特集「生きてるからにはやっておきたいこと」 2016年5月5日

予告状を出して宝石を盗みたい

あえて予告状を出して盗みたい
あえて予告状を出して盗みたい
フィクションに登場する怪盗は、盗む前にかならず予告をするだろう。予告なんてしたら警備が手厚になって困るはずなのに。謎である。

ふつうに盗むなんて余裕なのだろうか。もしそうであれば、その余裕っぷりはカッコいい。僕が生きてるからにはやってみたいことは、これかもしれない。

(この記事はとくべつ企画「生きてるからにはやっておきたいこと」シリーズのうちの1本です。)
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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イエローダイヤを頂きに

実際に盗みをはたらくとたぶん失敗して捕まる。成功したら成功したで記事に書くことはできない。

ということで擬似的にそういうシチュエーションを用意し、参加者にはまんまと宝石を盗まれるぼんくらとして演じてもらった。
イエローダイヤを見せびらかす富豪役・ライター大北さん
イエローダイヤを見せびらかす富豪役・ライター大北さん
今回盗むのがこのイエローダイヤ
今回盗むのがこのイエローダイヤ
今回盗むのはこちらのイエローダイヤ(ガラス製)。Amazonで700円位で売られていて、買ったら中国語の新聞に包まれて届いた。

かぶせてあるアクリルの箱は1500円。イエローダイヤより高い。そしてダイヤ下のクッションは梅干しの入っていたパックに白い布を巻いた。全体的にくふうのかたまりである。

予告状を出す

盗む前の予告状を出そう。

まずカードのデザインを決めないといけない。いや、そのまえに自分がなんと名乗るかも考える必要がある。いくつか案を出す。
ふざけそうになる
ふざけそうになる
人間、やる気がないとペンネームに食べ物の名前を付けてしまうというが、ぼくもご多分に漏れず4つ目で「冷や汁」が出てきてしまった。

あれこれなやんだ結果「怪盗エトワール」にした。エトワールはフランス語で「星」を意味するそうだ。
フォントをゴシック体にするか明朝体にするかも悩む
フォントをゴシック体にするか明朝体にするかも悩む
予告状に飾りをつけるか、フォントはどうするかあれこれなやんだ。ふつう予告状は使い捨てだが、意外と愛情がこもっている。

さてこれを出そう。もちろん郵送するのではない。こう…「どこからともなくカードが飛んできて、テーブルかどこかに突き刺さる」のが最高だ。

最高なのだがいったいどうしたらいいのだろう。考えた結果こうなった。
消しゴムにさしました
消しゴムにさしました
消しゴムにさした。

ものを盗むだけで罪なのに、机に傷をつけたら器物破損の罪も上乗せされてしまう。なのであらかじめ用意した消しゴムに突き立てた。
飛ばして突き刺すのも無理なので、誰も見てないときにこっそり置いた
飛ばして突き刺すのも無理なので、誰も見てないときにこっそり置いた
やがて予告状に気づくパーティに来た人たち
やがて予告状に気づくパーティに来た人たち
怒りか恐怖か。震えるダイヤの所有者
怒りか恐怖か。震えるダイヤの所有者

盗む

ではいよいよ盗んでいきたい。明かりが消えて、また付いたときに宝石は盗まれているというのがよくある。ああいう風にしたい。

さらに今回は気を利かせて「実はまだ盗んでませんパターン」をやりたい。目の前から消えたんだけど、まだ部屋の中に隠してある、というやつだ。

あえて所持しないことによってボディチェックやなにやらをくぐり抜けることができるのである。
とつぜんあかりが消えた!
とつぜんあかりが消えた!
電気が消えている間に
電気が消えている間に
ダイヤをテーブルの下に
ダイヤをテーブルの下に
隠す
隠す
この際に浮き上がった問題点は、一体どうやって会場の電気を消すことができるのだろうということだ。

撮影の現場では「ここで明かりが消えてたとして~」などと言っていたが、実際やるとなると予め準備が必要だろう。

そして怪盗の物語は続く。
ダイヤがなくなってる!
ダイヤがなくなってる!
泣く所有者
泣く所有者

逃げる

あとはよいときを見計らって、ダイヤを持って逃げるだけだ。

しかしパーティー参加者のダイヤが盗まれたあとの行動について、各自おまかせにしてしまったら、みんな慌てふためくだけになってしまった。このあたりのコンセンサスは予めとっておくべきだった。

以下がその様子である。
わーわー盗まれた
わーわー盗まれた
たいへんだたいへんだ
たいへんだたいへんだ
こまったこまった
こまったこまった
みんなダイヤがなくなったことに慌てるだけで(電話かけてる人もいるけど)、逃げた犯人を追おうとしない。逃げるには楽勝すぎるが、怪盗としてはすこしさみしい。

だれか追ってきて欲しい。だから予告状を出すのかもしれない。
とりあえずダイヤはいただきました
とりあえずダイヤはいただきました

謎が多すぎる

予告状を出す理由は謎だったが、答えは「かまってほしいから」に違いない。

せっかく盗んだのにわーわー騒ぎになって追われないのは怪盗として悲しい。せっかく予告状を出したのだから、被害者は一丸となってまじめ犯人を探してほしい。そう思った。

しかし電気を消すトリックは謎のままである。他に怪盗といえば「逃げるときに気球(もしくはグライダー)で闇夜に消える」というのがあるが、あれがどこに着地するのかも気になる。怪盗の描かれてない場面には謎が多すぎる。
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