賑やかな岐阜駅前
地元の人に頼り切るぞ、と何の情報も持たないままに岐阜駅にやってきた。
さすが県庁所在地。駅前には高層ビルが建ち、立派なアーケード街が近くに続く。
駅前には「岐阜」の名付け親である織田信長像。
駅前は飲み屋街やデパート、お役所が密集している。
なんか面白そうな駅前アーケード街。
駅前のレンタサイクルで自転車を借り(なんと1日100円!)、さっそくそこでオススメの場所を聞いた。
岐阜市に来たなら定番の岐阜城へ行けとのことだが、その手前にもオススメがあるらしい。
駅前から15分程こいだあたりで城が見えた。山の天辺にあって格好いい。
岐阜城に行く手前にある「金鳳正法寺」。ここに親近感のわく大仏がいるというのだ。
おすすめスポットその1:カメラ目線してくれる大仏
最初のオススメは屋内に安置された大仏だった。岐阜大仏とも呼ばれ、日本三大仏のひとつらしい。(※三大仏の定義は諸説あるが)
中に入ってすぐオススメされた理由が分かった。やさしくあたたかい眼差しがこちらに向けられているのだ。
ローラの「オッケー☆」という声が聞こえてきそう。
大仏さんがだいぶ下を向いている。後ろにある光背もグイッと前傾。
高さ13.7メートル。建物が大仏に合わせてギリギリなのも面白い。
受付のお兄さんによると、この大仏は災害や飢饉にあった町民たちを救済するためにつくられたそうで、参拝者と目がしっかり合うようにできている。おかげで「見守られている感」がすごい。
奈良の大仏は正面を向いているし、鎌倉の大仏は下を向いてるけど表情が怖い。比べるのもなんだが、岐阜の大仏は良い大仏である。
受付のお兄さんにもオススメを聞いた。「ユーレイが出る庭園があります」。ええっ!
おすすめスポットその2:ユーレイが出る池
岐阜城のふもとには岐阜公園という広場がある。
観光客はそこからロープウェイに乗って城に向かってしまうが、実は奥には「日中友好庭園」という中国式の美しい庭園があるという。
お兄さんはその庭園が好きらしいが、池にユーレイが出ると噂されるところでもあるそうだ。
地元でユーレイが出ると噂の公園。中国様式できれい。
ひとけが無くドキドキしたがユーレイはおらず。
休憩がてらベンチに座って10分ほど池を眺める。しかしユーレイは出てこなかった。ずっとボーっとしていたので他の人が見たら私がユーレイのように見えたかもしれない。
おすすめスポットその3:岐阜城とリスの餌やり
ロープウェイですぐ岐阜城にいける。
ロープウェイ降りたところにはなぜかリス園が。餌目当てのリスがグイグイくる!
レンタサイクルのおじさんが、岐阜城にいくついでにリス園にいくといいと教えてくれていた。
20畳くらいのエリアにリスがわんさかいて、気軽にエサやりができるのだ。岐阜市にリスのイメージはないが大変モテるのでテンションがあがる。
そしてこの眺望。山の上からだもの、超絶景! 長良川が美しい。
反対側。川が龍のよう。
岐阜城で信長登場
城内の展望エリアから絶景を見ていると、そこへいかにも名物そうなおじさんが現れた。
これは声をかけないといけないだろう。
信長と名乗るおじさんにも聞こう。TV慣れしてるからまかせとけ、とポーズつくってくれた。
川原町の町並み
信長おじさんの案内により、岐阜城から下りて長良川近くにむかった。
そこには「川原町」と呼ばれる昔ながらの家屋が並ぶエリアがある。
江戸時代の風情ある町並みが残っている。こんな素敵な場所があったとは!
昔は長良川の水運を利用した川港として栄え、多くの商店で賑わっていたそうだ。今では外観はそのままに、飲食店となっているところもあるそう。
その中にはちょうど、大仏のお兄さんがオススメしてくれたカフェがある。向かってみよう。
町並みに配慮して目立たないようにある「池戸」。こちらは明治時代に建てられたもの。
建物の中は博物館のように昔の着物や雑貨が飾られていた。
店内は思った以上に広く、テーブル席がいくつもあった。ちょっとした庭をのぞむところもあるし、最奥には蔵をつかった部屋も。
カウンター席がある部屋とはまた別に奥につづく。
なかなか出来ない体験なので蔵でいただくことにした。
店内にはジャズが流れ、雰囲気がいい。夜はバーになるらしい。
そしてこれが大仏のお兄さんオススメのハンバーガー(800円)。赤ん坊の頭くらいある!
おすすめスポット4:知る人ぞ知る、池戸の特大バーガー
町並みのイメージを裏切る、特大のハンバーガー。ベーコンに目玉焼きにチーズ、新鮮なトマトにレタス、そして肉汁がジュワジュワのハンバーグ。
豪快に積み上げられたそれらを一気に頬張ると、口の中で食材が絡み合い、ムハーとエネルギーが湧いてくる感じ。
メニューは他にスパゲティやスイーツがあった。夜はお酒も出るらしいから、長良川散策後に来るのもいいかもしれない。
黄金色に輝くポテトつき。スパイシーでうまい!
満腹で店を出ると声をかけてくるおじさんが。岐阜に知り合いはいないぞ。
よく見たらさっきの信長おじさんだった!
なんと、さっき会ったばかりの信長おじさんがヤラセかのようにタイミングよく歩いてきた。格好が変わっている。
実は彼は単なる目立ちたがりではなく、ボランティアガイドをしているそうで、今度はこの川原町の案内をする時間らしい。
せっかくなので少しだけ案内をしてもらった。
「うだつ」と言われる防火壁など、屋根に注目するとけっこう面白い。こちらは「屋根神様」。火除け厄除けにまつられているそう。
またお会いしましょう、と冗談交じりの挨拶をして、今度は長良川を渡った。その先には鵜匠さんの家が集まるエリアがあるそうなのだ。
長良川を渡る。たもとには鵜飼を見る屋形船が並ぶ。
突然の足湯スポット
鵜匠さんの家を探していると、「足湯」という看板をみつけた。のぞいてみたら、鵜飼で使う船型の足湯につかる人たちが並んでいる。突然すぎて面白い光景だ。
長良川観光ホテル横。長良川温泉がくまれていて無料で入れる。
もちろん入る。疲れがとれる~
常連客さんたちから情報をゲットできた! こういう場は貴重だな。
おすすめスポット5:鵜匠さんがいれてくれるコーヒー
さっそくではあるが、足湯で教わったオススメの場所へ行くことに。
なんと鵜匠さんがやっている喫茶店があるというのだ。
この辺りに鵜匠さん家が固まってるとは聞いたけど、看板に名前まで出ている。よく見たら案内マップにも載ってた。
やってきたのは喫茶「鵜の庵 鵜」。家とつながってる模様。
入ると鵜匠さんがレジ打ちをしていた。
鵜匠さん自らいれてくれるホットコーヒー。つまみが嬉しい。お店では他に鮎料理も出している。
鵜飼の歴史は1300年にもなる。
鵜飼をしているところは全国にいくつかあるが、長良川の鵜匠は職名を宮内庁式部職鵜匠といって、国家公務員の身分が認められている。
一子相伝のため鵜飼ができる人は限られており、ここ岐阜市には6人。(残りは隣の関市に3人)
そんな貴重な鵜匠さんがいれてくれたコーヒーが飲めるとは、とても光栄である。
しかもここ、鵜を間近で見られるのだ!
息子さんが近くまで入れてくれた。長い首をあげさげして可愛い。
そういえば信長おじさんが、鵜匠の家では犬を飼うように庭で鵜を飼っていると言っていた。
何軒かは外から覗けると思うよ、と言ってはいたが、こんなに間近でしっかりと見られる場所があったとは。
鵜飼は5月から10月にかけてしかやらないので、それ以外の間は家でゆっくり休ませているようだ。
キュッと首を捕まれテンポよくカゴに入れられていく鵜。なついてる感じがつたわった。
おすすめスポット6:長良川うかいミュージアムのソファ
次に向かったのは、すぐ近くのうかいミュージアム。
ここでは鵜飼について詳しく知ることができるのだろうが、足湯で聞いたオススメはそれではなく、入り口近くにあるソファであった。
鵜匠さんたちの家からほど近いうかいミュージアム。
中にある素敵なソファで寝っ転がるのがオススメ!
大きな窓の前面には、キラキラときらめく長良川と、天辺に岐阜城を乗せた雄大な山が見える。
足湯のお母さんは「なんてことないんだけど、ボーッと見上げてると気持ち良いのよね」と言っていた。いやそんなもんじゃない。鵜飼の時期にここにくれば、岐阜市の名物が一気に見られる絶好の場所だ。しかも寝ながらだ。
気持ち良すぎてこのまま寝てしまいそう。
次に目指したのはホテル。
これまたすぐ近くにあるホテルにやってきた。もちろん宿泊するためではない。ここには地元の人がオススメのスイーツがあるという。
おすすめスポット7:岐阜グランドホテルのあんぱん
ロビーで「ホテル名物」として出ている。
お目当てはあんぱん。ホテルの方がお水を出してくれた。
ほくほく粒あんがギッシリ!
岐阜グランドホテルのあんぱんはファンが多く、早ければ昼ごろに無くなる時もあるという。私同様、宿泊客だけでなくあんぱん目当てに訪れる人もいるというから凄い。
また、地元のイベントでも売り出すことがあるらしい。
ここからの景色も迫力ある。あんぱん一つでここにいていいのだろうかとソワソワしながら食べた。
まずい、日が暮れてきた。帰りながら行けるとこに向かおう。
おすすめスポット8:川原町の「手湯」
先程は見逃していたが、川原町には手専用の温泉「手湯」があると言うのでもう一度のぞいてみることにした。
さきほど来た川原町に戻ってきた。思ったより小さい「手湯」。
足湯よりも熱めだな、などとチャプチャプしてたら…
見覚えのある顔…
3度めの信長おじさんだ! また服が変わっている。ドッキリの仕掛け人じゃないよな。
嘘みたいだが、これまたタイミングよく信長おじさんがやってきた。今度は団体客を連れてのガイドである。
先ほどと同じエリアとはいえ、そこそこの広さの川原町。そこで偶然会えるなんて。
どんな格好でも信長
これは何かのご縁だなと、ガイドの合間を見計らってお名前を聞いた。すると「ツカハ……信長です」とあくまで信長だと主張。かなりの確率で会えるので、岐阜市に訪れた際は信長おじさんがいないか注目してほしい。
パワースポット伊奈波神社へ移動。岐阜市で一番のお宮さんだ。
そんな信長おじさんがススメてくれていたひとつ、パワースポットとして人気の伊奈波神社にやってきた。
そこには変わった狛犬がいるというのだ。
おすすめスポット9:伊奈波神社の逆立ち狛犬
普通の狛犬の裏側に隠れていた。ちゃんと「阿吽」の口をしていて可愛い。
この狛犬は、階段の最上段のところでお参りしたあと振り返ると見つけられる。しかし注目しないと見過ごしてしまう、隠れミッキーみたいな存在だ。
なんで逆立ちしているのかは不明だが、まるで気をつけて帰ってね、と挨拶してくれているようだ。
さいご、部活の試合帰りの高校生に聞いてみる。特に無いよなあ、と暗い表情になってしまった。
この辺にオススメなんて無いですよ、とネガティブな発言をする高校生たち。だが最終的には最近出来たという図書館が凄いらしい、という情報をゲットできた。
そういえば足湯でお姉さんの一人にススメられたところでもある。
おすすめスポット10:岐阜市立中央図書館がすごい
何がすごいかというと、表のイルミネーションがきれいなこと。そして建物のデザインが独創的なこと。そしてオープニングイベントで「本1万冊でドミノ倒し」に挑戦して色んなところに怒られたことが挙げられていた。
クリスマス前だったというのもあってイルミネーションが綺麗。
2015年の7月にできたばかりの曲線フォームが美しい建物。ぎふメディアコスモスこと「みんなの森」
実際に行ってみると、これが図書館か? と疑う外観だった。上の写真の通り、大胆に窓ガラスがはられ、外にさす明かりが美しい。虫が光に誘われるように入っていった。
一階には公共ホール、ギャラリー、スタジオといったスペースもあり、どうやら色んな目的で使われる総合施設のようだ。
図書館である2階部分にいったらこんな世界が!
どでかいランプシェードがたくさん。柄がみんな違い、凝ってる。
左の勉強するところもオシャレ。座席は900以上もあるそう。
そこには北欧あたりのデザインかと思わされるほどのオシャレ空間があった。普通図書館てもっと直線的で灰色なイメージだろう。
どうやって組まれたのかわからない天井の波打つ感じといい、悔しいほどにとにかくオシャレであった。
おすすめスポット11:シティ・タワー43のスカイラウンジ
駅前に戻ってくると、上の歩道スペースが青く光っててかっこ良くなってる。真ん中に建つのが「岐阜シティ・タワー43」。シンボル的タワーだ。
最後は高校生が教えてくれた43Fの展望スペースへ。パーティ会場が隣にあって、やっぱりオシャレ!
こんな感じで旅は終了。
一日のほとんどを歴史や自然といった昔からあるものに触れていたのに、最後はそれだけじゃないぞ、とオシャレな一面を見せつけられて終わった。
見上げたくなるまち
周りながら、見上げることの多かった旅だったなと思う。ことあるごとに山の上にある岐阜城を探してしまうのだ。夜はライトアップされて、昼夜存在感を強く放っていた。
他にも、岐阜大仏に川原町の屋根神様、図書館の巨大なランプシェード、と、見上げるものが多かった気がする。それらは偶然にも、どこか気持ちを落ち着かせてくれるところがあった。
足湯のお母さんも言っていたように、なんてことないけど、人はただ上を向くだけでも気持ちが落ち着くのかもしれない。そんな事に気付かされた旅だった。