


最近、「電子レンジによる急な沸とうに注意!」という警告をよく見る。
中学校の理科で習う「突沸(とっぷつ)」という現象が起こって危ないらしいのだ。
今日はこの突沸事故を防ぐため、突沸に最適な条件を調べて、むしろ積極的に突沸させまくってみたいと思う。
中学校の理科で習う「突沸(とっぷつ)」という現象が起こって危ないらしいのだ。
今日はこの突沸事故を防ぐため、突沸に最適な条件を調べて、むしろ積極的に突沸させまくってみたいと思う。

1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。
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さて、ぼく自身が仕事で実験していて突沸したことは何度かあるが、うちの電子レンジで起こしたことは一度も無い。本当に起こるのだろうか
ちょっと電子レンジで水を熱してやってみよう。
ちょっと電子レンジで水を熱してやってみよう。


いつも使ってる普通のマグカップ。


電子レンジ500Wで4分くらい加熱して


スプーンで混ぜると、ふわーー!


効果音をつけるとすれば「ボコ、ハラムーー!」といった勢い!

かきまぜた瞬間、ぶわっしゃー!と一気にくる!
本当に突沸するぞ、電子レンジ!
では起こることが確認できたところで、ちょっと突沸のしくみを考えてみよう
本当に突沸するぞ、電子レンジ!
では起こることが確認できたところで、ちょっと突沸のしくみを考えてみよう

そもそも、どんなときに起こるのか
突沸は、静かに加熱したときに起こりやすい。
水は100℃に達しても、きっかけが無いとすぐには沸騰しない。
沸騰したくてうずうずしているところへ振動や異物などのきっかけがあると、一気にいってしまうのだ。
水は100℃に達しても、きっかけが無いとすぐには沸騰しない。
沸騰したくてうずうずしているところへ振動や異物などのきっかけがあると、一気にいってしまうのだ。


なので、つるつるの容器はひっかかりが無く突沸しやすい

なるほど。あらためて原理を考えると、つるつるのマグカップを回転しない電子レンジであっためるというのは、最高に起こりやすいシチュエーションなのだなあ、と思う。

細長い容器は起こりやすいのか
ところで突沸に関して、「細長い容器では特に注意」との警告もよく見る。
つまりあれだろうか。シャンパンが噴き出すみたいに、容器が細長い方がより勢いよく吹き出すってことなのだろうか。
手持ちのマグカップのうち、一番細長いのを選んで実験してみた。
つまりあれだろうか。シャンパンが噴き出すみたいに、容器が細長い方がより勢いよく吹き出すってことなのだろうか。
手持ちのマグカップのうち、一番細長いのを選んで実験してみた。


おなじ容量に対して内径6.7cm、深さ9cm。


スプーン入れた瞬間に、ぶわっしゃーー!

想定以上の突沸パワーに本気でひるみ、撮影の三脚にぶつかってしまった。(しかもちょっとヤケドした)
ほんとうにびびった。
ほんとうにびびった。


吹きこぼれたお湯の量、なんと56mL!

すごい、想定外の噴出力だ。
さっきの普通の青いマグが14mLだったので、まさに4倍の突沸力を持つと言える。
やばいぞ突沸、やばいぞ細長い容器。
さっきの普通の青いマグが14mLだったので、まさに4倍の突沸力を持つと言える。
やばいぞ突沸、やばいぞ細長い容器。



さて、次のページでは、お湯よりも現実的なシチュエーションを考えてみたい。

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