特集 2014年11月27日

勝手にグッズを作りたい

頼まれてないけど作ります
頼まれてないけど作ります
IT系の企業はよく自社の名前が入ったTシャツを作る。

取引先にそれをあげて、送られた方もまた自分たちのオリジナルグッズを渡したりして、物々交換で信頼関係を作るのがおもしろい。
力士が自分の名前の入った浴衣の生地を送ったり、サッカー選手がユニフォームを交換しているようだ。

我々ももらった相手が驚くようなオリジナルグッズを作りたい。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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デイリーだと意外性がないな

驚くようなオリジナルグッズを作りたいとはいうものの、デイリーポータルZは毎月、友の会の松会員を対象にへんなグッズを送っているのだ。
お札風メモ
お札風メモ
ワッペン。右は全部のせデザイン。法律とユーモアのせめぎあい
ワッペン。右は全部のせデザイン。法律とユーモアのせめぎあい
おもしろサイトを標榜しているのでグッズがへんでも違和感がない。ここはやっぱり固めの会社がへんなグッズを作っているのがおもしろいのではないか。

そうして思いつくのがスカパー!である。

勝手にオリジナルグッズを作らせてもらえないかとお願いしたところ、ちょうどスカパー!で「ココロ動く瞬間キャンペーン」というプレゼント企画を行っていたのだ。
そこでプレゼントできるものが欲しいという。出来すぎな流れであるが本当である。

不安なのはスカパー!が期待しているグッズと我々が作ろうとしているグッズのイメージが違うのではないかという点である。

グッズをプレゼンします

プロジェクトに若干の不安はあるものの、僕がオリジナルグッズを作り、スカパー!の担当部署に説明することになった。
プレゼン1週間前、スカパー中嶋さんからのメールにはこう書いてあった。
「担当部署から15名集めました」
集まり過ぎだろう。イベントか。
だけど強い気持ちでプレゼンに挑んだ。
だけど強い気持ちでプレゼンに挑んだ。
僕が作ってきたのは4ジャンル6つのグッズである。

その1 おみやげ

「スカパー!のキャンペーン名は『ココロ動かすプレゼント』ですが、心が動くものと言ったら旅ですよね。そして旅を形にしたものがおみやげと言えます。」

作ってきたグッズにつなげるために強引な展開をしているのだが、みな一様に頷いている。しまった、いい人だ。
15人は大変まじめに聞いてくれている
15人は大変まじめに聞いてくれている。おれはなぜか買い物中の奥様ポーズ。
おみやげとして提案したのがこの3点である。
1.オリジナルキーホルダー
1.オリジナルキーホルダー
懐かしいキーホルダー。スカパー!だけでは寂しかったので「国定公園 スカパー峠」にして「交通安全」もぶら下げてみたが特にその点についての質問はなかった。
(キーホルダーはデイリーポータルZ新人賞で佳作のオカモトラボさん制作。コンピュータ制御の彫刻機でアルミ削り出し)

次も昭和テイストでこちら。
2.ペナント
2.ペナント
キングオブおみやげといえばペナントである。昔の観光地ペナントってなぜか恐ろしい文字で観光地が書いてあることが多いが、このペナントもそれに見習っておどろおどろしい文字にしている。
拡大
拡大
昇仙峡や秋芳洞を彷彿とさせるタッチで描かれるパラボラアンテナ。花に埋もれたリモコンが行ってもない旅の情緒を誘う。このペナントは勝手ペナント制作で実績のあるべつやくさん作である。

そしておみやげシリーズ最後のグッズはこちら。
3.クッキー
3.クッキー
なぜか日本じゅうで売られている、行ってきましたクッキーだ。休み明けの月曜日にはどこの会社でもこのクッキーがキーボードの上に置かれている。キーボードの右上、テンキーの上のスペースはクッキー置き場と言っても過言ではない。

行ってきましたクッキーのセオリー通りにパッケージにはスカパー!の本社がある赤坂周辺の名所を載せている。
急な坂
急な坂
大きくてきれいなドトールコーヒー
大きくてきれいなドトールコーヒー
クッキー自体はセブンイレブンのレジの後ろで売っているクッキーだ。包装紙を変えただけだが今風に言えばハックである。さて、反応どうだろうか。
こういうとき、僕はいま何をしているのだろうとか思わないようにするのがコツ
こういうとき、僕はいま何をしているのだろうとか思わないようにするのがコツ
おや、評判は上々
おや、評判は上々
クオリティも高評価
クオリティも高評価
おみやげ部門はペナントとキーホルダーのクオリティが高かったので高評価であった。
20代の担当者からペナントはどうやって使うのかという質問があった。ジェネレーションギャップ!
部屋に貼って使いますと答えながらも、たしかにそれおもしろいのか?とはちょっと思った。

手応えは上々だ。もっとグッズを披露してみよう。
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ショッピングバッグ

次に提案するのは紙袋である。心が動くものと言ったら買い物だ。買い物の象徴といえば紙袋ですよね。
と、いうことでこちらです
と、いうことでこちらです
一見、あのカメラ屋さんの紙袋に見えるが
一見、あのカメラ屋さんの紙袋に見えるが
全部SkyPerfecTVと書いてありまーす
全部SkyPerfecTVと書いてありまーす
いろんな書体で文字を並べてレインボーに塗るとビックカメラに見えるの法則である。
受けてるぞ
受けてるぞ
ロゴの元ネタ探しになっている
ロゴの元ネタ探しになっている
これはHP だ、FUJITSUじゃないかなどと盛り上がっているが、いやいや全部スカパー!である。無限大みたいな記号が上に乗っかっているだけで書いてある文字はSkyPerfecTVなのだ。
スカパー!
スカパー!
こちらのグッズについては「持ち帰り検討します」という結論になった。ネットで言う「あとで読む」みたいな感じである。ちなみにこの模様を作るのに7時間ぐらいかかっているというのは言わないでおきたい(言ってるけど)。

製作過程

この紙袋、試作品なので家にたまたまあった紙袋に模様を印刷した紙を貼り付けただけである。
新宿の有名百貨店の袋が
新宿の有名百貨店の袋が
あっという間に斜め向かいの店に!
あっという間に斜め向かいの店に!
恐るべきビックカメラ模様の破壊力
恐るべきビックカメラ模様の破壊力
相撲の番付表や新聞の株価欄もレインボーにするとビックカメラになるかどうか試してみたい。

紙袋は後で読むになってしまったが、次は自信作である(これも自信作だったけど)。
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メタルTシャツ

次のアイテムは王道、Tシャツである。
ただし、メタルロゴ
ただし、ヘビーメタル風
SkyPerfecTVと英字で書くと思わせておいてカタカナである。スカパー。
3回ぐらい見ているとなんとなくスカパー!というバンドがいるような気がしてくる(すかんち、的な感じで)。5回ぐらい見るとやっぱりそんなことないかなと思うので3回ぐらいにとどめておいてもらいたい。

このグッズの評判は…
テンションあがって着ちゃうスカパー!仲田さん
テンションあがって着ちゃうスカパー!仲田さん
ジャケットでも
ジャケットでも
革ジャンでもOK
革ジャンでもOK
大いに盛り上がった。あとから写真を見ると喜んでいるのは仲田さんだけなのが気になるが、とにかく大好評。

ちなみにフォトジェニックな仲田さんは子どものころ子役だったそうだ。プレゼンの場で取引先の子ども時代を想像して可愛かっただろうなーと思ったのははじめてだ。

改良します

ヘビメタの雰囲気を残しながら、逆に商売っぽくしたほうがおもしろいというアイデアが出たのでこのようにデザインを変更してみた。
加入申込の電話番号を追加
加入申込の電話番号を追加。スカルの下の小さい英字は「番号はお間違えのないようお願い致します」という注意書き
メタルのデス感を残しつつ、商売っ気をフィーチャした。
そしていよいよ最後のアイテムである。
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心が動くものと言ったら風呂だ

心が動くもの、それは温泉である。心が動くという抽象的な表現だったらなんとでも言える気がするが、とにかく心動くのは温泉である。
そこでこちらになります
そこでこちらになります
お風呂で使う桶である。この黄色い桶、ケロリンのオマージュになっているのだ。
奥が元ネタ、手前がオマージュ
奥が元ネタ、手前がオマージュ
ケロリンでは「頭痛・生理痛・歯痛」になっているところを「映画・スポーツ・音楽に」
ケロリンでは「頭痛・生理痛・歯痛」になっているところを「映画・スポーツ・音楽に」
ケロリンで使われている桶の無地のものを入手して文字を貼った。
なので実用性は、ない(きっぱり)。風呂で使うと文字がはがれる。

しかしこの桶を作っているメーカーは去年倒産していたのだ。西荻の骨董品屋で店頭在庫を見つけて買い占めた(と言っても2個だが)。

この世の中にある最後の2個がスカパー!になった。
これはいい!
これはいい!
ちょうどこういうのが欲しかった(キャプションは想像です)
ちょうどこういうのが欲しかった(キャプションは想像です)
やっぱり心動くものといえば風呂だったのだ。

採用されるのだろうか

この記事が掲載されるタイミングには間に合わなかったが、この中からいくつかのグッズがココロ動くプレゼントにしてもらえることになった!
なにがプレゼントになっているのかはスカパー!のサイトをちょくちょく見て確かめて欲しい。
!
デイリーポータルZが考えたグッズのほかはヨーロッパサッカー観戦ツアーや松阪牛である。うっかりそっちを申し込みそうになった。

グッズ考えたい欲が満たされた

当事者だと社内調整やら予算のことを考えてグッズを自由に作れないのだが、勝手に提案するだけだと自由である。
仕事を大胆に進める上での大事な心構えは、無責任である。

ちなみにグッズのアイデアでインドカレー屋の看板、というのも考えていたのだが、看板はグッズじゃないなと我に返って踏みとどまった。
インドカレー屋さんの看板って黄色ベースに緑文字ですよね。
インドカレー屋さんの看板って黄色ベースに緑文字ですよね。
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