ケバブ激戦区、秋葉原の「スター・ケバブ」
都内でケバブといえば秋葉原が有名らしい。
いつも降りているのに全然知らなかった。たしかに歩いてみると駅からちょっとの間にメイドカフェ並みにケバブ屋さんが目に入る。
売ってるのはメイドさんではなく、中東系の男性です。
ケバブデビューを目指し、例の豪気な肉の前に並ぶ。(横にアニメ絵)
いよいよ注文する番だ。
メニューを見ながらおろおろしていると、店員に「ドレニスル―? ギュニク? トゥリニク?」と不安定な日本語で聞かれた。うう、やっぱり怪しい。
価格表を見て値段が適正であることを確かめながら、「チキンケバブ400円」と「ビーフケバブ500円」を注文する。
初めて買った! これがケバブサンドか!
ずっしりと重い。
なのに中身には野菜しか見あたらない。
ほらやっぱり! 僕は900円も払ったのに、いんちきケバブをつかまされたんだ! ひどいひどい!
という妄想が頭にもんやりと広がる。ここは事実確認のために、中身を検証してみよう。
せっかくの初ケバブを台無しにしている申し訳なさ。
さすがに正面ではお店の人に申し訳ないので、裏路地でこっそり分解し、肉・野菜・パンの重さを量る。
はたして、測定結果は以下のようであった。
なんと!
野菜だけかに見えたチキンケバブの中には、ずっと多くの肉が入っていた。
ビーフの方も、不安な予想を裏切って牛肉が盛り盛りである。なんだけっこう肉入ってるじゃん、ケバブ!
ちゃんと元通りにして食べました。むう、うまい。
多国籍タウン・アメ横の「モーゼス・ケバブ」
しかし、たった1軒ではまだケバブの屋台を信じられない。もう1軒行こう。
「奥さん、おかず1000円!」の声が飛び交う、夕方の上野アメ横
さいきんアメ横は多国籍化が進み、アジアのナイトマーケットみたいになっていて面白い。ケバブ屋も隣り合って軒をつらねる激戦区だ。
「オニィサン、大盛リニスルヨ!」と威勢のいい店長。
呼び声に誘われふらふらと入っていくと、愛想のいい店長さんの店に行き当たった。日本語がうまいし、写真も「撮リタイノ? イイヨー!」と言ってくれた。
こういうケバブ屋さんなら、盛りの量にも期待できる。
さてどうだ!
どどん! あつあつのMIXケバブ(500円)、入りました!
正直、すでにケバブ屋さんに心を許しつつあるので、気さくな店長が作ってくれたこれを解体して計量するのは心苦しいのだが、記事のために心を鬼にして分解する。
そして結果はこうなった。
すごい! ビーフ・チキンのミックスというぜいたくメニューなのに秋葉原を上回る肉の量。
何だこの豪華さ、これこそあぶり肉のユートピアじゃないか。ありがとうモーゼスさん!(店長)
あまりに嬉しくてもう一個買った!(背後はモーゼスさん)
手のひらを返したようにケバブが好きになっている僕だが、ここは冷静に考えたい。
肉が多いのは都会だけかもしれない。また、もしかしたらハンバーガーに比べて割高かもしれない。
さらに踏み込んで、追及してみたい。
つくば駅の黄色いワゴン「アリズ・ケバブ」
茨城県つくば市にある、つくば駅。秋葉原から伸びるつくばエクスプレス線の終点だ。
この駅前では、ワゴン車でトルコ的な青年がいつもケバブを売っている。
チキンケバブ500円。小心者なのでもちろん買ったことない。
こんな平和なケバブ屋が、喧噪の中で生き延びる都会のケバブ屋とどれだけ互角に戦えるだろうか。
いまだ一抹の不安を感じつつ、おもむろにチキンケバブを注文して受け取る。
芝生にひろげてのんびりとケバブを解剖。
うおお! すさまじいチキンの多さ!
つくばケバブ、激戦区である秋葉原・上野を凌駕する量の肉を入れてきた。野菜を圧倒している。すごい。
なんだ、ケバブ屋さんみんなめちゃくちゃサービスいいじゃん! ぜんぜん割高じゃないじゃん!
アリズ・ケバブ。ありがとう、いいケバブ屋です!
じゃあ、日本人の売るケバブはどうなのか
さて、ここまでの調査でトルコ系のケバブ屋さんが力強く信頼に足る商人であることは明らかになった。が、日本人が売っているケバブはどうなのだろう。
そこでJケバブ(日本人ケバブ)をよく売っている、高速道路のサービスエリアまで来てみた。
Jケバブの代表スポット高速SA。「ケバブって?」の説明看板がある。
買ってみてすぐ気付く。あれ、なんか軽いし、はみ出し感が弱い?
正直、残念な結果である。
高速道路というビハインドがあったのはわかるが、ケバブ杯「トルコVS日本」は日本の圧敗だ。
勝てる要素が見当たらない。
もうJケバブのことは考えないことにして、最終決戦「ケバブVSハンバーガー」に取り組みたい。
ハンバーガー代表、「モス野菜バーガー」
ハンバーガーを代表してもらったのは「モス野菜バーガー」である。肉と野菜のバランスがケバブサンドによく似ている。
ハンバーガー界の威信を勝手に背負わされたモス野菜バーガー。
ここで勝負の焦点を「肉コスパ」に絞りたい。
野菜の量よりも、食える肉の量が多かった方が、やはり勝ちだろう。
ここまでの各ケバブの「肉コスパ」を比較すると、こうなる。
ビーフとチキンで色分けした。
ハンバーガーは100%ビーフなので、右端の赤い「秋葉原のビーフケバブ」に勝てたら、ハンバーガーの勝利と言える。
勝てるのか、秋葉ビーフ。
計量のみで勝負が決まるタイトル戦。
ケバブVSハンバーガー、結果!
勝者ケバブ!
僅差でケバブの勝利である!
ほんとに差はわずかだが、ケバブはハンバーガーよりも、安く肉を食べられることが証明された!
YES!ケバブ! YES!あぶり肉!
もうこれで、怪しく感じていたケバブ屋さんをいぶかしむことはない! ケバブ最高! ケバブばんざい!
心の底から晴れやかにケバブを選ぶことができる!
いやっほーーい!!
ケバブ屋さん、これまですいませんでした
こうしてトルコのケバブ屋さんは、日本人のケバブよりもずっと安くお買い得だと分かった。
回転させる肉塊のパフォーマンスも、これまでは「見かけを豪華に思わせるためでは?」と裏がありそうに感じていたが、これで心の底から豪快さを楽しめる。
みんなも安心して買って欲しい。
モス野菜バーガー(340円)の内訳。これもうまかった。