特集 2015年9月4日

人数が多すぎるアテレコ

人多すぎ状態で、ローマの休日の吹き替えをしました
人多すぎ状態で、ローマの休日の吹き替えをしました
今度大阪で行われるイベント「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 大阪2015」では、デイリーポータルZの企画として、同時に多人数でアテレコをやろうということになっている。「人が多すぎるアテレコ」である。

どういうことか。イベントでは大きなスクリーンのある会場に数百人が集まる予定なので、全員でアテレコをしたらきっと楽しい、というのだ。デイリーポータルZ編集長の林のアイデアである。

どういうことか(2度目)。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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同時に多人数でアテレコする??

アテレコに人が多過ぎたらどうなるかは、実際にやってみるしかない。楽しいのだろうか。

吹き替えるのに選ばれたのは「ローマの休日」の編集したダイジェスト(約2分)だ。
著作権が切れていて、ストーリーもよく知られているのが選ばれた理由だ。
この企画は全て編集長林が指示しています
この企画は全て編集長林が指示しています
ということで企画会議に来てもらったついでにデイリーポータルZライターに声優として参加してもらった。

PCでローマの休日を見ながら、この10人で声を吹きこんでいく。
このようにPCで映像を見ながらやります
このようにPCで映像を見ながらやります
よくわからない行為に無理やり付きあわせているようだが、この日はミーティング前のランチでカツ丼を食べたのでみんな上機嫌のはずである。
その前に食べたかつ丼
その前に食べたかつ丼
それではさっそく、かつ丼を食べぼんやりした大人がアテレコした映像をご覧頂きたい。
収録の風景と、映画を組み合わせた画像が以下である。ワイプで入れたら、何かの旅番組のようになってしまった。
ららら~~♪
ららら~~♪
バシャーン!
バシャーン!
声を吹き替えるといっても、SE(効果音)のほうであった。アテレコというのだろうか、それは。

はじめはオードリーのセリフを10人で同時に言うという案もあったのだが、難しそうだったので今回はなしにした。

「ローマの休日」が公開されてから、日本は大戦からの復興を遂げ、さまざまな社会問題を抱えながらも歴史を重ね、インターネット等の文化的革新があった末にこうしてオードリーの後ろで鳴るSEに我々が声を吹き込むのである。因果である。
「「バシャーン!」」
「「バシャーン!」」
実際やってみると、これが楽しい。動画の音声を聞いて頂ければその雰囲気は伝わると思う。

このパートは誰々、と分業になっていないので無責任でいいので気が楽だ。上手い下手を考えなくていい合唱のようである。

駆動音が腕の見せ場

なんと言っても一番盛り上がるのは、乗り物が登場するシーン。

バイクのエンジン音などは、まさに吹き替えの活躍するチャンスである。
ブルンブルン…
ブルンブルン…
ブゥゥゥゥゥン…
ブゥゥゥゥゥン…
一応セリフの指示もしている
一応セリフの指示もしている
このダイジェストではなぜ飛行機のシーンが挿入されているのかがわかりづらい。セリフも適当だ。

ただ効果音のアテレコのことを考えると、絶対になくてはならないシーンである。

みんなで「ブルン!ブルン!」なんて幼稚園のクラス以来では無いだろうか。こんなセリフは、人数が多すぎるアテレコ以外ではなかなか口にだすことは無いだろう。
後で確認すると、隣の部屋では全員スーツのまじめな商談が行われていた。
後で確認すると、隣の部屋では全員スーツのまじめな商談が行われていた。

エキストラにも容赦無く声を入れる

ふつうこういうエキストラはっきり喋らない。途中、人混みの中で喧嘩するシーンがあるのだが、そこで倒れた人を抱き起こすエキストラにも容赦なく声を入れる。

画面上には2人しかいないのに明らかに声はもっと多く聞こえる。エキストラのセリフなのに過剰だ。
「大丈夫ですか?」「頭打ったんじゃないですか?」「大丈夫?」「わーわー」
「大丈夫ですか?」「頭打ったんじゃないですか?」「大丈夫?」「わーわー」
逆に「真実の口(ダイジェストの中ではポストになっている)」に手を突っ込むシーンはSEがないので、我々SE声優には沈黙が必要だ。

しかし隙あらば!という感じ前のめりになっているので、何かきっかけがあると喋ってしまいそうになる。実際興奮が極まりすぎたのか、我慢できず声を入れてしまった人もいた。(動画には編集せずに入れておいた。)

10人でここまでの楽しさなのだから、数百人集まったら新しいエンターテインメントになる予感がする。

セリフの吹き替えはぼくがやりました

ところで、動画を見ていてセリフが過剰なのは気にならなかっただろうか? このセリフの部分は別日に僕が吹き替えている。

前々から声優には憧れていたので、オードリーに声をあてられるなんて光栄である。
よく考えたらこっちは1人じゃなくて複数人でアテレコすべきところである
よく考えたらこっちは1人じゃなくて複数人でアテレコすべきところである
はじめは「退屈だわ」「外の世界は楽しい」など、必要最低限のセリフだけ入れるシンプルな構成にしようとしていた。

しかし林さんから「動画全体をセリフで埋めて欲しい」と指示が入ったので、やがて思ったことを全部言っちゃうタイプのオードリーになった。
できるだけ動画全体がセリフで埋まるようにした
できるだけ動画全体がセリフで埋まるようにした
持ち帰ったデータを確認すると死にかけの鈴虫みたいな声しか録れていなかったのでソフトで音量を大幅に増幅
持ち帰ったデータを確認すると死にかけの鈴虫みたいな声しか録れていなかったのでソフトで音量を大幅に増幅
音量を調整し、字幕をつけたり編集しなおしてできたのが冒頭の動画である。改めて貼っておこう。
数百人でバイクのエンジン音を吹き混む。このおかしな体験は他では絶対できないはずだ。イベントでは他の素材も用意されているかもしれない。

是非来ていただきたいと願うばかりだ。

別の題材にする案もあった

ところでアテレコするにあたって、ローマの休日ではなく効果音を入れやすいオリジナルの動画を撮影する案もあった。火星探査に行ってしまう男とその彼女の別れの物語だ。

「その彼女に10人同時に声をあてるんだよ」と林さんは言う。楽しそうではあるが、10人の声がする女という世界はいびつである。

「10人の声がする女というのは、どういう因果なんですか?」と聞くと、「理屈はいいんだよ、楽しければ」と返された。なるほどそういう考え方もあるか。

しかし翌日、林さんは「やっぱりローマの休日にしよう」と言って、結局こうなったのである。

もしかしたら大阪のイベントでは「宇宙飛行士の彼と大勢の声がする彼女」の動画素材が用意されているかもしれないので一応記しておく。

ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 大阪2015
デイリーポータルZ プログラム

「デイリーポータルZ」が独自で撮影した短編フィルムを一挙大公開!

オルタナ系ポータルサイト「デイリーポータルZ」の短編動画+トークショー デイリーポータルZの西部劇「荒野の独り言」とスパムメールを実写化した「本当にあった3000万あるんですが会っていただけますか?」を上映。
しかも「本当にあった…」はウェブ未公開作品です! また、毎日1分の動画を公開している「プープーテレビ」からは過去2700本超の作品から傑作選を上映。作者による解説(言い訳)つきです。
会場が広いのでお客さんを交えて人数が多すぎるアテレコ大会も実施。大勢で波の音などを声だけで再現してみたいと思います。

席数380のところ、あと200人くらい足りてません。4、5人連れてきて下さい。

日時
2015/09/22 (火)
18:30 - 20:20
会場
グランフロント大阪北館4F ナレッジキャピタル「ナレッジシアター」

入場無料 予約はこちらから
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