特集 イカはうまい 2016年2月29日

イカしゅうまいの毛量調査

謎のあいつの「もしゃもしゃ密度」を測りました。
謎のあいつの「もしゃもしゃ密度」を測りました。
なんというかこう、見たことはあるのだ。
居酒屋のメニュー写真とかで、あるだろう。あの、白くてもしゃもしゃとしたあいつ。
なんとなく口の中で味も再現できる気がするけど、特に食べた記憶はないし、高級食品なのか安いのかも見当がつかない。
見た目と同様に、何かともやもやするやつ、イカしゅうまい。

イカしゅうまいが持つ曖昧性は、やはりあの見た目によるところが大きいと思う。
ならば、まずはその辺りからハッキリさせてやろうではないか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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イカしゅうまい、どれほど毛深いか調査

とりあえず、イカしゅうまいのイカしゅうまいたる所以と言えば、あの「もしゃもしゃ」だ。
イカを細切りにしたやつをイカのすり身団子に貼り付けてある、という理論はわかる。
理論はわかるが、なんというか「もしゃもしゃ」し過ぎてて根源的に正体不明なのだ。
あんなに毛がもしゃもしゃしてるのを食べて、本当にいいのか。
左右の箱入りが高くて、真ん中のが安いやつ。
左右の箱入りが高くて、真ん中のが安いやつ。
ひとまず、通販で購入できるイカしゅうまいを3種類取り寄せてみた。
イカしゅうまいの元祖という佐賀県唐津の有名店のものから函館産のものまで揃えた。
「北は北海道から南は九州まで」ということで、ひとまずイカしゅうまいが一地方のローカルフードなどではなく、ある程度の普遍性がある食べ物だということは証明できた。

この調査サンプルは、今後、写真向かって左から
A(佐賀産 1000円以上)※ 元祖イカしゅうまい
B(函館産 1000円以下)
C(函館産 1000円以上)
と呼称する。
Aに同梱されていた食べ方を書いたシート。そして深まる謎。ピザトーストでいいのか。
Aに同梱されていた食べ方を書いたシート。そして深まる謎。ピザトーストでいいのか。
で、今回はイカしゅうまいの正体を探るのが目的である。
そのため、味などの主観的なレポートは一際行わない。客観的に「イカしゅうまいの毛並み調べ」のみに絞って調査したい。
加熱調理前でも一目で分かる毛並みの差。こんなに違う。
加熱調理前でも一目で分かる毛並みの差。こんなに違う。
取り寄せてみる前は「それにしたって、もしゃもしゃにそんな差が出るかな」と心配だったのだが、実物を前にすると、はっきりと分かる。
毛量というか、もしゃもしゃの太さや密度に明確な差があった。
蒸し器で加熱すると、このように。見た目がだいぶ違う。
蒸し器で加熱すると、このように。見た目がだいぶ違う。
調査は、それぞれパッケージに記載されているとおりの蒸し時間で加熱後、一定の面積からもしゃもしゃを剥ぎ取り、その本数をカウント。
ここから1センチ四方あたりの毛量を算出した。
ピンセットで一本ずつもしゃもしゃを剥ぐ。なんか背徳的。
ピンセットで一本ずつもしゃもしゃを剥ぐ。なんか背徳的。
ちなみに、動物で最も毛深いとされているのはラッコ。1センチ四方あたり約10万本の毛が生えているそうだ。
イカしゅうまいのもしゃもしゃとは全く関係ないが豆知識として書いてみた。

サンプルA 唐津産イカしゅうまい

さて、まずは元祖ということで、これがイカしゅうまいの標準であると考えられる。
今回のサンプルの中では、最も毛足が長い。見るからにもしゃもしゃだ。
言っちゃ何だが、食べ物感が薄い。
カテゴリとしては『ねるねるねるね』とか、おもしろ食べ物側のものだと思う。
バーバモジャ(白)。
バーバモジャ(白)。
いきなりもしゃもしゃの剥ぎ甲斐があるサンプルだが、できるだけ丁寧に一本ずつほぐしながら取り出してみた。
さすが元祖、なかなかのもしゃ密度。
さすが元祖、なかなかのもしゃ密度。
切れたものは可能な限りつなぎ合わせて1本とカウントし、サンプルAの計測結果は13本/㎠となった。
剥ぎ始めはもうちょっと少ないかと思ったが、もしゃの下にまだもしゃの層があったりと、なかなか地肌に到達しない。気が付くと結構な本数を抜いていた。
サンプルA:13本/㎠
元祖イカしゅうまいのもしゃもしゃ、これが多いのか少ないのか、もしくは標準なのか。
次のサンプルを見てみよう。

サンプルB 函館産イカしゅうまい(安い方)

続いては、イカで有名な函館のイカしゅうまいである。
今回唯一のU1000(アンダー1000円)からの招集ということで、もしゃ少なめではないかと予測される。
続いては、イカで有名な函館のイカしゅうまいである。 今回唯一のU1000(アンダー1000円)からの招集ということで、もしゃ少なめではないかと予測される。
続いては、イカで有名な函館のイカしゅうまいである。 今回唯一のU1000(アンダー1000円)からの招集ということで、もしゃ少なめではないかと予測される。
予測というか、加熱調理した時点ですでに一部から地肌が露出している。これは間違いなく少ない。
やはり、価格の差が素直に毛量に反映されているのか。
あっという間に剥ぎ終わる。
あっという間に剥ぎ終わる。
サンプルB、結果は4本/㎠となった。
やはり少ない。サンプルAのようにもしゃが層になって重なっているということもなく、剥いだらダイレクトに地肌。

あと、もしゃは太くて硬い。
今回は食べての感想は無しのつもりだったが、この硬さはさすがに食感に影響したとお伝えしておく。他のもしゃがしっとりとした食感であるなか、Bは口の中でモサモサした。
サンプルB:4本/㎠
最後に、唐津の元祖とほぼ同価格帯である函館産のサンプルCだ。

サンプルC 函館産イカしゅうまい(高い方)

同じ函館産だが、さすがお値段そこそこする方。外見的には美しいもしゃ密度である。
毛足は他より若干短いようだが、細くてみっしりとしている。
まりも(白)
まりも(白)
まわりのもしゃが細かいので、うっかりすると「点心でよくある米粒をまぶしたしゅうまい」のようにも見える。
案の定、細くて剥ぎにくい。
案の定、細くて剥ぎにくい。
剥いでみると、確かに細いもしゃが複雑に絡み合っていたが、意外と層は薄い。
何本か剥ぐとあっさりと地肌が見えてきた。この層の薄さが、函館イカしゅうまいの特徴なのかもしれない。
それでも計測結果は12本/㎠と、サンプルAに迫る数値である。
サンプルC:12本/㎠
イカしゅうまいの毛量調査、以上が結果である。

「じゃあ、これで何が分かるのか」と言われると困る。

イカしゅうまいのもしゃもしゃ具合を計測してみたかっただけなので、この数値には意味はないのだ。

サンプルAとCはけっこう美味しかったが、それはもしゃもしゃ密度ではなく単に「高いヤツが美味い」という話だと思う。
撮影中、美味そうな匂いのせいでずっと猫に邪魔された。猫はイカ駄目だ。
撮影中、美味そうな匂いのせいでずっと猫に邪魔された。猫はイカ駄目だ。
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