマッピングの案内板を設置しよう』という案が出ました」と工藤さん。

車掌さんにドアを閉める合図を送るなど、さまざまな仕事がある駅社員。お客様の質問にも答えなければならないし、乗降終了の確認もしなければならない。重要な業務を同時におこなわなければならないのだ。なるほど、利用者のスムーズな乗車、というのは大事なことなんだなあ。

つづいて、この案内板を発案した和田さんにも話を伺う。
技術面でのプロフェッショナル、和田さん
技術面でのプロフェッショナル、和田さん
「とにかく目立つものを、と考えていたら社員にプロジェクションマッピングを知っている人がいて、それがいいのではないかと思いました。ほかの駅のセレモニーなどにプロジェクションマッピングが使われているの知っていた。でも、案内板としては使われていないので、JR東日本では横浜駅が最初の試みとなります」と和田さん。

また、プロジェクションマッピングの案内板と通常の案内板との大きな違いは何か伺う。
以前より設置されているLED看板
以前より設置されているLED看板
「“動きがある”という点が大きいですね。ただ映像を写しているだけでなく、映像が反転するなど動くようにしたり目立つようにしたりしています」と工藤さん。ホームのなかの風景のひとつにならないように工夫したのだとか。

マイ・プロジェクト

ここで工藤さんから「そもそも、これはマイ・プロジェクトの一環から生まれた試みなんです」という言葉が出る。

マイ・プロジェクトとは?

「“社員が自発的な業務改善”に取り組む社内活動です。今回のプロジェクションマッピングも、お客さまのお声をもとに、社員で意見を出し合って決めました」と菊池さん。

マイ・プロジェクトの取り組みはさまざまで、今回のプロジェクションマッピングを使った案内板など、目につくところから、目に見えないところの安全管理などさまざまなのだとか。“まずやってみよう”という社員の自主性を重んじ、グループ単位でマイ・プロジェクトは常に動いているとのこと。
JR横浜駅の1日の乗車数は約41万人(2015年度)
JR横浜駅の1日の乗車数は約41万人(2015<平成27>年度)
「お客さまの不便さを少しでも改善したい」という社員の想いから始まった、プロジェクションマッピングを使った案内板。ちなみに、これがほかのホームに設置されていないのはなぜだろう。

「まずは試施工ということもありますし、10番線の場合はグリーン車の停車位置が横須賀線の11両編成と15両編成、湘南新宿ラインの3パターンもあり一番複雑だからです。また、ホームが一番広く、案内板を設置した際にどのように効果が出るか分かりやすいと判断しました」と中澤さん。

あわせて、10番線ホームのグリーン車停車位置についての問い合わせが一番多かったのも、理由のひとつのようだ。
2階建てのデザインが特徴的な湘南新宿ライングリーン車
2階建てのデザインが特徴的な湘南新宿ライングリーン車
作るときに苦労したことはどこか伺うと「技術面とデザイン性です。サイズに限界があるなかで、伝えるべき情報と見やすさを両立させなければならず、まだまだ改善点がありますね」と中澤さん。これが完成形、というわけではないそうだ。

同システムには表示開始の時間を任意で調整できるシステムが入っておらず、あらかじめ決められた時間のみにしか表示されないので、電車に遅延などがあると電源を切るしかないんだとか。

プロジェクションマッピングの案内板の運用スケジュールは現在試施行中の段階なので土日のみ(祝日はなし)である。普段横浜駅を使い慣れていない方が多い日のほうが、効果が出やすいのでは、というのも理由のひとつなんだそう。
しっかり注意書きがありました
しっかり注意書きがありました
2015(平成27)年末ごろに発案され、制作期間は約1年半。デザイン性と技術面を融合させ、システム容量の問題などさまざまな課題を乗り越えながら、試施行開始。現在も調整点が多いという。

今後もこうした案内板が増えていくことを期待したいが「試験段階のため、まだどうなるか決まっていないんですよ」と菊池さん。今後の予定は未定だそうだ。
定刻通りに到着する湘南新宿ライン
定刻通りに到着する湘南新宿ライン
「少しずつではありますが、SNSで話題にしてもらうなど認知度が上がっているようで、嬉しい限りです」と笑顔がこぼれる菊池さん。ぜひこれからも続けてもらえることを筆者は願う。

見やすい上に、画期的! そんなプロジェクションマッピングを使った案内板。この案内板を見ているだけで退屈な電車の待ち時間がとても楽しくなりそうだ。映像は、先行列車が発車した1分後から次の列車が発車するまで流れているので、ぜひ土日に行ってみてはいかがでしょうか!

取材を終えて

利用者の不便さを少しでも減らそうという思いが詰まったプロジェクションマッピングの案内板。駅のプロたちが利用者の立場に立って、どうしたら見やすくなるか、分かりやすいか、など試行錯誤して完成させた作品だったと知れた有意義な取材だった。


―終わり―
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