色、カタチ、味……徹底してスーパー脇役なワカメ
ワカメかー。んーワカメ。そもそも味に差異などあるのだろうか? 種類があればあるほど、混乱しやしないか? そんな不安も頭をかすめる。とにかくゴールデン助演賞をあげたくなるくらいの存在なのだから、「脇」ということでは徹底しているだろう。
そこで参加者の皆さんには「派手な服を着てきてください」とバク然とした注文をつけた。
ドレスコード「派手」で、地味なワカメ対決に挑むわけだ。
あ、あれ……? なんか、フツー?
派手の概念は十人十色だった
わたしの場合、ふだんの洋服は黒か白が多いので、原色が「派手」、そんなイメージがある。
しかし皆の意見は様々だった。「土屋さん、いつもの服と同じじゃない!?」と苦情さえでる始末だ。
ほかはバックプリントに立派な龍が描かれているシャツ、大阪のおばちゃん風、肌の露出多し系……。デイリーライターの高瀬さんにいたっては完全に放棄したと見えて、3列目で背後霊のように写っている。
満場一致で派手と認められたのはこの方だけだった。
友人伊藤さん。いろんな意味で突出していたがそもそもこれは服にカテゴライズしていいものだろうか。夜道でも安心なことだけはたしかだが。
ワカメ、16種類
食べ比べに誘ってくれた友人マリ絵さんが、さらに2種類追加していたのでわたしは戦意喪失。100円の『カットわかめ』(いわゆるふえるわかめちゃん)を購入した。そのかわり、仕入れた本ワサビは980円と奮発したので許していただきたい。
同じように見えるパッケージも、それぞれ産地や加工の方法が異なる。わたしが適当に置いていたところ、なにやら並べ直しているな? と思ったらマリ絵さんが北から順に並べていたようだ。そのこだわりたるやハンパないな、と思った。
国産は17%、そのうち三陸産が流通の75%、天然ものは3%
ざっと並べてみると、『三陸産』が多い。そしていかにも堂々としているのが『天然』の二文字だ。
調べたところ、ワカメ総供給量のうち国産が17%(それ以外は国内外の養殖)。そのうち三陸地区が75%を占め、天然は3%しかない。そりゃあ金ピカのシールでアピールしたくもなるだろう。
こちら、宮城産のお刺身わかめ。唯一の生食用だったため、ドーピング疑惑が一部でささやかれる。
業務スーパー乾燥わかめ。入手後かなり時間も経っている。産地の明記がないため、おそらく外国産のものだろう。上と比較しても差は歴然だ。
加工方法もいろいろあった
・『湯通し塩蔵』湯通ししてから大量の塩をまぶす
現在もっとも一般的
・『乾燥カット』湯通し塩蔵したワカメの塩分を抜いてカット、乾燥させる(ふえるわかめちゃんなど)
・『素干し』生のまま天日に干す
・『灰干し』灰をまぶして天日に干す
現在は環境問題から灰じゃなくて活性炭に代替
ワカメ、意外と奥が深いぞ……。
スーパー脇役なんて言ってる場合じゃなかったぞ……。
並べてみても、やっぱり地味
いよいよワカメが出揃った。んー見るからに地味である。
あとは実食するのみ! ただただワカメだけを……。延々と……粛々と……。
しょうゆ、またはわさびじょうゆでいただきます。
いよいよ実食
海藻は好きだが、本当にこんなに食べられるのか、不安もあった。味のちがいをこの舌が感じ取れるのだろうか?
あらかじめ番号がふってあるワカメに次々と手が伸びる
採点表に記入
甲乙つけがたいワカメ
あきらかに質の悪いもの以外は、甲乙つけがたいのが正直なところ。お腹がふくれてしまうので1種類を何度も食べるわけにはいかず、ほとんど直感で決めていくしかない。
しかし、ちゃんと結果はでるものである。(そりゃそうか)
結果発表
・産地表記のないものは不明にしたが、おそらく外国産
・天然表記のないものは、養殖と記した
・★の数が点数
・前ページの、わかめのみ並べた画像と順番は同じです
不明(養殖)
乾燥
三陸 宮城県(養殖)
湯通し塩蔵
★
三陸(天然)
湯通し塩蔵
★★★★★
徳島県(天然)
湯通し塩蔵
★★★★★
兵庫県(養殖)
湯通し塩蔵
★★★
新潟県(天然)
素干し
★★★
徳島県(養殖)
炭干し(活性炭)
★★★★★
★★★★★
★
徳島県(養殖)
炭干し(活性炭)
★
長崎県(養殖)
湯通し塩蔵
三陸 岩手県(天然)
乾燥
熊本県(養殖)
乾燥
★★★★★
三陸(養殖)
湯通し塩蔵
★★★★★
★★★★★
三陸(養殖)
湯通し塩蔵
★★★★★
★
三陸 宮城県(養殖)
湯通し塩蔵
★★★★★
★★★★★
不明(養殖)
乾燥
不明(養殖)
乾燥
お腹いっぱいすぎてウダウダしていたら「早く結果を!」との声があちこちから飛んできて、促されるまままじめに集計いたしました。
上位は僅差! しかしまったく点の入らなかったものも
1位は、11点を取得した徳島県鳴門産の『まり江ちゃん特選』。製法は炭干し(活性炭)で、天然ではない。同じく『まり江ちゃんカット』というワカメもあったが、こちらは1点で特選の差を見せつけられた。
以下の上位は三陸産、湯通し塩蔵のもので、『北三陸の海男児わかめ』が10点、『お刺身わかめ』も10点で同位。4位には6点の『三陸産わかめ』が食い込んだ。
1位、2位と僅差。だがそれ以外はまったく点のないものもあり、直感であってもそれなりに味の差はあるものと実感した。ワカメ、意外とやるなあ……。
希少価値のある天然ワカメだが……
ただ、3%と希少価値のある天然物が上位に食い込んでいないのが気にかかる。ワカメの場合、魚ではない。一生その場で、海の中をゆらゆらと揺らめいていればいいだけの話。ほとんど同じ条件だ。天然と養殖の差はあまりないのかもしれない。
左から2位のハタさん、デイリーライター高瀬克子さん、優勝者のマリ絵さん(なんと7種類のワカメを持参)。そして4位の瀬川さん。
ワカメの決め手は歯ごたえ
ここで、各自が1位にした感想メモを記しておきたい。ものすごく単純なコメントばかりではあるが、まさかこの場で晒されるとは思っていなかったのであろう。
「歯ごたえあり。ちょっと磯」
「コリコリ度ナンバーワン。ワカメの味もする」
「シコシャリ」
「歯ごたえあっておいしい」
「スタンダード、しょっぱい。すき」
「やわらかな香り。シャープ。歯ごたえシャキシャキ」
「歯ごたえバツグン。うまい」
「バランスよし。うまい」
「歯ごたえよい」
……ということで、決め手は歯ごたえ。
今後ワカメを購入するにあたっては、製法や天然はカンケーなし! なるべく肉厚で国内産のものを選ぶといいと思う。
やっぱりワカメは料理してナンボかもしれない
ワカメはおいしかった。たしかにおいしかったのだが、その後に勝者のマリ絵さんが作ったワカメ&シラスパスタには一気に人が群がり、1分もしないうちになくなるという緊急事態が起こった。
わたしなど、たったの一口しか食べられなくて悲鳴をあげた。