特集 2016年3月1日

豆乳の味、多すぎやしないですか? メーカーにきいた

秋冬限定の豆乳が出てきた

――たとえばどんな味が出てきたんですか?

「味が増えはじめた当時出てたのが焼きいもだったり。あれは秋冬限定というのが業界では画期的で。やっぱり豆乳も清涼飲料なので春夏のほうが暑いから売れるんです。売り場のほうからも秋冬にいいものないの?と。

焼きいもはたまたま前の本社ビルに焼きいも売りに来たので焼きいも食べながら調製豆乳飲んでておいしかったので作ってみたのが……」

――あ、大島さんが考えたんですか?

「ああ、そうですね。焼きいもは。開発の技術がすごくて、できたものが焼きいも味でこれはいいねって。

秋冬商品なので8月末とかに出すんですよ。まだ焼きいもの雰囲気ではない。だから翌年マロンというものを出して。それが秋に売れるんですけど、12月に入ると焼きいもが売れる」

色んな味を出しはじめたのはどうやら大島さんのようだ。逮捕するなら今日しかない。

――商品は季節ごとに変わるんですか?

「そうですね。結局なんだかんだいってなにかが座ってるんですよね、棚に。マロンの次、焼きいもとかって。そうすると他のメーカーが新商品出しても入れない。棚に入り込めないので参入障壁にもなりつつ、秋冬がおわると次は春夏のこれが入るという席取り要員にもなってます」

たくさん種類がある理由の一つとしてスーパーの棚作りや場所とりも大きいようだ。
それにしてもどういうインタビュー風景なんだろうか
それにしてもどういうインタビュー風景なんだろうか

気軽にバニラアイスなんか出しやがって!→すみませんでしたー!!

――大島さんが全部の味を考えてるんですか?

「そういうわけではないですね。お客様の声も多いですね。乳アレルギーをもつお母様からうちの子はプリンとアイスが死ぬまで食べられませんと電話が入ったり。

豆乳って動物性のものをつかってないので、それでプリンができて、バニラアイスっていう商品もあるんですけどあれも同じように作って」

――バニラアイスそういうことだったんですか!(古賀)
――気軽にバニラアイスなんか出しやがってみたいに思ってましたけどそんなに深い理由が…(大北)

「 (笑)あれはストロー穴に箸でもつっこんで凍らせてもらうとなんとなくアイスクリームっぽくなりますね。プリン味は砂糖を加えてもらってゼラチンや寒天でかためてもらうとプリンっぽくなるので。

その電話もらったお母さんに、できたんで送ったんです。子供が喜んでてよかったですって。よかったっすねえって」

――よかったっすねえ…!

「黒ゴマとか抹茶とかありますけどほとんどお客さんから言われたものですね。電話がかかってきて『うちのおばあちゃんはいつも調製豆乳にごまときなこと混ぜて飲んでるけど作らされるのがめんどうだから混ぜたもの出してください』と。その後黒ゴマきなこというのを出しました」

もしかしたらメーカーに意見をだすとぼくらも豆乳の新しい味を出せるかもしれない。ちくわと混ぜさせられて困ってるんです、とメールでも書いてみようか……。
プリン味にそんな逸話が…
プリン味にそんな逸話が…

売れなかったもの

――何味が一番売れてるんですか?

「調製豆乳ですね。フレーバーでは麦芽コーヒーですね。麦芽コーヒー、紅茶、バナナです。売れてるのは1Lパックにもなってますね」

―― ぜんぜん売れなかったのあります?

「ありますよ! おやじにんにくとか」

――えっ!? にんにく?

「豆乳飲料おやじに捧げるにんにく。某量販店で一瞬だけ並べてもらったんです。無臭ニンニクをつかったコーヒー味のにんにくエキス入りの豆乳飲料」

――見たことがないです! 一ヶ月くらいですか?

「まあそうですね。いつからいつまで売れたとかいうのがわかんないくらい売れてないです」

かっこいい。その後「親父にんにく 豆乳」で検索をするとネットにその情報があった。なかなかに売れなさそうでロマンを感じる。
売れてるものは1Lパックになっている。麦芽コーヒーが一番
売れてるものは1Lパックになっている。麦芽コーヒーが一番

豆乳で炭酸を表現できるやつがいる

「味をつくるのは技術開発部でこの無炭酸系は炭酸を表現するノウハウをもってるやつがいますね

入社二年目にお願いしたんですけどそもそも駄菓子のラムネしか知らなくてね。開発部が岐阜にあるんですけど、飲料のラムネを送ってきて『もう先にやられてました』って。

――え?? どういうことですか?

「若くて飲料のラムネ知らないんですよね。『ラムネ味の飲料はすでに出されてました』って。100年以上前からあるから大丈夫だよって。飲んでみた?ってきいたらフタが開かないのでお店の人に聞いてみますって」

――逸話だ……(古賀)
――(飲む)ラムネ味、ラムネっぽさ強いですね!(大北)

「できあがったときになんでこんなに駄菓子っぽいんだ!と思ったら彼のラムネは駄菓子のラムネだという。

それは40代男性向けに作ったものなのでもうちょっと郷愁を感じながらグビグビ飲んでほしい」

しかし40代男性が昔のラムネをなつかしんで豆乳をグビグビ飲むのである。文字にすると未だ違和感がある。
果汁が入った「豆乳飲料」は大豆固形分2%以上。果汁なし豆乳飲料だと4%以上。6%以上になると「調製豆乳」となり8%以上で「豆乳」という扱いになるらしい
果汁が入った「豆乳飲料」は大豆固形分2%以上。果汁なし豆乳飲料だと4%以上。6%以上になると「調製豆乳」となり8%以上で「豆乳」という扱いになるらしい

実は豆乳でした、がこんな数になった

――で、結局なんでこんな数増えちゃったんですか?

「やっぱり、飲んでいるものが豆乳でした、っていうのが理想なんですよね。

豆乳だから飲みましょうだと豆乳飲む人以外は飲まないので。じゃあ豆乳以外のところでなにか引っ張ってくるような。

飲み物食べ物なのでおいしいことが前提なんで、豆乳だから飲んでますよりも、どこのメーカーのなにかわからないけど、毎日飲んでます食ってます、それが豆乳でしたというのが作り手の理想ではあるんです」

――それを追求していったら数が増えた?

「一品で全員が満足してくれたらメーカーとしてもそれがいいんですけど、選ぶたのしさというのもありますしね、ちょっとずつ角度を変えながら」

事情はわかりました。おめでとう、無罪です!
無罪放免を祝う記念写真
無罪放免を祝う記念写真

健康的な食品メーカーのお母さんっぽさ

――これからも種類は増やし続けるんですか?

「そうですね、フレーバーものは可能な限り出していきたいなとは思いますけど数が多くなってるんで
とっかえひっかえして」

――増え続けるんだ!

「食べる楽しさを飲む楽しさにというのがわれわれの会社のキャッチフレーズですけど……けっこうまじめに作ってるんですよ」

――……ふざけて作るパターンないですか?

「そういうパターンないですねー」

――ですよね!

もともとは植物性の良質なたんぱく質をとらせたいと出発した豆乳だが、今後成分を目当てに出すなら、日本人に足りていない食物繊維とカルシウムをとってもらうようにしたいと大島さんは言っていた。

健康的な商品作ってるメーカーは意外とお母さんっぽい。スーパーに並んだ商品にひそむこうしたお母さんっぽさで私たちの日々の健康は支えられているのだろう。

危ない危ない。お母さんを逮捕するところだった。おまわりさん危機一髪である。
「すいません、最後に記念写真撮っていただきたいんですけど…」と広報の方にお願いして撮影された一枚
「すいません、最後に記念写真撮っていただきたいんですけど…」と広報の方にお願いして撮影された一枚
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