カレーの「隠し味」に向き合いたい
好きだからこそ、いろんなカレーの姿を見たい。
「隠し味」は、そんなカレーのいろんな姿を見れる魔法の杖だと思っています。
「カレーに隠し味は不要!ルーの裏側のレシピを忠実に守って作るのがよし!」という説も聞こえてきていますが。
たしかに美味いんだけどな。
どうなのでしょうか。
じっくり食べてみて考えてみようとおもいます。
というわけで、実験です
まず、身近な食材から5つ隠し味を選びます。
こう見えて、隠し味使いにはおなじみの顔ぶれ。(なはず)
普段はどれか単品で!というよりも、チームで活動をしてもらっていますが、今回の実験では、一品一品と腹を割って向き合ってみることにしました。
かくし味はこんなかんじで混入します。
これを、各隠し味ごとに生成。ちなみに、カレー本体はルーの裏側レシピどおり。
隠し味が隠せているのか、あやしいレベルのレベル2
……これ、「隠し味」のラインをはみ出しちゃうんじゃないのか?……
と、今ならば冷静に思えるんですが、当時のわたしは一心不乱だったのです。
「レベル1」を食べてみても、まったく味がわからずに比較できなかったらどうしよう。もう1パターンつくっておけば安心かも。そう思って、石橋を叩こうとしていたのでしょう。
我が家の小皿類が総動員されました。
カレーの華麗な光景だ!とつい言いたくなる、カレーだらけのテーブル。
石橋は叩きすぎると割れるということがこのあとわかります。
チョコレートをはじめてカレーに入れた人がなにをどう考えていたのかは気になるところです。
「ルーと間違えたの?」という憶測は安直か、とおもいつつも……
目を細めてみると、ルーに見えなくもないような。
うん、見えなくもないぞ。そんな気がする。
しまった。
レベル1で充分にチョコが足りていたようです。
少量のつもりだったのに、チョコの甘味は明らかにカレーの辛みを殺しにかかっています。
ということは……
それ以上にチョコまみれのレベル2はもはや、カレーとは呼べない何かに生まれ変わってしまいました。
甘味とカカオの威力は強い!
横須賀の海軍カレーが黒いのはコーヒーのしわざと聞きます。
なら、カレーが黒くなるまでコーヒーを入れつづけても平気じゃ?
そんな雑すぎる憶測はあっさりと崩壊をします。
渋い!カレーはぜんぜん黒くなっていないのに充分渋いです。
となると、不安の矛先はレベル2なんですけど……
これはもう、食べ物の禁忌の一歩手前とおもう衝撃です。
わたしが、この味をたしかめた人類最後の人間であってほしいと切に願ってやみません。
ところで、カレーとみそのビジュアルって、遠くないわりに「間違えた!」っていう噂を全然耳にしませんね。
そりゃそうだ、といえばそうなんだけども
近づけてみると遠くはない気がしてしまう!
容量を増やすとみその発酵っぷりが浮き彫りになってくるかんじがします。
父がカレーにしょうゆぶっかけてる姿を見ながら育ちましたが
この光景、わたしにはそんなにナチュラルではないです。
カレーのふくよかな感じが、しょうゆの効果ですっきりと口に馴染みやすくなっているような気がします。
とはいえ、入れすぎるとカレーの味すらかき消してしまう。
おそるべししょうゆよ。我がわりと強い!
それにしても。
入れすぎるとろくなことにならないことばっかりが続いている気がするのですが……
その矢先にはっとさせられたのがこの赤ワインです。
おお、赤が主張している。
なんていうか、「おうちカレー」ぽさがだいぶ収縮している感じがします。
多めにいれても美味しいとは。これは前述の4つにはなかった展開!
ワインは、「カレーはカレー、わたしはわたし!」と、カレーの味を殺さずにカレーとは別の方向から味覚に攻めてくる感じがします。
図にするとこんな感じだとおもうんですけど、つ、伝わりますでしょうか。
ところで。
ここでひとつ告白しなくてはいけないことがあります。
隠し味がなんも入ってないカレーが美味しい!!!という事実。
実は、微妙な隠し味のカレーを食べたあとに何度もこの味に助けられていたのです。「おお、これ美味しいんじゃないの?」そんな境地に達していました。
ああ、結局さんざん試してみたけどこの結論なんでしょうか。
素直に認めようと思いつつも、心が惑っています。
ワンスモア・実験
ということで、すみません。
心が惑っているので最後のあがきをします。
はい。突然ですがマンガに頼ります!
24巻はまるまる1冊カレーの勝負なんですけど、その出来事をものすごーーくはしょって説明します。
『カレーの隠し味として、梅干しとかつおぶしのようなものが出てきて勝負をする。』
というわけで、真似(のつもりのようなこと)をしようとおもいます。
端的に言うと。梅干しと
かつおぶしを入れたカレーをつくります!
究極(もどき)と至高(もどき)の戦い INタッパー。
せめてお弁当箱に入れてあげたかったのですが、残念ながら我が家にはそんなたいそうなものはなかったのです。
さて、梅干しのほうから実食してみましょうか
対するかつおぶしはどうだろうか……
う、美味い!
実のところ、かつおぶしも梅干しも隠し切れておらずはみ出しているんですが、そのはみ出し具合もまた、たまらんのです。
隠す必要のない隠し味を知ってしまいました。
結論
・ かつおぶし・梅干し入りのカレーはどっちも美味い。
・ 隠し味のおすすめは、ワインかしょうゆ。
・でも、まじりっけのないカレーも……美味いです。
隠し味には2通りあることがわかりました
隠さないといけないもの。隠さなくてもだいじょうぶなもの。
「隠し味」という同じ名前がついていながらも、2つの種類があるんだということがわかりました。
正直なところ「まじりっけのないカレー」は無理せずにつくれるし美味しいんですけど、まだわたしは隠し味と共にカレーを愛でていきたいと感じています。