たどり着くまでが大変だぞネオキタロー村
ネオキタロー村は岡崎市の中でもかなり山の中の方にあって車でないとたどり着くのが困難なので、レンタカーを借りて向かった。
本当にこんなところの先にあるのか(無かった)
カーナビの言うとおりに運転していったのだけれども、こんなところに無いだろう感が強い所へ誘導されて信じてついていったらやっぱり無かった。
バンパーこすってテンション激下がり。
そして激狭な道を折り返していると車のバンパーを擦ってしまった。見つからないし擦っちゃうし、ヘンテコなものを見てみたいなー程度のノリを叩きつぶすには充分な困難。
もう、帰っちゃおっかな…。そう思っていたら
完全に雰囲気がプンプンする看板。
バンパーを確認するために停めていた場所の上に看板があった!あと2分!?近い!という思い以上に引っかかる「ネット」という文字の謎さ。
残り1800メートルで2分。残り500メートルでも2分。そして今度は全国ネット。全国ネット…?
プンプンと匂ってくるヤバさに折れかけていた心が完全に復活して、ウキウキで向かう。
たどり着いて余計になにがなにかわからない
札幌の時計台…?
先ほどの看板から走って数分。完全にこれだろうな!という物件が姿を現した。しかも、道を挟んで二箇所。
ツリーハウスすごい気がするんだけれど、それ以上にディティールのインパクト。
札幌の時計台とツリーハウスが向かい合わせにあり、それぞれが旗とかで飾り付けられている。
ここだな…。
ここがネオキタロー村…。実際には川のせせらぎとかが聞こえているんだけど、うるさい。すごくうるさい感覚に陥る。存在に圧倒されてしまう。
お気軽に入村
私有地に付き無断で入らないでください。
しかし、村の門戸は固く閉じられている…。お気軽に入村とは書いてあるが、無断では入るなとも書いてある…。これは書かれてある番号に電話してこいってことなのか…?
圏外…。
この建物群を作った人に直接電話する…?かなり度胸のいることだけれど、意を決して電話してみると…。圏外!!一旦、村を離れて電波の入るところで電話をしてみると…。
プルルルル…ガチャッ「ハイッ!村長でーす!!」見知らぬ番号からの着信でいきなりの村長名乗り。これは手強い感がビンビンに来る。
ネオキタロー村を見たいと伝えると「じゃあ2分で行くから待っててください」とのこと。出た!2分!この人、短い時間のことを全部2分って言うぞ!たぶん!
2分できました~。(実際は5分位)
本来は不法投棄の監視小屋だった
俺の写真を記念に撮った村長。
「あなたは何で知ってここに来たの?最近はすっごい人気なんだよ!こないだもギャルが6人も来てさ~!あなたもキタロー村作ったらモテるよ?どう?作ってみたら?」
と、すごい勢いでまくし立てる村長。モテたい思いはあるが、戦略が異端すぎはしないだろうか。
取材が来るごとに埋めていった看板で、残りはNHKだけらしい。NHKに出るのが念願。
話を聞こうとすればするほど話がとっ散らかっていく村長。占いが得意な村長曰く、俺は海外で生まれ育って世界を股にかけるインタビュアーらしい。はい、日本生まれ日本育ちです。
ツリーハウス、単純に凄い
飛び交う話題を避けつつ質問を入れると、そもそもここは代々村長の家の土地であったが不法投棄がヒドく、その対策として監視小屋を樹上に作ったのが元だそうだ。
そのツリーハウスを面白がって見に来る人が現れて始めて、その中の一人が「ゲゲゲの鬼太郎の家みたい」と言ったのを聞いた村長が、それだ!と思い、キタロー村と名乗り始めたという。
ただ名乗ってるだけと言ってもね、権利関係はいろいろ複雑だから。って言っていたので、シルエットだけ見たことある感じにしているそうな。
そしてキタロー村と名乗り始めてから存在とイメージがマッチし始めて人気がちゃったんだよ~。やっぱりね、色んな方面と協力していくのが大事だよね。と言っていたが、完全に鬼太郎側とは協力体制ではないのではないか。
雰囲気とはそぐわない建築クオリティ
ここまでは外で話を聞いていたが、中を見せていただくことは?と聞くとどうぞどうぞと言ってくれた。
几帳面なのか大雑把なのかわからない
しかしその前に中でコケて怪我とかしても自己責任。って説明されてノートに名前を書く。ヘンテコと社会性のバランスが絶妙にわからない。
ついに足を踏み入れる。
自己責任とか言われたので、中は崩れていたり危険だったりするのだろうかと想像しつつ恐る恐る足を踏み入れる。
えっ、家じゃん!
が、全く予想を裏切るクオリティ!床は石畳にタイル張り!しかも電気に水道まで通っている。な、なんだこれは…。
石窯でピザも焼けるという…。石窯を作るのにかかった費用は3700円だって。ええっ…?!
聞くと村長は元大工で、昔とった杵柄で全部一人で作ったんだとか…。材料を運ぶ所から組み立てるところまで全部一人。
おもしろふざけおじさんかと思っていたら、技術はもちろん労力も半端じゃない。もしかして、この人凄いのでは…。と思い始めていたら。
三階建ツリーハウス!
功績と態度の関連性よ
これを一人で作った…?
三階建ツリーハウスは作るの大変だったよ~。と村長は軽く言っていたが、これを一人で作るなんて信じられない。
大丈夫なのか…?と思うけれど10年以上も残っているという。
自己流で作ってみたら出来ちゃって、ツリーハウス界では4人の偉人に数えられているって自分で言っていたが、確かにそうだろうと思う反面、自分で言ってるので嘘っぽーい。という思いもある。
ロープの苔むし具合がカッコいい。
このノリで変な装飾を施しちゃうから変なおじさん枠に入っているけれど、ツリーハウスの建築技術だけを広く啓蒙していたら普通に凄い人枠みたいなのに入るんじゃないだろうか。
村長は偉さ的なものは望んでいないのだろうけれど、人って中身というか功績だけで人を見ることって出来ないな。雰囲気って大事!って考えさせられた。望む自分に見られたいなら雰囲気から入るのも大事!
なんと泊まれるネオキタロー村
先ほどのツリーハウスは昔は宿泊可能だったんだけれど今は木が枯れてしまっているので泊まることはもちろん、登ることも出来ないそうだ。しかし、札幌の時計台風の建物には泊まれるらしい。
なんと時計台にも入れます。
村長は時計台を指して、やっぱりね、今時代はパクリ!人気のものをパクっちゃったらすぐに人気出るからね!と、バイラルメディアみたいなことを言っていたが、かけてる労力が違う。かたやコピペでこっちは建築である。
実家感!!!
その時計台に入って再度驚く。外観やさっきまでの謎装飾とは違ってすごく家、実家っぽい。「ここは一泊1000円で貸し出しもしてるからちゃんと過ごしやすいようにって思って」と言う村長の予想外なリアリストっぷりが衝撃。
外観と中から覗く蛍光灯のギャップよ。
この時計台は、奥さんに「ツリーハウスとか趣味ばっかりじゃなくて私にも何かしてよ!」って怒られたので、奥さんへのプレゼントに作ったそうだ。
「これでいつでも札幌に行けるよ」って伝えたらしいが完全にツリーハウスと方向性が同じ。そして結局お客さんの宿泊場所に供される時計台。
ヒモを引くと屋根裏に通じる通路が開く仕組み。カップル成立したら二人で上がれるように。って言ってた。
この時計台にはたくさんのお客さんが泊まって、なんと合コンが二度開かれた事もあるそうだ。全く理解が追いつかない。
追いつかないけれど、感じるのはただヘンテコなものを自己満足に作っているのではなく、周りの人に楽しんでもらおうという意図が村長の中では実はあるぞ…!という事。そう考えて見ると、また味わい深いぞ、ネオキタロー村。
突飛な見た目から、エキセントリックな存在かと思っていたらば意外とホスピタリティあふれていたネオキタロー村。村長はなんども「色んな人に楽しんでもらいたい、来てもらいたい」と言っていた。
でも「なかなか電話してくれないんだよね」って続いていて、そらそうやろ感を禁じえませんが皆様方に於かれましては興味が少しでも湧かれましたら行って電話していただければと存じます。
バーベキューみたいなことも出来るそうですし、お泊り楽しそうかと思いますぞ!(俺も泊まってみたい)