特集 2015年12月19日

雲南市と雲南省は似ていた

マイナーをアピールする島根のお土産。
マイナーをアピールする島根のお土産。
中国に雲南省という省がある。日本の中国地方には雲南市という市がある。雲南市はUnnanで、雲南省はYunnanだ。紛らわしい。しかしふたつに繋がりはない。

島根県住民なら雲南市のほうが詳しいだろうが、東京のテレビですら、雲南といえば雲南省の貧しい村やら少数民族やらを紹介するし、旅行代理店でも雲南省はちょっとパンフレットで扱ってても、雲南市はない。同じ日本なのに島根の雲南市は酷い扱いである。

ということで、雲南省のほうが雲南市よりも知名度があると仮定してしまおう。間違ってたらごめん。

「雲南に出張いってきた」

こう言ったとき、人は雲南省に行ったと思うだろう。しかし出張した先が雲南市であったら、雲南省について話している話し手と、雲南市だと思っている聴き手が咬み合わなくなる。

噛み合わなかったときに、いかに相手に恥をかかせないようにするか。これは空気を読む日本人として、特に雲南に関わる日本人にとっては、大事な話だ。

こうしたトラブルを未然に防ぐべく、インターネットのどこのページにも書いていない、雲南市と雲南省の共通点を探しに行ってみた。
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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雲南市に入るとこの看板をよく見る。ゆえに雲南である。
雲南市に入るとこの看板をよく見る。ゆえに雲南である。

「いやすごい山の中だよ」

雲南市も雲南省も山の中だった。車窓から見てもどちらも山の中を走っていくけど、島根の出雲や松江の人にして、雲南市は山の中だという。

とりあえず雲南の感想を言われれば「いやすごい山の中だよ」といっておけば、勘違いした人を正すことなく平穏は保たれる。

「町はどれくらい大きいのですか」と聞かれたら、雲南市の中心「木次」は小さいけど、雲南省の省都「昆明」は大きいので、こう言おう。
「いやそれよりもすごい山の中だったんだよ」
雲南市の高いところから。絶景である。
雲南市の高いところから。絶景である。
雲南省は雪山もあるが「鳥取の大山も雪山だね」とかわそう。
雲南省は雪山もあるが「鳥取の大山も雪山だね」とかわそう。
雲南市を通って広島のほうに行く高速道路は片側1車線で、島根の人によれば、安全運転を最優先にスロードライブをする年配の方の車や、運送のトラックにより、追い越しができず慢性的な渋滞が起きるという。

一方、雲南省も都から遠くなればなるほど道は細くなり、高速道路も二車線となる。一般道では1車線となるが、どこでも追い越しをする。その辺も会話で触れると誤解が生じよう。

「円通寺よかったよ」

雲南市のみどころ「円通寺」。
雲南市のみどころ「円通寺」。
アクセスは面倒で、閑散としている。
アクセスは面倒で、閑散としている。
雲南省の見どころ「円通寺」。ガイドブックで紹介されている。
雲南省の見どころ「円通寺」。ガイドブックで紹介されている。
円通寺という表記はかくも一般的なのか。円通寺という寺が雲南市にも雲南省にもあるのだ。どちらも地元では有名な観光地になっている。

ただ片や、中国地方の雲南の円通寺は山の上に、中国の雲南の円通寺は町の中である。この点には注意しつつ、この言葉で話の流れを変えたい。

「そんなことより円通寺に行った話を聞いてくださいよ」

「雲南の移動で乗り遅れると大変だよ」

雲南市はバスも列車も乗り遅れると大変だ
雲南市はバスも列車も乗り遅れると大変だ
雲南省も鉄道に乗り遅れると大変だ
雲南省も鉄道に乗り遅れると大変だ
雲南省の昆明では地下鉄があるのは見て見ぬふりをして、雲南内での列車やバスでの移動は大変だったという苦労話は話のスパイスとなる。

雲南省では短くても6両編成、それ以上はあるが、雲南市の木次線は1両、2両程度なので、長さを問われたら話をさえぎるように言えばいい。

「雲南旅行するときは列車やバスに乗り遅れたら大変なんだって」

「白壁に歴史を感じたんだ」

雲南市の吉田町の鉄産業で築いた白い蔵
雲南市の吉田町の鉄産業で築いた白い蔵
雲南省大理は白壁大理石の街
雲南省大理は白壁大理石の街
雲南市にも雲南省でも白壁が見どころとなっている。これは使うしかあるまい。

雲南市は鉄産業で財を築き、雲南省の大理は大理石が産業となった。その辺はうやむやにしてこう言いたい。まったくもって嘘は言っていない。

「雲南の古い白壁の家が綺麗だった!」

お土産で誤魔化す

雲南がついたお土産をたぶん全部買った!
雲南がついたお土産をたぶん全部買った!
香辛料オロチの爪がある
香辛料オロチの爪がある
あの白壁の吉田町が吉田くんの出身地だ 鷹の爪が島根のしまねっこと並んでプッシュされる
あの白壁の吉田町が吉田くんの出身地だ 鷹の爪が島根のしまねっこと並んでプッシュされる
鷹の爪ファンなら雲南に行くしか!
鷹の爪ファンなら雲南に行くしか!
雲南市は鷹の爪グッズがある。これはファンにはたまらない。麻婆豆腐で知られる四川省の隣の雲南省は味が辛口だから、雲南市の香辛料なんか特に雲南省土産と勘違いする人には
「雲南は辛口香辛料があってね」
などと言えて使えるかもしれない。

「空港で日本人向け売ってたんだよ」
「中国でも鷹の爪団が人気で」
「鷹の爪団が世界征服をして」という理由もあるけどこれは嘘だからよろしくない。

雲南省の土産なら

これまで雲南省に行くと誤解した人に話をあわせるためのお土産を考えた。

逆に雲南省にいくのに、雲南市に行くと勘違いした人に適したお土産はなんだろう。

雲南省といえばプーアル茶に、雲南コーヒーだ。さすがに島根土産でコーヒーやプーアル茶はトラブルの元。

そこで雲南省を旅行した時に、何か適したお土産はないかと探していたら見つかった。

弓!
弓!
木刀!
木刀!
それも青龍偃月刀!ほこもある!
それも青龍偃月刀!ほこもある!
日本の観光地では、土地名のペナントや提灯に加えて、木刀がよく売られている。

雲南省でも木刀が売られていたではないか。おまけに弓まで売られている。なんという偶然!

木刀が青龍偃月刀ばかりなのは、子供に関羽が大人気だからだろうか。関羽ごっこするからだろうか。

スーツケースに入るか怪しいがぜひお試しあれ。

共通点を無理やり探す

たまたま名前が同じだからこそ、共通点を探したくなる。これは自分の名前と同じ日本の土地を歩くのも、海外も同じこと。

漢字で仏教国の中国だからか、どちらも行ってみれば、共通することがいくつかあった。寺の名前まで一緒とか驚いたよ。

インドネシアのナゴヤというところで名古屋との共通点を探したり、エロマンガ島でエロマンガを探す旅をしたいと思う。
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