特集 2016年5月21日

そば屋らしくない店名の立食いそば「うぃーん」

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「横浜市の鶴見駅前のおそば屋さんの名前はなぜ『うぃーん』なのですか/東神奈川駅と仲木戸駅の間にある『そばに名酒あり』という看板のお蕎麦屋さんがキニナル?」という投稿が、ゆうゆうさん/kongさんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

調査してみたら、2軒のそば屋、鶴見『うぃーん』の由来はオーストリアの首都ウィーンから、東神奈川『一休』は名酒を安価でそろえるこだわりから看板をつけた 、ということがわかった。

(はまれぽ.com クドー・シュンサク
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まずは、JR鶴見駅前にあるそば屋らしくない店名の立食いそば「うぃーん」から店名の由来を含め調査。

「うぃーん」

「駅前の立食いそば」ということで、鶴見駅東口前にいる人に「うぃーん」に行ったことがあるかどうか尋ねてみることにした。
単刀直入に「うぃーん」に行ったことがあるかどうか尋ねると、「え…? ウイーンってなんですか?」との回答。さしづめオーストリアの首都を聞かれたような反応だった。

「そこにある立食いそばの店なんですけど…」と言うと「ああ、立ち食いそばの店! ありますあります。安いですよ、あそこ。うぃーんて名前なんですか?」「うぃーんっていう名前らしいんですよ」。駅前には「うぃーん」を知っている人がいた。

Aさんにお礼を言い、早速店へ向かうことに。横断歩道を渡るとすぐ年季の入った看板が見えてきた。
ここが「うぃーん」?
ここが「うぃーん」?
のれんを見ると右端がめくれている。おろすと…
のれんを見ると右端がめくれている。おろすと…
「うぃーん」
「うぃーん」
「立喰いそばうぃーん」
「立喰いそばうぃーん」
店内に入り、「うぃーん」の味をいただくことに。そば屋然とした強いダシの香りと、とてもスパイシーなカレーの匂いが漂うので、そばの定食とカレーライスを注文。
なつかしいプラ食券機
なつかしいプラ食券機
食券をカウンターで渡すと、ものの数秒でそば定食(350円)と「うぃーん」のカレーライス(390円/そばつゆ付き)が到着。
かけそば・ライス・生卵・佃煮こんぶ・たくあん
かけそば・ライス・生卵・佃煮こんぶ・たくあん
ライス全体にカレーがかかっている
ライス全体にカレーがかかっている
鰹ダシがパンチのあるかけそば。濃いめのつゆに特徴はあるが、麺の味は立食いそばの基準のふつう。オーソドックスな仕上がり、といったところ。
甘口だがスパイシーな、うぃーんカレー。どこかボンカレーのような味わいだが、スパイシーさがかなりあり、後引く感がある。

定食とカレーライスをいただき、お店の人に話を伺うことに。
「うぃーん」店長の翁世勇(おきなせいゆう)さん
「うぃーん」店長の翁世勇(おきなせいゆう)さん
率直に、「なぜ店名は『うぃーん』なのですか?」と伺うと「もともと中区で喫茶店を営んでいたオーナーが、40年前ここでミルクスタンドをやるつもりで洋風の『ウィーン』という名前をつけたんです。でも、かつて工場が多かった鶴見駅ではミルクスタンドより、お腹にたまる食事を提供したほうがいいと思って立食いそばの店に方向転換しました。変える手続きが面倒で、最初に店舗として届出をした時の名前『ウィーン』を平仮名にし『うぃーん』でそば屋を始めました」とのこと。ちなみに、店長が頭につけているのはテニス用のヘアバンド。
手続きが面倒で
手続きが面倒で
そのまま使うことに
そのまま使うことに
由来はオーストリアの首都ウィーンから
由来はオーストリアの首都ウィーンから
うぃーんの謎が解けたところで、キニナルもう1軒のそば屋へ向かうことに。
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『そばやに名酒あり』東神奈川駅前「一休」

JR東神奈川駅前にあるそば屋「一休」。まずは外観から。
歴史を感じる外観
歴史を感じる外観
入口には…
入口には…
こだわり感じる酒のふれこみ
こだわり感じる酒のふれこみ
焼酎好きにはわかる安価での設定。おそらく都心部の店の半値ほどのうれしい価格設定。店に入り、お酒とそばをいただくことに。
まずは店主おすすめの酒、純米きもと生原酒「松の司( 680円)」に、野菜の炊き合わせ(450円)を注文。
さっそくいただくことに
さっそくいただくことに
“キリっ”とした口当たりの「松の司」。品のある香りが口の中に広がる。肴の野菜の炊き合わせは、
薄味で甘みのある味付け。こちらも品が良く、しっかり煮られた野菜を口にするとさらに酒がすすむ。
ほどよく酔いもまわり、メニューにある「そば味噌(200円)」がキニナり追加注文。店内を見回すと、いたるところに酒のふれこみや名酒が並ぶ。
「そば味噌」は、そばの実を甘辛い味噌で和えた一品
「そば味噌」は、そばの実を甘辛い味噌で和えた一品
天井には名酒のラベルが
天井には名酒のラベルが
名酒の数々。手書きのふれこみに目が行く
名酒の数々。手書きのふれこみに目が行く
酒に対する強いこだわりが感じられる。そのこだわりの主である店主の不動田文夫(ふどうだふみお)
さんに話を伺った。
「そば屋は社交場なんですよ」との言葉から不動田さんの話ははじまった
「そば屋は社交場なんですよ」との言葉から不動田さんの話ははじまった
ここ「一休」は創業48年。ご自身も「酒が好きだ」という不動田さんは、創業以来、通好みのいい酒を置き、酒の伝道師として酒を楽しんでもらえる店として営業しはじめたとのこと。
店内にはまだまだ名酒の在庫が並ぶ
店内にはまだまだ名酒の在庫が並ぶ
店に置く酒はすべて不動田さんが選ぶ。選ぶ基準は、利酒(ききざけ)品評会に参加した時の味。最近は主に、長野県の「明鏡止水」という不動田さんが一番好きという酒を基準にし、これより辛いか甘いか、クセがあるかないかどうかで決めているという。これによってどのそば屋にもない名酒の品ぞろえができるという。

でも…
とのこと
とのこと
いかにも「酒にこだわるそば屋」のふれこみなので…
シメにざるそば(600円)を注文
シメにざるそば(600円)を注文
なめらかでコシのあるそば。つゆはやや甘めだが、そばとつゆの相性は酒と料理同様、とても品のある味わい。そっけないのではなく、繊細で上品。

一休に訪れるお客さんは、地元の方はほとんどいない、とのこと。違う街や他府県から訪れる常連さんがほとんどだという。一度こだわりの酒と料理を安価で楽しめる「一休」を知ると、遠くからでもまた通いたくなるというのも理解できる。
取材の最後に不動田さんから一言いただいた
取材の最後に不動田さんから一言いただいた
「そばと酒を気軽に純粋に楽しんでもらい、めずらしい酒が安く飲める、というだけではなく、じっくり酒と料理の味を楽しんでほしい」とのこと。

酒にこだわりつつ、そば屋としての強いこだわりも感じた「一休」。ごちそうさまでした。

同じそば屋でまったく違うテイストのキニナルだった2軒のお店。ともに風変わりな看板から発生したキニナルであったが、双方、駅前に構える古い歴史がある店で、街の変化に流されずに続いている貴重な存在であるということも実感した、そんな取材であった。

うぃーん
住所/横浜市鶴見区鶴見中央1-3-18
電話番号/045-501-2228
営業時間/7:00~22:30
定休日/なし

一休
住所/横浜市神奈川区東神奈川1-6
電話番号/045-441-7410
営業時間/11:30~14:30/17:00~21:30
定休日/不定休
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