特集 2015年5月19日

英和辞典の性俗語率を真面目にしらべる

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中学生のころ、辞書を調べていたら単語の性俗的な意味を見つけてしまい、もわーんとした気持ちになったことがあるだろう。

まだ電子辞書なんて無い、中二病の絶頂期だったあの頃を思い出し、今日は辞書の性俗語率を真剣に調べてみた。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。

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たとえばrideにはこんな意味がある

冒頭のような経験が無い人のために補足しよう。

たとえば、”ride”【乗る】の意味をオーレックス英和辞典で調べると、最後の方にこんな意味がある。
ん、12番目に……?
ん、12番目に……?
ピキュゥフン!(脳内の桃色フィルタのピントが合う音)
ピキュゥフン!(脳内の桃色フィルタのピントが合う音)
辞書のみっしりした字面へ突然差し込むピンクの輝き。おもわず脳のタガが一瞬だけぐらりと揺らぐ。

あの頃に覚えた、英単語の意味はあらかた忘れてしまったが、”ride”のこの意味だけは、一生忘れないだろう。

きょうはこんな風に辞書の中にひっそり眠る性俗語たちを、掘り起こしていきたいと思う。

今日のエントリー辞書たち3冊を紹介します!

ジーニアス英和辞典(第5版)、10万5000語
ジーニアス英和辞典(第5版)、10万5000語
まずは昔も今もシェア率No.1のジーニアス。英和辞典の代名詞とも言えるほどの存在だ。シェアでも性俗語でもNo.1の座の獲得はなるのか。
オーレックス英和辞典(初版)、10万語
オーレックス英和辞典(初版)、10万語
受験の老舗・旺文社からの発行。同じ旺文社から発行された辞書を僕も使っていた。中二の僕にrideの意味を教えたあの魂は今でも息づいているのか。
ロングマン英和辞典(初版)、10万語
ロングマン英和辞典(初版)、10万語
最後にロングマン英和辞典。英英辞典ではシェアNo.1のロングマン。性俗語の生きたニュアンスを余すところなく伝えてくれるか。

以上の3冊を徹底比較することで今回の勝負に決着をつけたい。
いざ真剣調査です!
いざ真剣調査です!

メジャー動詞、15種で勝負!

ルールは簡単だ。性俗的な意味の生じやすそうな、中1レベルのメジャー動詞15種類をピックアップし、性俗的な意味の数で決める。候補はこれだ。
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このあたりの動詞をうまく使えば、ほぼすべてのニュアンスを表せる、と小林克也が雑誌の広告で言ってた。おそらく性俗的ニュアンスもそれなりにあるだろう。

というわけでさっそくgoを調べてみると、なんとgoだけでこんなにあった!
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文字に書くのが気恥ずかしくなるものもあり、思わず×××で伏せた。

ほかにもgo withなんて何度か言った気もするし、一度くらい英米人に「この色欲魔!」と思われていたかもしれない。何か調べていて不安になる。
うっかりgo down onなんて言ったらセクハラで訴えられる!
うっかりgo down onなんて言ったらセクハラで訴えられる!
さて、どぎまぎヒヤヒヤしながらも最初の5個を調べた結果はこうなった。
なんと5個の動詞のどれにも「性交する」みたいな意味がある。
なんと5個の動詞のどれにも「性交する」みたいな意味がある。
すごいな、ほんとうか、英米人。ちょっと性的なことを考えすぎなんじゃないか。
性的なことを考えてばかりの英米人か……。
性的なことを考えてばかりの英米人か……。
どの単語も基本単語だけど、こんな意味だと知ったら恥ずかしがりの女子なんか、うかつに口に出せなくなるんじゃないだろうか。

というわけで前半戦終わってトップを突き進むのは、やはり本命オーレックス、18個。このあと他は巻き返せるのか。好勝負を期待したい。

続いてtake、get、give、keep、set

さて中盤戦、性俗的ニュアンスの多そうなgetが登場する。一歩リードのオーレックスがその順位を守れるか。

調査の結果はこうなった。
本命のgetを迎えてオーレックスが一気に突き放す。
本命のgetを迎えてオーレックスが一気に突き放す。
なんと2位のジーニアスが、getでまさかの2個。
代わりにロングマンが6個で巻き返し、2位に浮上した。

しかし辞書によって書き方違うのが面白い。

例えば他の辞書で「男女が性的関係を持つ」のところを、ロングマンでは「恋人になる」と記されているため、ノーカウントになることが多い。上品な辞書だ。

だがときどき、とんでもない不意打ちを仕掛けてくる。
ロングマン英和辞典get offの項より
ロングマン英和辞典get offの項より
ロングマン、このように他の辞書では見ないゲリラ戦のような攻撃でポイントを稼ぎ、一気に2位に浮上した。

さあ最後の終盤戦、オーレックスは逃げ切るのか、ジーニアスは巻き返すのか。興奮の展開だ。

とうとう発表!性俗語率No.1の辞書は?

じつは終盤の5個はあまり性俗的な意味が見当たらず、混戦であった。
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「浮気する」、「駆け落ちする」、などの表現はまあまあ見られたのだが、判定基準は「中二男子の心に響くか」なのでノーカウントとなった。かわりに「異性のしりを追い回す」はポイントとした。
そうして得られた結果に、これまでのポイントを加算した最終結果はこれである。
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勝者、オーレックス英和辞典!
勝者、オーレックス英和辞典!
やはり本命、オーレックスの大勝利である。

というわけで、もしお近くに中学校に進学して辞書に迷っている子供がいたら、買うべき辞書はオーレックスです!! 立派な中二病へと導いてあげてください!

急性中二病になった

「性俗的か、そうでないか」だけで辞書を読んでいると、だんだんおかしくなってきて、「体の一部を~してもらう」とか「(人が)(液体を)流す」すらも性俗語に見えてくる。真性の急性中二病だ。

まあ、こんな調査も紙の辞書じゃないとできないかと思うと、辞書を引くのも楽しい。最近廃れつつある紙の辞書もいいものかなと、見直したりもできている。

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