特集 2015年12月11日

浦安と芦屋の海を失った防波堤

愛でよう! 埋立地!(「地理地殻活動研究センター」小荒井衛・中埜貴元『面積調でみる東京湾の埋め立ての変遷と埋立地の問題点</a>』を元に作成)
愛でよう! 埋立地!(「地理地殻活動研究センター」小荒井衛・中埜貴元『面積調でみる東京湾の埋め立ての変遷と埋立地の問題点』を元に作成)
ここ最近、埋立地に夢中だ。

ぼくが育った船橋市の海岸は埋立地だ。海にはあんまり興味はないが、埋立地には興味も郷愁もある。工場とかあってかっこいいし。

でも一般的には埋立地って愛でられることはない。だいたい地面愛でるのって難しい。

そこで堤防をきっかけにして、埋立地の面白さをお伝えしたい。「海を失った堤防」だ。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。

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気になっていた奇妙な「壁」

浦安市の埋立地に奇妙な塀がある。
新浦安駅から海に向かって500mほど行くと、あるところでその「塀」に行き当たる。
新浦安駅から海に向かって500mほど行くと、あるところでその「塀」に行き当たる。
団地マニアとして訪問を欠かすことのできない当地・新浦安。友人の実家も近くにあり、訪れるたびにこの「塀」が気になっていた。
いい模様。かわいい。
いい模様。かわいい。
途中、途切れながらも3km以上に渡って続く奇妙な塀。
途中、途切れながらも3km以上に渡って続く奇妙な塀。
こちら側も向こう側も道路。一体何のために存在しているのか。
こちら側も向こう側も道路。一体何のために存在しているのか。
道路の間にでんと伸びていて、横断上邪魔といえば邪魔だ。

一体この「塀」は何なのか。

そう、これは塀ではなくて堤防の跡なのだ。

Wikipediaによれば市域の約4分の3が埋立地という浦安市。1960年代から2期にわたって大規模に東京湾が埋め立てられた。それによって、かつて海に面して機能していた堤防が役目を終え、いまは陸地の真ん中に取り残されているというわけだ。

そう思ってみるとなんだか堤防自身が困惑しているようにも見える。
周りの街と比べて古び具合が違う。そして「おれ、ここにいていいのかな…」って感じ。かわいい。
周りの街と比べて古び具合が違う。そして「おれ、ここにいていいのかな…」って感じ。かわいい。

埋立の変遷すごい

マップで見るとこんな。赤い線が旧堤防。左にあるのは東京ディズニーリゾート。
浦安といえばディズニーリゾートだが(ぼくにとっては団地リゾートですが)、そのほど近くにこういうものがあるのだ。

上の航空写真で見ると分かるように、かなり長いまま残っている。

で、国土地理院が持っている昔の航空写真で、埋め立ての変遷を見ていくと、これがすごくおもしろい。
上と同じ範囲の1972年の航空写真。さっきの赤い線がまさに海に面した堤防であったことがよく分かる。それにしてもぼくが生まれた年はこんなだったのか。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス</a>」より・整理番号・KT727Y/コース番号・C6/写真番号・3/撮影年月日・1972/12/13(昭47))
上と同じ範囲の1972年の航空写真。さっきの赤い線がまさに海に面した堤防であったことがよく分かる。それにしてもぼくが生まれた年はこんなだったのか。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・KT727Y/コース番号・C6/写真番号・3/撮影年月日・1972/12/13(昭47))
3年後の1975年に第2期埋め立てがはじまる。そのころの様子。堤防が「えっ? そこに? 陸つくっちゃうの?」って言ってそう。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス</a>」より・整理番号・KT756Y/コース番号・C4/写真番号・22/撮影年月日・1975/05/22(昭50))
3年後の1975年に第2期埋め立てがはじまる。そのころの様子。堤防が「えっ? そこに? 陸つくっちゃうの?」って言ってそう。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・KT756Y/コース番号・C4/写真番号・22/撮影年月日・1975/05/22(昭50))

さらにもうひとつ旧堤防があった

で、さきほどから「2期」と言っているし、土地の形からも分かるように、この旧堤防が守っていた場所も、そもそも埋立地なのだ。
さらにさかのぼって1965年。第1期の埋立の最中。こうやってみるとほんと浦安市ってほとんど埋立地だなー。 (国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス</a>」より・整理番号・KT657Y/コース番号・C4B/写真番号・13/撮影年月日・1965/11/04(昭40))
さらにさかのぼって1965年。第1期の埋立の最中。こうやってみるとほんと浦安市ってほとんど埋立地だなー。 (国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・KT657Y/コース番号・C4B/写真番号・13/撮影年月日・1965/11/04(昭40))
ということは、この旧堤防の前に旧・旧堤防があったはずだ。

実はこの第1期の埋立の時に海を失った初代堤防も、現在残っている。
同様に上の写真と同範囲。オリジナル海岸線はこの「く」の字型にまがった白い線のところ。
これがその風景。一見、充実した中央分離帯にしか見えないこれが堤防の跡だ。
これがその風景。一見、充実した中央分離帯にしか見えないこれが堤防の跡だ。
2代目と比べるとあまり堤防然としていないが、これがそう。植栽やら土やらに覆われているが、たぶん地中には堤防躯体が残っていると思う。掘りたい。

この初代「困惑堤防」が面白いのは、これを境に道路の高さが違う点だ。
くの字に折れ曲がっている部分。向こう側の車線とこちら側との高さが違うのが分かるだろうか。
くの字に折れ曲がっている部分。向こう側の車線とこちら側との高さが違うのが分かるだろうか。
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