特集 2015年12月2日

秋葉原で4700円の肉定食を食べる

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電化製品と萌え、カルチャーの街秋葉原には4700円もする定食があるという。

定食と言えばごはんにおかず、そして汁物や漬物なんかがついた料理の提供形態だ。私が知っている「定食」とは、1000円くらいの、あのほっとするやつ。

牛丼を10杯以上食べることができる「4700円という価格の定食」には人を狂わせる魅力があると思う。その私の常識から逸脱しすぎている「定食」の存在を知ってから脳内で存在感を増すばかりだった。

そうだ! 「4700円の定食」を食べれば、食欲と好奇心をいっぺんに満たせるかもしれない!

この記事はとくべつ企画「肉」シリーズのうちの1本です。
1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

前の記事:昭和ノスタルジックな銭湯「安善湯」のリアルに密着した


肉の万世へ

モーちゃん(牛のキャラクターの名前)がお出迎え
モーちゃん(牛のキャラクターの名前)がお出迎え
秋葉原電気街口から歩いて5分。万世橋を渡った先に通称:肉ビルこと「肉の万世」はある。

昭和の時代から秋葉原のランドマークとして親しまれていた「肉の万世」は、最上階から地下までお肉料理専門店がぎゅぎゅっと詰まっている。
入口めっちゃギラギラしているのにどこか懐かしさを感じる。電脳化された昭和みたいなSF感
入口めっちゃギラギラしているのにどこか懐かしさを感じる。電脳化された昭和みたいなSF感
撮影同行してくれた夫によると

「小さい頃PC自作してた叔父に連れられてちょくちょく秋葉原に来たけど、肉の万世は自分の誕生日の時に連れてきてもらった特別感のある場所だ」

「ちょくちょく秋葉原に連れてきてもらっていたが、肉の万世に行ったのは誕生日の一回だけで、それ以外の時は多分ラーメンとかだったと思うけどよく覚えてない」

と言っていた。萌えの無かった20年くらい前の秋葉原は今ほど高い建物はなく、肉の万世はひときわ存在が際立っていたという。
定食と鍋なら7階ですって!
定食と鍋なら7階ですって!
ちなみに肉の万世は「お店ごとに人の層が違う」と言われている。最上階に行ったことはないが、さぞ敷居が高いのだろうと思うと怖くて行けない。そして本日向かうのはそんな肉ビルの7Fというこれまた上層部に位置する「七福神」だ。

肉ビルとやら、見せてもらおうか……! 店員さんに促されるまま中に入る。
どうしよう、場違いかもしれない。
どうしよう、場違いかもしれない。
予約したらうっかり個室に通されてしまった。法事や親戚行事で既視感がある風景がそこには広がっていたし、フロアにはお正月みたいなBGMが流れていた。
注文して待つ間、期待と怯えが入り交ざりながら夜のメニューをながめていた。うおお……エンゲル係数高い。
注文して待つ間、期待と怯えが入り交ざりながら夜のメニューをながめていた。うおお……エンゲル係数高い。
でも、全部がすっごい高いわけではなく、1000円台の定食類もあるのだ。今度また食べに来ることにしよう。
でも、全部がすっごい高いわけではなく、1000円台の定食類もあるのだ。今度また食べに来ることにしよう。

肉との対面

そうこうしているうちに4700円の定食、和風カットステーキ定食 ロース150gが運ばれてきた。
そうこうしているうちに4700円の定食、和風カットステーキ定食 ロース150gが運ばれてきた。
ハイライトを散らしたようにキラッキラしてる、肉が。
ハイライトを散らしたようにキラッキラしてる、肉が。
ミディアムの火加減で焼いてもらったステーキ肉は、柔らかいというか初めて食べる食感だった。表面はしっかり火が通っているのでちょっとサクッとした食感。そして噛むとじゅわっと肉汁が出てきてほろっと口の中で溶けてしまう。な、なにこれ?
自分のこんな表情初めて見たな
自分のこんな表情初めて見たな
肉を目の前にすると人間は知性を無くすのかもしれない。なんか言葉にならずにうめいてばかりいた。ドン底の貧乏を体験したという友人が言っていた、「人間、お金が無くなると野生に近づくんだわ……」という言葉をしみじみ思い出していた。いい肉を目の前にしても人間は野生に近づくのではないだろうか。

現に肉を口にした私は、言葉が出ずに「うわあ~…」とうめいてばかりいた。本当はもっと気の利いたコメントをしたいというのに……自分のボキャブラリ、どこ行った。

昼から牛鍋も楽しめる

そしてこちらはランチタイム限定鍋の開華牛鍋ランチ4500円。
そしてこちらはランチタイム限定鍋の開華牛鍋ランチ4500円。
お店のレジ付近に歴史上の人物が牛鍋を楽しんでいる絵が貼ってあり、これは是非食べてみたいと思っていたのだ。
なんという色彩の暴力! 肉って発光体だったんだね
なんという色彩の暴力! 肉って発光体だったんだね
あまりの美しさに何枚も何枚も肉の接写写真を撮っていた。待ち受けにしよう。
あまりの美しさに何枚も何枚も肉の接写写真を撮っていた。待ち受けにしよう。
着物の柄にしたいな
着物の柄にしたいな
卵をまとったお肉をちょっと見てみてほしい。脂のきらめきがホログラムのように、角度を変えてみるとその表情を変えていた。本当になんだこれ。
卵をまとったお肉をちょっと見てみてほしい。脂のきらめきがホログラムのように、角度を変えてみるとその表情を変えていた。本当になんだこれ。
い、生きててよかった。
い、生きててよかった。
肉を食べた後はお酒に酔ったように目が座っていた。完全に焦点が定まっていない。言っておくがこの日私はお酒を一滴も飲んでいない。肉は人を酔わせるのだ。

この日、肉に狂わされた私は最終的に肉に話しかけていた。海外で英語が全く通じない自分だが、肉なら日常会話ぐらいならいける気がする。

高いはうまかった

「4700円の肉定食」、私が今まで食べたものとは別物のうまさだった。「高い=うまい」わけではないとか言うけど、「そんなのきれいごとだぁああ」って言ってちゃぶ台をひっくり返したくなるくらいにうまかった……高いはうまかったのだ。
ごちそうさまでした
ごちそうさまでした
2人で9200円とか完全に定食の値段じゃない。肉を目の前にして失っていた知性をお会計を見ることで取り戻した。私は今、生きている。
帰りに見かけた肉の万世のパイロン、牛柄でめっちゃ可愛い
帰りに見かけた肉の万世のパイロン、牛柄でめっちゃ可愛い
秋葉原の肉定食ランチは肉のエンターテイメントという感じがした。牛鍋って、ぐつぐつという音や熱によって変化する美しい肉の色、五感で楽しむ料理なんじゃないのかな。体に染みついたすきやきのにおいすら愛おしい。
でもランチで4700円かぁ……また食べることができる日は来るのだろうか……。
体にしみついたすきやきのにおいで余韻に浸り、電化製品と萌えとカルチャーの2015年の秋葉原を後にした。

※記事内の定食の価格は2015年11月現在です。

秋葉原は新しい発見がある街


行く度に新しい発見のある秋葉原が好きなのだが、何故か今まで肉ビルに行く機会がなく、ついに足を踏み入れてしまった!

この日肉ビル以外で気になったのはこれ。万世橋から見える謎の階段のトマソンだ。調べてみたところ一般の人は入れないが一応女子トイレからこの階段に降りる道があるということだった。秋葉原でこうした昔の名残のある建物を探すのも楽しい。はぁ……トマソン気になる……。
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