特集 2015年8月8日

白くてもしっかり辛い白麻婆豆腐と白担々麺

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「中華街の「心龍」というお店で食べられる白い麻婆豆腐が気になります」という投稿がだいさんから、「中華街で美味しい担々麺が食べたい」というお願い投稿がふんわりハミングさんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

調べてみると、心龍の「白麻婆豆腐」と重慶飯店の裏メニュー「白担々麺」は、見た目とは裏腹なピリッとした辛さがおいしい、珍しい料理だった。。

はまれぽ.com 山崎 島

(編集部より:記事を提供してくれているはまれぽ.comから、今週は過去に掲載されたヒット記事をご紹介します。)
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前の記事:青森県の横浜に共通点はあるのか!?


最近白い服を着て出かけたい願望がすごいのですが「白」を着ているとミートソースとか、カレーうどんとか、わんぱくにいただけないじゃないですか。うかつに色のついた食べ物に手を出せません。

じゃあさ、白米とかおかゆとか食べてればいいじゃん、となるのですが季節は初夏。辛いものが食べたくなるんだなあ。

襟にナプキン挟むのもなんだかこっぱずかしいし、どうしたらいいんだろうなあと思っていました。そんなとき、中華街には白いアレとか、アレとかがあるという噂を聞きましてん。これは…!!

元祖白麻婆豆腐に投げキッス

そんなこんなでやってきた中華街。
延平門がきれいになってるー
延平門がきれいになってるー
この日は夏ばりの暑さ。道行く人もみなさん軽装です。こういう暑い時に食べたくなるのが…
赤い麻婆豆腐
赤い麻婆豆腐
見るからに辛そう。ぎゃっと食べてぎゃっと元気になっちゃいたいなあ。と、こういう誘惑が多いため、この日はあらかじめ白いシャツを着てきました。しかも妹の。これは汚すわけにはいかない。

さまざまな赤い食べ物を乗り越え、中華街大通りを1本入ったところにある、心龍(しんろん)に到着。
木を使い古い中国をイメージしたお店
木を使い古い中国をイメージしたお店
外観からムード漂う心龍。こちらになんと「白麻婆豆腐」なるものがあるそう。いったいどんな感じなのか。果たして辛いのだろうか?
お邪魔致します
お邪魔致します
1階はカジュアルな雰囲気で
1階はカジュアルな雰囲気で
2階は品のある
2階は品のある
しっとりとした雰囲気
しっとりとした雰囲気
幼いころ、中央の回転する部分に乗るのが夢だった
幼いころ、中央の回転する部分に乗るのが夢だった
この日お話を伺うのは社長夫人の岩岡さん。
細かいところまでお気遣いくださる美人さん
細かいところまでお気遣いくださる美人さん
どうぞよろしくお願いいたします。まずはお店について伺った。

心龍がオープンしたのは今から12年前の2003(平成15)年。中国福建省ご出身のご主人とお店を始められた。「中国の味を日本の方にも伝えたいという想いと、いろいろなご縁があったので、中華街にお店を開きました」と岩岡さん。

社長であるご主人は、日本にいらっしゃる前はオーストラリアに数年住まわれていたんだそう。現地でたくさんの日本人とお知り合いになり、日本にご興味を持たれたのが、来日のきっかけ。
心龍をはじめる前は食品を扱うお仕事をなさっていたのだとか
心龍をはじめる前は食品を扱うお仕事をなさっていたのだとか
そんな若いお2人がいちから作り上げた心龍。同店では上海出身のコックさんが作る本格的な上海料理と、広東料理をメインにいただける。
定番のものから、新しいアイデアをプラスしたメニューがそろっている
定番のものから、新しいアイデアをプラスしたメニューがそろっている
ランチメニューも充実
ランチメニューも充実
魅力的なメニューてんこもりの心龍だが、看板メニューはやはり「白麻婆豆腐」。ここへ来る道々、いろいろ想像してきたのだけど、実際はいかがなものだろうか。

「白麻婆豆腐」はおよそ10年前に誕生した。「シンプルでヘルシーな麻婆豆腐を作れないだろうか」と、ご主人と岩岡さんが話し合いを重ね、たどり着いた一品なのだそう。

「普通の麻婆豆腐はラー油や豆板醤、豚ひき肉を使い、こってりとしているのですが“白麻婆豆腐”は塩分と油が少なめで、あっさりとしています」と岩岡さん。「白麻婆豆腐」は花椒油(ホアジャンユ)と鶏肉、そして青唐辛子を使用しているため、白く仕上がるのだとか。青唐辛子は季節によって、さまざまな産地のものを使っていて、岩岡さんのおすすめはハラペーニョ。「見た目からは想像できない、ピリッとした辛さがおすすめです」とのこと。
見た目とは真逆のものに惹かれる心理ってありますよね
見た目とは真逆のものに惹かれる心理ってありますよね
なるほど、青唐辛子…。食べなれている赤い麻婆豆腐とは材料が全然違うのだが、それって麻婆豆腐と言えるのでしょうか? 岩岡さんいわく「あくまでも普通の麻婆豆腐をベースに改良をしたので、全く別の食べ物なわけではないんです。大丈夫!!」とのこと。これは実際にいただくのが楽しみです。

ちなみに、白い服についても目立たないのか、と伺うと「うーん、白いけど、油も少し入ってるし…ラー油のようにはならないですが、少しシミはつくと思います」とおっしゃっていた。

では実際に「白麻婆豆腐」、いただいてみましょう。この日は実際の調理している様子を見ることができた。
お邪魔致します
お邪魔致します
まずお豆腐を切る。山崎はこの時高確率で手も切っている
まずお豆腐を切る。山崎はこの時高確率で手も切っている
鶏ひき肉とハラペーニョ、ショウガとネギとニンニクかな
鶏ひき肉とハラペーニョ、ショウガとネギとニンニクかな
材料を順番に炒めて
材料を順番に炒めて
最後に花椒油をさっと加え
最後に花椒油をさっと加え
完成
完成
は、早い…山崎は蕎麦を作るにも40分かかるのに…調理時間が10分ほどで「白麻婆豆腐(1180円)」が出来上がった。ふわあっと良い香りが広がる。
こちらが噂の
こちらが噂の
白麻婆豆腐
白麻婆豆腐
花椒油と山椒の爽やかな香りと、涼しげな見た目が何とも美しい。こないだ野毛山動物園で見た白いクジャクのような雰囲気。特に女性に人気なのも納得できる。
いただきます
いただきます
おお、やるな。びしっと辛い。赤い麻婆豆腐のように、山椒がつんとくるものとは少し違って、青唐辛子が効いた、スパイシーな感じ。辛いけどもあっさりとしているためか、すいすい食べられちゃう。
久しぶりに食事をして汗かきました
久しぶりに食事をして汗かきました
試しに少し服につけてみましたが
試しに少し服につけてみましたが
すぐに拭き取ればシミにはなりませんでした。これはいいぞ、いいぞこれは。

横浜中華街で生まれた、元祖「白麻婆豆腐」。ここだけにしかない変り種の麻婆豆腐、ぜひ一度ご賞味あれ。岩岡さんありがとうございました。
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白担々麺にときめく

中華街の白い○○。続いては重慶飯店本館の裏メニュー「白担々麺」を食べるべく突撃。
みなさんおなじみの重慶飯店本館
みなさんおなじみの重慶飯店本館
チャーハンジンクスの取材の際、5分だけお邪魔しました
チャーハンジンクスの取材の際、5分だけお邪魔しました
その節はお世話になりました
その節はお世話になりました
1959(昭和34)年開業の老舗、重慶飯店本館。名店の裏メニューって…シュワッチ!!
どのテーブルも
どのテーブルも
きれいにセッティングされていて
きれいにセッティングされていて
麗しい
麗しい
ナプキンをバラのようにふわっとさせるのって、どうやるんだろう。さすが名店。

エレガントな店内で、洗礼された四川料理をいただける重慶飯店本館。キニナル「白担々麺」とは、どんなお料理なのでしょうか。
お話を伺ったのは料理長の鈴木さん(左)と支配人の松本さん
お話を伺ったのは料理長の鈴木さん(左)と支配人の松本さん
白担々麺が裏メニューとなったのは約8年前。鈴木さんの前の料理長の時に誕生した。「もともとは従業員の賄いメニューでした。あるもので簡単に作れる、シンプルなものなので。それが評判になり、お客様にもお出ししたのがはじまりでした」と鈴木さん。

その後口コミで評判が広がり、今でもメニューにはない、知る人ぞ知る一品となった。そんなに人気なら、定番メニューにすればよいのでは、との意見があったそうだが鈴木さんはこう答える。

「“白担々麺”が食べたい方に召し上がってほしいので敢えて定番にはしていません。時期によって、おすすめメニューとして出すことはありますが、口コミで広がったということを大切にしています。また、普通の料理と違って、調味料を作り置きすることが難しいのです」

あえて表に出されない、幻の「白担々麺」。一体どんなものなのでしょうか。

裏メニューなため、詳しい材料やレシピは秘密だったが、特別に調理風景をみせていただいた。
鈴木さんとおそろいの白衣を着て厨房へ
鈴木さんとおそろいの白衣を着て厨房へ
てきぱきと調理される鈴木さん
てきぱきと調理される鈴木さん
あ、そこに見えるのは…スープ?
あ、そこに見えるのは…スープ?
ちゃちゃっと麺を入れて
ちゃちゃっと麺を入れて
具を盛り付けて
具を盛り付けて
完成
完成
中華街の誇る老舗料理店の裏メニュー
中華街の誇る老舗料理店の裏メニュー
「白担々麺」(1200円)
「白担々麺」(1200円)
白いスープに蒸し鶏とモヤシ、仕上げにパクチーを乗せた只者じゃない雰囲気を醸し出している一品。
まずはスープからいただく
まずはスープからいただく
おおお!! ゴマや!! 最初に濃厚なゴマの香りが押し寄せてきて、そのあとにひりりとした辛さがくる。なるほど、白さの秘訣はゴマだったのですね。赤い担々麺を食べた時に感じた油っぽさが一切なく、しっかり辛い。
続いて麺も
続いて麺も
中細麺が濃厚なスープにしっかり絡んで美味。濃厚なのに、くどさを感じないのは、柔らかくあっさりとした鶏肉とパクチーの存在があるからだろうか。これは女性にはもちろん、脂っこくないけどがっつりしたラーメンを食べたい男性にもうれしいのでは。

「白担々麺」と一緒に出していただいた、青山椒を振りかけるとまたがらっと印象が変わる。香りがよく、きつさがない青山椒と、濃厚なゴマ、パクチーをいっぺんにいただいても、風味が喧嘩しないのが驚き。中華街には個性的な担々麺がたくさんあると思いますが「白い担々麺」は重慶飯店だけにしかない。しかも!! なんと本館には昨年(2014<平成26>年)から「黒担々麺」というもうひとつの裏メニューもあり、白担々麺同様誰でもオーダーできるそう!! なぬー!! これは赤・白・黒、全ての担々麺を並べて悦に浸らなくては。よし、おばあちゃんと弟をつれてこよう。

鈴木さん松本さん、ありがとうございました。

取材を終えて

辛い=赤いというイメージで25年間やってきてしまった山崎。今回の取材は「見かけだけで物事を判断しなさんなよ」という、遠いお空の誰かさんからのアドバイスも含まれていたのだろうか。そんなことないか。明日からまたがんばろっと!!

中華街にはまだまだ知る人ぞ知る、幻の○○があると思うので、またぜひとも調査していきたいです。
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