プロトタイプから紹介
最初はイルミネーションにまぎれたいと思っていたのだ。まずはそこから説明したい。
はじめに作った道具をご覧頂こう。
写真のどこにぼくが隠れているかわかるだろうか。
どーこだ?
かなり上手くイルミネーションに紛れているだろう。正解は左側のやや明かりの数がまばらな部分。
そこに人が隠れているなどとは(薄目で見れば)気が付かないはずだ。これがはじめに作った道具、イルミ蓑(みの)である。
プロトタイプの作り方
イルミネーションまぎれる布の作り方は以下である。作り方と言っても100円で買ってきたひざ掛けに安全ピンでLEDを付けるだけだ。あっという間に完成。
100円ショップで買ったひざかけに
100円ショップで買ったLED
あっという間に持ち運びできるイルミネーションになる
100円ショップのキャンドゥに、USBから電源をとるタイプのLEDがあったのでそれを使った。モバイルバッテリーとUSBハブがあれば手軽に光らせることができる。
電源がUSBと、使い道が限定される謎な仕様なので、来年はもう売られていない恐れがある。イルミネーションに紛れたい人はキャンドゥでバイナウ。
イルミ蓑(みの)の実力
冬のイルミネーションに紛れる平成の忍者の仲間入りだ。ドラえもんの道具みたく名づければ「イルミ蓑(みの)」と言ったところだ。
ほかにも街中で試してみた。
どーこだ?
LEDのコードがたるんでいたために、背景のイルミネーションと差がわかりやすくなってしまった。写真中央あたりにいるのがぼくだ。
次はどうだろう。
難易度が上がったはず
答えは右から三本目の木の下部である。他の木は下まで白いLEDが繋がっていないのに注目。
これなんかはうまくイルミネーションに紛れすぎて、ともすれば交通事故につながってしまうのではと思ったほどだ。
ただ自転車に乗った通行人がそれまで陽気に鳴らしていた鼻歌をピタッとやめたので、そうでもなかったようす。
次は分かるかな?
ぼくはどこでしょう?
はい、ここ。今までの写真は全て暗く加工したものでした。
この写真が現実である。
イルミネーションがある道というのは多かれ少なかれ人通りがあるので、これまでの写真のように真っ暗だったりしない。LEDが多少並んでいても、体は丸見えなのである。
よりイルミネーションにまぎれるには
当初の目論見は外れた。ちょっとでもイケるのではないかと思った自分を恥じる。
もっとイルミネーションにまぎれるにはどうしたらいいか。そういえば、イルミネーションは植物をキラキラさせているな……。
そのとき我が家の押入れの奥深くで眠っていたアレを思い出した。
Amazonで3000円くらいで売られていたので衝動買いしたアレ
これはクリスマスツリーになれるな
サバイバルゲームなどで使われる草むらに隠れるための服、ギリースーツである。3000円台で売られていて「安い!」と思い買った。
生活上草むらに隠れたりすることはないので長いことしまわれていた。
買ってから2年の時を超えて日の目を見た。
これにLEDを付ければきっとイルミネーションにまぎれるはずだ。
イルミネーションにまぎれるのは確定として、せっかくなのでクリスマスツリーの飾りも買ってきた。LEDの他にツリーの飾り付けをしたら、これはクリスマスツリーになるかもしれない。
新しい風が吹いた
今までサンタクロースのコスプレや、ちょっとふざけてトナカイのコスプレはあったかも知れないがクリスマスツリーのコスプレというのはあまりないだろう。
クリスマスらしいウキウキした気持ちでギリースーツを飾り付けていく。
オーナメントやモールを付けていく
接写で撮るとだいぶクリスマスツリーっぽい。
引くと光るゴミ。
企画がおかしな方向へ走りだした
1時間ほどの作業でギリースーツのクリスマスツリー化は完了した。出来上がりはぱっと見不安だが、早速着てみるとしよう。
この時点ではかなり怪しい出来栄え
おお、ちょっとクリスマスツリーっぽい
ちょっとだけクリスマスツリーという感じがする。「これ何?」と聞かれたら、クリスマスツリーだろう。あるいは戦場で狂ったスナイパー。
この時点でイルミネーションがどうというより、より良いクリスマスツリーになりたいという気持ちが出てきた。
これは当然頭を隠す必要があるな。
顔を隠す部分に「メリークリスマス」をつけた
ギリースーツには頭を隠すマスクもあったので、これにも飾り付けをして、かぶる。
ハロウィンとクリスマスの狭間で生まれた怪物。
イルミネーションの光を喰らって生きる怪物のように見える。まあ……人間かクリスマスツリーかと言ったらクリスマスツリーに近いのでは。
ほら、こうやって部屋の隅に立てば、
ほぼクリスマスツリー
本物と比べてみる
クリスマスツリーになれたところで、本物のクリスマスツリーとくらべてみよう。
背中は飾ってないので見ないで欲しい
ニフティ受付スペースにあるきれいなクリスマスツリーと並んでみた
並んでみるとなんとなく違うことがわかる。具体的にどこが違うかはぼくにはわからない。高さかな?
精神は探求を続け、心は強い願望を抱き続ける。無駄に。
ひとつひとつの飾りが大きく、その数も多いのが原因か
撮影中は視界が悪かったので気付かなかったが、後ろで真面目な打ち合わせをやっていて震える。
どこが違うかはわからない。全体は部分の総和に勝るというが、部分を見比べても明らかにならないものなのかもしれない。
それはさておき、たまたま近くで作業をしていた社員さんにクリスマスツリーだと思って飾り付けをしてもらった。これは一体何ハラスメントだろうという画になった。
飾りをつけてもらったらクリスマスツリーに見えるだろうか
こうやって端に寄せてぼかせばクリスマスツリーっぽいかもしれない
イルミネーションがある外へ行こう
本物のクリスマスツリーと並ぶとだめなようだ。ここは諦めて別の活路を見出したい。
屋外のイルミネーションを見て帰る場所を見つけるツリー
外の景色を眺めてみる。イルミネーションが綺麗だ。
忘れていたがそもそもイルミネーションにまぎれるのが目的だった。外に出てみる。
エレベーターを待つクリスマスツリー
LEDがコントロールパネルを照らす
怪獣だと思っていたがホラーっぽさも感じる
外のほうが落ち着く
イルミネーションで飾られた、ビルの庭のようなところに出てみる。するとこれが意外と馴染んでいる。もうタイトルのように「おれがクリスマスだ」と言ってしまってもいいように思う。
さっきまでの様子と比べると、一瞬「おっ」と思うだろう
ギリースーツが背景にうまく溶けこんでいるのがはっきりと分かる(もともとそういう道具だ)。
そして周囲がこれだけきらびやかだと、LEDやモールなどの派手な飾りも違和感がない。完璧だ。
かなり溶け込んでいる
顔の「Merry Christmas」の文字がすぐに裏返ってしまうのが個人的には気になる。完璧の中にも脆弱性はあるものだ。
できるだけ元に戻そうとするのだが、撮影をお願いした編集部の安藤さんは「そこは問題じゃない」と言うのだった。
たしかにそうかも知れない
もしかしてゆるキャラなのか
撮影をしていたら、親と歩いていた小さい子が「あのクリスマスツリーに挨拶する!」とこちらに近寄ろうとしていた。
紛れてるけど見えなくなったわけじゃないのだな。あとクリスマスツリー扱いしてくれているな。他者からの眼差しによってふたつの発見がもたらされた。
子どもは親に「(だめ!)」と言われて足早に去っていった。
このページで画像が大きくなっているのは自信のあらわれ
また別に近くを通りすがった女子中学生集団も「なんじゃこりゃ」という視線を送ってくる。安藤さんが「これクリスマスツリーなんです」と説明すると、「あ、やっぱり」と言ってくれた。
まるでゆるキャラのようである(ぼくが喋らず同行者が説明するところも含めて)。
ゆるキャラなので犬も寄ってくる
下からのライトを利用すると神っぽい凄みが出る
でも動いたらダメ
じっとしてればいいのだが、歩いているときなどは手足が強調されて、それがちょっと怪獣っぽい。また動くと飾りの鈴が鳴るのでそれも恐怖を増長させる。
ちょっと楽しげなキャプションを付けてごまかすことはできないか。
るんるん
いそげいそげ~
今日はパーティーなのだ!
やっぱり無理か。パーティと言うが、事件のにおいがする。
最後にお地蔵様にお参りをしてこの記事を終わりたい。
ボンボン
来年も良い年でありますように
心にイルミネーションの輝きを
衣装のLEDは当然オン・オフできるのだが、試しにオフにしてみると文字通り暗澹たる気持ちになった(着ているものがほぼゴミだから)。光でこれほど安心できるものだとは。今後このLEDを持ち歩きたいほどだ。
みなさまの心にも安らかな光が灯りますように。