特集 2016年4月6日

なんと美しき寄生虫の姿!左仲博士の博物画を鑑賞する

条虫は「デューン砂の惑星」だなこれ

もう1種展示される予定の条虫はサナダムシという呼び名で知られるマジで長い寄生虫である(短いのもいます)
寄生虫館では8.8mの成虫(日本海裂頭条虫)の標本が同じ長さのヒモと並んで展示されている。
寄生虫館では8.8mの成虫(日本海裂頭条虫)の標本が同じ長さのヒモと並んで展示されている。
「条虫はなんせ長いので全体を描かずに部分図で表示する事が多いです」
頭部(頭節)の拡大図と体の一部(体節)の断面図で表す事が多い。
頭部(頭節)の拡大図と体の一部(体節)の断面図で表す事が多い。
「頭節っていうのは宿主の消化管にくっつく機能がある器官で、形状の個性が出やすいところです。溝状になって吸盤みたいに吸い付いたり、鉤といってトゲトゲみたいなのを打ち込んだり」
UMA感あふれる頭部の形状。SF小説の挿入画を見ているようだ。
UMA感あふれる頭部の形状。SF小説の挿入画を見ているようだ。
パンキッシュな頭節!
パンキッシュな頭節!
「これらの絵を見ていて本当にすごいなと思うのは、修正した跡がほとんどないんですよ。顕微鏡覗きながら筆で描いてるのに」

--たしかに、フリクション使ってるわけじゃないですもんね。
「お、ありますよ修正」「お、ほんとだ!いい修正! レアな修正で盛り上がる。
「お、ありますよ修正」「お、ほんとだ!いい修正! レアな修正で盛り上がる。
左仲直筆と思われるサインも発見。
左仲直筆と思われるサインも発見。
左仲は1976年に満81歳で逝去しているが、晩年の1975年にも600ページ近くの著作を上梓している。

「独自の研究や論文だけでなく、他人の研究や論文も世界中から資料として集めて寄生虫の分類を体系化し、本にして共有化している。資金があったとはいえ、1人の研究者の仕事としてはあまりにも壮大です。パソコンも、ワープロもなかった時代ですからね」
左仲直筆の原稿、情報の更新により、何度も上書きされている。紙面から伝わる熱気に背筋が伸びる……。
左仲直筆の原稿、情報の更新により、何度も上書きされている。紙面から伝わる熱気に背筋が伸びる……。
「今回の展示で原画の美しさにくわえ、左仲博士の業績や、昔の研究者のバイタリティのすごさを少しでも感じてもらえたらと思います」
カマキリに寄生するハリガネムシという寄生虫がいる。カマキリの腹の中で成虫になると、水の中で産卵するために宿主のカマキリを操って河川に向かわせ、飛び込ませる。

数奇な運命から寄生虫の世界に飛び込み、1,400もの新種を見出し、膨大な分類を体系化した山口左仲博士もまた、承認欲求にあふれた寄生虫達に導かれた宿主だったのではないか(かっこいい)
「ハハハ、そうかもしれないですねえ」
ややウケかー。
ややウケかー。
4月より常設展示がスタート。決して広くはないスペースだが、じっくり細部まで原画を鑑賞できる工夫が凝らされている。寄生虫好き(特に吸虫、条虫好き)や博物画好きの方はぜひ覗いてみてほしい。
 権之助坂を転がるようにして駆けつけた。
権之助坂を転がるようにして駆けつけた。
タッチパネルで拡大可能!
タッチパネルで拡大可能!

具体的なスケジュールは未定だが、膨大なコレクションの中から少しずつ差し替えて展示していく予定との事。
更新情報などは寄生虫館のホームページでチェックしてほしい。2016年4月より、休館日が「毎週月曜日・火曜日」の週2日に変更となったので注意。
原画のポストカードできないかな (写真は「虎の巻」のポストカード)
原画のポストカードできないかな (写真は「虎の巻」のポストカード)

取材協力:公益財団法人 目黒寄生虫館
ホームページ:http://www.kiseichu.org/
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