役場が店っぽい町・鬼北町
愛媛県宇和島市の隣に位置する「鬼北町」。「おにきた」? 「鬼、来た」っぽい名前だなーと思っていたら読み方が違った。「きほくちょう」だ。
役場の近くにスーパーらしき建物があり、なにか飲みものでも買おうと駐車場に車を停めてから気付いた。これも役場か……!
スーパーじゃなかった
ここは公共の交通機関だとなかなか行きにくい山間の町で、自分の祖父母の家がある町と似た風景。帰省したかと錯覚してしまう、個人的には落ち着く雰囲気だ。
そして「鬼嫁コンテスト」の会場はというと、向こうのほうに見える地元の中学校とのこと。
あそこに見えるのが……決戦の舞台……!? (いや、別に出るわけじゃないが)
ほかにはなにがあるかというと、道の駅にある鬼のモニュメント「鬼王丸」!
道の駅のど真ん中にドーーン!! と立ってる
昨年できたばかりだが、ここで拝んだ人から「孫が東大に合格しました」というお礼のハガキが役場に届いたり、この宝くじ売り場から1000万と100万という高額当選が出たり……と、縁起のいいエピソードが続々と出てきてるらしい。
よし……ここで宝くじ買って、拝んでおくか!
買ってみた。高額当選したときにばれないようモザイク処理(……いや、たぶん騒いでしまってばれる)
さい銭いっぱい置かれてる
当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ……
鬼北町、鬼で町おこしって言ってるけど他に何があるんだろう?
この町に来たら行っとけ! という鬼スポットとかあるのかな? と聞いてみたところ……
どうやら平成25年に「鬼のまちづくり」がスタートし、昨年鬼のモニュメントが完成。そして今年はじめて開催されるというイベントが、今から見に行く「鬼嫁コンテスト」なので、まだまだこれからなのだ。
コンテスト会場の中学校へ!
会場となってる中学の敷地内では「きじ鍋まつり」も開催されてた。
わかりやすく「体育館」と書かれてる
その横できじ鍋祭りが開催されてた
鬼北町の特産はきじ肉らしいが、「鬼がきじに復讐して肉にされた」みたいな桃太郎の後日談っぽさあるな……。
地元で生産されてる「鬼北米」のブースの紙袋がすごくかっこよくて、袋欲しさに商品買った。しばらく使う気満々だったのに、旅の途中でうっかり穴をあけてしまって結構本気で悔しい。
でかでかと「鬼」ってかっこよくないか! と思ってたら、あっという間にボロボロに……
会場の体育館に入ってみると、「体育館にパイプ椅子が並んでる」という卒業式っぽさが。思いがけずノスタルジー!
いつぶりか、こういう雰囲気
潔い校訓
夫婦漫才の夫婦が審査員でやってくる
鬼嫁のコンテストとは……
まずはコンテストの主旨について、
「ここでは、ただこわいという意味の鬼ではなく、仕事の鬼的な意味での鬼とします」
「心を鬼にしてコツコツと良い家庭づくりをするのが真の鬼嫁です」
「やさしい鬼嫁の場合もあります」
「良妻賢母を証明するためにがんばってください」
というまるでなにかをおそれてるかのような、やや過剰な説明から始まった。
出場者はこの5名(というか5組の夫婦)
出場者は22歳から63歳。結婚年数は2年から25年までと幅広い。全員愛媛県内在住の方々だが、鬼北町に来るのはほとんどの人が初めて。そんな中、「鬼北町クイズ」から始まる。
チームプレイを試されたり
ゆるキャラ出てきたり (鬼北町の「きほくん」)
クイズ形式で進められていったが、夫婦間のやり取りを主に見られているので、当たろうが外れようが、たぶんそんなに関係ない。
そして次は二人羽織。旦那さんにきじ鍋を食べさせる。
二人羽織ってないけど、目隠し食べさせ
テレビなんかではよく見る光景だが、生で見物する機会も参加する機会もそうそうないのが二人羽織だ。羽織ってないけど。
バリウムのほうがまだ楽らしい
勝利の瞬間、夫婦間での表情の差がすごい
ほかには「奥さんに直してほしいと思ってるところクイズ」があったり。
これは「目つきを直してほしいと思ってるんじゃないかな……?」と奥さんが言ったところで、旦那さんが出した回答が「ゲップ」! ええっ!
当てさせるつもりあるのか! ゲップって!
休憩中に話を聞いてみよう!
途中休憩があったので、舞台裏に行って話を聞いてみた。
舞台裏はわきあいあいとしてた
そもそもこういう所に出てくる人たちって、他のコンテストへの出場経験もあったりするんじゃないだろうか。
「これ以外にもなにか他にコンテストに出たことってあるんですか?」
「新婚さんいらっしゃいに出る予定でした! 他の用事が入ってダメになったけど……」と答えてくれたのは、22歳の若奥さん。
左が「新婚さんいらっしゃい!」に出そびれた坂本さん(22)。奥さん同士で喋ってたところを撮らせてもらった
あーー、「新婚さんいらっしゃい!」に出たがる人がこういうのにも出てくるのか! なんかすごく納得。
他の人は意外にも「こういうのに出るのは初めて」という人ばかりだ。「普段から出たがりです」 という人も多かったが、その反対に「二人ともほんとは人前に出る感じではないんですけど……。流れで。」という声も。
ほんとは人前に出る感じではなく、旦那さんはあがり症、という弓矢さん夫婦。旦那さんの普段の呼び名は「つーくん」
こちらの小室(おむろ)さん夫婦は、話を聞いてる最中、余計なことを言わないように旦那さんをナチュラルに抑制する奥さんが舞台の上のまんまで笑った。
はいはい、そこまで!!
こちらの旦那さんの密かな楽しみは、出張に行った先でのご当地キーホルダー集めで、結構な量をためこんでいるのをたまに奥さんが見つけ出すらしい。リスか。
ついでに奥さんは柔道家で、なにかあると痛くなるように投げるらしい。この日その技を見ることはできなかったが、どの程度、なにをどうするんだろうか……。
古民家は誰の手に!?
さて、もう一度コンテストに戻ろう。
つぎは「普段通りの呼び方で呼びかけて、欲しいものを取ってきてもらえるか!?」ゲーム。
以心伝心を試すというか、念で心に訴えかけるテレパシーへの挑戦ともいえるこのゲームは、リビングっぽいセットを使って「普段通りに振舞ってください」という設定でおこなわれる。
はずすとピコピコハンマーで叩かれるという分かりやすいルール
さっき話を聞いたこの夫婦、「二人ともほんとは人前に出る感じではない」ってほんとかよと言いたくなる
当てた!! うおおおお!!!
やったーー!!
「普段通り」という設定になってるとは言え、座り方、叩き方など、ある程度のパフォーマンス力が求められる。
これも当たるか外すかは、たぶん審査にそんなに関係ない。
柔道家の奥さんが合い間にたびたび旦那さんをねぎらい肩をもむ姿が印象に残る
終盤になると、「ああ、たぶんこの夫婦が優勝するんだろうな」というのがなんとなくあった。
さっぱりとした雰囲気の奥さんの、おそらく普段通りなんだろうなという自然な振る舞いが妙に見ごたえがあって、目立っていた。
最後、奥さんから手紙を読むコーナーで、これからもよろしくと頭を下げる。この人すごく動きがシャキッとしているなぁ。柔道家だからか?
そして案の定優勝したのがこちらの小室夫婦……というか、奥さんの明日香さん。(ちなみに準優勝は「人前に出るの苦手」と言ってた弓矢さん。)
申込書類の旦那さんと奥さんの欄を逆に書いてきたときから気になってました、と言われてた
今後はトロフィー代わりの金の金棒で旦那さんを操るそうだ
それにしても「いろりがある30坪の古民家が1年間無料貸出」ってどういうことなんだ。
……と思ったが、本来はアウトドア体験をするようなときに泊まれる町の施設で、結構山奥にあるらしい。普段会社勤めの人が住むには無理なのか、残念。
今後、鬼北町の町おこしがどう動いていくのか楽しみだ。鬼の町として突っ走っていって欲しい。
今回は鬼嫁コンテストの見物のみを楽しんで帰ってきたが、実は昨年末に鬼北町が開催してた「鬼造形大賞」という鬼の形の造形物の公募イベントのほうも気になっていた。この日それについても知りたかったのだが、何も知ることができず。
私も応募しようと作りかけてたのだが、締め切りに間に合わず、今まだめちゃめちゃ作りかけなのだ。結局応募できなかったが、経過も気になっていた。それについても今後の動向を追っていきたい。