
自分の中のクリームを解放せよ
例えば、シュークリームという食べ物がある。クリームを食べやすくするため、便宜的に皮で包んだものだ。


意味はわかる


クリームのおいしさも十分知ってる

いいアイデアだと思う。確かにこれならクリームを食べやすい。
ただ、食べながらいつも「別に皮はいらないんだよな…」と思う。意義は分かるが、私にとって皮はノイジーな存在なのだ。
ただ、食べながらいつも「別に皮はいらないんだよな…」と思う。意義は分かるが、私にとって皮はノイジーな存在なのだ。


やっと会えたね

わかりやすく言うと、味噌のような売り方をしてくれたらいいと思っている。
時折、樽を並べて味噌を売っている昔ながらの味噌屋があるが、見かけるたびに「これがクリームだったらな…」と思う。
時折、樽を並べて味噌を売っている昔ながらの味噌屋があるが、見かけるたびに「これがクリームだったらな…」と思う。


初めて見たときの驚きがよみがえる

それだけに、チューブにクリームが入った商品があることを初めて知ったときは衝撃的だった。押せばいきなり出てくるクリーム。
夢というものの中には、知らないうちに現実になっているものもあるんだと思い知った。
夢というものの中には、知らないうちに現実になっているものもあるんだと思い知った。


こんな装飾に囚われたりはしない


エネルギー・カプセル

パッケージにはプリンやクレープなど、メーカーからの使い方提案が載っている。どうやらこれは、直接食べるために商品化されたものではないらしい。
しかし、提案を受け入れるかどうかは別の話。独立した個人として、クリームの食べ方は自分自身で決める。
しかし、提案を受け入れるかどうかは別の話。独立した個人として、クリームの食べ方は自分自身で決める。


推奨食べ方イメージ

いつだったか、不意を突かれるように義母から好きな食べ物を聞かれたことがある。それが同僚や知人なら「まあ、ハンバーグとお寿司かな」と答えるところだ。
なぜだろう。不意だったから? いや、「家族」という特別な距離の相手だったからか。僕は自然な流れで「そうですね……クリーム…ですかね」と答えていたのだ。
ちょっと驚いた顔をした義母。それでも笑ったりすることなく「クリーム!ああ、おいしいわよねえ、クリーム!」と同意してくれたのだ。
なぜだろう。不意だったから? いや、「家族」という特別な距離の相手だったからか。僕は自然な流れで「そうですね……クリーム…ですかね」と答えていたのだ。
ちょっと驚いた顔をした義母。それでも笑ったりすることなく「クリーム!ああ、おいしいわよねえ、クリーム!」と同意してくれたのだ。


クリームもこういうシンプルな売り方をしてほしい

まだ妻にもはっきりとクリーム好きを告げていなかった頃だと思う。心の奥底にあった秘密をそっと差し出すことで、解放されたような気持ちになった覚えがある。
それ以来、義母はデパートに出かけると「このケーキ、クリーム多いわよ!」と、クリームの量でチョイスしたお菓子を買ってきてくれるようになった。
クリーム好きをオープンにしたことで、より多くのクリームが集まるようになったのだ。
それ以来、義母はデパートに出かけると「このケーキ、クリーム多いわよ!」と、クリームの量でチョイスしたお菓子を買ってきてくれるようになった。
クリーム好きをオープンにしたことで、より多くのクリームが集まるようになったのだ。


探してみたらあった

お義母さん、僕は今、世界中の誰からも見える形でクリーム好きを告白しています。


降り注ぐクリームという愉悦

余計なものはいらない。ただ、クリームがあればそれでいい。製菓材料の専門店で見つけたのは、ビニールパックされたカスタードクリーム。
こういうのでいいんだよ、こういうので。パックの端を切り、それを高く掲げた私は、掴んだその手をゆっくりと握った。
こういうのでいいんだよ、こういうので。パックの端を切り、それを高く掲げた私は、掴んだその手をゆっくりと握った。

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まだ見ぬクリームを求めて
普段の生活で世界について考えることはあまりないが、クリームをきっかけに考えれば、この広い世界は冒険の舞台になる。このページでは未食のクリームとの出会いを求めてみたい。


格調高きクリーム

まず試してみるのは「帝国ホテルピーナッツクリーム」。老舗の高級ホテルが冠されているとは言え、ピーナッツクリームは珍しいものではない。
それでも今回購入したのは、パッケージの説明が気になったからだ。
それでも今回購入したのは、パッケージの説明が気になったからだ。


そこまで考えたことなかった

「焙煎した数種類のピーナッツをブレンド」で、さすがホテルと思わせておき、さらには「原料をミクロンレベルまで細かくする」と、予想を超えてきた。
クリーム好きとは言え、そんな小さな単位まで考えたことなかった。なめらかさへの期待が高まっていく。
クリーム好きとは言え、そんな小さな単位まで考えたことなかった。なめらかさへの期待が高まっていく。


漂うミクロンの予感


おお…

口の中に入れてみる。広がるピーナッツの香りとなめらかさ。このクリーム、尋常じゃない。
ゆっくりと口溶けしていく感触は別格もの。パンに塗ったりしないで直接味わうからこそ、このクリームのポテンシャルを十分に受け止められるのだ。
ゆっくりと口溶けしていく感触は別格もの。パンに塗ったりしないで直接味わうからこそ、このクリームのポテンシャルを十分に受け止められるのだ。


うっかりおしゃれクリーム

続いてのクリームはフランス製。金属製のチューブ入りというパッケージングが、押し出す楽しさを演出するクリームだ。100年以上前から存在する商品であるらしい。


中黒でリズム感にためを入れてくる

その正体はパッケージ裏面の上部に書いてある「マロン・クリーム」。途中に「・」を打つことで、気品を出そうとしているのだと思う。
名称欄には「マロン(栗)クリーム」とある。さすがにマロンが栗だとはわかるが、念押ししたかったのだろうか。
名称欄には「マロン(栗)クリーム」とある。さすがにマロンが栗だとはわかるが、念押ししたかったのだろうか。


金属チューブのワクワク感

食べてみる。おお、口の中がモンブランだ。
栗はそれほど風味の強い食材ではないと思うが、しっかりとその香りと味を感じられる。材料を微細化し、その味わいを引き出すというクリーム化の特性が効果的な味わいだ。
続いてのクリームはこれだ。
栗はそれほど風味の強い食材ではないと思うが、しっかりとその香りと味を感じられる。材料を微細化し、その味わいを引き出すというクリーム化の特性が効果的な味わいだ。
続いてのクリームはこれだ。


いかにもな外国フレーバー

何やらイチゴの味がするクリームというのはわかるだろう。ただ、単なるクリームではなく、既知の食品がクリーム化されているものなのだ。


あの国、マシュマロ好きだよなあ

白字で書かれた「Marshmallow」。マシュマロである。
思いっきり「ARTIFICIAL FLAVOUR(=人工香料)」と書かれているのと合わせ、外国で生まれた雰囲気を強力に漂わせるクリームだと思う。生産国はクリーム先進国アメリカだ。
思いっきり「ARTIFICIAL FLAVOUR(=人工香料)」と書かれているのと合わせ、外国で生まれた雰囲気を強力に漂わせるクリームだと思う。生産国はクリーム先進国アメリカだ。


なんかグツグツいってる

フタを開けるとビジュアル面でのインパクトも強い。童話に出てくる魔女が鍋で煮てるやつにも見える。


クリームに栄養を求めるつもりはない


ザ・もったり

スプーンですくって食べてみよう。……なんか笑えるぞ、これ!
口の中に広がるのは、確かにマシュマロでもクリームでもあるもの。しっかりと同時に成立している。商品名は裏切られることなく、忠実に再現されているのだ。
その再現度が字面通りの忠実さ。ほんとだ!と、なんだか面白い気分になったのだと思う。
口の中に広がるのは、確かにマシュマロでもクリームでもあるもの。しっかりと同時に成立している。商品名は裏切られることなく、忠実に再現されているのだ。
その再現度が字面通りの忠実さ。ほんとだ!と、なんだか面白い気分になったのだと思う。

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クリームであることを隠すクリームたち
当たり前過ぎて気付かれていないのかもしれないが、マヨネーズはクリームだと思う。


世界最高のクリームのひとつ、マヨネーズ

マヨネーズという名前で紛らわされているが、実態はどう考えてもクリーム。個人的には「サワーエッグクリーム」と呼びたいところだ。


ほら、本当の君はクリームなんだよ

このページではクリームという名こそついていないが、お前本当はクリームだろ、というものを改めて見つめ直してみたい。本当はクリームなのに「クリームだよ」と言い出せない食べ物たちは、クリーム好きを隠していた頃の自分に似ているからだ。


ずっと前からそうだって思ってた

まずはディップ。君、クリームだよね。
クリームじゃなくてディップって名乗りたいのはわかる。その方がなんとなくおしゃれだからだ。ちょっとだけ言葉の響きに新鮮味があるのは認める。
クリームじゃなくてディップって名乗りたいのはわかる。その方がなんとなくおしゃれだからだ。ちょっとだけ言葉の響きに新鮮味があるのは認める。


見た目以上にクリーミー

ただ、そんなことにごまかされたりはしない。実際に食べて、あくまで食感で判定したい。
…うん、やっぱりクリームだよ、これは。
写真のビジュアル以上になめらかな口当たり。クリームに対して客観的な立場の妻にも食べてもらって聞いてみたが、反応は「うん、これは確かにクリームだね」。クリーム確定と言っていいだろう。
…うん、やっぱりクリームだよ、これは。
写真のビジュアル以上になめらかな口当たり。クリームに対して客観的な立場の妻にも食べてもらって聞いてみたが、反応は「うん、これは確かにクリームだね」。クリーム確定と言っていいだろう。


クリームよりやや固めの印象だがどうか

続いてはペースト。なんとなくクリームより固形物よりの印象があって心配ではある。ただ、そうした不安を超えて、やっぱりこれはクリームだと信じたい。


ビジュアル面では心配

食べてみる。……おお、これは思ったよりもなめらかだぞ。予想以上にクリームではないか。
妻も「ん、クリームクリーム」と言ってくれた。
こうして偽りの看板をクリームとして上書きするのが私に与えられた仕事なのだ。
妻も「ん、クリームクリーム」と言ってくれた。
こうして偽りの看板をクリームとして上書きするのが私に与えられた仕事なのだ。


クリームの限界に挑戦したい

今度はムース。正直なところ、ここまで来るとクリームと言える自信が曖昧になってくる。
だからこそ、クリームの限界を自分の舌で確かめたい。クリームとクリーム以外の境界を、はっきりと見定めたいのだ。
だからこそ、クリームの限界を自分の舌で確かめたい。クリームとクリーム以外の境界を、はっきりと見定めたいのだ。


ビジュアル的にも厳しい

実際に試してみよう。……ゆっくりと口に入れてみる。噛むことなく、その味わいが……広がって、こない。
だめだ、これはクリームじゃない。
残念だが正直に言うしかない。ムースはクリームではない。自分にも自覚がなかったが、その境界は「咀嚼を要求されるかどうか」にあるのだと思う。
妻もテレビを見ながら食べて「ちょっと無理だねー」と言っていた。静かにそれを受け入れたい。
だめだ、これはクリームじゃない。
残念だが正直に言うしかない。ムースはクリームではない。自分にも自覚がなかったが、その境界は「咀嚼を要求されるかどうか」にあるのだと思う。
妻もテレビを見ながら食べて「ちょっと無理だねー」と言っていた。静かにそれを受け入れたい。







5ヶ月頃からずっとなら自分も対象範囲



ムースはクリームではないという現実を前に、私は爽やかな気持ちでいる。自分を偽ることなく、クリームの限界を正直に見極めたからだ。
ただ、他にも新しいクリームの発見もあった。試しにいくつか買ってきた離乳食は、はっきりとクリーム判定。
瓶には「5ヶ月頃からずっと」と書いてある。人間の一生に対するクリームの対象範囲は、これほど広いものなのだ。
