おっぱい風呂とはこういうことだ
新潟県十日町市は、世界有数の豪雪地帯と言われ、3月下旬でも少し山に登るとこんな雪景色を望むことができる。
棚田の名所「星峠」も雪化粧で真っ白に。
そしてここは、日本三大薬湯に数えられる松之山温泉。
この温泉旅館、白川屋さんにおっぱい温泉なるものがあるという。
さて! もったいぶらずに最初から見せちゃいます。
せーのっ!
べん!
べべん!!
べべべべーん!!!
どん!
どどん!!
どどどどーん!!!
こちらが「初代おっぱい風呂」だそうです。
どうですか?噴き出しませんか。
お乳が…じゃなくて、疑問の数々!
何故つくったのか、いつからあるのか、バストサイズは、モデルは誰か、後ろふたつは最後まで謎ですが、旅館の主人に詳しくお話を伺いました。
白川屋の四代目ご主人、小野塚力(ちから)さん。
35年前、三代目ご主人に「おっぱい」のイメージが降りてきた
私 「いきなりですが、何故『おっぱい温泉』をつくったのですか?」
主人「私の父、つまり三代目がね、35年前(1980年前後)に旅館をリニューアルするときにつくったんですよ」
私 「35年!あのおっぱい、私より歳上だったんだ…。三代目が、となるとこの旅館はいつからある訳で?」
主人「1930年の…真ん中くらいですね、私で四代目です」
私 「創業80年ほどですか、かなり長いんですね」
主人「どうせリニューアルするなら、客寄せになるようなおもしろいものをつくりたいってね。それで思い悩んでいたときに、寝ていると…パッ!と、おっぱいのイメージが浮かんできたらしいです」
私 「枕元に神や先祖が立って啓示する、とかは聞きますが…枕元におっぱいですか笑」
主人「そう笑。考えてみれば、人が最初に口にするものはお母さんのおっぱいだし、命の源だとも言える。丸いことは、円満などのイメージもあるし縁起も良い、それじゃ『おっぱい温泉やろう!』ということになりました」
濡れないようズボンを脱いで撮影しました。
同行した友人・ドラ塚さんも脱ぎました。
実はおっぱい、ポルトガルから取り寄せためちゃめちゃいい石
私 「ちなみにモデルの方っているんでしょうか?」
主人「うーん、あれは石屋さんのイメージだと思います。エロティックな感じにはしたくない、見ると思わずニッコリするようなものにしたい、そこは父と共通の考えだったそうです」
私 「確かに、不思議といやらしさはないですよね。ギリシャ絵画にあるような、母性を感じる裸体のようです」
主人「ただ、問題もあって、松之山の温泉は古代の海水だった説もあって塩分が濃いんですね、それに熱いので、すぐボロボロになっては困る。並の石ではどうしても解決できなかったのですが、石屋さんがいろいろと調べてくれて、『ポルトガル製なら丈夫!』ということでわざわざ取り寄せてもらいました」
私 「ポルトガルの石も、まさか自分がおっぱいになるとは思っていなかったでしょうね」
主人「石屋さんも普段は墓や石像をつくっていますからね、でも父といっしょにノリノリでやってくれたみたいです」
35年流れる塩水をものともしないおっぱいを別角度で。
この日は小学校から宿泊予定が。温泉で盛り上がる光景が目に浮かぶ、または恥じらう年頃か。
大きなおっぱいはおっぱい、小さなおっぱいは「こっぱい」
私 「それがさきほど見させてもらったふたつの…」
主人「大きな方ですね」
私 「ですよね、初代。小さな方はいつ頃にできたのですか?」
主人「そちらは10年前、私の代のときで、浴場をリニューアルするタイミングでつくりました」
私 「10年前だと10歳になるんですねー。35歳と10歳…ちょうど年齢も親子くらいというところがまたおもしろい」
主人「あれ、公には初代と二代目と呼んでいるのですが、うち(旅館内)では『おっぱい』と『こっぱい』と呼んでいるんですよ」
私 「あ~…子どもだから!こっぱい!」
主人「初代はグラマーな感じだったのですが、こっぱいについてはより若々しい感じで、とお願いしました」
私 「それは初代のときと同じ石屋さんに?」
主人「はい。内装は、アーキテクトKという設計会社で旅館の設計などを中心にやられている松葉啓(ひろし)さんにお願いしました。『おっぱいを活かしてほしいんです』と伝えたら、最初に『えっ?』って聞き返されましたね笑。ただ最終的にはおもしろがって『じゃあ、やるか!』となり、おっぱいを強調するスポットライトまで付けていただきました」
初代から25年の時を経て、再びおっぱいがつないだ一致団結。こう書くとまるで女湯でも覗くようだが、言うまでもなく極めて健全なクリエーションである。後に松葉啓さんについて調べたところ、情熱大陸にも出ている大物建築士の方でした。
こっぱいこと二代目おっぱい、大好評!
男性より女性の方がおもしろがる
私 「お客さんの反応はどうですか?」
主人「それがね、男性よりも女性の方がおもしろがってくれるんですよ」
私 「あー男性はおもしろがっていいのかちょっと考えちゃうかも。女性の方がそういうしがらみが無い分、遠慮なく笑えるのかもしれませんね」
主人「男性は意外にシャイで食いつかないですね。それより女性の方が、とくに若い子が『(サイズが)負けたー!』とか言ってる光景を目にします」
私 「あれに勝てるってどれだけだよって話です笑」
主人「ただ、電話で怒ってくる人もたまにいますね」
私 「えぇ…『けしからん!』みたいな?」
主人「はい。どこで聞いたのかは分かりませんが…こちらはジョークだジョークだと言うんですけど」
私 「いろいろ想像をふくらませてついには怒ってくるって、引いて見たらおもしろいですね」
山上たつひこ先生が一番おもしろがっているかもしれない(サイン色紙が四枚も!)。
おっぱいは家族の一員!
私 「男湯と女湯は固定なんですか?」
主人「いいえ、日替わりです」
私 「ということは一泊して夜と朝に入ればどちらのおっぱいも楽しめますね!」
入口の照明、風呂の右に謎のふりがなが。
私 「そういえば入口の照明にふりがなが振られていましたが…」
主人「あぁ、あれはうちのいたずら坊主が昔やった落書きでね。小さい子が読めないからと書いたんですよ。ばあさんが花の紙を重ねて貼ったけど、光で透けて分かっちゃうってね」
私 「幼くしてホスピタリティ精神すごいじゃないですか!ちなみに今何歳で?」
主人「小学四年生だね」
私 「おっぱいは好きですか?」
主人「好きだね。保育園までかか(お母さん)のおっぱいなしでは寝れなかったくらいだよ」
それなら、(継げば)五代目のおっぱい温泉も安泰だ。
私 「ご家族も普段はおっぱい温泉に入るんでしょうか?」
主人「自宅は別にあるので毎日じゃないけど、しょっちゅう入ってます」
私 「ではもう、35年前からずっと見ている訳ですよね」
主人 「はい。もう男だから…とかではなく、離れがたい感情がありますね」
私 「では最後に。白川屋さんにとって、おっぱいとは何ですか?」
主人「いやぁ、もう、家族であり、我が旅館のスターだね」
おっぱいに注がれる、世界でもっとも清廉潔白で真摯な愛情
おっぱいが何かと聞かれて「家族」と答える。そんなやりとりがこの世界中で白川屋を置いてほかにあろうか。いや、あるかもしれないけど、だいたい無いんじゃないかな、きっと。それは、おっぱいに注がれるどんな思いよりも、清廉潔白で真摯な愛情と呼べるのかもしれない。
松之山温泉の泉質は、皮膚のトラブル(かぶれやアトピー)に良く、神経痛やリウマチに良いそうです。お肌もトゥルットゥルになりました。近くには美しいブナ林として有名な美人林もあります。十日町にお立ち寄りの際は是非、おっぱい温泉こと
白川屋へ!
「ところで玄関前に置かれてた石像は?」「じいさん(二代目)に似てたから置いてる」