特集 2016年1月1日

ザ・うまい魚 ~寿司、クエ、高級ホテル、驚異のサクサク~

四者四様のうまい魚!
四者四様のうまい魚!
明けました! おめでとうございます。編集部の古賀です。本年もデイリーポータルZをどうかごひいきによろしくお願いいたします。

さて、新年1本目の記事は「魚」それも「うまい魚」です。

4人のライターが俺なりの最高の魚と向き合いました。
インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

前の記事:好きな大塚さんの記事 ~大塚幸代さんの書いた記事から

> 個人サイト デイリーポータルZ

ルールなし! とにかくうまい魚を食べてくれ

今回はルールは一切なし。とにかくうまい魚を食べてもんどりを打つというのが4人に与えられたミッションである。

予算も無制限。ただし自腹だ。

本気の高級魚のクエ、そうきたかという美しい寿司(そしてその寿司との対話)、アマダイはしかし皮と鱗をサックサクにする試み、外資系超高級ホテルからは和朝食の焼き魚を。

元旦の満腹においうちをかける記事が揃ってしまった。

以下リンクから記事を選んで、もしくは「次へ」で順番にごらんいただけます。どうぞ!
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鯉の姿寿司が美しすぎて庭園につれていく

寿司の中で泳ぐ寿司!
寿司の中で泳ぐ寿司!
SNSで見かけた「鯉の姿寿司」写真で度肝を抜かれた。

寿司界で美を競い合うコンテストがあったら間違いなくグランプリを取る美しさだ。寿司好きとしては一度お目にかかりたいもの。

どこで食べられるのかと調べてみると、なんと大分県。しかしクール便でお取り寄せができるらしい。

はるばるやってきた鯉の姿寿司は、庭園につれていきたくなるほど美しかった。

世界一の寿司の町から

大分県の佐伯は「世界一の寿司の町」と言われ、多くの寿司屋が日々技を競い合っているそうだ。

今回取り寄せるのはその佐伯にある銘店が展開する丹匠の「錦鯉の姿寿司(3匹セット)2,250円」。そこに関東送料1050円がプラスされて、計3300円かかった。
クール便で寿司を取り寄せるのはもちろん初体験。ちなみに、宅配時間の関係で沖縄や関東より北部は宅配できないようだ。
クール便で寿司を取り寄せるのはもちろん初体験。ちなみに、宅配時間の関係で沖縄や関東より北部は宅配できないようだ。
寿司はそもそも高いものだけど、一貫につき1,100円かけてる、と思うと最初は腰が引けた。

でも、単に握るだけではなく、美しく形づくる技術、梱包して送る手間、届けてくれる配送業者さんのことを考えるとけして高くないのではないか。大分に行って食べたらもっともっとお金がかかるし。うん、むしろ凄く安い! と、なんとか自分に折り合いをつけて注文。

しかし、到着すると驚きのメッセージが同梱されていた。
「自家製の魚みそと、少し余分にお寿司も入れてます」と嬉しい手書きメッセージ。
「自家製の魚みそと、少し余分にお寿司も入れてます」と嬉しい手書きメッセージ。
鯉の姿寿司が3つ入っているだけと覚悟していただけに、かなり嬉しい裏切りがおこった。なんて粋なことをしてくれるのだろう。

解凍されるまで小一時間まち、蓋をあけた。
オマケどころかけっこうギッシリ! こうする事で形が崩れないように固定してるのかな。
オマケどころかけっこうギッシリ! こうする事で形が崩れないように固定してるのかな。

私は寿司になりたい

箱の中には、鯉の姿寿司以外に押し寿司と手鞠寿司が綺麗に並んでいた。金粉をまぶしたものもある。

菊の花や紅葉、鯉に合わせただろう水をイメージさせられるゼリーも可愛く添えられていて、豪華さ満点だ。
寿司たちの中を優雅に泳ぐ鯉の姿寿司。こんな寿司なら私もなりたい、と思った。
寿司たちの中を優雅に泳ぐ鯉の姿寿司。こんな寿司なら私もなりたい、と思った。
丹匠さんのサイトを参考にしながら、器に盛り付けてみる。

少し広い世界に出たコイちゃん(名付けた)は、クラスで段違いに美人の「高嶺の花」的存在。周りの寿司たちは残念ながら彼女の引き立たせ役である。
寿司界のマドンナ、コイちゃんのソロ撮影。しばらく置いて眺めたい。
寿司界のマドンナ、コイちゃんのソロ撮影。しばらく置いて眺めたい。
正面も可愛い。
正面も可愛い。
3匹泳がす。表情がそれぞれ違って可愛い。
3匹泳がす。表情がそれぞれ違って可愛い。
皆さん既にお分かりのように、コイちゃんの表面はイカでできている。尾びれは包丁でうまく切れ込みを入れているようだが、それ以外のヒレはそれぞれ小さく切ったイカをくっつけているようだ。目は黒ゴマだろう。
中身はウニ、卵、サーモン、海苔で錦鯉を表現。これをイカで透かすという発想が面白い。
中身はウニ、卵、サーモン、海苔で錦鯉を表現。これをイカで透かすという発想が面白い。
ナマモノなので賞味期限は届いたその日。ずっと眺めていたいけれど、食べないといけないのが悲しい。とびきり美人のコイちゃんを残して、他の2匹をありがたくいただいた。

普通のものより大きめに切られたイカは、とても柔らかくて甘みがタップリ。歯切れもよく、下にいるウニやサーモンたちと絡みあってとても美味しい。
イカが甘くて美味しい!
イカが甘くて美味しい!
そして、オマケとしてついてきた手づくりの魚みそがやばい。甘めの味噌と生姜で魚のフレークを煮詰めたようなもので、辛めの日本酒が欲しくなる、旨味がつまった味。

ご飯のお供にこれだけあれば満足できそうなくらい気に入ってしまった。
日本酒が飲みたくなる魚みそ。こりゃいいや
日本酒が飲みたくなる魚みそ。こりゃいいや
魚みその旨さに呑みたい気分にさせられたが、その前に一番べっぴんのコイちゃんを外に連れ出そう。

美の競演が見たい

庭園にやってきた。本物の錦鯉と見比べるのだ。
庭園にやってきた。本物の錦鯉と見比べるのだ。
ゆ~っくり顔を出しにきてくれる鯉がたまに。
ゆ~っくり顔を出しにきてくれる鯉がたまに。
そして、清澄庭園には錦鯉のように色がついた色鯉よりも、黒鯉の方が圧倒的に多いそうだ。

さらに、いま渡り鳥たちの大量のフンで池がいつもより濁ってて汚いよ、という残念情報も教えてくれた。
普通の鯉ってこんなだったか。大きくてちょっと怖い。
普通の鯉ってこんなだったか。大きくてちょっと怖い。
季節柄、あまり元気のない鯉たちと。色も全然違うし、コイちゃんはなじまなかった。
季節柄、あまり元気のない鯉たちと。色も全然違うし、コイちゃんはなじまなかった。
気のせいか、コイちゃんは寂しそうな表情を浮かべていた。

他のお客さんもいるのでコイちゃん(寿司)を持ちながらうろつくのは恥ずかしかったけれど、コイちゃんのために色鯉を探して園内を周った。

仲間がいた!

いた! 遠いけど色付きの鯉。うん似ている。コイちゃんも嬉しそうだ。
いた! 遠いけど色付きの鯉。うん似ている。コイちゃんも嬉しそうだ。
「仲間がいて良かったね、コイちゃん。」「うん、探してくれてありがとう丸ちゃん」と心の中で会話する。今度は満足気な表情になってる。

しかし、コイちゃんの身には危険がさし迫っていた。鳥たちに命を狙われて始めたのだ。無防備すぎたか。
アオサギが狙って近寄ってきた。コイちゃんは食べさせんぞ!
アオサギが狙って近寄ってきた。コイちゃんは食べさせんぞ!
鳥に食べられる前に私が美味しくいただきました。
鳥に食べられる前に私が美味しくいただきました。

私の中で生き続けるコイちゃん

清澄庭園では、お弁当を持ち込んで食べることができる。ちょっと寒かったけど、良い景色を眺めながら食べる寿司はまた格別だった。

ほんのひとときだったけど、一緒に旅ができて楽しかった。ありがとう、コイちゃん。美味しかったよ。

お祝いにピッタリ

コイちゃんの美しさが伝わっただろうか。水に浮かべたら泳ぎだしそうなくらい、美しくイキイキとしていた。

何かのお祝いにまたコイちゃんと再会したい。
魚みそで食べる寿司がまた美味!
魚みそで食べる寿司がまた美味!
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極上の普通! 高級ホテルの朝の焼き魚

考えうる限り最高の、極上の「普通」がそこにはあった
考えうる限り最高の、極上の「普通」がそこにはあった

王様かよ!

「うまい魚が食べたい」という、居酒屋の壁にかいてあるみたいな本企画。私が選んだのは都内の高級ホテルの一角、コンラッド東京の和朝食である。

外資系の高級ホテルというとちょっと別世界すぎて見上げてもかすみがかってはその高級のありがたみすら分からないような部分がある。
実際、見上げてもピンとこない
実際、見上げてもピンとこない
しかしネットを「うまそげな魚はないべやか~」と徘徊するなかで、
(1)外資系の
(2)高級ホテルであるコンラッド東京のダイニングでは
(3)朝食として
(4)焼き魚のセットを出ており
(5)焼きあがるのに30分かかるらしく
(6)3,650円と
(7)洋食のフルブレックファーストよりも高い値段設定で
(8)税8%とサービス料15%が別にかかる
というのを見つけたのだ。なんだ、なんなんだこれは。

うっかり手を離してしまったホースから撒き散らされるかのように高級感が暴発しているではないか。

朝ごはんでこれかという価格設定で「焼き魚」というてらいのなさがすごい。狂気とは本来静かなものだとはよくいうが、高級もまた極まると静かなのか。

これ、対象はおそらく「王」だ。

いや、マジレスすればガチの王様はもっとこんなもんじゃないのかもしれないだろうが、庶民目線でみれば十二分に王様レベルだろう。

私の「うまい魚」はこれで完全に決定した。

行け俺よコンラッド東京へ! そして王になれ!

物理的にまたげない敷居

さてそんな王の焼き魚、目的地はコンラッド東京のレストランのなかではカジュアルなほうのようだ。とはいえドレスコードがある。「ブレックファーストカジュアル」。

……なんだろうそれは。
なみなみならぬ腰の引け
なみなみならぬ腰の引け
注として「タンクトップ、ビーチサンダル」がNGとあった。冬場なので間違いをおかす可能性は低いが覚えておこう高級ホテルにおいてはタンクトップとビーチサンダルはカジュアル以下なのだ。着けていてなお王様は全裸なのである。
エレベーターホールではシャーン! シャーン! という音がするほか、いいにおいがして、なにか砂が置いてあった
エレベーターホールではシャーン! シャーン! という音がするほか、いいにおいがして、なにか砂が置いてあった
ホテルは東京汐留ビルディングの28Fより上にある。1Fにはほぼなにもなく、エレベーターで28Fへ上がるのだがどこから入っていいのか素人にはわかりづらい。

1Fから28F。物理的にまたげない敷居である。
そしていま庶民がエレベーターで28Fへ
そしていま庶民がエレベーターで28Fへ

ものすごい趣味の良さ

レストランはロビー階である28Fの奥にあった。こういうときにひるんではならないとむしろ胸を張っていく。案内してくれたスタッフは外国人の方のようだった。お客もほぼ外国人のように見られた。留学先としていいかもしれない。

右を見て左を見る。前も見てひざががくがくする。あるもの全て全身全霊で趣味が良い。高級というものが即デコラティブではないということは誰の教えだったろう。そういう価値感の権化を感じる。

レストランはブッフェ形式の朝ごはんのお客でにぎわっているようだ。ブッフェについては今回は深くは触れないが通りがかりにちら見した限りレベルの高さが異常をきたしていたことだけは伝えたい(一つだけ具体的にお知らせすると、ベーグルが木みたいな枝付きの棒にランダムにぶらさがっていた)。
着席。緊張で髪が浮いた
着席。緊張で髪が浮いた

和朝食、オーダーしました

ひざは十二分にがくがくさせた。もう腹は決まっているので案内された直後に和朝食をオーダーである。

ブッフェに加えテーブルにサービスされる洋食のフルブレックファーストもこちらのメニューにはあるのだが、聞けば和朝食のオーダーも相応にあるようだ。

王、けっこう人数いるんだな。スナックの数だけ社長がいるように、高級ホテルの数だけ王もいるのだろう。
和朝食はメニュー表の下のほうに書いてある
和朝食はメニュー表の下のほうに書いてある
と、王を思い必要以上にメニューを凝視していたら、よかったらお持ちになってくださいと新しいメニューを出してきてくれた。これだ! という思いである。これが、ホテルのサービスだ! 姉さん!

体の毛穴からもれる高級

すでにここまでで私の体内の飽和高級量は完全に越えた。今や蒸気として毛穴という毛穴から高級を放出しつつある状態である。このうえで王の朝食が来る。状況としては結露必至だ。
きた!
きた!
そしてやってきた和朝食。この日の焼き魚はさわらだそうで、豆腐は鼈甲餡で仕上げてあった。美しい玉子焼きにも目をみはる。
鼈甲餡が輝く!
鼈甲餡が輝く!
身に余る高級に胃は恐縮しているが食べていこう。……。うん、やはり。

その様相を見て薄々気づいてはいたのだ。洗練しきった、しかしこれは極上の「普通」だ。

狂気は静かなものだと書いた。同じように高級も極まるとまた静かなのだと。まさにその通りの様相ではないか。

王だからといって毎日キャビアやフォアグラを食べるわけではないだろう。王が毎日食べているのは普通であるかもしれないがしかし研ぎ澄まされた素材を研ぎ澄まされた技術で丁寧に作った、まさにこんな食事ではないのか。
炊き合わせの味の上品さといったらどうだと思ったら味噌汁は思ったよりもエッジの効いた出汁でパンチがある
炊き合わせの味の上品さといったらどうだと思ったら味噌汁は思ったよりもエッジの効いた出汁でパンチがある
体が受け止め切れなくなった高級があふれかえりホテルの窓が結露するのではと心配したが、私の体でも受け止められるおだやかな優しい高級感ともいえる。

よし決めた。ご飯おかわりください(それくらいには緊張感がゆるみました)。

で、さわらだ

さて肝心の「魚」である。さわらの焼いたの。これには笑った。

先に食べた夫(1人で行くのは怖すぎて同行してもらった)がまず笑ったので何事かと思ったが食べて私も笑わずにはいられなかった。
これがめちゃウケる
これがめちゃウケる
ふっわふわなのだ。どう焼けばこうなるんだろう。外はカリッカリである。まぶされた塩がまたうまい。臆面なく書けば「こんな焼き魚、食べたことない!」である。
ぶっは
ぶっは
本気を出しておいしいさわらを買い求め、設備をととのえ技術を磨けばもしかしたら私にも同じものが焼けるかもしれない。そういうリアルな部分も片足残ってはいるのだが「そこまで頑張るならまたここに来ようかな…」と感じさせられた。

分かりやすく降参である。

今度はブッフェで来ようと言った

一生に一度でいいパターンの高級体験かと思ったが、行ってみたら海外みたいだし笑っちゃうほどおいしいし、高級と洗練とおしゃれの全身浴ができるしで思っても見なかった価値のを発見してしまいまんまとまた行きたくなっている。

確かに王様の朝食ではあったがフレンドリーでもあった。やっぱり降参だ。

今度はブッフェで行きたい。ぜひあの木みたいな棒からベーグルを採集して食べてみたいのだ。2016年内にかなえたい夢ができました。
最後に寄っておこう
最後に寄っておこう
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サクサクすぎる!アマダイの皮だけ松かさ揚げ

高級魚アマダイは、皮と鱗がうまいんですよ。
高級魚アマダイは、皮と鱗がうまいんですよ。
うまい魚を食べてきなさいよと申し付けられ、思い当たる魚が多すぎてだいぶ迷ったのだが、ちょうど旬を迎えたアマダイを釣りに行く用事があったので、これのちょっと変わった食べ方を試してみたいと思う。

一年分のサンキューをさっさとお伝えすべく、世界最高レベルと呼べる、驚異の「サクサク」をお届けします。

冬の高級魚、アマダイを釣ってきた

関西でグジと呼ばれる高級魚のアマダイは、どう料理してもうまい魚であり、その美しい姿や引きの強さから、冬の釣りにおける人気のターゲットとなっている。

さあサクサクのために大きなアマダイを釣ってやるぞと神奈川県茅ケ崎市から釣り船に乗り、水深70メートル程の場所で糸を垂らし、なんやかんやあって立派なアマダイを見事にゲット。
43センチの大物が釣れましたよ。
43センチの大物が釣れましたよ。
この釣りのレポートについては「@nifty つり」に掲載されているので、よろしければこちらもどうぞ。
この日は一生分のアマダイ運を使い果たしたような釣果でした。
この日は一生分のアマダイ運を使い果たしたような釣果でした。

ウロコを付けたまま下ろして皮を引く

今回つくる松かさ揚げという料理は、ウロコのサクサク感を楽しむ料理なので、あえてウロコが付いたままアマダイを下ろしていく。

ウロコで包丁の刃先が滑ってなかなか難しいが、口の中をサクサクでいっぱいにしたければ、がんばってさくさくと捌こう。

ちなみに捌き方や調理法は自己流なのであしからず。
ウロコを付いたまま下ろすのがポイント。
ウロコを付いたまま下ろすのがポイント。
続いては皮を下側にして、包丁を寝かせてウロコが付いた皮を引いていく。

このとき、頭側からだったか、尻尾側からだったか、どっちから包丁を入れるのか毎回忘れるのだが、今日は尻尾側から入れてみた。
ウロコがついたままだと皮も丈夫なので、よく切れる包丁があればけっこう簡単です。
ウロコがついたままだと皮も丈夫なので、よく切れる包丁があればけっこう簡単です。
松かさ揚げは皮に身をつけたまま揚げることが多いけど、今回はサクサク部分だけを純粋に楽しむため、あえて身から皮を外したのである。

まるでパイの実の皮だけ食べるような高貴な贅沢、それが皮だけの松かさ揚げ。いや贅沢なのかそれは。
今回のメインは、へたをすると捨てられてしまう皮なのだ。さあサクサクさせよう。
今回のメインは、へたをすると捨てられてしまう皮なのだ。さあサクサクさせよう。

世界一サクサクに揚げよう

松かさ揚げとは、揚げることでウロコがパっと立って、松ぼっくりのようになったもののこと。ちなみに焼いた場合は松かさ焼き。
こんばんは、まつかさひろきです。
こんばんは、まつかさひろきです。
あえて小さく切らずにそのままのサイズで、皮の身側だけに衣をつけて、180度くらいの高めの油でサクサクっと揚げる。

でっかい松かさ揚げを独り占めして、サクサクいわせながら食べるのが夢だったのだ。
ウロコ側に衣がつかないように注意!
ウロコ側に衣がつかないように注意!
ジュワ~~。
ジュワ~~。
程よく揚がったところで取り出せば、アマダイの松かさ揚げのできあがり。

うまくいけばウロコがサックサクの松かさ状になっているのだが、果たしてどうなったでしょうか!
成功!超サックサク!
成功!超サックサク!
見事、大成功である。サクサクしないウロコはただのウロコだ(すごく食感が悪い)。

油の温度が低かったり、逆に高すぎて焦がしたり、皮側に衣が付いちゃったり、根本的にアマダイが釣れなかったりと、失敗することも多い料理なので、実はけっこう緊張していたのである。

ここで失敗したら別のネタを考えなきゃと思っていたので、成功して本当によかった。まあそれはそれでうまい魚をまた食べる口実になるのだがな。

このサクサクがうまいのです

この料理は揚げたてのアツアツのサクサクを食べてこそ。さっさと撮影をすませて塩をパラリと掛け、そのままかぶりつく。

サクサクだ。

サクサクすぎる。

サクサクの極みと呼べたい。
せっかくなのでもう一枚載せておこう。
せっかくなのでもう一枚載せておこう。
いやもうすごいサクサクなのである。サクサクっていうのはこのためにある擬音なんじゃないかというくらいのサクサクっぷり。

食べる音が物理的にサクサクいう。パリパリでもカリカリでもなく、これはもうサクサクでしかないのだ。

揚げるとフワフワする身と切り離して大正解。サクサクをピュアに味わいたいサクサク原理主義なら、やっぱりこの方法だろう。

サクサク・イン・ザ・ワールド。

ベスト・オブ・ザ・スーパー・サクサク。

釣りたてピチピチからの揚げたてサクサク。

素晴らしいね。なんか自慢みたいですみませんね。自慢ですね。そうですね。
サクサクサクサク……。歯に当たるだけで崩れていくサクサクのウロコが素晴らしいんですよ。
サクサクサクサク……。歯に当たるだけで崩れていくサクサクのウロコが素晴らしいんですよ。
ただサクサクしている訳ではなく、皮の旨味がすごいのだ。アツアツがサクサクでウマウマ。

この食べ方でうまい魚は、私の知っている限りだとアマダイだけである。

最初は上品に塩だけで食べたが、醤油を掛けたら3倍うまく感じられた。
余った身は昆布締めにしたら、サクサクとは正反対にネットリネットリ。素晴らしきコントラスト。
余った身は昆布締めにしたら、サクサクとは正反対にネットリネットリ。素晴らしきコントラスト。

普通は捨てられてしまう魚のウロコや皮だが、アマダイに関しては積極的に食べるべきである。これほどまでサクサクする食べ物は、他にそうはないだろう。サクサクマニアは必食だ。

さてこの記事で、「サク」と何回書いたでしょうか。正解はサクだけに39回と言いたいところだが、とくに数えておりません。
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幻の高級魚クエを食ったらほかの魚はクエん

……というウワサは本当なのか? という記事であります。
……というウワサは本当なのか? という記事であります。
「土屋さんは魚をすごくきれいに食べる」
デイリー編集長の林さんが古賀さんに伝えたことからこの『魚企画』、わたしにも白羽の矢が立った。

え。
わたしは魚をまったくキレイに食べられない。それどころか、自分で骨を取るなんて作業はほとんどやったことがない。

んじゃあ徹底的にキレイに食べてやろうじゃないか。骨の髄まで! と思って記事にしたことならある。オ
マケにテレビにも出演させてもらった。

編集長……なにかカン違いしてるな?
そう思ったけれど、わたしはふたつ返事で「やりますやりますやらせていただきます!」とメールを打って
いたのだった。さて……。

いったい何を食べればいいのやら……

無類の貝好きである。名前のアソビとアワビが一文字ちがいということを自慢するほど目がない。イカやタコなどの軟体動物も好物だが、これらは魚に分類していいものか。

……ということで、迷ったあげく、老舗高級料理店の社員だった友人伊藤さんに訊いてみた。

「おいしい魚といえばなに?」
「クエが食べたい」
誰も食べさせるとは言っていないのにこの返答がきた。
いた……。こ、これがおいしいの……。出典:Wikipedia より
いた……。こ、これがおいしいの……。出典:Wikipedia より
さっそく検索してみる。

・フグよりうまい!? 幻の高級魚『クエ』とは?
・偽装問題が起こるほどの高級魚!
・ナベの王様天然クエ鍋!
・高級料理店向けで市場には出回らない魚!
・クエを食ったらほかの魚は食えん!


出るわ出るわ絶賛・高級・エクステーションマークのアラシ。これはもう食べない選択肢はないだろう。

先述の伊藤さんも食べる気マンマンである。ようし、こうなったらグルメやら食いしん坊やらを呼んで大盤振る舞いするかー! 会費とるけど。
一抹の不安もあり、大好物の『ふぐみりん干し』 も前日着で取り寄せておいた。これは甘いの で好みが分かれることだろう。
一抹の不安もあり、大好物の『ふぐみりん干し』 も前日着で取り寄せておいた。これは甘いの で好みが分かれることだろう。
鍋の準備完了! えのきがやたら多いのは、 伊藤さんの大好物だからです。だが、当日午 後着予定のクエがまだ届かない……。
鍋の準備完了! えのきがやたら多いのは、 伊藤さんの大好物だからです。だが、当日午 後着予定のクエがまだ届かない……。
申し合わせたように、鍋開始時刻16 時きっか りにクエが届く。正座して待ちかまえていた 伊藤さんはさっそく開封儀式だ。
申し合わせたように、鍋開始時刻16 時きっか りにクエが届く。正座して待ちかまえていた 伊藤さんはさっそく開封儀式だ。
取り寄せは友人マリ絵さんに依頼した。ご実 家近くの魚屋(福岡)から直送便。送料込み で三万円也。それでも破格の安さである。
取り寄せは友人マリ絵さんに依頼した。ご実 家近くの魚屋(福岡)から直送便。送料込み で三万円也。それでも破格の安さである。
まずはわたしイチオシの『ふぐみりん干し』を炙ってみた。昔からの大好物で、家族で隠したり奪い合うほどの珍味である。好みはあると思うが、この味をみんなにも知ってほしかったのだ。
焼きかげんがたいへん重要な干し物。初回の反応は「うん、まあおいしいおいしい」という程 度だったが、2 番目に焼いたときには絶賛につぐ絶賛。みなの態度が豹変した。わかりやすい 人たちでよかった。
焼きかげんがたいへん重要な干し物。初回の反応は「うん、まあおいしいおいしい」という程 度だったが、2 番目に焼いたときには絶賛につぐ絶賛。みなの態度が豹変した。わかりやすい 人たちでよかった。
少し焦げ目があり、持ったときにベタつくくらいが食べごろだ。反応もすこぶるいい。憎いくらいにいい。

「うわー! 最初のとぜんぜんちがう!」
「燗酒がどんどん進みそう」
「文句なしに最高。キングオブみりん干し」
「うまかった! 高級魚のフグだからかな」
「とろける飴にも似た旨みに震撼」


口にした途端ニヤける人、思わず固まってしまう人、「ぜんぜんちがう!」を連呼する人。提供者のわたしを凝視する人(これはおそらく敬意の表れであろう)。

よっしゃー!
わたしはこの反応を待っていたのだ。
おいしさの度合いを顕著に出すのはいつでも子供の反応だ。DPZ ライ ター大北&高瀬ご息女は食べた指をいつまでも舐めていた。
おいしさの度合いを顕著に出すのはいつでも子供の反応だ。DPZ ライ ター大北&高瀬ご息女は食べた指をいつまでも舐めていた。

次はクエの薄造りを食す

初めて食すクエの薄造り。見た目はタイやヒラメなどの白身魚と似ている。淡白な魚は好きだが、さて、味はどうなんだろ……。
きちんと調理された状態で送られてきてよかった……。わたしに調理は無理だ。緊急時のため に一応デイリーポータルの食いしん坊代表・高瀬さんや、漁師代表・玉置氏も呼んでおいた。
きちんと調理された状態で送られてきてよかった……。わたしに調理は無理だ。緊急時のため に一応デイリーポータルの食いしん坊代表・高瀬さんや、漁師代表・玉置氏も呼んでおいた。

脂ののったフグと言っても差し支えない、クエ。

あっさりした味わいで、フグと比較しても遜色ない。歯ごたえがしっかりとしているところもいい。付属の濃厚甘めしょうゆとポン酢、両方食べたが、どちらも甲乙つけがたかった。うっすら油も浮いている。この辺りがフツーの白身魚とちがう点だろうか。

皆の反応は「うん、おいしい」「いいね」と一応は評価するが、その『一応感』が拭えない。こちらが期待するほどの盛り上がりを見せてはくれない。んー。
同封されていた濃厚なしょうゆ派とポン酢派に分かれる。淡白なのに微かな甘みが染みる。
同封されていた濃厚なしょうゆ派とポン酢派に分かれる。淡白なのに微かな甘みが染みる。
なんかこう、お上品すぎるのだ。みんなもっと下品だろう! グイグイ来るだろう! サルのように群がるだろう! そう叫びたいところだが、とりあえず「三万円だぞ」と言っておいた。

それを聞いた伊藤さんはなぜかごはんを催促。そして、料理はすべて、どの日本酒に合うかを瞬時に判定してしまう日本酒脳マリ絵さんは「うん、キリっとした純米吟醸に合う」と1人で納得していた。

はぁそうですか……。味の濃い『ふぐみりん』を先に出してしまったコトを、わたしはすっかり後悔していた。

(編集部より)土屋さんの熱い思いにより、この記事のみ2ページ構成です。次ページへ続きます!
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いよいよメインディッシュ。鍋の王者、クエ鍋だ。

待ちきれず、なぜか調理にかかる人々
待ちきれず、なぜか調理にかかる人々
「おまたせしましたー! どいてどいてー!」
「おまたせしましたー! どいてどいてー!」
鍋からはみ出さんばかりに肉厚。プリップリ感がハンパじゃない。
鍋からはみ出さんばかりに肉厚。プリップリ感がハンパじゃない。

カニを食べている時のような静けさの到来

各自まずはクエに手を伸ばし、「どれどれ……」という気配が伝わってくる。期待度を高めたばかりに、みながむやみに慎重である。テスト直前のような静けさだ。

「ん、これは旨い」
最初にコトバを発したのはたしか玉置さんだった。それを合図のようにして「おいしい」「旨い」の連発。次々と手が伸び、今度は『無心で食べる』という別の静寂がやってきた。

アレだ。カニを食べるとき、一様に無言になるのと同じヤツだ。つまり、食べることに夢中なのである!
どの写真を見ても高瀬さんはほとんど立って鍋の具を漁っていた。
どの写真を見ても高瀬さんはほとんど立って鍋の具を漁っていた。
白身といえば煮すぎるとパサパサになるのが常。クエにはそれがまったくない。これがかの有名なコラーゲンというヤツだろうか。プルップルなのだ。独特な魚臭さも一切ない。ああ、わたしは今、鍋の王様を食べている!

タラを太らせ、ほど良い脂をのせたような旨味。シンプルでいくらでも食べられる。みなの感想を読むと、どうやら骨周りがバツグンだったようだ。わたしはあえて避けていたので惜しいことをした。くやしい。

もし今後の人生、万が一でもクエに再会するチャンスが到来したら、大好きなテリ焼きにして食べたいと思う。
写真で伝わりますか……。この弾力性&マイルドという絶妙なバランス。 「とろけるのに歯ごたえあり」って矛盾してるけど実際そうなんです!
写真で伝わりますか……。この弾力性&マイルドという絶妙なバランス。 「とろけるのに歯ごたえあり」って矛盾してるけど実際そうなんです!

魚ならこの人、玉置さん
魚ならこの人、玉置さん
この魚、明らかにうまい。タイの頬肉のような弾力のある筋肉質で、キメが細かくて柔らか。特に骨周りの身のうまいこと。カサゴやハタの系統では最高峰でしょう。お相撲さんが好きだというのは、その大きさだけではないことがよくわかった。まさにまさに根魚の横綱。自分で釣って鍋以外の料理も試してみたい。
日本酒脳 マリ絵さん
日本酒脳 マリ絵さん
福岡出身ゆえアラと呼びます。刺身は淡いながら奥行きがある甘い旨み、キリっとした純米吟醸で。鍋は真白い身とプルプルした層が上品な脂をまとい会話も盃も疎かになる美味しさ。会の前までアラは3番目に好きと言ってましたが1番と訂正。
高瀬克子さん
高瀬克子さん
憧れのクエは「上品な白身」って感じでした。なるほどこれはうまい。うまいですが、フグには及ばないかな…というのが正直なところです。でもたまに「お、この切り身はスゲエぞ」というのがあって、それは身悶えするほどおいしかったので部位によって違いがあるのかもしれません。
宮城マリオさん
宮城マリオさん
いままで食べた鍋のなかで、最も美味しかったです。気軽に食べられるお値段の鍋ではありませんが、誰にでもお薦めします。一切れ食べて「今日は良い日だった」と思いました。一切れでとても満足できたのですが、二切れ目、三切れ目を食べることに、迷いはありませんでした。また食べたい鍋です。
山口マナビさん
山口マナビさん
白身魚の上品な旨みをめいっぱい堪能しました。数匹の切り身がまざっているなかに、他とは全く別次元のズバ抜けチャンピオンも登場したけど、部位なのか個体差なのかは謎のままです。自腹を切って探求するには高価だと思います。
伊藤さん
伊藤さん
あら? 超高級魚なのに感激感はあまりありませんでした。お刺身は大好きなご飯と一緒にペタペタし普通に美味しく頂きましたが、んー。

おいおいおい……。

『クエを食ったらほかの魚は食えん』のか? と言われれば、答えはやっぱり否である。ただ、魚の鍋ではやはり1 番と言っても過言ではないだろう。

それにしても、「魚ならクエ」とゆずらなかった伊藤さんの感想にはド肝を抜かれた。あら? ってなんだよ、あら? って! シャレのつもりか!
昆布ダシなのに塩を入れ忘れた伊藤さんの〆の 雑炊。トドメをさされた気分である。ハッキリ 言おう。感想を言えば「あら?」だった。
昆布ダシなのに塩を入れ忘れた伊藤さんの〆の 雑炊。トドメをさされた気分である。ハッキリ 言おう。感想を言えば「あら?」だった。

日頃世話になってる伊藤さんをよろこばせようと半分以上自腹を切ったわたしはいったい……。でも他のみんながうまいといっているので良しとしよう。するしかない!
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