簡単にできるデカアイス
コンビニやスーパーに行けば、可愛らしいアイスを手に入れることができる。手のひらサイズの小さいやつだ。
…皮肉めいた書き方をしてしまったが、アイス好きとしてはもっと大きいのが食べたい。ガッツリ食べたい。そこで思いついたのが、紙パックジュースに棒をさして凍らせる方法だ。
子どもの頃の独自研究により、凍らせて一番美味しい飲み物はピルクルです。これでかき氷やったら売れると思う。
紙パックの飲み物は、オレンジジュースにりんごジュース、コーヒー牛乳など色々売られている。これを凍らせば、そこら辺で売られているような小さいアイスの何倍も大きいアイスが食べられるのだ!
凍らせても濃厚な味がずっと楽しめるのがピルクルのいいところ
私が選んだのはピルクル。
子供時代、さまざまな飲み物を凍らせスプーンでガリガリ削って食べ比べしていた時期があったのだけど、味の濃さが一定であり固くなりすぎないこのピルクルが一番美味しかったからだ。
親指の支えなしじゃ持てない。そりゃそうだ、1キロあるのだから
棒は、先がスプーン状になっているマドラーを使った。これなら簡単に抜けないだろう。と思ったのだが、プラスチックのため今にも折れてしまいそう。仕方なく人差し指と親指をそえることに。
顔よりでかい棒アイス
大きくて嬉しい。
こんなに大きい棒アイスを食べるのは初めてで、すごく嬉しい。
近くにはチラ見してはすぐ目をそらす男性しかいなかったのだけれど、これを子供が見たらきっとうらやむはずだ。ただ、親指と人差し指が非常に冷たいのと、溶ける速度が思ったより早いのは誤算だった。
溶けるのが早いピルクル。肘までつたってベトベトに。
助言その1:すぐベトベトになるので気をつけよう
必然的に、撮影するカメラもベトベトになった。濡れティッシュで拭いても、その間にどんどん溶けていくのですぐベトベトになる。アイスってこんなに溶けるの早かったっけ?
そうか、よく考えればガリガリ君なんかは2層になっているじゃないか。普通のアイスは溶けにくい工夫がされているんだな。
ベトベトだけど、外で食べるアイスは格別!
15分後。顔の下半分が疲れ、アゴ周りが冷たくなってきた。
助言その2:アゴが不調になるので気をつけよう
最初は嬉しくて美味しくて勢い良くたべていたのだけど、15分も食べ続けていると、アゴ周りに疲労がでてきた。なんせ大きいのだ。かき氷を食べて頭がキーンと痛くなるのは夏らしくていいが、デカアイスを食べてアゴが痛いのは季節問わず嫌だなと思った。
また、ふとアゴ周りを触ってみるとその冷たさに驚く。高校野球で白熱している選手たちの額に当てて、気持ちを落ち着かせてあげたくなるほど冷えていた。大丈夫だろうか。
30分後、スプーンが見えた辺りで気持ちの変化に気づいた。「飽き」がきたことに。
助言その3:飽きてくるので気をつけよう
30分もかじっていると、今度は味や、食べる行為そのものに飽きてきた。他のことしたいな~と思う。液がたれさえしなければ遊具で遊ぶこともできたかもしれないが、アイスは相変わらず溶け続けて、身動きはできない。
応援するかのようにハトが増えてきた
45分。小さいゲップが出てくるようになり、お腹がいたくなってきた。
助言その4:お腹が痛くなるので気をつけよう
ピルクルには「生きた乳酸菌が65ml中に150億個」と書いてあった。1リットルで計算すると約2300億個。いま、わたしのお腹の中には腸内環境を整えてくれる乳酸菌が、銀河系の恒星の数と同じくらい入っていっている。
なのにおかしいじゃないか。徐々にお腹が痛くなっているのだ。これはあれだ、お腹が冷えてきたのだ。
ここらへんでZARDの「負けないで」が頭の中でかかりはじめる。
ピルクルアイスはうまい。大きいのは嬉しい。でも大きすぎたな、と思う。しかもこの撮影、実はすでに夏を通り越した、アイスいらずの過ごしやすい日にやっている。思いついたのは猛暑日だったが、すでに秋を感じる気候に切り替わっていたのだ。
自分は無理をしている。最初はあんなにテンションが高かったのに「ギブアップ」という言葉が頭をよぎりはじめた。
こんな顔で食べてたのか。。
助言その5:負けないで
それでも応援してくれるたくさんのハトや乳酸菌たちの為にも諦められない。お腹をさすりながら、ゆっくり、ゆっくり、前に歯を進めた。
心配していたアゴの故障も、「慣れ」や「無感覚」によってなんとか乗り切れそうだ。気がつけば武道館(近所の公園)には大勢のハトたちが出迎えてくれ、今か今かとゴールを待っている。
やった、1時間で完食! ただし2割くらいは溶けてた気もする。
たくさんのハトたちに見届けられながらゴール。このあと家のトイレへかけこみ、シャワーでアゴを温めた。
今すぐサライへ帰りたい
24時間テレビの最後に歌われる「サライ」とはペルシア語で「宿、家」という意味らしいが、私も最後はサライに帰りたいという思いでいっぱいになった。トイレに行きたいのだ。
今回やって気づいたことは、コンビニやスーパーで売られているアイスは、小さいけれども軽くて溶けにくくて飽きなくて素晴らしいということ。アゴも疲れないし、お腹もゆるくはならないし、カメラもベタつかないだろう。きちんと工夫されているのだ。
もし私のように、小さいアイスじゃ物足りないと不満を持っている人がいたら改めて助言したい。アイスは大きさじゃないよ、と。
やはりベトベトになるけどこれくらいのサイズがちょうどいいかも。両方おいしかった。
夏が終わる
いろいろ困難はあったけど、夏の最後にいい戦いができて私は満足だ。自分の体から漂うピルクルの甘い香りも心地よい。
それに、ハトたちに囲まれることで24時間テレビに出演したような気持ちにもなれた。私は負けなかった。これからも、この経験を糧にして頑張って生きようと思った。
撮影中、応援してくれているはずのハトに予備のデジカメを2回踏まれた。両手がふさがりベトベトで何もできず。