特集 2014年11月13日

おしゃれなお皿でコンビニおでん(大根)を食べ比べ

青山でおしゃれな皿を買う
青山でおしゃれな皿を買う
空気も冷たくなり、おでんが美味しい季節になった。おでんにもいろいろ具材があるが、ぼくは大根が好きだ。そこでコンビニおでんの大根だけ食べ比べたいと思う。

さあ、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サンクスの大根を買ってきた。おや、ローソンの大根だけ少し色が濃いように見えますね~。

……いや、何かがおかしい。皿が…皿がしょぼいのである。このまま企画を進めては大根に失礼な気がしてきた。もっとオシャレな皿を用意するべきだ。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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オシャレなお皿が必要だ

大根食べ比べを普通にやったら、きっとこんな感じになってしまうだろう。異変に気が付かなかったら大変なことになっていた。
サンクス 味しみ大根
サンクス 味しみ大根
ローソン ローソンファーム大根
ローソン ローソンファーム大根
セブンイレブン 味しみ大根
セブンイレブン 味しみ大根
ファミリーマート 国産厚切大根
ファミリーマート 国産厚切大根
4つ並べてみた。ただでさえ地味な大根がより地味に見える。
4つ並べてみた。ただでさえ地味な大根がより地味に見える。
なんだこの茶色は。オシャレな皿が必要性が分かってもらえただろうか。

オシャレな皿を購入するのは初体験である。ぼくは実家暮らしなので新たに皿が必要になることがないし、生活スタイルも雑なので「そろそろお皿が欲しいなあ」などと思うこともない。

オシャレを食卓に取り入れて、人生をステップアップさせよう。

お皿の専門店

表参道、青山のあたりにオシャレな皿が売られている店があると聞く。

ということで訪れたのは南青山の「うつわ楓」。その名の通り食器屋さん。ドラクエの街だったら確実に省略されてるタイプのお店だ。

こういう食器の専門店があることなんて知りもしなかったので、足を踏み入れるのはドキドキである。
こぢんまりした店にはお客さんがたくさん来ていて人気店のようす。
こぢんまりした店にはお客さんがたくさん来ていて人気店のようす。
店主とお客さんの会話に耳をそばだてると、お客さんの一人は何度か店に来ているようだった。

「この前来たときに気に入った器、もう売れちゃってありませんね。やっぱり気に入ったお皿は売れたら二度と手に入らないから、買いたいときに買わないとダメですねえ」と話す。
同じお皿が二つとない、そういう世界もあるのだ。
同じお皿が二つとない、そういう世界もあるのだ。
店主は店主で「(作者が)いい土を使うために一山買ったんだけど、土が終わっちゃったのでここにあるので終わりなんですよ」とお皿の説明をする。どっかの山のかけらなのか、皿よ。
宇宙みたいな皿
宇宙みたいな皿
いくつか見せて貰った中で気に入ったのがこちら。
5000円するけど、かっこいい。コンビニの大根70個買える。
5000円するけど、かっこいい。コンビニの大根70個買える。
触った感じはざらざらしていて、角度によってギラッと光る。黒っぽいのもかっこいい。

でも5000円…。二度と手に入らない、山…。会話がこだまする。

結局買った。
光り方がかっこいい
光り方がかっこいい
お皿には箱には作家さんのプロフィール(年表)をプリントアウトしたものが入っていた。
お皿に人生がついてきた
お皿に人生がついてきた
うつわ楓の店主の話では「これを作った方は料理人になるか陶芸家になるか迷って、結局後者を選んだんですよ」とのことだった。

これからぼくは人の人生にコンビニの大根乗せるのである。
うつわ楓
東京都港区南青山3-5-5
http://utsuwa-kaede.com/
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オシャレの洗礼を受ける

表参道のスパイラルに来ました
表参道のスパイラルに来ました
話は前後するが1店目でいきなり5000円のお皿が買えたわけではない。実は事前に表参道駅近くの複合文化施設スパイラルでオシャレの洗礼を受けていたのである。

ここは生活雑貨がいろいろ売られている店なので、たぶんオシャレ皿を買うには中級くらいだ思う。

たまたまビルのエントランスでKIKOFというブランドの食器が展示されていた。滋賀の職人さんが作っているらしい。

こんな様子である。
館内撮影禁止だったので、絵です
館内撮影禁止だったので、絵です
見るとポリゴンのようにカクカクしている。ウ、と小さく声がもれる。オシャレすぎる。

どうぞ手にとって御覧ください、と言われたのでそうしてみると意外なほど薄くて軽い。これがオシャレなお皿…。

和モダンを探して

続いてビル2階の生活雑貨のショップに向かう。店員さんが着用する薄い象牙色の服がオーガニック的な何かを感じさせる。

お皿に対してオシャレさの判断基準を持ち合わせていないが、「和モダン」というやつが最近オシャレっぽいと聞いたことがあるので、そんな風味のを探してみることにした。
ただ和モダンが何かはしらない。こういうのだろうか。
ただ和モダンが何かはしらない。こういうのだろうか。
これは和モダンかもしれない。持つと重たい。2400円。
これは和モダンかもしれない。持つと重たい。2400円。
うーむ、和モダンかどうかは知れないが、どれもいいものにちがいない。なんとなく見ているだけでも、いいなあという気がしてくる。それとも青山という場所のマジックであろうか。

でもどれもちょっといい値段する(取り皿が3000円位)ので、「よし買おう」という気持ちにブレーキがかかる。
なぜなら結婚式の引き出物っぽい。
気持ちをリセットしてしまうと、結婚式の引き出物っぽく見えてくる。

ぼくが迷っていると隣で、同じように値段がネックでお皿の購入を躊躇する客がいた。客の友達がそれを制して「でもな、機能性は最強だぞ」と言う。

お皿の機能性ってなんだろう。ただ言葉は力強い。

具体的な意味は想像ができないが、後押しされるようにぼくは1枚気に入ったお皿を買った。知らない人よ、ありがとう。

という事でまず買ったお皿はこれである。

店で見たときは普通すぎるかなと思ったのだが、自然光に当てたら妙に艶かしい造形をしている。
店で見たときは普通すぎるかなと思ったのだが、自然光に当てたら妙に艶かしい造形をしている。
ちなみに箱には丁寧にお皿のコンセプトが書かれた紙が入っていた。天草の白磁らしい。
JICON・磁今は、現代という『今』に作る『磁器』を仏教用語の『爾今(じこん)』【今を生きる】という意味に重ね……
JICON・磁今は、現代という『今』に作る『磁器』を仏教用語の『爾今(じこん)』【今を生きる】という意味に重ね……
「意味」である。この皿の半分は意味でできているぞ。

スパイラルマーケット
東京都港区南青山5-6-23
http://www.spiral.co.jp/shop_restaurant/spiral_market/
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セリアの皿はいいらしいぞ

3000円の皿と5000円の皿を購入したら強くなったような気分になった。歩くスピードも速まった。危ないけど。

ちょっと心を落ち着かせようと思い、渋谷の100円ショップセリアに向かう。ちなみにセリアは岐阜の会社なので、土岐のいい感じの陶磁器が売られている(たぶん)と聞く。
おちつくわ
おちつくわ
この並べ方最高
この並べ方最高
シンプルでつやつやした焼き物が、何枚積み重ねられるか競うように並べられている。

同じ柄のものがたくさんあって、お皿は工業製品なんだということを思い出す。数ヶ月ぼんやりしていてもなくならなそうだ。
100円ということが信じられない。
100円ということが信じられない。
これも100円。
これも100円。
今なら全部買える勢いだったけど絞りました。
今なら全部買える勢いだったけど絞りました。
3枚買ってしまった。それでも300円だ。安い。

作品コンセプトも作家のデータが添えられているわけもなく、新聞紙にくるまれていた。そこに意味も人生もたぶんない。

デパートも行っておくか

最後に訪れた新宿の伊勢丹。百貨店ならいろいろなお皿の品揃えがあるに違いない。
伊勢丹の外壁はクリスマスらしくトナカイの絵が装飾がされていた。
伊勢丹の外壁はクリスマスらしくトナカイの絵が装飾がされていた。
いえーい
いえーい
中を覗いてみるとさすがの充実っぷりである。伝統的なお皿も多く並べられていたので「オシャレなお皿」という目線で見ると限られてしまうか。

ここまでくるとだいぶお皿を見るのも冷静になってくる。
セリアのあとだとシンプルなのには惹かれませんな。(また絵です)
セリアのあとだとシンプルなのには惹かれませんな。(また絵です)
シンプルなつるっとしたデザインの陶磁器はセリアのものと比べてしまう。

おでんの大根を入れるなら漆器でもいいかもなと見てみると…。
ちがいがよくわからない。
ちがいがよくわからない。
あまり違いがわからないにも関わらず値段は普通に1万円するものも混ざっていて、ここは触れないほうがいいなと思った。

デザイン豊かな外国の食器もあった。この辺りで絞ってみよう。
ダンスクの魚の形のお皿。オシャレかどうかと聞かれると、違う。
ダンスクの魚の形のお皿。オシャレかどうかと聞かれると、違う。
クリスマスツリーのお皿。お皿にハマったとしても最後の方に買うジャンルだと思う。
クリスマスツリーのお皿。お皿にハマったとしても最後の方に買うジャンルだと思う。
いろいろと眺めていると、ポーランドの食器が可愛らしい感じだったので、結局それを購入。2000円ちょっとだったのでもう普通の値段だなという感覚が芽生えていた。
ドット柄が可愛い。
ドット柄が可愛い。
お皿は揃った。いよいよコンビニおでんの食べ比べに移ろう。
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コンビニおでんの大根食べ比べ

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サンクス 味しみ大根
税込み80円 (皿は税込み2592円)

素材を感じるサンクスの味しみ大根。箸で押すとしっかりした感触、かじるとシャクっと爽やかな歯ごたえがします。薄味で大根らしさが残っているので、おでんのいいアクセントになるはずです。

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ローソン ローソンファーム大根
税込み77円(皿は税込み5400円)

ローソンの大根は、口に入れた瞬間シュッと魔法のように溶けるやわらかさ。米ぬかを使って下茹でし、しっかりと味が染み込んでいることが色からも分かります。

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セブンイレブン 味しみ大根
税込み75円(皿は税込み108円×3)

セブンイレブンの大根は、透き通った繊維がクリスタルを思わせます。それが口の中でほろりとほどけるのが不思議。清酒を配合した調味液を使うことで、複雑でありながらバランスに優れた味付けになっています。

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ファミリーマート 国産厚切大根
税込み80円(皿は税込み2160円)

およそ35mmも厚みのあるファミリーマートの国産厚切大根。だしの味も塩味も効いていて、まるでスープを飲んでいるような力強さがありました。

文体が変わる

せっかく勇気を出してオシャレなお皿を買ったので、写真もそれぞれ変えてみた。最後の写真に至ってはなぜ木の根におでんの大根が置いてあるのか不明だが、それなりに説得力がある気がする。これもオシャレ皿の力だろう。

それと付随してなんとなく文体も変わってしまった。言いたいことは「一気に食べたらけっこうしょっぱかった」とかなのだが、それだと乱暴な気がして。

ただ、「いい写真を撮るぞ」と撮影のために食べ比べした翌日もおでんを買ったら、味の染み具合も色も違った。驚きましたね。
わかりやすく表にしました
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