特集 2015年1月3日

日帰り低温狩り

新しい世界が開きます。
寒いところをめざして。

さいきん寒い。

しかし冬だから寒いのはある程度仕方がないわけで。ならばおもいっきり寒い寒い言ってやろうではないかと。

なるべく近くで、なるべく温度の低い場所をさがす旅にでました。ほとんど寒いしか言っていない記事たちですが、暖かくしてご覧ください。どうぞ。

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日帰りで帰ってこられる範囲に限定します

この前、雪がちらつく中、小学生が半袖できゃーきゃー言いながら走り回っていた。寒いだろう、それ。

でもわかる気がするのだ。極端に暑かったり寒かったりすると、なんだかそれだけでちょっとテンションが上がる。テンション上げていかないとやってられない、というだけの話かもしれないけれど。

今回はこの「すごく寒いとテンションが上がる」を前提として、なるべく近場でなるべく寒い場所を「狩ってくる」ことにしました。いちばん低い気温を測ってきた人が優勝です。

ただし寒ければいいとなるとアラスカとかシベリアとか底知らずの寒さがあるわけで、今回は条件をそろえるため「日帰り」という縛りをつけました。その日のうちに寒いところへ行って帰ってくるのがルールです。

5人のライターがとっておきの寒い場所を紹介します。

富士山の裾野
富士山は寒い!
富士山は寒い!
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富士山の北側が寒いと聞いた。標高も高く、北というのが寒さを連想させる。雪はまだ降っていないようだけれど、寒いに違いない。そう信じる心が寒さにつながるのではないだろうか。

調べてみると氷穴というものまである。これはもう寒いに決まっている。たくさん着込んで出かけようではないか、富士山の裾野に!

寒さを求めて大月へ

季節は冬、布団から出るのも嫌な日が続いている。それはなぜか、寒いからである。寒いのだ。私が住む世田谷まで15分の場所ですでに十分に寒いのだ。しかし、更なる寒さを求めて、山梨県の大月にやってきた。
大月駅に来ました!
大月駅に来ました!
なんかすごい数字!
なんかすごい数字!
大月駅で電車から降りると、分かりやすく寒かった。週刊ジャンプと、今はなき月刊ジャンプのような分かりにくさはない。週刊ジャンプとカツ丼くらいの違いで寒い。さらにこの企画のために買った放射温度計が壊れたのか、ものすごい数字をたたき出していた。
さらに寒いところに向かう
さらに寒いところに向かう

山中湖へ!

レンタカーを借りてまずは山中湖を目指す。富士五湖の中でもっとも標高が高い場所に位置するので、寒いのではないかと思われるのだ。向かう途中には「凍結注意」の看板が、ベストアルバムくらいの勢いであって、ここが寒い場所であることを裏付けている。
山中湖に到着!
山中湖に到着!
山中湖は晴れていた。ただ富士山にだけ雲がかかり、「山中湖」と書かなければ、どこの湖なのか分からない感じになっている。また晴れていて、写真では寒く見えない。ただし車から降りると、世間の風のような冷たい風が、追い風参考記録になるほど吹いている。
山中湖は2℃
山中湖は2℃
山中湖の温度は2℃だった。なかなかの数字だ。十分に寒い。しかし、富士山の裾野の寒さはこんなものではないはずだ。人質は私が解放した、本来の実力を発揮していただいて、かまわないのだ。もっと寒さを求めている、私は飽くなき寒さ探求者なのだ。
水は意識が飛ぶほど冷たかった
水は意識が飛ぶほど冷たかった

氷穴に行く

さらなる寒さを求めて「鳴沢氷穴」に向かうことにした。彼ならきっともっと寒いはずなのだ。氷の穴、暖かい要素を感じない。人間ならば冷徹なはずだ。失敗した部下のクビを容赦なく切る冷たさ、それが氷穴なのだ。氷結を飲む外国人のような陽気さは求めていない。
来ました!
来ました!
準備は完璧です!
準備は完璧です!
行くぜ、寒さ
行くぜ、寒さ
氷穴はかなりの寒さだった。何度も頭を打った。でも、大丈夫、私にはヘルメットがあるのだ。寒さだけに集中できる。問題は私が寒さに集中したところで、温度には一切関係してこないことだ。片思いとはこのようなことだろう。
寒いぞ!
寒いぞ!
0℃
0℃
氷穴で温度計を見る。0℃を示している。水が凍る温度だ。もし彼が子供ならば「よくやったね」と言い抱きしめてあげたい。

私は褒めて育てる子育てを推奨しているのだ。子供はいないけれど、そうなのだ。よって彼を抱きしめずにはいられない。ただ寒さは抱けない。難しいものだ。
急な階段の手すりがガムテープというのも褒めてあげたい!
急な階段の手すりがガムテープというのも褒めてあげたい!

外で数字を出したい!

穴にこもらずに低い数字を出したい。ということで、最後に本栖湖に行くことにした。実はすごく省いているけれど、忍野村や河口湖にも行っている。しかし、彼らは満足の行く数字を出してくれなかった。いま求めるのはいい風景とかではなく、数字だけなのだ。
本栖湖に来ました!
本栖湖に来ました!
数字なのだ。低い数字なのだ。世間一般で求められる逆の低い数字を求めている。会社ならば潰れるだろう。しかし、今はこれでいいのだ。低い数字を出してもらわねばならないのだ。ということでやって来た本栖湖は寒かった。
温度計を見ます!
温度計を見ます!
-1℃
-1℃
ありがとうございます、今年一年は例年にも増して「ありがとう」の精神で生きて行こうと思う。だってマイナスという数字なのだ。家計で言えば赤字だけれど、今日はそれでいいのだ。ありがとう、ありがとう、ありがとう、3回ありがとうと私は言った。
寒くてなぞの表情を一日中していた
寒くてなぞの表情を一日中していた

-1℃でした

ということで、数カ所を周り本栖湖で-1℃という数字を狩ることができた。なかなかの数字だ。よく考えれば景色もよかった。こんなに近くで富士山を見たことはなかった。今年は富士山に登ろう、とコールドハイになっていたが、帰りに温かいうどんを食べたら、今年は暖かいところですごそうと思い直した。
ちなみに本栖湖からの富士山は千円札の富士山だそうです
ちなみに本栖湖からの富士山は千円札の富士山だそうです
寒川
相模国一の宮の不思議パワーで気温低下を目指す!
相模国一の宮の不思議パワーで気温低下を目指す!
!
「寒い場所」と聞いて、まず思い浮かんだのが神奈川県中央部に位置する寒川町(さむかわまち)である。

寒川町は相模国一の宮の寒川神社が鎮座する由緒正しい土地である。それに、なにより寒い川という町の名前。物凄く寒そうではないか。

そういう安直な思いつきで、私は原付を走らせ寒川町へと向かったのだ。

寒川町はあまり寒くない

寒川町は、正確には高座郡寒川町という。現在、高座郡を冠するのはこの寒川町だけとなったが、私が住む綾瀬市や隣接する海老名市、座間市なども、かつては高座郡に属していた。

“町”とはいえ人口密度は綾瀬市と同等であり、ベッドタウンや工業団地として栄え財政も健全だ。駅がひとつもない綾瀬市とは違い、単線のローカル線ではあるがちゃんと鉄道の駅もある。
というワケで、JR相模線の寒川駅からスタート
というワケで、JR相模線の寒川駅からスタート
町は昔ながらの雰囲気と新興の雰囲気が同居している感じ
町は昔ながらの雰囲気と新興の雰囲気が同居している感じ
とりあえず、寒川町の気温はどんなものかと、家から持ってきた温度計を取り出してみた。
その結果、約11度。……普通ですな
その結果、約11度。……普通ですな
まぁ、ぶっちゃけ、私の家から原付で30分の距離なのだ。綾瀬市の気温と大差ないことは、なんとなく想像できて……いやいや、諦めてはいかん。

同じ高座地域とはいえ、寒川は寒い川なのだ。土地の名前になるくらいなのだ。綾瀬市よりもっともっと、もーっと寒いはずなのだ。

それに、窪地とかは冷気が溜まりやすいと聞くし、場所を選べばいくらかの差異はあるはずだ。もう少し探してみようではないか。あと10度くらい気温が低くなるような場所を。
モダニズムな感じの寒川町役場
モダニズムな感じの寒川町役場
その背後に広がる中央公園……芝生に柔らかな日差しが心地よい
その背後に広がる中央公園……芝生に柔らかな日差しが心地よい
一方、公園奥の体育館はコンクリートの外壁で冷たい印象
一方、公園奥の体育館はコンクリートの外壁で冷たい印象
コンクリートの巨壁に囲まれたここの気温はどうだろう
コンクリートの巨壁に囲まれたここの気温はどうだろう
あ、10度。一度低くなった
あ、10度。一度低くなった
ふむふむ、口から出まかせではあったものの、本当に場所によって気温が違っていた。誤差の範囲なのかもしれないが、低くなったことに違いはない。

よし、この調子でどんどん調べて行こう。そのうち氷点下になる場所とか、きっと出てくるはずだ。
公園の車止めがやっつけな感じで素敵だった
公園の車止めがやっつけな感じで素敵だった

霊験あらたかな神社の力で気温を低く

お次は寒川町の核といえる寒川神社である。長い歴史を持つこの神社なら、気温を下げることくらい訳ないはずだ。
相模国の一の宮ということもあり、立派な神社だ
相模国の一の宮ということもあり、立派な神社だ
正月にはこの境内が人で埋め尽くされることになる
正月にはこの境内が人で埋め尽くされることになる
拝殿の賽銭箱も異様に長い
拝殿の賽銭箱も異様に長い
とまぁ、境内はなかなかに静謐で神聖な雰囲気である。キリッと身が引き締る空気の中、おもむろに温度計を取り出し、気温を計る。
およそ9度である
およそ9度である
ほぉほぉ、いい加減な理論ではあったものの、本当に神社の境内は気温が低かった。

木々が茂っているとか、玉砂利敷きであるとか、冷たい岩の上で計測したからとか、その辺の影響だろうか。凄いぞ、寒川神社。

よーし、氷点下まであともう一息だ。頑張って寒い場所を探すとしよう。

新幹線の駅ができるという噂の倉見駅

寒川町の北部には東海道新幹線が通っており、将来的にはJR相模線の倉見駅に新幹線の駅ができるという話がある。

私が住む綾瀬市にも同じように東海道新幹線が通っており、かつては「綾瀬市に新幹線の駅を」なんて声もあったようだが立ち消え、代わりの候補として倉見駅が台頭したようだ。
シンプルながらもかわいらしい印象の倉見駅
シンプルながらもかわいらしい印象の倉見駅
東海道新幹線とJR相模線が交差するこの辺りに新幹線の駅ができるのか
東海道新幹線とJR相模線が交差するこの辺りに新幹線の駅ができるのか
もし本当に新幹線の駅ができるのだとすれば、現在は住宅地となっているこの一帯の再開発が行われることだろう。

その場合には相鉄いずみ野線が倉見駅まで通されるという話もあるし、いずれ寒川町は綾瀬市を軽く超え、もはや手の届かない存在になってしまうのだろうか。

喜ばしくもややセンチな感情を湛えつつ、温度計を見る。
11度であった
11度であった
ふむ、新幹線駅誘致の熱にあてられたか、気温が上がってしまった。まぁ、私としては新幹線の駅がどこにできようと、生活に変わりはないのだが。

というか、綾瀬市は綾瀬市で東名高速道路のスマートインターチェンジ計画があるし、別に全然悔しくなんてないんだぜ。本当だぜ。

寒川とは相模川なのか

寒川町を巡っているうちに、寒川とは寒川町の横を流れている相模川を指しているのではないかと気がついた。

同じく相模川流域である海老名市には相模国分寺が存在する。相模国の一の宮である寒川神社も相模川の近くにあるワケで、これは偶然とは思えない。

要するに、相模川は地名になっていてもおかしくないくらい、古代より重要視されてきた川なのである。つまり寒川とは相模川のことであり、結論として相模川は寒い川なのだ。
というワケで相模川の橋にきた
というワケで相模川の橋にきた
確かに、冬の相模川は寒々しい感じである
確かに、冬の相模川は寒々しい感じである
寒川町の最終兵器といえよう相模川。これでダメなら私はもう何を信じれば良いのか分からなくなるというものだ。

さぁ来い、寒川の本気を見せてみろ。
……10度
……10度
ダメだ、ダメだ。全然寒くない。

そもそも寒川町は結構海に近いし、海に近い土地というのはそうそう寒くならないものである。京都とか長野、山梨といった内陸の盆地の方が、寒さが厳しいに違いない。

それらの列強と対等に渡り合うには、やはり夜しかないだろう。夜中に再びここを訪れ、気温を計りなおしてみようではないか。
そして、夜中0時近くの相模川
そして、夜中0時近くの相模川
気温は――2度である
気温は――2度である

寒川町の12月下旬の最低気温は、2度

残念ながら氷点下には届かなかった。まぁ、これが神奈川県平地部の限界である。そもそも、この辺りで暮らしている身としては、あまり寒くなくてありがたいというものだ。

というか、私にとってはこれでも十分すぎるくらいに寒いのだ。相模川まで原付で約30分。まさに身を切る寒さに顔は硬直し、指先はジンジンと痛くなる。まったく、旅行にも行けやしない。

まったく、春が待ち遠しいというものである。
冬の夜にバイクはきついっす
冬の夜にバイクはきついっす
沖縄本島最北端
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沖縄の冬は寒い。これを読んでいる方の中には「いやいや気温二桁で寒いはないだろう」という方もいらっしゃると思う。僕も雪国新潟の出身で、沖縄の冬を舐めていた時期があった。しかし、1年、2年と住み続けていると確かに沖縄の冬は寒い。そうこう思っているうちに気温が20℃をきったあたりで秋を感じて、15℃をきったあたりで冬を感じる沖縄スタイルにすっかりなじんでしまった。

今回沖縄で最低気温を探すということで、アイスクリーム屋さんの冷凍庫(沖縄のアイス屋さんでマイナス15℃の部屋に入れるという所があるのだ)とか、かき氷を沢山食べて体温を下げるとか色々考えたのだけど、暖かい沖縄でどれだけ気温が低い場所に行けるのか…今回は直球勝負で気温の低いであろう場所に行ってみることにした。

最北端が最も寒いはずだ

沖縄で最も気温の低い場所…。シンプルにに考えれば沖縄でも北に行けば行くほど気温は低いのではないだろうか。そう考えれば行くべき場所はただ一つ。沖縄本島の最北端、辺戸岬だ。
気温は日中よりも当然夜の方が低い。ただしこの企画は「日帰り限定」という条件つきである。そこで午前2時に自宅を出て、辺戸岬に向かうことにした。
部屋から出たてなので現在の計測温度は18.3℃。
部屋から出たてなので現在の計測温度は18.3℃。
そして温度を測る温度計はこちら。私事で恐縮なのだが6月に息子が生まれ、部屋の温度を適温にするために購入したものである。これを拝借していくことにする。
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僕の自宅は沖縄県の宜野湾市。辺戸岬からは105kmくらい離れている。近くのコンビニで温度を測ったところ、現在の気温は13.7℃。もう十分沖縄では寒い方だと思う。

それでは北に向かおう。

名護市に到着

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高速道路を使ってまずは沖縄北部の名護市に到着。宜野湾市からは高速を使えば大体1時間で着くのだが、ここでも一旦気温を測ってみよう。
ものすごい引きの写真で恐縮ですが
ものすごい引きの写真で恐縮ですが
気温を測定したのは名護市の世冨慶(よふけ)。
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そう、本筋と全然関係無いのだけど一度夜更けに世冨慶で写真を撮ってみたかったのだ。
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気温は12.7℃。宜野湾市より1℃気温を下回った。いいぞ。この調子で北に進んで行けばもっと気温が下がっていくんじゃないか。

本島最北端の国頭村へ

さらに車を走らせること1時間。ようやく沖縄本島最北端の市町村、国頭村の入り口に到着した。
ヤンバルクイナがお出迎え
ヤンバルクイナがお出迎え
ここでも気温を測りたかったのだが、ここで問題が発生。自宅から持ってきた温度計、安物なのか温度の表示が落ち着くまで30分くらいかかるのだ。
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電池を抜き差ししてみたりしたのだが状況は変わらずで、このまま時間を費やすのももったいないため、のまま最北端の辺戸岬に向かうことにした。
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国頭村の入り口からさらに1時間あまり。ついに辺戸岬に到着した。

最北端辺戸岬で気温を測定してみる

沖縄本島最北端、辺戸岬。着いたのはいいが、当然この時間は誰もいない。なんせ特に何もない場所なので夜に辺戸岬に行く人なんて免許を取りたての学生くらいしかいないのだ。
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あたりはまっ暗でものすごい風の音だけが聞こえる。上の写真は駐車場で撮ったものだが、この奥が岬の先である。しかし、全く光もないし、なにより怖い。
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一旦駐車場にあるパーラーみたいなところで時間を潰しながら温度を測定してみる。辺りを遮るものがないので、風がものすごくて寒い。これは10℃くらいにはなっているんじゃないだろうか。
一回電池抜いたので下の時計がおかしくなってます。
一回電池抜いたので下の時計がおかしくなってます。
…。おかしい。待てども待てども温度は13℃代から動かない。こんなに寒いのにさっき冗談で撮った名護市の世冨慶よりも気温が高いのだ。
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そのまま日の出まで粘ったが、最終的に辺戸岬で最も低かった気温は
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13.3℃。…これ辺戸岬まで行く必要があったのだろうか。

沖縄での最低気温は12.7℃

明るくなってから撮った辺戸岬。波と風が半端ない。
明るくなってから撮った辺戸岬。波と風が半端ない。
というわけで、最北端の辺戸岬での測定よりも南の名護市で測定した方が気温が低かった、というなんともふがいない結果に終わってしまったがこれは時間帯のせいなのか、はたまた持っていった温度計が正確じゃなかったのか原因はよく分からなかった。
辺戸岬の先っぽで。この時手に温度計を持っていたので14℃くらいになってた。
辺戸岬の先っぽで。この時手に温度計を持っていたので14℃くらいになってた。
しかしそれでも皆さんにお伝えしたいとは、沖縄だって冬は寒いのだ。

この時期に観光に来られる方は長袖のご用意をぜひ。
冬の海釣り
そりゃもう寒いだろうと張り切って船に乗ったけど、そうでもなかった!
そりゃもう寒いだろうと張り切って船に乗ったけど、そうでもなかった!
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寒い場所といえばいろいろあるが、お金を払って積極的に訪れる場所で、考えるだけでも寒いところといえば、冬の船釣りではないだろうか。

物理的な温度で言えば、スキー場などのほうが当然寒いだろうけれど、釣りの場合はほとんど動かない上に、港を出たら7時間くらい戻ってこれないという、のっぴきならない寒さなのだ。

今回は船釣りの中でも特に寒そうな、深海魚釣りに挑戦してみたいと思う。

本気で寒波が来ている日は出船しません

寒さをストイックに求めるのであれば、強い寒波が押し寄せている日に船へと乗るべきなのだが、そんな日は風や波が強いために、釣り船は出てくれない。

そこで寒波が去って一息ついた、出船する日の中では寒そうな日を選んで出発。天気は晴れの予報だが、晴れた日にこそ指先が凍ってうっかりスマフォを海に落とすような寒さが待ち受けているはずだ。
午前四時半に出発。自宅の時点で2.3度だ。
午前四時半に出発。自宅の時点で2.3度だ。
途中のコンビニにて。散歩中の犬がかわいかった。
途中のコンビニにて。散歩中の犬がかわいかった。

バケツも凍る海の寒さよ

本日の目的地である神奈川県の城ケ島に到着。城ケ島は神奈川県の三浦半島で最南端の場所なので、比較的温暖な場所のはずだが、やはりしっかりと寒かった。

日が昇って明るくなっても、2.9度である。そして私は、これから7時間も船の上で冷たい風を浴び続けるのだ。

「体感温度×滞在時間」の勝負であれば、間違いなく私の勝ちであろう。
いわき丸という船宿から、アコウダイという高級な深海魚を釣りにやってきました。
いわき丸という船宿から、アコウダイという高級な深海魚を釣りにやってきました。
しっかりと寒いですね。
しっかりと寒いですね。
バケツの水が凍っているよ。
バケツの水が凍っているよ。
吐く息も白いが、写真には写らず。
吐く息も白いが、写真には写らず。

ごめん、ぜんぜん寒くなかった

日が高くなるにつれて気温は上がっていくので、今以上に寒くなることはないのだが、長時間冷たい風に吹かれることを考慮して、最大限の防寒対策をしてきている。釣り道具よりも衣類に金が掛かっているくらいだ。

しかし、この日はどうやらそんな必要はなかったようだ。
グングンと上がりだす気温。
グングンと上がりだす気温。
すぐに10度の壁を突破。釣れるのは謎多き深海魚。
すぐに10度の壁を突破。釣れるのは謎多き深海魚。
風もそこそこで、非常に穏やかでございますな。
風もそこそこで、非常に穏やかでございますな。
ちなみに水深は450メートルとかだよ。
ちなみに水深は450メートルとかだよ。
なんとこの日の船上は、予想外の小春日和。座った場所が太陽の当たる側だったこともあり、寒さを感じたのは出船するまでの間だけ。日焼けの心配をするほどだ。

結局一番寒い場所は、出発するときの我が家だったという、幸せの青い鳥みたいな話になってしまった。

まあ釣果はお寒い感じだったんですけどね。ははは。
まさかの20度越え。でも寒い日に当たると、本当に体の芯まで冷え切るから気を付けてね!
まさかの20度越え。でも寒い日に当たると、本当に体の芯まで冷え切るから気を付けてね!

海が寒くない日があってもいいじゃないか

今日の結論とすれば、寒いイメージしかない冬の船釣りも、防寒対策をしっかりとして、晴れた日にするのであれば、そんなに辛くはないよということである。

さあレッツ、エンジョイ、フィッシング!
軽井沢
0.2℃、狩ってきました。
0.2℃、狩ってきました。
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ノープランで東京駅スタート

日帰り低温狩り、ということでどこへ行こうか迷いながらもとりあえず東京駅までやってきた。

この時点でまったくのノープランである。しかも取材当日は年末の週末で、朝から家の窓枠の掃除をしていたら午後になってしまった。今から行って帰ってこられる寒い場所ってどこだろう。
このあたりが寒そう。
このあたりが寒そう。
もちろん東北や北海道が本命なのだけれど、今から行くとなると着いた頃にはきっと真っ暗だ、それは寂しい。しかも日帰りという条件だから範囲はある程度絞られる。なるべく近くてなるべく寒いところといえばどこだろう。

長野だろうか。

というわけでイメージだけで長野までの新幹線切符を買いました。待ってろ、低温!
それにしても新幹線の快適さといったら。
それにしても新幹線の快適さといったら。
東京から長野に向かう新幹線に乗ってくる人はまばらだった。僕の近くに座っていたのはスキーに行くらしき若者の集団と、母娘だろうか年の離れた女性の二人連れ。母親のお弁当に箸が入っていなかったらしく、これは販売店の責任か製造元の責任か、という議論が冷めやらぬうちに新幹線はトンネルを抜け、減速を始めていた。長野は近い。

そういえば外は雪が降っている。
東京から1時間ちょっとでこの景色である。
東京から1時間ちょっとでこの景色である。
降りたのは軽井沢駅。この1時間ちょっとの移動でまったく別世界なのがすごい。
なにせ標高が1000メートル近くあるのだ。
なにせ標高が1000メートル近くあるのだ。
長野新幹線は終点が長野なんだけど、長野市の標高は軽井沢よりもずっと低い(361メートル)。たぶん標高の高い方が寒いだろうと判断してここで下車した。あと車窓からの景色が半端なかったし。

なにしろ駅を降りて2分でこの景色である。僕の判断は間違っていなかった。
こうなったらもう春を待つしかないだろう。
こうなったらもう春を待つしかないだろう。
これは本気で注意しないとやばい。
これは本気で注意しないとやばい。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
東京からわずか1時間でこの景色だから日本は広い。そういえば僕も東京から反対側に1時間の場所に住んでいる。

ところで気温である。風が冷たくすでに指が切れそうに痛いので期待できそうである。
駅を出てすぐの地点で得られた温度が
駅を出てすぐの地点で得られた温度が
3.7℃。
3.7℃。

意外とたいしたことないぞ

3.7℃である。ザ・たいしたことない。この手の痛さからして確実に氷点下だろうと思っていたのに。神奈川のうちの近所で木村さんが2℃を記録していただろう。新幹線使った分これではまずい。

さらなる低みを期待して、日が暮れるまで待ってみることにした。
計測は木に任せた。
計測は木に任せた。
とはいえ夜まで外ですごすには寒すぎるので、駅直結のショッピングモール(ブランド物が売られていてキラキラしている)の、コンビニに出たり入ったりしながら時間をつぶした。
コンビニのレジ横に売られていた長野県民手帳。ちょっと欲しかったけど、そんなに長野に来るかな、と思いとどまった。今思えばなかなか来ないからこそ買っておけばよかったのだ。
コンビニのレジ横に売られていた長野県民手帳。ちょっと欲しかったけど、そんなに長野に来るかな、と思いとどまった。今思えばなかなか来ないからこそ買っておけばよかったのだ。
軽井沢に着いたのが15時半頃、1時間ほどするとすでに暗くなってきた。日が陰ると一気に風が冷たく感じる。体感気温が下がる。
明るく撮っていますがもうすっかり夜です。
明るく撮っていますがもうすっかり夜です。
さっそく低温狩りである、これはすごい値でたんではなかろうか。
でました0℃台。
でました0℃台。
0℃、いただきました。

おそらくこのあと夜が更けるにつれ、もっとすごい感じの気温になることだろう。一見様お断り、みたいな厳しい夜の空気感がそこにはある。早く帰らないと追いつかれる。
携帯の電池が半分くらい残っていたはずなのに、急に落ちた。
携帯の電池が半分くらい残っていたはずなのに、急に落ちた。

気温はエンターテイメントである

ものすごく寒いところは行くとそれだけでちょっと興奮する。僕は学生の頃に石川県に住んでいたので、雪の恐ろしさはよく知っているつもりだった。ある日部屋に戻ったら隣の家の屋根から滑り落ちてきた雪が網戸をぶち破って僕の机を埋めていたこともある。

それでもたまに寒いところに行くとやっぱりテンションが上がるのだ。ドバイの砂漠に行った時も同じように興奮したので、極端な気温差はそれだけでアトラクションになる可能性を秘めている。

寒いところに暮らす皆さんをリスペクトしつつ、東京に戻りたいと思います。あー寒かった。
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