コップのフチに座るということ
フィギュア、コップのフチ子さんは涼しい顔でコップのフチに腰掛けている。あれ、実際やったらけっこうたいへんなんじゃないのか。
そこ座るのたいへんじゃないの?
というわけで
やってみた。
いつものフチ子さんよりも見た目が暖色系なのは、今回の記事が養命酒とのコラボだからである。ウソだと思うだろう
本当なのだ。
暖色系の衣装は養命酒が作った養命酒カラーのフチ子さんをイメージしている。
養命酒カラーのフチ子さんは100名様にプレゼントされます(これも本当)。
そして大フチ子さん(おれ)が座っているのは養命酒を飲むためのカップを意識して作った。
これ。
プレゼント用のフチ子さんが身に着けているポンチョとニット帽、ムートンブーツがいかにも暖かそうなので大フチ子も同じ衣装でキメてみた。
なるほど、これは暖かいね。
暖かいね。
寒そうなフチ子さんが養命酒に助けられて暖かくなったイメージである。実際に養命酒は冷えに効くということなので間違っていない。
ついでに普段のフチ子さんバージョンも見ていただきましょう。
ついでに普段のフチ子さんバージョンも見ていただきましょう。
寒そう!
これは寒そうだ。
そして暖色系の服を着ていた時よりも絵に緊迫感があるように思うのは寒色系の持つ鋭さゆえだろうか。町の片隅に生じた世界の終わりの始まりみたいな写真になった。
というわけでやりたいことはすべてやったのでこれで終わってもいいのだが、これを撮るためにはそれなりに苦労もしたのでそのあたりのことを次のページに書きたいと思う。私もコップのフチに座りたいわ、という人には必読の書となっています。
そして暖色系の服を着ていた時よりも絵に緊迫感があるように思うのは寒色系の持つ鋭さゆえだろうか。町の片隅に生じた世界の終わりの始まりみたいな写真になった。
というわけでやりたいことはすべてやったのでこれで終わってもいいのだが、これを撮るためにはそれなりに苦労もしたのでそのあたりのことを次のページに書きたいと思う。私もコップのフチに座りたいわ、という人には必読の書となっています。
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巨大なコップをどう作るのか
コップのフチに座るには、まず人が座ることのできるコップを用意する必要がある。もちろんそんな巨大なコップはないので作ることになるのだけれど、この制作については、巨大ガチャを作ってくれた岩沢兄弟に相談した。
こんな感じでおれが座りたいんですが。
岩沢兄弟といえばなにしろ見た目のインパクトに目を奪われがちだが、どんなお願いをしても様々な工夫で対処してくれる技術力の高さにも定評がある(岩沢兄弟について)。
そんな岩沢さんから、おまえの座るコップについてはほぼ目星がついた、との連絡をもらった。その時に送られてきたイメージがこちら。
そんな岩沢さんから、おまえの座るコップについてはほぼ目星がついた、との連絡をもらった。その時に送られてきたイメージがこちら。
人が座るコップは養命酒を飲むためのカップのイメージ。
すばらしい。ところでこの透明の部分はどうやって再現するんだろう。座るためにはある程度丈夫なものでないといけないはずなのだが。
「これでいいと思うんですよね」
なんか巨大な紙の筒が出てきた。
どういうことかなこれは。
さらにこれよりふたまわりほど巨大な紙の筒を開けながら岩沢さんは言う。
「コップ自体はこっちです」
「こうなります」
ごめん、ちょっとわかんないです。
「これに透明のシートを巻いたらコップになるんじゃないかなって」
「ほら、完全にコップです」
これでフチに座ることができます。
岩沢兄弟いわく、巨大なコップをアクリルやガラスで作るとなると費用と時間がかかるのだとか。そこで考えた方法として、巨大な紙管(読んで字のごとく、紙の管である)に布を貼ってコップの下部にし、その上に透明の素材を巻くことでグラスの部分を表現した。ただ透明素材を巻いただけではフチに座ることができないので、尻乗せ場として筒があるわけだ。
つまり僕はコップのフチに座っているように見えて、実は筒のフチに座っているということですかね。
もはやツッコミどころしかないが、細かいことは作ってから考えることにして先に進みたいと思います。
つまり僕はコップのフチに座っているように見えて、実は筒のフチに座っているということですかね。
もはやツッコミどころしかないが、細かいことは作ってから考えることにして先に進みたいと思います。
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不安が具現化していく
説明を受けてもよくわからなかったので、まずは作ってみることにした。作ってみてまったくコップに見えなかったら、もうおれガードレールにでも座る。
作業は岩沢兄弟の事務所で行いました。
まずは大きな紙管に透明素材を支えるための支柱を立てる。
この巨大な紙管はもともと中に粉とかを入れて輸送するためのパッケージなのだとか。世の中にはまだまだ知らないものが売られているものだ。
外側の筒には養命酒カラーの布を巻き、中心には座るための小さめの筒を入れる。
これを透明の素材でくるむと。
出来上がりである。
岩沢「試しにちょっと座ってみてください」
これ、大丈夫だろうか。岩沢兄弟が妙ににやけているのが気になるが、乗りかかったフチである。
では失礼して
岩沢「試しにちょっと座ってみてください」
これ、大丈夫だろうか。岩沢兄弟が妙ににやけているのが気になるが、乗りかかったフチである。
では失礼して
こ、ここに座るんですか?
座った。果たしてフチ子に見えるのか
どうっすかね。
当初、足を閉じて座れば座り用の筒は見えないのではないか、という見込みだったのだが、どうやって座っても筒は見えるだろうこれ。
しかし不思議な事に、作っているうちに僕たちには徐々にこれがコップに見えてきていた。こういうコップ、あるんじゃないか、見る方向によってはかなりリアルなんじゃないか。わーいわーい。
我々の目がコップに慣れてきた頃、撮影担当の編集部藤原くんがやってきた。
しかし不思議な事に、作っているうちに僕たちには徐々にこれがコップに見えてきていた。こういうコップ、あるんじゃないか、見る方向によってはかなりリアルなんじゃないか。わーいわーい。
我々の目がコップに慣れてきた頃、撮影担当の編集部藤原くんがやってきた。
藤原くんに「見てこれ、コップだよな!」と聞いたところ
「…いや」
と。
ちょっと待てなぜ見えないのだ。むしろ見えない方がおかしいだろう。
しかし何度も何度も「見えるだろう、見えるよね」と繰り返し聞いているうちに藤原くんも折れたようで
「ああ、見えました見えました。いまコップに見えました」とその態度を変えていった。
と。
ちょっと待てなぜ見えないのだ。むしろ見えない方がおかしいだろう。
しかし何度も何度も「見えるだろう、見えるよね」と繰り返し聞いているうちに藤原くんも折れたようで
「ああ、見えました見えました。いまコップに見えました」とその態度を変えていった。
この二人が言わせた感あるが。
しかしこれがコップに見えるか見えないか、それは透明部分の反射度合いによると思うのだ。ということで、外に出して撮影することにした。
周囲に物があるとコップに見えない気がするので撮影は外で行うことに。
よいしょっと
どう?
見えた!
完璧である。完全にいま僕はコップのフチに座っている。
読者のみなさんにおいても最初は見えないかもしれないですが、明日あさって、もしかしたら年が明けた頃には、これがコップとそれに座るフチ子さんに見えてくるかもしれないのであきらめないでください。
というわけでもうこれで行くことにします。
読者のみなさんにおいても最初は見えないかもしれないですが、明日あさって、もしかしたら年が明けた頃には、これがコップとそれに座るフチ子さんに見えてくるかもしれないのであきらめないでください。
というわけでもうこれで行くことにします。
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衣装に着替える
コップはできた。あとは自分自身との戦いである。
コップのフチ子さんをフチ子さんたらしめているのは、あのOLスーツというかミニスカートだと思うのだ。つまり衣装は最重要課題である。いろいろ探しまわって僕でも着られる似たやつを見つけてきた。おかげで僕のパソコンに表示される広告枠は今ぜんぶOLコスプレスーツである。
コップのフチ子さんをフチ子さんたらしめているのは、あのOLスーツというかミニスカートだと思うのだ。つまり衣装は最重要課題である。いろいろ探しまわって僕でも着られる似たやつを見つけてきた。おかげで僕のパソコンに表示される広告枠は今ぜんぶOLコスプレスーツである。
Mサイズ。
今回は養命酒とのコラボということで、養命酒のビンくんと箱さんにも来てもらっている。ここから先、急に岩沢兄弟が画面から消えるのはとくにこのこととは関係ない。
養命酒のビンくん用に用意したサンタ帽だったが、思いのほか帽子が小さく、入らなかった。
なので手に持たせたら新手の首狩り族みたいに。
こちらは箱くん。中身のビンくんとは別人格なのだ。
本当はこのまま景色のいい場所にでも行って撮影したかったのだが、さまざまな制約によりそれもかなわず(荷物が多い、服装が奇抜、巨大なキャラが2体など)、そのへんの路上での撮影となった。急がないとすぐに暗くなる。
道行く人は(いまごろハロウィン?)と思ったことだろう。
準備をしていると近所の人が様子をうかがいに出てきた。「これは何?CMか何か?」 興味津々である。そりゃあそうだろう、養命酒と箱とガタイのいいOLがドラム缶を持って歩き回っているのだ。夢にしてもとっかかりがなさすぎる。
簡単に説明できる気がしなかったのでにこやかに頭を下げてやりすごした。これはもうさっと準備してさっと撮影するしかない。
簡単に説明できる気がしなかったのでにこやかに頭を下げてやりすごした。これはもうさっと準備してさっと撮影するしかない。
とはいえ慎重に座らないと筒に尻がはまるから注意だ。
はいできた、はい!
ポーズ!
バッチリである。筒があるとはいえ、フチに座ることができた。
今になって写真を見返してみると感無量だけれど、現場ではコップのフチに座りながら不安でしかたがなかった。
なにが不安かって足が地に着かないところが不安なのである。フチ子さんも常にこんな気持でコップのフチに座っていたか。ならばあの感情を殺した表情にも納得がいく。
筒のフチに座ることについては、一度座ってしまえば思ったより痛くはなかった。ただ、グラス部分の透明素材を自立させるために立てたアルミ部材に両手を置いて支えているため、これが痛い。
今になって写真を見返してみると感無量だけれど、現場ではコップのフチに座りながら不安でしかたがなかった。
なにが不安かって足が地に着かないところが不安なのである。フチ子さんも常にこんな気持でコップのフチに座っていたか。ならばあの感情を殺した表情にも納得がいく。
筒のフチに座ることについては、一度座ってしまえば思ったより痛くはなかった。ただ、グラス部分の透明素材を自立させるために立てたアルミ部材に両手を置いて支えているため、これが痛い。
実は手が一番痛い。
とはいえ写真を見るとこれは見事にフチ子さんである。うれしくなって友だちに写真をメールしてみたのだけれど
「ちょっと待って!これフチ子さんでしょ、心臓に悪い」という返信だった。フチ子さんとして認識されたのだ。悔いはない。
「ちょっと待って!これフチ子さんでしょ、心臓に悪い」という返信だった。フチ子さんとして認識されたのだ。悔いはない。
来年もやりたいことをやろう
「やってみないとわからない」とよく言うが、わかるわからない別にして、やらないと気がすまないことも世の中には存在すると思う。僕はむしろそういうことに、今後も情熱を注いでいきたいと思っています。
満足です
今回の企画でコップのフチに座りたい、という欲が満たされたので満足である。これからコップのフチ子さんを見た人がみんなこの記事を思い出しますように。
と、やわらかな呪いをかけて記事の終わりとさせていただきます。
と、やわらかな呪いをかけて記事の終わりとさせていただきます。
明けましておめでとうございます。