クリーニング1:オーブントースター
問題となったオーブントースターがこちらだ。
全体的にベタベタしそう。
ラベルを見ると98年製造と書かれていた。人間なら高校も卒業しようかという年齢である。恐ろしいことだ。
まるで掃除したことがないということではないものの、見るからに古びていて手付かずのままそこにいたという風格だ。いわば聖域である。
オーブントースターを外に持ち出すとゴミっぽくなる。発見だ。
これから掃除するのでそのまま持ちだした。きたない。
どう掃除したらいいのかわからないので、とりあえず外に持ってきた。ボロい家電が外にあると粗大ごみっぽくなる。聖域だったものが一気に恥部に。
パーツごとに汚れ方がちがう
では、さっそく取り掛かろう。まずは取り外せる「パンくずトレー」と「焼き網」を取り出して、ステンレスたわしでこすってみる。
正式名はわからないが「パンくずトレー」と自ら名乗る板。これの汚れがまず気になった。
洗い終わってこれ。
凝ったジオラマみたくなったパンくずトレー。一体何がそうさせたのかはわからない。
一生懸命こすってみたが、表面のザラザラが取れる以上には綺麗になりそうになかったので諦めた。
それに対して焼き網は、
すぐにピカピカに
網の方はちょっとこすっただけで綺麗になる。というかここはやや頻繁に手入れをしていたみたいだ。
上部の網はピカピカなのに下の汚れを受け止めるトレーはボロボロで、まさに汚れ仕事だなと哀れんだ。鉄にもいろいろである。
変化は見えないが汚れは落ちている
続いて本体の中と外を、全体的に固く絞ったスポンジやたわしでこすっていく。本当ならホースで水をかけながら丸洗いしたいところであるが。
ジョッジョッ
外と中、全体の掃除が一通り終わった。あまり汚れが落ちたようには見えないままだ。
が、ここで汚れた水を受け止めたトレーを確認するとけっこうな茶色になっていることがわかる。油のようにぬるぬるしている感じもする。
ジャッジャッ
精神分析のフロイト先生によれば、快とは興奮量の減少であり、不快とは興奮量の増加であるという。それでいうとこの行為は全くの「快」である。興奮するところのない「快」そのものだ。
洗剤などを変えながら、ところどころでよさそうな方法を模索しつつきれいにしていきます。
外と中、全体の掃除が一通り終わった。あまり汚れが落ちたようには見えないままだ。
が、ここで汚れた水を受け止めたトレーを確認するとけっこうな茶色になっていることがわかる。油のようにぬるぬるしている感じもする。
おお!
一応きれいにはなっているんだな…という証拠が得られた。
仕上げに覗き窓のガラスを金属磨きのピカールを使って磨いてみた(正しいのかはわからない)。ここが一番目立って汚れていた部分であり、今回狙っている部分でもある。
みんなだいすきピカール
言っておきますが、掃除の仕方は特に調べずオリジナルでやってます。
そうこうしているうちに1時間くらいたっている。18年の汚れは落ちたのだろうか?
仕上がった結果がこちらだ。
きれいになってる……か?
目視だとあまりピカピカになった感じがしない。
掃除する前と見比べてみよう。
掃除する前。たしかに汚かった。
劇的に変わったという感じはしないが、「髪切った直後の友達」みたいにはなっている。そうだ、さっぱりしてる。さっぱりしてるよ。
一番きれいになったのはやはりガラスの部分であろうか。ここははっきりときれいになっている。
オーブントースター結果:
さっぱりした
クリーニング2:錆びついたサドルの軸
続いて目をつけたのはサドルの軸の汚れである。
自転車本体はそんなにサビたり汚れてたりはしていないのだが、なぜかここだけサビサビである。
なんで? と思うほどのサビ。
もともとは黒かったはずだ。軸受けのほうが汚れているのかわからないが、サビのようなキズのような茶色がたっぷりとついている。
サビと言ったらこれのはずだ。
クレ5-56。
クレ5-56だ。20%もボーナスがついている(いつのだろう……)。
簡単に汚れを雑巾で拭き取った後にこれをかけてサビを浮かしたい。
果たして5-56の効果はいかに!
次ページの前にクリーニング中ずっとうろついていたのら猫をお楽しみください。
サビは落ちる
クレ5-56を塗ってしばらく待機。その後ステンレスたわしでゴシゴシとサビを落とす。
やってるうちに楽しくなってきた。
これもある意味で洗車である。優雅な時の過ごし方だ。
しばらくするとサビだと思われるザリザリした触覚がなくなってきた。こんなところだろうか。
サビは落ちたがキズのようなものが残ってしまっている。
もう少しなんとかならないだろうか。
ということでピカールの再登場である。
ピカってくれ!
同じように、ピカールをたらし雑巾で一生懸命こする。
もうきれいにならずとも、これ自体が楽しくなってきているのでもういいやという気持ちもある。
さてどうなるか
キズはあるもののツヤツヤになった。
黒い部分が剥がれてキズができてしまった部分はそのままだが、単にサビを落とした以上のつややかな棒になっている。
これははじめの状態と見比べると一目瞭然だ。見違えたぞ、サドルの軸!
もとはこれでした。
かつての位置に戻ったサドルは心なし嬉しそうにしている。
映画などの物語は「それまでの日常」→「出来事」→「変化した新しい日常」という三段構成で観ることができるそうだ。
このサドルもクライマックスを超え、すっかり新たな日常を送り始めているように見える。
サドルの軸結果:
サビは落ちたがキズは残る
クリーニング3:やかん
最後にやかんである。
あいにく家で使っていたやかんやフライパンは比較的新しい物を使っていたため、あまり汚れていなかった。
そこで何人かの友人に「いい感じに汚れてるやかんはない?」と尋ねたところ、地元に住む友人Kが名乗りでてくれた。
やり取りの中で送ってくれた写真がこれ。
クリーニングのしがいがあるいい熟成度合いである。よくここまで鍛え上げたと思う。
友人曰く、このやかんは5年以上前に購入したものであり、油がついた状態で空焚きを繰り返していた結果こうなってしまったとのことだ。
その説明の理解はできるが、納得はできない。あと火事に気をつけてほしい。
ちなみに中はピカピカと言えるくらいきれいだった。なぜ外だけここまで……。
借りてきた。インターネットに出してはいけないやつだ。
そのショッキングなビジュアルはインターネット向きではない。これでお湯を沸かした時点で話はこれに持って行かれてしまいそうだ。
さて、汚れはどこまで落ちるかやってみよう。
面白いほど落ちる
結論から言うが、たわしと食器用洗剤で磨いただけでスルスルと汚れは落ちていった。
ジョッジョッ
これまででいちばん手応えがある
やかんが「剥けた」と思った。これはやかんのアカスリだ。
この汚れ。気持ち悪いけど気持ちいい。
ステンレスたわしで磨いただけでこれ
今日やってきたなかで明確に違いが出たのはこれがはじめてだ。これは気持ちがいい。
すこし曇っている気がするので、これもピカールで磨いておこう。
あっ、これは
また一段と見違えた。
この通り。こげのような茶色い帯の部分が減っているように見える。
「磨けば光るダイヤの原石」みたいな言い回しがあるけど、「磨けば光る汚いやかん」の方が良いんじゃないだろうか。
やかん結果:
新しい慣用句ができた
磨いていたい
綺麗になりすぎたやかんを、磨くのに最高なやかんとして愛着が沸いてしまった。返さずに使って汚して再び磨きたいくらいだ。
しかし、綺麗すぎて背景が映る。ネットに写真を公開することもある自分としてはやっぱり使いづらそうである。なので返した。そのうちまた借りよう。
持つべきものはやかんが汚い友である。