特集 2015年7月14日

人間はアリになれるのか

アリのすごさを実際に体験してみました。
アリのすごさを実際に体験してみました。
せっせと働くアリ。組織のために重い運び、過酷な状況の中で生きている。でも、これって、やっていることは人間と変わらないんじゃないか。アリの行動を人間がやってみたら、意外とできるのではないだろうか。

アリになってみようと思う。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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アリの生態について学ぼう

アリになるためにはまずは、アリを知ることが大事である。まずは、アリの生態について学ぼう。
①アリは基本的に雑食であり、何でも食べる。よく、砂糖をこぼすと群がるがそれは甘いものを好む種類のアリだから。

②アリは種類によるが、自分の体重の100倍の物を持ち上げることができる。

③働きアリの中にはサボるアリがいる。働きアリの中には2割ぐらい働きないアリがおり、その2割のアリを違う場所に移動させても、また、別のアリがサボる。
アリって、いざ撮ろうすると意外と撮れない。
アリって、いざ撮ろうすると意外と撮れない。
④視覚が発達していないので、自身が放つにおいでコミュニケーションを取る。

⑤アリが平面の壁を登れるのは手足に毛が生えていて、人間の目には見えないデコボコした穴を使って登っている。
今回の撮影で唯一、うまく撮れたアリの写真。こんな壁も登れる。
今回の撮影で唯一、うまく撮れたアリの写真。こんな壁も登れる。
だいたい、こんな感じだ。サボるなんて親近感が湧くじゃないか。では、以上のことを踏まえて、
アリっぽい行動を考えてみた。

・木登り
・重い物を持つ
・巣を掘る
・においをたどる
・角砂糖たべる

これらができれば、「アリになれた」と証明できるはず。それでは挑戦してみよう。

木に登ってみる

最初は慣らしという事で、木に登ってみた。虫は少しデコボコしていれば、どんな所でも登ることができる。人間もどこかつかむ事ができれば、登ることができる生き物だ。

そんなに大差はないはず。
人間なので、つかみやすそうな木しか登れない。この時点でアリはすごいと思う。
人間なので、つかみやすそうな木しか登れない。この時点でアリはすごいと思う。
腕の力で一気に登る。完全に虫だ。
腕の力で一気に登る。完全に虫だ。
「明日、筋肉痛になるだろうな」と確信するくらい腕がプルプルしている。
「明日、筋肉痛になるだろうな」と確信するくらい腕がプルプルしている。
アリはすいすいと上に登っていくが、全然登れそうにない。枝をつかむことで精一杯なのだ。

「腕が!腕が!うわぁーー」と叫ばずにはいられないほど、腕が辛く、ただ木にしがみついて、虫になりきることしかできない。
遠くから見ると虫っぽく見える。
遠くから見ると虫っぽく見える。
「早く、写真を!早く撮って腕が取れるかもしれないから!」と心の中では思う虫。
「早く、写真を!早く撮って腕が取れるかもしれないから!」と心の中では思う虫。
しかし、ただ木をつかんでいるだけでは、アリとは言えない。木を自由に登ってみせてこそ、アリと言えるだろう。
ふん張れそうな足場に移動をさせて、
ふん張れそうな足場に移動をさせて、
何とか登ろうとしているが、どうやっていいのかわからず笑うしかない状態
何とか登ろうとしているが、どうやっていいのかわからず笑うしかない状態
先ほどより少し高めに登った。必死にしがみつく。
先ほどより少し高めに登った。必死にしがみつく。
子どもの頃、木登りしたことがある。柿が食いたいがあまり、自宅にある柿の木を登って、何とかゲットしたが、その柿が渋柿だった。呆然としたまま、その一口だけ食べた柿を見つめていた。
何故、だろうか。その時のことを思い出した。

この時点でもスイスイと登れるアリのスゴさを実感している。しかし、ここまで登れたのだ、降りるときは他の虫みたいに華麗に飛び立ちたい。
羽ばたく瞬間、セミを思い出した。暑い時期に「ミンミン」と鳴いて風流だが、こっちは「腕が、腕が」とつぶやく新しいセミ。
羽ばたく瞬間、セミを思い出した。暑い時期に「ミンミン」と鳴いて風流だが、こっちは「腕が、腕が」とつぶやく新しいセミ。
飛べる虫だと、木から華麗に飛び立ち、小さなダイナミックさを感じることができる。その様子が好きだ。自分もあんな風に飛び立つことができるだろうか。
今、飛び立った!
今、飛び立った!
というよりも、下にドスンと落ちた。多分、飛んだとしても1cm。
というよりも、下にドスンと落ちた。多分、飛んだとしても1cm。
「全然飛ばなかったね」と撮影担当の安藤さんが言った。自分でもそう思う。いや、本当はもっと飛ぶつもりだったが、飛び立った瞬間「あ、だめだ」と思った。虫になったのが始めてだったので、しょうがないと思う。虫は一日してあらず。
でも単純に木登りが楽しかったので良しとする。筋トレにも最適。
でも単純に木登りが楽しかったので良しとする。筋トレにも最適。

アリみたいに重いものを持ち上げる

アリは自分の倍もある物を持ち上げる。一生懸命運ぶ姿は、思わず応援したくなる。負けていられない、私も何倍もする物を持ち上げてみよう。

しかし、公園に持ち運べそうなものがなかった。一か八か、目についたものを持ち上げてみた。
目についたのが自動販売機だった。
目についたのが自動販売機だった。
アリは甘いものが大好きだ。ジュースをこぼすとそこにアリが群がるのをよく見る。なら。自動販売機を持って帰ることができたら、食に困ることはない。頑張って巣に持ち帰ろう。
小銭を探しているわけではない。
小銭を探しているわけではない。
「女王のために持って帰るんだ!」と熱い気持ちで必死に持ち上げる。
「女王のために持って帰るんだ!」と熱い気持ちで必死に持ち上げる。
今日はちょっと調子悪いから。
今日はちょっと調子悪いから。
全然持ち上がらない。暑かったから力が入らなかったのだと思う。まあ、違うものを持って帰ることにしよう。

巣に帰るとするか。作ってないからこれから作るけど。

アリなので巣を掘る

アリは固い地面にも巣を作る。強力なあごの力で土をかじり取り、トンネルを作っていくのだ。土を掘るくらいなら人間にだってできる。スコップなんて使わなくても10cmぐらいなら掘れるだろう。
手で掘り進める。土の手触りが懐かしい。
手で掘り進める。土の手触りが懐かしい。
あごを使うわけには行かないので、指先を使って掘り進んでいく。思った以上に掘れないな。
あごを使うわけには行かないので、指先を使って掘り進んでいく。思った以上に掘れないな。
固くて全然掘れない部分をなんとかして掘って、石が取れたときはうれしい。多分、アリあるある。
固くて全然掘れない部分をなんとかして掘って、石が取れたときはうれしい。多分、アリあるある。

嗅覚で人を探す

ここまできて、アリのスゴさを痛感している。人間はアリになれないのか? いや、嗅覚だ。人間にも嗅覚がある。

アリは嗅覚でコミュニケーションを取る。仲間に危険を知らせたり、エサのある場所を教えたりを自身が出す、においで教えるのだ。人間もにおいには敏感だ。頑張れば人を追うことができるだろう。

安藤さんに香水を買ってきてもらい、そのにおいで人を探してみよう。
地面に香水をまいて、においをたどっていく。
地面に香水をまいて、においをたどっていく。
見ようによっては土下座をしているように見える。
見ようによっては土下座をしているように見える。
かろうじて漂うにおいを何とか探しているのだが、地面すれすれでないと匂わない。
かろうじて漂うにおいを何とか探しているのだが、地面すれすれでないと匂わない。
頑張っているとき、凛々しい表情のハトが見守っていました。
頑張っているとき、凛々しい表情のハトが見守っていました。
こっちからにおいがする気がする
こっちからにおいがする気がする
近くまで来てカメラで撮られた。においでたどることができた。
近くまで来てカメラで撮られた。においでたどることができた。
「あの辺、強くにおいますよ」「かいでみよう!」
「あの辺、強くにおいますよ」「かいでみよう!」
地面のにおいを懸命に嗅ぐ、2人の大人。
地面のにおいを懸命に嗅ぐ、2人の大人。
こんなに嗅覚をフル活用したの初めてかもしれない。全ての神経を鼻に集中させ、クンクンと嗅ぎながら場所を探る。

終わった後、かなり疲れた。これをアリはずっとやっているんだ。アリはすごいな。

ちなみにですが、角砂糖を食べました

家に帰ってきて、ご飯を食べようと思う。アリの食事は雑食なので何でも食べる。

例えば角砂糖だ。一体何個食えるのか。甘いもの好きなので、結構食える気がする。
巣(自宅)に帰ってアリが好きなイメージのある角砂糖を食べてみた。
巣(自宅)に帰ってアリが好きなイメージのある角砂糖を食べてみた。
積んである13個にプラスして3個食べたら、「もういらない」となった。
積んである13個にプラスして3個食べたら、「もういらない」となった。
砂糖をこんなにバクバクと食べたことはなかったが、最初の一口は「無限に食えるな」と思った。

しかし、8個ぐらい食べたとき「ザラザラした食感が嫌だな」と思い、13個食べたときに「甘い、甘すぎる」と嫌になり、16個食べたときに「すいませんが、砂糖はもう結構です」と体が断わりを入れてきたので、お茶を飲んで終わりました。アリ生活終わり。

アリはやっぱすごいな。砂糖こんなに食うのかは知らないけど。

広い意味では我々人間もアリなのかもしれない

組織のために動く姿は人間と同じだ。いや、アリのこういった姿を人間がマネしているのかもしれない。もはや、人間はアリであり、アリは人間なのだ。
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